『日の出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『日の出』
山の端、あるいは水平線に向けて、空の明度は徐々に上がっていく。濃紺が群青、天色になって淡青へ。青が白に変わる過程のなんと美しいことか。
空の際は薄らと陽の色に染まっている。黄とも橙とも取れぬ、あるいは桃色にも見える絶妙な彩は、空の青と混じり合って雲を淡く色付けている。
「春はあけぼの」から始まる一章節を口の中で転がす。一千年も昔の表現に、人の世の唯一の不変を見た。著者の豊かな感受性と高い表現力は、千年の時を超えてなお色褪せない。
青が明けてゆく。陽の色が強くなってゆく。一瞬の閃光が辺りを染め上げる。命の星が姿を現すその瞬間に、私は世界の美しさを知るのだ。
日の出
綺麗。美しい。
そのことしか考えなくて済むような瞬間は有り難い。
日の出
彼の横顔がオレンジ色に染まっている。整った完璧なEラインを日の光が縁取っていて、それがあんまりに美しかったから日の出なんかそっちのけでずっと彼に見蕩れていた。僕の熱烈な視線を誤魔化せなくて、彼は居心地が悪そうに目を泳がす。いつもはあまり動かない表情筋がぐにゃぐにゃ動いて、名前もつかないような絶妙な表情をさせた。その顔をさせたのが僕なんだと思うと胸が焼けるように熱くなる。
「…あんま見んなよ」
「だってすごく綺麗だから」
日の光のせいで彼が照れてるのか照れてないのか分からない。照れた彼の頬の赤が見れなくてもどかしい。もっとよく見せてもっと僕を見て、と欲張る気持ちが抑えられなくなって頬に伸びる手を抓って我慢するのに必死でいよいよ僕は日の出の存在を忘れていた。
「俺より、日の出見ろよ」
彼は僕に見つめられるのに慣れたのか飽きたのか、またさっきみたいに前を向き直して光を見ていた。僕はというとずっと横顔に魅了されていた。彼の顔は確かに人間らしいのに、どこか無機質でひやりとさせられる。欠点が見つからない整った顔立ちと何を考えているのか分かりずらい表情が混じりあって、その全てが絶妙なバランスで、言葉で形容できない魅力がある。それは神様が完璧な調合で作り上げた姿のような、天才的な発明家が理想を尽くして作り上げたロボットのような…。そんな、奇妙なほどの美しさと少し危うい繊細さの結晶だ。自分なんかが近づいてはいけないのだと思わせてしまう強烈な美しさに誰もが打ち震える。彼の放つ鮮烈な青の麗しさには誰もが惹き込まれ、花も蝶も息を飲むのに、なぜだか彼の周りはいつも静かだった。一人で凛と背筋を伸ばし悠々と歩く姿を初めて見た時は、僕は衝撃で目の前の景色を疑った。こんなに美しい人を誰一人追いかけないのはなぜだ。僕がもしこの場に百人いたら彼を囲って逃げられないようにして、どんなに嫌な顔をされても、もう一度出会えるようにして離さないだろうと思った。そして、実際にそうした。残念なことに僕はたった一人だけだったが、彼を必死に追いかけ汗をみっともなくダラダラと流しながら、周りをうろつき、問い詰めた。
名前を教えてください。何歳ですか。どこの大学ですか。今日は何をしに来たんですか。これからどこへ行くんですか。そう早口で叫び続ける僕を彼は心の底から不審そうに見て嫌そうに顔を歪めた。この変なやつを振り切ろうと彼は走りだしたけど、生憎僕は足が結構早い方であったから、簡単に追いついてしまって、二人息を切らしながら真昼の東京で追いかけっこをした。(彼からすればただ不審者に追いかけられただけであり、通報されてもおかしくなかった。通報されなくてよかった。)そうしている内に、息も絶え絶えになって二人して路地裏の地面に寝っ転がる。寝っ転がった姿で咳き込みながら、僕が彼に名前を何度も尋ねるから、いよいよ彼は諦めて、顔に見合った綺麗なテノールを揺らしながら綺麗な名前を口にした。