『明日、もし晴れたら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「もし、」なんて口にする時点で、その確率は低いのよ。
あまい言葉を並べながら私の髪を撫でるこの手は、明日別の誰かに触れるんでしょう。知ってる。
耳をすり抜けていく言葉に温度なんて伴わないのに、触れる肌から伝うのは確かな温もりで、それに縋りたくなってしまうなんて、何らかのバグとしか思えない。
抱き寄せられて感じる温度は、代替が利くでしょう。
なのになんで、
名前を呼ばれる。目が合う。ふっと笑んだ唇に、食まれる。
この人がいい、と、思ってしまう。
思考が正常に機能してくれない。
ほんとうに、どうしようもない。
明日、もし晴れたらなんてのは日本では梅雨のシーズンや雪の降る場所などでもない限りだいたい晴れな気がする。もう心の中で96%くらい覚悟を決めているのだ。でも失敗に終わった時後悔や恥ずかしさで襲われすぎないように少し空に縋って軽減しているのだ。本人はそんなことは考えてないだろうけど。空に運命を握らせるくらいなら自分で夢を掴んで晴れた青を噛み締める方が気持ちいいだろう。でもそんな上の青さなどは成功すればどうでもいい。成功した喜びで満たされて顔を上げることもないからだ。失敗すればアスファルトを見下すのだ。なんて勝手なんだろう。勝手に縋って結果に左右されて感謝もされない。空に感情があればきっと、ねずみ色の白と透き通った色で視界を覆うだろう。
明日、もし晴れたら
→眠れない君と、夜を爪弾く。
(タイトル変更 '24.8.2)
明日、もし晴れたら、
どこに行こうか?
珈琲の美味しいあのカフェにオムライスを食べに行こうか?
骨董通りの新しい雑貨屋さんを覗くのはどうかな?
そうだね、動物園にフラミンゴを見に行くのも楽しいね。
テレビで観た灯台を 訪れるのもいいね。行ってみたいって言ってたよね? 海風、潮の香り、浜辺で焼きそば!
あ、笑ったな。海の家の焼きそば、あそこで食べるから美味しいんだよ?
んー、近所の公園に鳥の声を聞きに行ってみる?
え? 今はセミの声ばかりだって? そんなことを言わずに目を閉じて、 どんな鳥の声が聞こえるか想像してみてよ。
名前なんて知らなくてもいいから。
何か聞こえてきた?
邪魔になるといけないから、少し静かにしてるね。
どう?
…
……
………
おやすみ、
良い夢を。
テーマ; 明日、もし晴れたら
明日、もし晴れたら
明日晴れたら何をしよう。洗濯をして、散歩に行って、公園でランチを食べよう。家に帰って、角煮を作ってベランダで晩酌をしよう。
なんて幸せな日なんだろうか。楽しいな。憧れる。
オワリ
心の余裕がある大人になりたいです。角煮好き
明日、もし晴れたら
インドア派なので、天候に左右される予定を組むことがほぼない。
なんなら夏場は晴れることより涼しい事を所望したいまである。
そういえば 学生時代、良くしてくれていた叔父が突然の事で亡くなった。
とても楽しみにしていた修学旅行の前日だった。
数日前まで元気だった叔父がもういない事。
修学旅行に行けない事。
2つの理由で大泣きしてしまった。
当初は法要で修学旅行は行かないという母の方針に流れかけたが、
叔父にも修学旅行楽しんできてね と言われていた事もあり、
家族会議の結果、私は修学旅行に向かうことになった。
悲しい事に変わりないが、叔父の為にも全力で楽しもうと心に決め、雨の中出発した。
もし晴れたら、出来ることが変わってくる。雨天時はこうこう... という計画がある日程の中、
奇跡的に旅行先だけが晴れ(天気予報は全国的に雨だったと記憶している)
帰ってきた駅前はやっぱり雨だった。
叔父が晴らせてくれたと、都合よく解釈している。
あれからずっと未来の今、
叔父の大好きだった そして最終回を観ることなく旅立ってしまった水曜どうでしょうは今や伝説の番組となり、
私は叔父が飲んでいた山崎のウイスキーを帰省した際にちびちび戴いている。
それだけの時間が経過した。
もし晴れたらお墓参りに行くか というほど近場ではないけれど、
