1日の始まりを告げる朝日が昇ってきた。けれど私の時間は数年前から止まっている。彼女が死んだあの日も、こんな綺麗な朝焼けだったな。一緒にこの砂浜に座って、コートのおしりの所が二人共ザラザラになって、笑いあったよね。
風がきつい、波が荒ぶって高く高く波打っている。今年こそ死ねるかな、なんて考えながら初日の出に向かって歩み始めた。一歩一歩重くなっていく。足場がなくなっても進み進み、
「おい!!お前何してんだよ!」
嗚呼、また君か。私の意志を無視し私を陸に引き戻す。
「お前毎年毎年飽きねえな」
そう言った君の顔は何だか、落ち着きのない少年を笑顔で咎める父親のようだった。
眠れないほど、考えている。
どうしたらいいんだろう。お腹いっぱいご飯が食べられて、家族がいて、学校に行けて、塾にも行っていて、好きなことが出来る環境で、何不自由無い生活を送っている。でも、私成長できていない。環境に恵まれてはいるが、私には何一つ秀でたものがない。生まれながらの才能というやつが一人一つはあるらしいが、いくら探しても無いような気がする。どうしたら私は、親が誇れる一人前の大人になれるのかしら。
主人公になりたいな。多くのことを経験する、ドラマティックな人生を送りたい。でも、物語の主人公には唯一無二のなにかがある。人から憧れられるようなモノを、持っている。私の中にあるかな、あると信じていたい。もしもそれが見つかったら、私は少しでもあの人に近づけるのかな。
私が敬愛するあの人は、誰からも尊敬されていて、人が羨むもの全てを持っているような人だ。
どうしようもなく好き、だから、あの人みたいになれたならどんなに素敵だろうと思う。でも、理想と現実は遠い。けれど、この夢から覚めたくない。あの人の横に堂々と立てるような、そんな人に私はなりたい。だから、主人公になりたい。でも、何処までも現実を見る、一人前の大人にならなきゃいけない。
なりたい者となるべき者、どっちを目指し歩いていけばよいのか。
選択を間違えたくない。
だから、眠れないほど考えている。
夢があるの、私
幸せになりたいな
夢があるの、私
気ままに生きるんだ
夢があるの、私
あの子になりたいな
夢があるの、私
あなたに話したい
夢があったの、私
今はもう夢じゃない
夢があったの、私
叶えてしまった願い
夢ができたの、私
あなたに会いたいな
現実見えたの、私
そっちに行けないな
光と闇の狭間、、
私と世界との境界線が曖昧になっていく
なにも考えなくていい
眠たくなるほどの陰鬱
廻る思考が邪魔をする
でも、凄く素敵な時間になる
明日もまた来ようと思うの
あのね
宝物
貴方が私にくれたもの、今では色んな人に希望を与えているよ。私から彼へ、彼からあの子へ、ずっと続いてるよ。貴方の宝物は皆にいい影響をもたらしているよ。
ずっと大切にするから。戻って来てくれとも言わないから。だから、ずっと見守っていて。