『手を繋いで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
白いシーツに爪を立てた
その手の甲に 重ねた手
包みこんだ その細い指が
縋るように絡み合った
【手を繋いで】
最後の瞬間も
どうか このまま
お題『手を繋いで』
私と手を繋ぎましょう。
ほら、一緒に行きましょう。
そして、星と星を繋いで、遊びましょう。
星の粒がきらめく海に手を浸して、
木の船から身を乗り出して
消えない傷を作りましょう。
手を繋いだ、ふたりだけで。
お題 手を繋いで
夢中になると、今その時に全力を注いでしまうのは私の悪い癖だ。現にこうして私は今、写真撮影に夢中になった結果、迷子である。いい年した大人が、夕暮れ時に。どうしても写真が撮りたかった。綺麗な蝶を見つけたのだ。撮れると思ってしまったのだ。撮れなかったが。頼みの綱であるスマートフォンはついさっき充電が底を尽きた。全くどうしてこうなった。
これは腹を括らなければいけないな、と思う。幸運なことにここは住宅街。恥ずかしいが背に腹は変えられない。勇気を出して呼び鈴を鳴らし、道を聞こう。周りを見渡せばどの家も温かみのあるあかりが灯っていて、私はそのうちのひとつに、吸い込まれるように手を伸ばした。
「そこはダメ」
ぎゅっと反対側の手を引かれ、思わず振り返る。ドールハウスから出てきたみたいな乙女心くすぐられる格好の女性が険しい表情をして、私の手を引いていた。
「あ、その、私迷っちゃって、スマホも使えなくて…」
「でしょうね。でも、そこも、あそこも、あの家も…とにかく全部ダメだから」
「はい…すみません…」
「ついてきて。ここから出たら帰れるでしょう」
そう言って、彼女は私と手を繋いだまま歩き出した。私は黙って彼女の後に続いた。数分ほど歩くと、見慣れた大通りに出た。あっさり見つかった帰り道に先ほどまでの苦労は何だったのだろうかと頭を抱えたくなる。
「わざわざありがとうございました。スマホも使えなくて、困っていたので助かりました」
「たまにいるのよ。複雑だからね、ここって」
「ひとつお聞きしても?」
「なあに」
「…どうして、呼び鈴を鳴らしてはいけなかったんでしょうか、ここには何かルールがあるんですか?」
不思議だった。道を尋ねることがそんなに悪いことなのか。だとしたら認識を改めなければならない。そう思って、何気なく聞いたことだった。彼女は急に真顔になった。私の背中を嫌な汗が伝って落ちる。
「…食材がわざわざ歩いてきてくれたら、便利なことだと思わない?」
瞬きをした次の瞬間、もうそこには住宅街なんて無くて、もちろん彼女も、いなかった。握り締めていたスマホが振動する。充電は72パーセント。道を検索するには、充分すぎる残量だった。
【手を繋いで】
あなたと手を繋いで歩く帰り道
なんでもなかった日々が
いつもの道が特別になった
この先、何度この道を通るのだろう
そして、何度思い出すのだろう
いくつ季節が巡っても
この先もずっと、あなたと共に
あなたの指の形がよく分かる。すらりとしていて、骨ばっていて、心地よい体温を私に分けてくれる。ペンを握り、ギターを操り、時折料理をし、そして私に触れる指先。私があなたの体の中で一番好きなところ。
私から手を繋ぐと、あなたはそれが自然だとでもいうように私の手を包んでくれる。本当はもっと強く握ってほしい。境目が分からないくらい強く握って、いずれ一つの生物みたいになれたらいいのに、と思う。
けれどきっと、そう言ったところであなたはそうしないのだ。私の手を傷つけたくないから、と言うのだろう。そういう木漏れ日のような優しさが、私は好きなのだ。
その日はお母さんの機嫌が良くて、遊園地に連れて行ってもらう約束だった。
おうちを出てから真っ直ぐ。長い坂を降りたところに、最寄りの駅があるんだって。わたしは学校に通う以外で外に出ないから、知らなかった。
下り坂は怖い。そのまま前に転がるんじゃないかって、ビクビクして歩幅が狭くなる。
早くしなさいって、お母さんに何度か言われた。急かすばかりで、手を繋いではくれない。
いつもなら、お出掛けするときは、お父さんの運転する車に乗る。だけど、今日は『女の子だけの会』だから、お父さんには内緒。お母さんがそう決めた。
そのはずなのに、駅で知らない男の人が声をかけてきた。
「なんだ、そのガキ」
「娘がいるって、前に言ったじゃない」
「聞いてねぇし、めんどくせぇ。お前とはこれで終わりだ」
男の人はそのまま去って行った。
「あんたがいると、私の人生が滅茶苦茶だわ」
眉間にシワを寄せてわたしを見ている。いつものお母さんに戻っちゃった。
「……トイレに行ってくるから、私が戻るまで動くんじゃないわよ?」
わたしが返事をする前に、お母さんは急ぎ足で行った。
私はずっと待っていた。その間に通り過ぎた電車は五本。ここは田舎だから、一時間に一本しか来ないって、お父さんが言ってた。
わかってる。お母さんは戻って来ない。でも、動くなって言われてる。わたしはいつもお母さんを怒らせるから、ちゃんといい子で待ってなきゃ。
「お嬢さん。こんな所でなにしてるの?」
顔を上げると、お父さんの親友がいた。この人は、あだ名をたくさん持っていて、なんて呼べばいいかわからない。お母さんはゲボクって呼んでた。お父さんは……なんて呼んでたかな?
