『星が溢れる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
天の川を渡る舟に少年は乗っていた。
船底を擦る星屑のサァという音が舟の進みに合わせて聴こえる以外は、何とも静かな夜だった。
少年は船から少し顔を出し、星屑をその小さな両手で掬い上げるとフゥと息を吹きかけた。
サラサラと掌から溢れ出した星屑はたちまち、夜空に輝く星々に混ざって見えなくなった。
きっと何億年後かにあのどれか1つになるのだろう。
テーマ『星が溢れる』
屋久島で見た夜空は、まさに星が溢れていた。
電気は確かに人々を格段に進歩させたし、あんなにも美しい景色を人々から奪った。
あまりに偉大すぎるよ。
帰り道、星が溢れる夜空を見上げ、溜め息を吐く。 明日は、晴れるかな。
◆星が溢れる◆
白 黄色 水色 赤
倒した硝子瓶の中身は
金平糖
甘く崩れる星が溢れる
『星が溢れる』
流れ星たちは、これまで多くの願い事を託されてきた。
星たちはその輝きで願いに光を当て、それが叶うように力を貸してくれる。だが残念なことに、必ずしもすべての願いが叶うわけではない。
宿った願いが叶った星は役目を終えてその光を落とすが、願いが叶わないままの星は、流れ着いた場所で微かな光を残したまま、いつかその光が消える日がくるのををただずっと待ち続ける。
願いを叶えられなかったそんな星々が辿り着く場所を、いつからか誰かが『星捨て場』と呼ぶようになった。
誕生してから途方もないほどの長い年月を経た星たちは、最後の最後にそこに流れ着いた。そして、それからまた途方もないほどの年月をここで過ごしている。
ここにある願いのほとんどがもう叶うことはない。叶わないならば、消えゆくこともできないのだ。
幾年が過ぎ、星捨て場の星は時が経つにつれてその数を増やしていった。夜空の光が一つ、また一つと落ちていくたびに、その中から小さく寂しげな光がそこに集まっていく。
そして、空の星のほとんどが願いとともに流れ落ちてしまった頃。最初は別々だった小さな光たちは、徐々に1か所に押し集められていた。
だんだんと、だんだんと集まった光たちは大きくて明るい1つの光へと変わっていき、最期には目もくらむほどの眩い光を放って空に弾け散った。
叶わなかった数多の願いは光となって空に散らばり、また幾千もの新しい星々が暗い夜空に誕生した。
再び星でいっぱいになった空に、またすぐに願い事が託される。
消えゆく光もあれば、消えることのできないままの光も確かにそこに存在する。星たちはただ、自分の運命をまっすぐに受け入れるのだ。
一度からっぽになった星捨て場。でももしかしたら、すでにそこは再び流れ着いた次の世代の星々によって、僅かな光を帯びはじめているかもしれない。
言葉の中に
散りばめた
無数の輝き
掌に乗せて
風を待った
変わりゆく
時代の流れ
見えずとも
確かにある
夜が明ける
『星が溢れる』
星が溢れるなんていう景色は
人生でも数回しか目にしていない
でも
君の瞳の中になら
何回も目にしているよ
太陽が明るすぎたり雲があったりで忘れがちだけど
空にはいつも星が溢れる
【星が溢れる】
小さい頃、プラスチックで出来たカラフルで小さなビーズをたくさん集めていた。
図工の時間、自分の工作に必要な材料を各自で持ち寄り作品を作った。女子の中には自分で集めたであろうたくさんの種類も大きさも違うビーズを材料として持ってきていて、もちろん私も例外ではなかった。
「私のこのビーズとそのビーズ交換しよ!」
「このビーズはデカいから、ビーズ2
つだったらいいよー!」
そんな会話が教室の様々な所で行われていた。
もちろん工作に用いる事はなく、自分のコレクションとして大切に保管された。
いつの間にかクラスのみんなからもらったビーズ達は軽く30を超えていただろう。今思うとたった30個ほどのビーズなど、千円以下ほどで買えてしまう。だが子供の頃の自分にとっては、どんな宝物よりも大切だったのだ。自分で相手に交渉し、相手もまた自分と同じ様に大切にしているものを交換する。そうして集まったかけらは、星屑のようにきらめいて見えた。何に使う訳でもない小さなかけらを手ですくい、自分の手から星が溢れるのを楽しんだ。
そんな幼少期のを思い出を窓から見える夜景で思い出した気がする。
『星が溢れる』
星が溢れた、そんな夜私たちは動けずにただ溢れてしまった星を見ていた。
美しい炎を周りに纏い、一直線に溢れてきた星。
隣にいる彼女を見ると何だかこのまま死んでしまうのも悪くないと感じてしまう。