綺麗ですね、顔も姿も名前も声も。と言った僕を見た真っ直ぐな瞳が今でも忘れられない。それは、彼の瞳の中がトロトロと蕩け出しそうな位に甘い色をしていたから。何て返したら良いか分からずに震える唇も、僕の顔を見れずに定位置を失った黒目も、じんわりと内側から染まっていく頬も、全てが僕が想像した反応の真逆だったから、びっくりして言葉を失う。僕は言われ慣れてるだろうと信じて疑わなかったのに、まるで初めて言われたみたいな初々しい反応をされたから、驚いた。本当に、彼は初めて綺麗だ、と美しい、と言われたのだ。彼があんまりに美しかったから、誰もがそんな陳腐な言葉言われ飽きただろうと思って言わなかったのだ。だから、信じられないことだけど、彼のその美しさを真正面に言葉にしたのは僕が初めてだった。そう付き合い出した頃に、彼に言われた。
強そうに見える彼は実は誰よりも弱く脆く寂しがり屋で、それを誰も見破ろうとしなかった。彼の瞳の奥のドロドロとした熱と押し込んだ感情を見ようともしなかった。寂しさなんて知らないと言い張った爪先を僕だけが見逃さなかった。
「ねえ」
「はい」
「何考えてるの?」
僕は微笑む。僕が彼の隣に当たり前みたいにいれるのが嬉しくって幸せで仕方がないんだ。
「貴方のことだよ」
僕はいつも貴方のことばっかりだよ。止まることを知らない思考が僕の頭の中を貴方への愛で満たして、僕はいっつも心臓が痛くて痛くてしょうがないんだ。貴方への愛に押し潰されそうな勢いなんだよ。彼に出会ってから僕は寿命がほんの少し短くなったかもって思うくらい。
そんなことを言ったら彼は怒るだろうけど、でも、僕はその位貴方のことがこんなに切なくて苦しいくらいに好きですって心臓をくっつけて伝えるよ。
「好きだよ」
…ほら、その照れた顔が緩んだ口角と優しい瞳が、僕をおかしくさせる。来年もここに来ようね。来年もこうして日の出を見つめる貴方の横顔を見て、貴方と同じ会話をして、デジャブだねって笑い合って、好きだと伝えて、照れた瞳に見蕩れていたい。ううん、やっぱ来年だけじゃなくて、この先ずっとずっとそうして貴方の隣にいたい。
柔らかく微笑んだまま俺も、って囁かれて今度は僕が耳を赤くした。眩しいオレンジの光を背にして、僕らはこっそり手を繋ぐ。貴方の存在全てが、どんな眩しい光よりどんなめでたい景色より僕を虜にしてやまない。
これはただのひとりごと
自分の好きな色の組み合わせは何だろう。
僕は、紫と水色が好きだ。
深海のように怪しく綺麗で、夜空のようで混沌として美しい。
どこまでも深く淀みのない煌めきは桃色の優しさを連想させる。
色には不思議な力がある。
赤は漲る情熱、青は純粋なる誠実さ、黄は調和の暖かさを感じる。
それは僕であるからそうなる。
人によって、色の感じ方は多種多様で、心の在りようも十人十色。
だからこそ、人は何色になれるが、何色にもなりかねない。
自分が、本当に染まりたい色はなんなのか。
夕焼けの雲が薄い青色と淡い赤に照されて、高架橋の端には川の
揺らめく水を、光が写す。
堤防のすすきが夕日に染められ、風に誘われ涼しげにさざめく。
そんなありきたりな色より、よほど美しい光景に心が洗われる。
明日の景色にも期待と可能性はあるけれど、
今日の二度と来ない景色に、僕は感じれることがあるかも知れない。
この、日の入る前の情景を。
とにかく健康に気をつけて過ごす。
新しいことにどんどん挑戦する。
自分の趣味を全力で楽しむ。
幸せを、おすそ分けしたい。
〜新年〜
〜今年の抱負〜
人生で日の出を一度も生で見たことがない。
いつかきれいな日の出をこの目に入れたい。
美しい海の向こうから日が出る。
そして、気高き山の中に日は沈む。
私は前者が好きです。
なぜなら、自分の心の内を表しているようで。
美しい日の光を見ると、自然と今日も頑張ろうと思える。