「お母さんを待ってる」
「一緒に待ってもいい?」
「いいけど、ゲボクさんが退屈しちゃうかも」
「ゲボクはやめてくれないか」
「なんて呼べばいいの?」
「おじさん、とか」
おじさんは無口だけど、隣にいてくれるだけで安心する。不思議な人だなぁ。
お父さんが話してた気がする。おじさんの隣にいると、すっごく眠くなるんだって。それ、わかるかも。わたしも、とても眠たくなってきた。
「駅で寝たら風邪引くよ」
「待ってなきゃ。お母さん怒っちゃう」
「風邪引いて病院に行くほうが、お母さんはもっと怒るんじゃない?」
「……そうかも」
「じゃあ帰ろう?」
「うん」
「眠いなら、おんぶしようか?」
「ううん。歩く」
おじさんは足が長いから、おんぶしたほうが早いと思う。それでも、一歩一歩をわたしに合わせてくれる。その優しさが嬉しい。
どきどき止まって見せると、おじさんも止まってくれる。お母さんなら、先を行ってしまうのに。
おじさんとは離れてしまわないように、ずっと手を繋いで、おうちまで続く坂を上った。
「こんなん久しぶりやわ」
隣で寝転んでくすくす笑うきみ。
指と手のひらからゆるく伝わるあたたかさ。
「一回だけでいいから」とお願いしたら目を丸くして、「なんや、そんな簡単なことでええんや?」と首を傾げていた。
「一生のお願いとか顔めっちゃ真剣やから……何言われるんかと思った」
きゅっと軽く手を握られる。目が合って、微笑まれる。
「かわいいなあ」
恥ずかしくなって目線をそらした。
「いつでもやるし、また言ってな」
「……うん」
ーーーーーー
お題 手を繋いで
【手を繋いで】
君のぬくもりが伝わる一時を過ごしたいと思うから。
【手を繋いで】
ベッドに眠る妻の横顔は昔出逢った頃のままに綺麗だった。
思えば毎日寂しい想いをさせていたのだろう。
それでも私の前ではいつだって明るく元気な笑顔を絶さなかった。
私に気負いをさせないために。
そんな私は毎日仕事ばかりで家庭を振り返る事はなかった。
家事も子育ても妻に任せっきりで。
一緒に過ごしたのさえ手で数えるくらいだ。
だけどこんな私の傍にこの歳になるまでずっと寄り添っていてくれた。
それなのに。
あの日の君との約束を私は忘れて君は独り天国へと旅立った。
「本当に私はダメな夫でしかなかったな。」
私はそっともう目を醒ますことのない妻の手をそっと握った。
「年を取っても僕と手を繋いでいて欲しい」
私が君に送った、最初で最後のプロポーズ。
君ははにかみながら目に涙を浮かべていたね。
「近いうち私も君のところへ逝くだろう。その時、もう一度君に言うよ。その時は」
僕とまた手を繋いでくれますか?
君と手を繋いだ事を思い出した。君の干からびたフランスパンのような感触の手は、当時の私にとっては何よりも心強かった。決して、裕福とは言えない暮らしだったけど、その欠落はむしろ僕たちを十分に満たしてくれていた。それは、あえて白黒の下書きで描き切るのを辞めた現代アートのようだった。
こんばんは、ほあです。
うらんとむつきは邪魔者の削除で忙しそうでしたので、私が2日連続書かせていただいてます。
僕の調子としてはまぁ、壊れかけですね。もうそろそろ壊れるかもしれませんが。
そうなると人格の制御が一気に大変になってくるんですよね…気を張っていなければ、いつの間にか僕に会ってますから。
その前例として、うちとかがそうでしょう?