一緒にお酒を飲みたかったな と思ってみたり。
明日、もし晴れたら散歩でもしてみようか。
テレビからは酷暑のニュースばかりが流れてくる。外には出ないようにと注意喚起がされている。
でも、真夏の青い空と眩しい太陽の映像は、それを肌で感じたいという欲求を掻き立てた。
外を歩きたい。
日差しを防ぐ帽子も日傘もないけれど、家の周りを少し歩くくらいなら平気だろう。
お気に入りだった白いTシャツと青いスカートは、まだ着られるだろうか。
いつもより少し早起きをして、空腹で動くのは良くないだろうからちゃんと朝ごはんを食べて、食べてすぐ動くのは良くないだろうから食後は少し休んで、それから――
具体的に想像していくにつれ、思考は徐々に重たくなった。
スマホの画面に映っている天気予報は、曇りのち雨。
どうせ晴れない。
晴れたとしたって、どうせ外になんて出ない。
夜には晴れを願う自分がいるけれど、朝になれば曇った空にほっとする。
まるで、自分がゆるされたようで。
だって、晴れなかったんだからしょうがない。
晴れたら出かけようと思っていたのに。
晴れなかったのは私のせいじゃない。
そうやって、私の天気はずっと晴れないまま。
私の頭上にずっと留まっている雲は、どんどん重なって、膨らんで、重たくなって、どんどん晴れから遠ざかる。
明日、もし晴れたら――
晴れないという確信と、万に一つくらいなら晴れるかもしれないというほんの僅かな期待を胸に、私は今日も眠りに就く。
うしろから、トンと手が置かれたので振り返ると、見慣れたニヤニヤ顔があった。
肩の手を上げると、ヒラ、揺らす。
「よ」
そいつは手を下ろし、ズボンのポケットへ落っことした。
もう片方の腕をおもむろに上げる。
上がってきた手には缶ソーダ。
そいつはク、と頭を傾ける。
「そこ、座ろうぜ」
缶を握っていた、人差し指をチョイっと出して、ぼくの背を指した。
「ぷはーッ……っあ〜、サイコーだな」
そいつが振り下ろした缶ソーダが、トプっと鳴る。
ぼくはそれを、隣で眺めていた。
「それ、ぼくのじゃないの」
「ほしいのか?だったら自分で買えよ、
小遣いあるだろ」
そういうことではない。
あれだけおもむろに、缶ソーダを見せつけられたら、おごりかと思う。
だが、今こいつの背からそれ以上の缶が出現することは、なかった。
「そういえば君は、そんなヤツだったね……」
「へへへ、おまえ、オレと会う度、毎回同じこと言ってるぜ」
ぼくの顔を下から覗き込み、ぼくもそいつの、バカにしたような笑顔を見下ろす。
顔をそらすと、笑われた。
「ハー、おまえといると楽しいよ。
からかい甲斐があ、る!」
「うっ」
ボスボスと、背後から頭を撫でられる。
あんまり激しく、というか、撫でられること自体不服なので、その手をひっぺがそうと、両手を上げた。
「あ゛〜〜!」
頭の上で逃げ回り、撫で回してくる片手。
両手を使って掴もうとしているだけだ!それなのに、なぜかいつのまにか身体中が動き、バタバタと足を打ち鳴らしていた。
身体をバタバタする拍子に、振り向いてしまった。
目の前に心底楽しそうな笑顔でいるそいつがいた。
心底、悔しい。
「……もう」
「ん?どした」
ぼくが抵抗をやめると、そいつは笑顔を止め、撫でる手も撤退させた。
……まるでデタラメだ。
「君は、ぼくが嫌がることをしたいの? 」
「……言ったろ?おまえはからかい甲斐があるって」
そいつは身体も引くと、缶ソーダをまたグイッと飲む。
「……」
は〜、という息を聞く。
……顔を向けると、そいつもぼくへ顔を向けた。
「え」
笑顔が固まり、次には面食らう。
してやったりだ。
ぼくは、そいつの空いた手を掴みあげ、自分から頭を撫でさせていた。
「……へへ」
小さく笑ったのを合図に、そいつは頬をプクッと膨らませ、かと思えば吹き出す。
ダハハと、豪快に笑い、揺れながら途切れ途切れに「なに、したり顔で、」と話した。
ぼくは途端に、こんな程度を復讐と言っている自分が恥ずかしくなり始める。
だが、今さら撫でさせる手を止めることもできず、ただ、目の前のヤツが爆笑しているのを黙視していた。
「ひーッ、笑い死ぬとこだぜ……」
