『手を繋いで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「おうい、姫子!」
朝。登校中、交差点のところでびっくりするぐらいの大声で呼ばれた。
「天野くん」
見ると、横断歩道の向こうで、彼がぶんぶん手を振っている。
私はおたついた。あ、朝から、あんなおっきな声で。みんな見てるし・・・・・・・んもおおお~
「おはよ、会えたな、ぐうぜん」
駆け足でこっちに渡ってくる。私は、「声、大きいよ。恥ずかしいじゃない」と抗議。
でも、天野くんはにこにこして「なんで?呼んだだけだよ」と私の手を取った。さりげなく。
「え……」
出会った時から天野くんはとても強引な人。でも、私に触れたことはなかった。なのに今朝は、普通に手を握って私の前を往く。
横断歩道を渡り終えたあたりで、私は我に返った。
「天野くん、--手、手!」
振りほどこうとして、できない。天野くんは私に指摘されやっと気づいたみたいに「あ、ああ」と握っている手を見やる。
つないだ手。
「俺たち、天の川の向こうとこっちとに離れてたじゃん? 前世で。だから、弱いんだ、道とか横断歩道とか歩道橋とかに遮られるの。お前が向こう側にいると、いるのを見ると、居ても立ってもいられなくなる」
びっくりすぐほど心許ない目をして、彼は言った。私は彼が私の方に向かって、歩道を駆けてくる様子を思い出す。
「……天野くん」
「ん?」
「私、憶えてないから。っていうか、まだ信じてないし、私たちが前世で織姫彦星だったって。ただ、名前が似ているだけでしょ」
そう言うと、にかっと笑った。
「相変わらずつれないなー。まあ、いいや、行こうぜ。遅刻しちまう」
全然意に介した風もなく天野くんは歩き出す。私の手を握ったまま。
「~~んもう、強引だよ」
困った振りをして私も歩き出す。つないだ手は離さず、私もそっと握り返した。
#手を繋いで
手を繋いで
だれか私の手を握ってくれますか?
だれも握ってくれないと勝手に悟った。
『手を繋いで』
何でもしまい込むあなたのポケットには
悪い癖と一緒に寂しさも入っていて
生温い街路灯と朝を待つ花の匂いが
冷えきった私には丁度良かった
あなたの袖を摘んだのは
歩行者信号が点滅してたからで、
あなたの目が見れないのは
使い捨てのコンタクトが乾いたからで、
あなたの影が近いのは
手袋を忘れてしまったから
手を繋いでみた
初めて触れてみた
手のひらに伝わる柔らかく温かい
たおやかなあのこは
元気ですか
お元気ですか
私は元気です
そっと私の手を包み込む。
少し骨張った大きくて優しい手。
いつだって私を安心させてくれる。
生きている限り別れは避けられない。
だからどうかその時までこの手を離さないで。
ー手を繋いでー
【Undertaleの 重大なネタバレ 注意。】
【 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ 】
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我々は空と太陽を失い、長らくは、それらの輝きに恋焦がれ、忘れ、それでも憧ればかりは止められず、いたものだ。
だがそれも、歴史の後ろにあった。
きょう、過去となったのである。
「お日様、どんどん下がっていくぞ!?しかもなんだか、天井の色が変わってる〜ッ!」
パピルスは山を走り下りながら、空を見上げて話した。
隣で走るアンダインも、なんだとッ!と空を仰ぎ、ギョッとする。
……魚だけにって?
「こ、これは……チョーゼツセンチメンタルだッ!」
「センチメートル??」
「ちがうッ!センチメンタルってのはな……えー……センチメンタルって、なんだ……?