この世界では私たちは幸せになれないから。
この傷物の体では君はあまりに美しすぎるから。
私の勝手な意思で君を死なせてしまうことになって申し訳ないけど、溢れた星で心中。
というのもなかなかに美しい響きだ。
溢れた星が大きな音を立て、落ちてくる。
私たちはお互いの手をぎゅ、と握り最後の接吻をした。
大丈夫、来世ではきっと、きっと私が君を探し出して、見つける頃にはきっと、私たちも幸せになれる世界になっているはずだから。
君がいて、もう怖くないよ。
私たちは今、溢れ落ちてきた星に来世への切符を頂きました。
ごめんね、私はあなたのことが大好きだったよ。
そんな言葉も最後に呟けぬまま激しい光と爆音が私たちを次の世界へと送り出してくれた。
星が溢れる海の中沈みもせずさりとて浮かびもせずに漂う。
心地のいい揺れを全身で受け止めながら流される。星々もまた移動していた。星座をつくろうにも次にはもう形を変えている。
もしかしたら万華鏡の中だったろうか。
星の正体もわからぬ万華鏡が絶え間なく紋様を変えている。
あなたと過ごしたこの可惜夜は、星が溢れ、零れる。まだこの景色に瞼を落としたくはなかった。
まるで、おもちゃ箱から溢れるように。
無数の星々は夜空にこぼれ落ち暗闇を瞬く。
今宵の月は低い位置で
いつも以上に存在感を放っていた。
近くに散りばめられた星たちは
謂わば月の引き立て役。
仕事の疲れがピークに達していた私は
一刻も早く帰路に着きたかった。
ふと見上げた空に惹き付けられた数分間。
心なしか疲労感が軽くなった気がする。
慌ただしい日々の中でも
空を見上げる余裕は持っていたい。
そう、強く感じた。
《星が溢れる》
例えば夜光虫の打ち寄せる渚、ホタルイカの押し寄せる夜の海 炊きたての新米の艶 プラネタリウムでのデート 七夕の夜の素麺 群生するバイカオウレン それを見つめる植物学者の瞳 買ってきたばかりのグラスビーズを開封した瞬間 宇宙ステーションで過ごす日々 屋久杉から見上げた夜空 ニンジンが苦手な子どものためのカレーのなかのオレンジ色の流星群 暗黒星雲の懐に微睡む生まれたての星々
星の光を閉じ込めたようなその瞳を見ていると、
僕はいつも動けなくなってしまう。
キラキラと輝きを放つそれは、表情によって様々に形を変え、持ち主をさらに輝かせる。
あなたは眩い一等星のような人だ。
ペンライトの星空の中でも決して見失うことのない道標になる星。
あなたの瞳、輝き、その他すべて。
あなたの周りには星が溢れている。
その強い光の陰になる僕は、
きっとあなたから見えることはないんだろうと。
億千年の反射がきらめく
息が風を横切って、冷気が肌をさす
いまは小さいあなたでも、いつかは大きな夢を抱く
それまでは、グラスにとっておきたいの
降る星は私のすべて
喜びとともにそらへ 駆け出して帰ってこないで
『星が溢れる』
《星が溢れる》
人工の光が無い山奥と
月が出てない海
そこで見た夜空は漆黒だった。
水平線との境が付かない海は怖かった
どちらも吸い込まれる感が半端なかった
星々が満ちる私たちの旅へ夢に向かって、
今すぐ時を切り開こう、
あなたの鍵を握りしめて、
そこから先へと飛び立てば、
私たちはすぐにつながるだろう
「あと3回」
あと3回だけ
あなたへの想いが溢れる前に
私の憧れのままでいて欲しい
#星が溢れる
星が溢れる
自分の将来に不安を抱き、心を落ち着かせようと少し遠いところにある草原へやってきた。
時折冷たいそよ風が吹き、空気は澄んでいておいしい。
辺りを見渡しても建物はおろか電灯もない。
足元を照らすのは右手に持っているランタンのみだ。
ランタンの灯りを消し、その場に寝転がる。
ひんやりとした土とさらりとした草が体を包み込み、なんとも心地よい。
目を閉じて大地に体を預けるように脱力し、ゆっくりと、大きく深呼吸する。
すぅー...はぁー、と悩みを一つ一つ吐き出すように、丁寧に、丁寧に。
そんなことを数回繰り返していると、ざぁっと急に強い風が吹き抜けた。
思わず目を開けると、一面満天の星空が視界に溢れており、その壮大な星空に飲み込まれるように魅入っていた。
しばらく眺めていると、目の前に広がる宇宙の雄大さに先程まで頭に絡みついていた悩みがするすると解けていった。
先を見据えることは大事だ。
だけど、考えすぎるとしんどくなってしまう。
来るかも分からない先のことを考えるより、今を充実
させることの方が大事だというスタンスでいたほうが
心的に良いのかもしれない。
そのほうが、きっと後悔も少ないだろうから。