ヒドイもんだ。
自分には、からかいの才能が無いらしい。
いや、こいつにからかいの才能が集約しているだけなのか。
からかってやったはずが、からかわれたように恥ずかしい。
「よしよし、お望み通り撫でてやろう」
そいつはまだ半笑いで、ソーダを飲み干すと、座るベンチへ置いた。
そうして、ぼくの方へ飛びつくように、勢いよく撫でかかる。
右左と激しく往復する頭、ヤツの手。
もうぼくはなにも言うことも、することもなく、ほとんど脱力していた。
ふと、そいつはぼくから手のひらを離し、ニコ、とぼくへ笑いかける。
「明日も晴れるといいな」
なぜか。
「おまえがここにいるから」
植物園のまわりを散歩しよう
大好きな本と音楽とおかしと一緒に
憂鬱な毎日。
仕事、勉強、学校、会社、理不尽なことに縛られて
身動きすらとるのが苦しい日常。
明日、もし晴れたら。
いっそのこと悩みを全て投げ捨ててしまって。
広い、まだ見ぬ街へと飛び出していきたい。
そしたら、心も晴れるはず。
明日、もし晴れたら
「明日晴れてたら一緒に花火見に行かない?」
素直に言えたら良いのに。
でも、言えないからこその楽しさもあるよね。
明日も頑張ろ。
#悲しみで花は咲くものか
悲しみで花は咲くものか
涙の雫が土を濡らすとき
心の奥に隠された種は
そっと目を覚ますのだろうか
夜の静寂に包まれて
深く深く根を張る悲しみ
その重さに耐えかねず
芽吹くことを諦めるのか
それとも、悲しみを糧に
希望の光を求めて伸びるのか
暗闇の中でしか見えぬ星が
花を導くこともあるのだろうか
悲しみで咲く花があるなら
それはどんな色を持つのだろう
淡い涙色の花びらか
それとも、赤く燃える情熱か
悲しみは終わりを告げることなく
永遠に続く夜のように思えるけれど
その中で見つけた一輪の花が
新たな朝を告げるのだと信じたい
悲しみで花は咲くものか
答えは風に流れ、遠くへ消える
けれど、心の中の庭には
静かに花が咲き始めるのを待っている
「バイバイ。」
そう言って笑う彼は、もう私の中にしか居ない。
「辛い。」
言葉にすると余計に、辛くなる。あーあ、もう良いや。我慢しなくても良いや。私は雨の降る中、屋上に向かった。
「久しぶりに来たな。」
この建物の屋上には、思い出が詰まってる。その思い出の全てには、彼が居た。私の最愛。消え去った人。
「ねぇ、そこからはどんな景色が見えるの?」
彼と出会った日も、連日の雨だった。そして私は、自殺をしようとしていた。
「何も見えないよ。」
「それは君が泣いてるからじゃない?」
そう言い、彼は笑ってくれた。その事が只嬉しかった。久しぶりに誰かの笑顔を見た気がした。気付いた時には、私は全てを話していた。両親からの虐待、クラスでの虐め、辛かった事も悲しかった事も、話した。彼は無言で私の話を最後まで聞いてくれた。そして、言ってくれたんだ。
「これからは俺にも、君の痛みを分けてよ。」
この日から何ヶ月も彼は私の話を聞きに来てくれた。私はその時間のために、生きてきた。
「また明日ね。バイバイ。」
いつものように彼が言う。その帰る姿を眺める。何故だが嫌な予感がした。そして、その嫌な予感は当たった。
彼は交通事故に遭い、この世を去った。
ここに来ると楽しかった思い出が溢れている。それと同じくらいに寂しさが込み上がる。じゃあこの場を去れば良い。それなのに足が動かない。とっくに気づいていたんだ。彼と出逢った時から。
「私、まだ生きていたいんだ。」
その事実を痛感し、涙が出た。今日は辞めよう。この場所は彼との思い出の地だから。雨の日は彼を思い出すから。
生きる=辛い。辛い=死にたい。こんな矛盾が頭を支配する。私は醜い。最愛の人が死んでも、まだ生に執着してしまう。もう生きる理由は消えただろうに。空を見る。雨は止まずに、振り続ける。私は小さく誓った。
「明日、もし晴れたら彼に逢いに逝こう。」
「明日、もし晴れたら」
明日がどんな天気だろうが私にはどうでもいい。いつもそう思っていた。
けれど、私の大切な人が晴れた空が好きだと言った。
なぜ好きなのかと聞いたら、当然だろう?という笑顔を返された。