まぁあの人達のことはいいんです、どうせもう死んでいる存在ですから。
僕は全世界の人間が嫌い、という訳ではなく、あくまで周りの人間が嫌いということらしいですよ。
私も昨日聞いたのですが、「別に全世界の人が嫌いなんじゃないよ、会ったこともない人をどう嫌えと言うのさ。周りが嫌いなだけ、裏切って利用してくるような連中なんて好きになれるわけないでしょ」とのことらしく。
私はてっきり、人間という生き物自体を嫌っているものかと思っていましたから。
大切な部分が抜けていたら誤解するでしょうに…。
あの人のああいうところはきっと、これから先大きな変化がない限り変えることは不可能でしょう。
人間不信が強い方ですから。好印象を持ったって、それで信用できるかと言われたらできませんから。
現に私たちは未だ信用されていません。警戒心が強すぎるんです。
私たちは離れることがないと約束しているのに。あの幻覚の方がありえないぐらい信用されています、腹が立ちますね。
手を繋いで
手を繋いだら君はにっこりと笑いかけてくれた。
だからよく君とお出かけする時は手を繋いだ。君の体温を感じられて心地よかった。でも···君はいつの間にか他の奴と手を繋ぐようになったよね。
酷いなぁ
僕はこんなにも愛してるのにさ
そう話す友人に寒気がする。友人は数年前おかしくなったのだ。友人の奥さんが事故でなくなってから
ありがとうじゃ伝えきれないくらい
貴方に感謝の気持ちを
こんな私を受け止めて励ましたり
愛してくれてありがとう
今までのどんな出会いも涙も苦しみも
貴方と出会う為にあったんじゃないかって
思うくらいに、何かが報われた気がしたんだ
だから誰が何と言おうが気にしない
甘い誘惑にフラついちゃうかも知れないけどネ、笑
だけど私はもう貴方だけが特別だって
貴方が私の最後の人だってもう決めてるから
貴方以上の人なんて居るはずないもの
他の誰よりもコレからも
ずっと仲良く過ごして生きたい離れたくない
こうやって貴方と2人共に手を繋いで
ずっと寄り添いあって歩いて行けたらいいネ
【手を繋いで】
みんなで手を繋ぎましょう
性別、人種、生まれた場所、育った環境
関係無く
みんな仲間な筈なんです
殺し合う筈では無いんです
生命を奪い合っていい筈では無いんです
しかし、ただの一般人にできることなどたかが知れています
だから伝えるんです
正しい情報を
いつになったら、みんなで手を繋げるんでしょう
お題:手を繋いで
手と手を繋ぐ。
仲良し二人組が手を繋いで歩くのか。
握手をするために手を繋ぐのか。
手を繋ぐとき、他のものを繋げる。
手を繋ぐとはそれだけの力がある。
一見、小さな行動の1つだけど。
行動の大小は関係ない。
行動に、意味を見出すからこそ意味ができる。
小さな行動1つ1つに素晴らしさを感じたら。
どれだけ素敵ことだろう。
No.20 3月20日 木曜日
貴方が繋いでくれた手は大きくとて
私には優しすぎる手でした
貴方が離してくれた手は記憶を遺して
私を今も離さないの?
世界でいちばん優しい鎖
もう離さないでね
もう一人にならないように
もう離さないね
もう一人にさせないように
手を繋いで
手を繋いでまた君と歩きたい。
夏の向日葵、海、セミの声が君を呼んでいる。
もう手の届かないあの日を…
いつになったら切り離せるのだろう?
私には憧れの人が居る。常時クラスの隅に居る私とは程遠い、皆中心にいて誰にでも優しくて人気者の――
まるで少女漫画の王子様の様な人。
私の様な者が恋をするのも失礼な位釣り合っていない人だ。
♢
「あんた、ロクに運動出来ないんだから体操着捨てといてあげたよ〜!」
「やだも〜可哀想じゃん〜!」
「親切でやってるんだよ〜?感謝してね?」
あぁ、またこれか。鬱陶しいから、と誰かが私を虐める。
呼び出されたから何事かと思い教室で待っていたらこれだ。
馬鹿馬鹿しい。踵を返して家に帰ろうとした時頭が揺れた。
「ちょ、手出したらまずいっしょ…」
「ごっめ〜ん!手が滑っちゃった!」
「っいた、」
殴られたのか。手を出すなんて…
本当に馬鹿馬鹿しい。早く帰りたいのに身体が思うように動かない。
―――「お前ら、何してんだよ!」
「え?━━━?こんな時間に、どうして?」
いつもの優しい彼からは想像もつかない程、地を這うような低く冷たい声色だった。
「忘れ物思い出して、。━━━さん。大丈夫?」
「ぅん、。」
「私たち遊んでただけなの〜!そうでしょう?」
反論しようとした、その時ふわりと体が浮いた。
理解する間もなく彼は私を保健室まで連れていってくれた。
「大丈夫?少し休んだ方が良いよ」
「ごめんね。━━━━くん。もう帰っていいよ」
「ずっとあんなことされてたの…?」
そういい彼は手を握ってくれた。
あぁいつもの彼だ。こんなに誰かに優しさを向けられたことはあっただろうか。
何か温かいものが頬を伝った。
「うわっごめん!急に手なんか握って気持ち悪いよな、
でも、なんかこうしたくなって…」
手を離そうとした彼の手を掴んだ。
「全然嫌じゃないよ。ありがとう」
彼をを握る手を強くすると握っていた手が応えて強くなった。
「ふふっ痛いよ」
「━━━━さんからだよ。
…そういえば笑ったとこ、初めて見た、可愛い」
優しくてみんなの輪の中心に居る彼と少し距離が縮まった。
2025/03/20 手を繋いで
僕は、そっと少しの間でいいから、
あなたの手を握っていたい。
繋いだ手の感触が好きだから。
不安なときは、いつも、
さりげなく繋ぐ。
そうすると安心する。
あなたの手が僕と同化して、
なんだかずっとそばにいたくなるから。