おいパピルス!センチメンタルってなんだ!」
「しらないよッ」
アンダインは走りながら、パピルスのこめかみをグリグリしだした。「ううっ、やめてよ〜ッ」とパピルスはアンダインから離れようとするが、まだアンダインのほうが力は強いらしく、逃げられない。
ふたりは転びそうになりながらも、楽しそうに走っている。
オレはいま、めちゃくちゃニコニコしてるんだろうな。
「って、アンダインッ!ほらほら、ますます、暗くなってる!」
「……ホントだな……まるで、あそこへ逆戻りしたみたいに……」
さっきまで、木々がオレンジの光に影を落としてたのに、その影はもうそこら中を包んでる。
太陽が沈みかけているのだ。
ふたりは木々の隙間から、太陽を覗きみようとひしめきあいながら、だんだんと、減速していき、スローリーに立ちすくむ。
オレも一緒に立ち止まった。追いついて、ふたりの間に入るのは、少し気が引けるからだ。
ふたりとも、だれも一切話さず、どんどん光のなくなっていく山中のけもの道で突っ立つ。
そういえば、山なのに、全然動物の姿が見当たらない。
だから、必要以上に静かだった。
「ッわ?!」
パンッ、と音が鳴り、オレが驚いて見てみると、どうやら、アンダインがパピルスの背を叩いた音らしかった。
パピルスはそれによろめいてる。
しかし、アンダインはニカッと笑っていて「パピルスッ!やっぱり、みんなと一緒に行こう。きょうおこることは、みんな、はじめてで、トクベツなことなんだからなッ!」
暗く落ち込んだ景色には似つかわしくない、至極真っ当で、前向きな声だった。
それにはパピルスも「じゃあ、先に誰かと合流できた方が勝ちッ!」
それにはパピルスも、感動して、頷くだけかと思ったが、勝負を申し込み、踵を返して元気よく、走り出した。
つまりは、ふたりの背を追っていた、オレの方へ向かってきたのだ……
アンダインも典型的に「ずるいぞ!まてッ!」と叫んで、こっちへ来る。
そのとき、ドッと、後ろからだ。
「う、わ、……ッて、なんだ、アンタか……ビックリさせないでくれ」
「あ、……ヵッ、ハァッ、ちょ、ちょっと、ハアッ、ハアッ、やすませて……」
そのドッの正体は、アルフィーだったらしい。
ゼヒーゼヒーとか言って、オレの肩に手をのせてきてた。オレの背中に体重をかけてくる……あー、重い。
そういや、パピルスはどうなった?
向き直ってみる。
「うオっ……!」
眼前には、パピルスの怪訝な顔があった!
今度こそ、さすがにビビって、肩が大きく揺れてしまった。
ホラー映画の、ビックリシーンでも見たみたいに……
その拍子に、アルフィーが崩れ落ちた。もはや、肩にはりつく体力すら残ってないらしい。
「あー、ホント、みんなオイラをビビらせるのがすきだな……」
「ナニいってんの!それは兄ちゃんでしょッ、なんでこんなとこにつったってるの……その後ろにある土ぞうきんは……」
「アッ、アルフィー!?」
追いついてきたアンダインが、さすがに一瞬で気づいて……悪いな、アルフィーは地面に顔面から突っ伏してた。
それをアンダインは軽々抱き上げる。
「アッ、ハァーッ、アンダ……イッゼーッ……」
「あー、博士は、アンタとパピルスを追ってきたらしいぜ。
走り慣れてなかったから、スッゲー疲れてるの……暗い部屋でアニメをイッキ見して、カップラーメン汁まで飲む生活習慣、見直さなきゃ……って言ってる」
「アルフィー、そうだったのか……!」
アルフィーがアンダインの腕のなかから、こっちをキッと睨みつけてくる。
「いや、博士はそんなコト言ってないと思う……」
今度はパピルスに感謝の目線を送った。
思わず声をだして笑ってしまった。
すると、ゴミのやまを見るみたいな目で、見下された。
「でも、ここでふたりに会えてよかったぞッ!」
「たしかにそうだッ!アルフィーはこれ以上走ったらしんじゃうだろうし、そうなったら私もしんでた!」
「じつはね、山を下るのは他のみんなも一緒がいいって」
「私だッ!この私が言ったのだ!それで、みんなと合流するてはずだった」
「そしたらふたりが、オレ様たちのすぐうしろにいたッ!」
オレは、ふーんと頷いて、みんなで行くなら楽しそうだな、と言ってみる。
アルフィーもまだ落ち着かない呼吸を抱えながら、激しく頷いた。
アルフィーだって、アンダインとものすごく一緒にいたかったハズだもんな。
「よし、ふたりにも会えたし……いざ競走再開だッ!アルフィー、すこし、いや、ものすごく揺れるぞーッ!」
「えっえええっ!」
アルフィーの不安定な悲鳴を残して、すごい速さで夜の闇へと溶けていった……
パピルスはそれにまごつき、ずるいぞーっなんて、さっきのアンダインと全く同じことを言い、地団駄をふんだ。
そのまんま、アンダインを追って行くかと思ったが……
「ほらサンズ、はやく行こうッ!負けちゃう!」
オレの目の前には、パピルスの大きな手があった。
オレも一緒に、連れてってくれるつもりらしい。
……けど、走るのはごめんだな。
「いやあ、パピルス。オイラ足でまといになっちゃうぜ」
「……なにいってんのッ!もうッ」