そして、心が解放され、私の中の日が目を覚ます。
誰の上にも太陽はやってくる。
どんな日でも日の出はある。
それらの"常識"を味方につけて
私は明日も頑張ろうと思います。
日の出
物事の捉え方の話だ。
日が昇る時、あの国では日が沈んでいる。
私たちが日の入を見る時、あの国では日が昇っている。
ある漫画で、こんなセリフを言っていた。
「真実は人の数だけあるんですよ」
「でも 事実は一つです」
子どもたちには色々な見方ができるような人に育ってほしい。
本質【事実】を見抜く力も大切だけれど、
人それぞれの物語【真実】を見て、
寄り添える人になってほしい。
2024.01.03
忘却にみをゆだね、ねむっているわたしは、もえるような曙光がさしこんでくるのに、めがさめる。くるしみのただなかにいるものにとって、めざめとは、いくぶんつらいものである。かりそめの忘却からめざめへとうつってゆくなかで、苦悩をせおいこんでいるじぶんをさいはっけんし、すべてのどんづまりをおもいだす。そのようなくるしいしゅんかんにさしこむ曙光は、もえるようにぎらぎらとかがやき、まるでわたしをせめさいなむほのおのようだ。ねむりの忘却のふちにしずめておきたいことどもを、曙光はヨウシャなくあばきたて、わたしにいやおうなくちょくめんさせる。つかのまのねむりでわすれていた苦悩をはっきりとおもいだし、わたしは憂愁にとざされる。しかも、そのときにはすでにねむけはわたしからさり、ふたたびねむることはできない。わたしは、はっきりめざめたイシキのまま、苦悩にたちむかわなければならない。
——日の出
日の出
初日の出は数える位しか見たことない。
日の出は一時期、日が昇る時間帯まで寝られない期間があったので、その時期は“あぁ、日の出の時間帯の空は、綺麗だなあ”とか思いながら、ベランダから外に出てみたりしてた。
まじで暗い時間帯は眠気が全然来なくて、嫌なことばっかり思い出したり考えたりしながらひたすらゲームしてた。
で、空が明るくなり始めると、なんか安心して、するとだんだん眠くなってきて、それから寝るって感じだった。
1回車泥棒に家に入られてから無意識に怖かったのか。
まあ、その前からも眠れない時期あったし、もともと宵っぱりではあったので、これが要因かは、微妙なところ。
【日の出】
貴方と見れて幸せだわ
俺は彼女と日の出を見ていた。
俺も幸せだよ
このやり取りは何年前だろう・・・
彼女が亡くなってからトラウマになった日の出。
あぁ、日の出をみるならお前じゃないと、
お前じゃないと幸せなんて思わないよ
日の出
明けない夜…
絶望感
朝になるのが
こわい
日の出の眩しい光り
…
つらくて…目を閉じる
「思ったよりも…綺麗だな。」
その光から目を離さずに、ぼそっと呟く君。
ちらりと君の方を見て、その端麗な横顔に映される光に、少しだけ妬いた。
「あの光が、私だったらいいのになぁ。」
「なんでだ?」
「あの光はすっごく眩しくて、君を守ってくれるような、救けてくれるような光だから。」
孤独で、強くて、仲間がいて、弱い君にとって、私があの光だと思ってくれているなら。
「オレはあの光、オマエみたいだなって」
突然そう言われる。
驚きすぎて、めでたい光よりも、彼の横顔を目を見開いてしっかりと見る。
「あ?オレなんか変なこと言っ……たな!?
べ、別に変な意味じゃねえからな!?」
「い、いいいやいや分かってるよ!私がなんか突っ走った解釈しただけ!!」
「多分その解釈で合ってる!!」
「言わなくてもいいよ!!」
恥ずかしさのあまり言い争いのようになっている状況で、冷静にツッコむ人間がいた。
「いやもう付き合えよ。」
「あの言葉は告白同然だよねー。
てか日の出綺麗だね〜!!」
_2024.1.3「日の出」
pk。今日円盤クリアしました。
クリア後姉弟に会えないってマジですか?
