『星が溢れる』
星が溢れた、そんな夜私たちは動けずにただ溢れてしまった星を見ていた。
美しい炎を周りに纏い、一直線に溢れてきた星。
隣にいる彼女を見ると何だかこのまま死んでしまうのも悪くないと感じてしまう。
この世界では私たちは幸せになれないから。
この傷物の体では君はあまりに美しすぎるから。
私の勝手な意思で君を死なせてしまうことになって申し訳ないけど、溢れた星で心中。
というのもなかなかに美しい響きだ。
溢れた星が大きな音を立て、落ちてくる。
私たちはお互いの手をぎゅ、と握り最後の接吻をした。
大丈夫、来世ではきっと、きっと私が君を探し出して、見つける頃にはきっと、私たちも幸せになれる世界になっているはずだから。
君がいて、もう怖くないよ。
私たちは今、溢れ落ちてきた星に来世への切符を頂きました。
ごめんね、私はあなたのことが大好きだったよ。
そんな言葉も最後に呟けぬまま激しい光と爆音が私たちを次の世界へと送り出してくれた。
3/15/2024, 7:39:04 PM