どれだけ聞いてもただ笑顔を返すだけで、理由は教えてくれない。
私には理解が出来なかった。天気なんていつも同じようなものじゃないか。
でも、この人は違った。
大切な人の大切を知りたい、そんな私は聞いた。
「明日、もし晴れたら…、わけを教えてくれますか?」
明日、もし晴れたら
レースカーテンを閉めて
冷房効率を上げる
快適な部屋で
薄めのアイスコーヒーを飲む
するとジムに行こう
と気が向く
予定
明日、もし晴れたのなら何をしようか。
虫取り網片手に麦わら帽子を被り、皆で虫を取りにでも行こうか。
それとも、プールに行って遊ぼうか。
やりたいことは沢山ある、夏休みはまだ始まったばかりだ。
「もし、じゃなくてぜってー晴れじゃん」
「まぁ、だろうね」
「んで〝これまで考えられなかったような暑さ〟って言うんだろ、絶対」
「なんか昔は26℃で〝うだるような暑さ〟って言ってたらしいよ」
「マジで? 今より10℃も低いじゃん、ヤバ」
「もうこれが普通になるんだろうなぁ」
「うげー·····」
「まぁ、でも、晴れでも雨でも、あらかじめ分かってれば対処のしようがあるからいいよな」
「それはそう」
「知ってるか? 空からカエルとか魚が降ってきたって記録があるんだって」
「あー、なんかで見たな。なんとか現象って言うんだろ」
「それそれ。凄いよな、晴れた空からカエルがぼとぼと」
「衝撃映像じゃん」
「そういうのに比べたら、いつもと同じ晴れや雨が続くって安心材料だよな」
「それでもこうも暑かったら動く気無くす」
「昔は夏休みになったらどんだけ暑くてもあちこち遊びに行けたんだけどなぁ」
「歳とったんだよ」
「まだ二十代ですけどwwww」
「·····明日、どっか行く?」
「行かねー。家でアイスクリーム食って寝る」
「それが一番か」
「うん」
晴れた空からカエルでも降ってきたら、少しは涼しくなるのだろうか?
END
「明日、もし晴れたら」
「明日、海に行こう!」
君はそうやって大輪の向日葵のような笑顔を浮かべた。
僕は黙って頷いた。何を言ったところで、君の熱量に押し切られてしまうことがわかっていたからだ。
僕の返事を見ると、君は少し照れくさそうに、つぶやいた。
「前に言ってた、あなたのお気に入りの景色を私も見たい」
君の言葉に、僕は急に恥ずかしくなった。別にバレると思っているわけじゃない。あの景色を見たところで、まさか君を思い出すから好きだという滑稽な理由は、いくら名探偵でも導き出せないだろう。ただ、その景色がお気に入りだなんて隠したい秘密以外の何物でもないことを、うっかり君に話してしまったことが思い出されて、なんとも言えないむず痒い気持ちになった。
僕は、この気持ちを伝えたいんだろうか。だから、君にそんなことを話してしまったのだろうか。ふと、脳裏にあの景色がよぎった。穏やかな波、どこまでも白く続く砂浜、影一つ残さないように照りつける太陽。その全てが、君を表しているようだ。ずっと、この気持ちには蓋をしておこうと考えていた。仲のいい友人。それでいいじゃないか。これ以上を望んで、この関係が壊れてしまうことのほうが、気持ちを成就させるよりも辛いと思っていた。でも、あの景色の中で、君が僕に笑いかけたとしたら、僕は君の全てを手に入れたいという欲に打ち勝てるだろうか。穏やかでゆったりとした優しさも、汚れ一つない潔癖さも、みんなを包み込む太陽のような眩しさも、その全てを手に入れたいという欲に。でも今は、この関係を壊したくない。君とこんなふうに話せる時間を失いたくない。
だからせめて、明日が雨ならばいいのに。
明日もし晴れてしまったら、僕は……。
明日、もし晴れたら
海へ行こう
朝日よりも早くなんて言わない
心が整うまで
部屋の窓から晴天に包まれる街を眺めて
埃を被っているエスプレッソマシンを
説明書片手に久々に動かして
アイスコーヒーも淹れよう
晴れの日を半分無駄にしちゃったねと
笑いながら重い腰を上げて
2人で一緒に海へ行こう
明日、もし晴れたなら外に出て日にあたろう。
雨だったら傘さして散歩しようかな。
明日、もし晴れたら、ずっと家にいるかな。
暑いし。
なんちゃって。