おやじを「青木さん!?」と思った自分を投げ飛ばしてくれる人はいますか?
pk知らなくても多分読める…と思います。
#5
日の出の瞬間ってすごく綺麗。
ほとんどの人がそう思ってるはず。
いいなぁ。みんなに認められて。
みんなに認められたいとかは思ってないけど、1人でもいいから、誰かの中の私が綺麗な存在だといいな。
ちょっと話ズレたかもです💦
まだ暗いうちから、トルデニーニャは山頂に向かって走っていた。彼女たち、有翼族が住まう岩山のてっぺんに向かっているのである。
今日は特別な日。どうしてもその時刻に遅れるわけにはいかない。飛んでいけば一瞬のことだが、彼女はみんなのように巧く飛べなかった。しかし、日々の積み重ねで得た、狩りの腕はある一人を除いて、彼女に勝る者はいない。
同朋たちは幼い頃こそ、それを散々からかっていたものだったが、彼女に狩りの腕前が敵わなくなった頃には、彼女の真摯な努力に敬意を表していた。
毎日のように走っている道のりを急いで走り抜け、彼女はとうとう山頂に到達した。まだ空は暗くて、山の端が少し明るんでいる。
(――間に合った)
ほっと胸を撫で下ろして、彼女は崖際に近寄っていく。すると、暗闇に紛れてよく見えなかったが、既に先客がいたらしい。先客は端に座って、眼下の景色を眺めていた。
先客は彼女の足音で気づいたらしく、振り向いた。
「……ああ、トーマ」
彼女の姿を認めて、それが発したのは気のない声だった。冷たいと言い換えてもいいのかもしれないその声音は、リヴァルシュタインのものだ。誰だろうと訝っていたトルデニーニャは、その声を聞いて、緊張を解いた。
よかった。知らない人だったらどうしようかと思ったところだった。
「こんばんは、リヴァ」
にっこりと笑って、彼女は遠慮することなく彼の隣に座った。
「君、きちんと暖かい格好をしてきたのかい」
「もちろん。リヴァたちと違って、わたしは寒さに強くないもの」
見て、と彼女は両手を広げた。毛皮の上着の下に厚手の服を二枚重ねて着ており、耳当てのついた帽子に手袋をしている。走ってきたから、熱いくらいだ。
ぴゅうと冷たい風が吹いた。
くちゅんとくしゃみをした彼女を見て、彼は小さく溜息をつくと、自分の巻いていた襟巻を彼女に巻き始める。
「首元を出していると冷えるよ。しばらく、ここで座って待つんだからね」
「ありがと……」
大人しく為すがままにされながら、トルデニーニャは答えた。
彼が襟巻を巻き終わったので、二人は並んで、前方を眺める。
山の端の明るい色が徐々に下から立ち昇り、暗い空が徐々に明らみ始めていく。山の端から大きな半円が姿を現して――やがて完全な円となる。朝日が昇ったのだ。
(今年もこうやって一緒に見れてよかった)
彼女はそっと彼にもたれかかった。彼は驚いたように彼女を見たが、口許を緩めると、彼女を抱き寄せたのだった。
神さまが
山の向こうで
目を覚まし
その輝きが
昇り現る
今日 お散歩中の
とっても愛らしい犬が
あいさつに来てくれて
撫で撫でさせてくれて
ピトッと寄り添ってくれて
可愛いくて温かくて優しくて
嬉しかった 幸せだった
あったかい陽の光みたいに
心温めてもらった
ありがと ありがと
日の出
私に縁のないもの。それが日の出だと思う。早く起きても窓を眺めず、窓を見るのはうっかり遅く起きた日だけだから。
日の出を思い出したのを機に見てみようかな
人の好きなものが必ず好きな必要はない
でも人の好きなものを蔑む馬鹿が一定数この世に存在するのは悲しいことだ
いつもと同じように
太陽が昇ってくると
見せかけて
地球が回る、
それでも今日はやけに
ありがたみを感じながら
朝を待つ人が多い。
そんな風に一年を
照らしてほしいと
願っている。
太陽に縋る思い。
心も地球も
救う一年が
待ってますように。
–日の出–