グイッと腕をひっつかまれて、そのまんまドタドタ山を駆け上がるマラソンに巻き込まれた。
遠くから、アンダインの「遅いぞパピルス〜ッ!」という声が聞こえる……
「アンダインだって、博士抱えて走ってるんだから、オレさまもそうしなきゃフェアじゃないでしょッ」
パピルスは、いつのまに、オレよりずーっとでかくなった背中でそう、語った。
表情は見えないハズなのに、活発な笑顔が、ハッキリ見えた気がする。
そうすると、オレはすっかり、走る気にまでなってしまって、自分でチョロいな、と思う。だけど、不健康よりはいくらかマシだ。
「……あー、へへ……たしかにな……!」
走るのはいつぶりだろう。
ほんとに一瞬で息が上がっちゃって、情けない。
慣れない足取りで、土をかけあげてるうちに、スリッパがもつれ、転げそうになる。
「ウワッ、ちょっと兄ちゃん大丈夫!?」
バランスを崩したオレに、パピルスの肩もガクンと落ちて、勇ましく突き進んでゆく背中がアンバランスに歪んだ。
けど、オレは立て直したので、パピルスは振り向くことなく、しかし、より一層、オレの手を強く掴んだ。
「……ハハ、うん。新しく買えばいいさ」
「アッ、えっ!?もしかして、スリッパぬぎすてたのか!?」
振り返ってみたが、ピンク色のスリッパは、もう夕闇に紛れて、見えなかった。
土に汚れた靴下は、たしかにみるに耐えなかったが、直に踏みしめる感覚は、オレを興奮させて、顔は上気する。
ともなく、パピルスはククク……っと走りずさみながら、笑って、やがて大きく笑い始めて、オレもひさびさに、強く笑った。
さらに息が苦しくなるが、もはや、木々の香りや美味しい空気に充てられ、どうでもいい。
「ニャーッハッハッハッハ!たまにはッ!走るのも、いーでしょッ!?」
「ハハ……っ!ま、たまには、そーだな……!」
遠くに、手をふるアンダインと、その隣で丸いアルフィーの姿が見えてきた。
まだ霞んでるけど、オレが汗の塊になるより前には、きっとたどりつく。
「パピルスッ!遅かったなッ!これで私と1対1だッ!」
「エッ、さっきオレさまがサンズを見つけたのカウントされてたの!?」
「あたりまえだろッ!」
アンダインが走ってきたパピルスの頭を、握りこぶしで出迎えて、またグリグリした。
パピルスは、そっと繋いだ手を離してしまって、オレはガックリその場に伏せた。
いやあ、さすがにキツイ!
ドッときた息切れと、汗に参る。マジでいくらふいても汗が止まらない。
「えあっ、さ、サンズも走って……きたの?……って、靴下が泥だらけじゃない!スリッパは……!?」
アルフィーがオレの周囲をクルクル歩き回って、様子を確認している。
返事をしようと思ったが、ゼーゼー息がでるだけで、そんな余裕ない。動悸もしてきた……
まるっきり、さっきのアルフィーと同じ状況だ。
「なにっ!?あのサンズが走っただと!一体なにがあったんだ……ッ!?
きょうは槍でもふるのか!」
「……フフ、大切な弟が暗ーい山の中走ってっちゃったもんだから。怖くなって追いかけたらしいわ!
オイラみかけによらずビビりだから……ホラー映画だってひとりで見られないんだぜ、って言ってる!」
アルフィーがしてやったりと言わんばかりの顔でこっちを見てくる。
なんか、反論してやりたかったが、相変わらず口からでるのはヤバい息だけ……
わざとらしく目をそらしたら、アルフィーが笑いだした。
「あらあら、ウフフフ。そうなの?サンズィ」
死ぬほどタイミング悪いところに、トリィがいた。
目をそらした先に、しゃがみこんでオレを覗き込んでたもんだから、ビックリしたが、もはや驚いて吹っ飛ぶ体力もなく、息が一瞬止まっただけに留まった……
いや、運が良かった。
「アッ、と、と。トリエル……!」
アルフィーもビックリしたみたいで、盛大にどもってる。
なんか、トリィに返事もできないし、息も全然整わないしで、パピルスとアンダインの方へ目をやった。楽しげに会話している……
……マジで、息ってフツーこんなに整わないモンなの?
「そ、そ、そ、そそそうなの!!サンズはね、ものすごーく、ビビりで、ついでに心配性!
特にジャンプスケア……ビックリ系にはスゴイ弱いんだよ〜!フラッシュとかね!
有名だけど『ウォーリーを探さないで』って、動画をみせたときは、ホント傑作だったんだから〜!マジであれ2mは飛び上がってたもん!」
スッゲー不名誉な話しをされてたので、オレはヨロヨロ立ち上がって、アルフィーの肩に手を置いた。
無論、言葉は出なかったが……無論だけにな。
まあ、言葉は出なかったので、軽く払いの蹴られ、ついでにデコピンされて、オレはあえなく、また地面に膝をついた。
「あら、そうなの!意外だわ……!
そうだ。こんど、みんなで一緒にホラー映画でも見ない?」
「エッ、いいね……!あっでも、ふ、フリスクは……平気?」
フリスクのことが気にかけられるなら、オレのことも気にかけてくれよ……
って、フリスクもいるのか。
トリィの方を見てみたら、たしかにすぐ隣。手を繋いで、オレのほうを哀れそうに眺めてた。
アルフィーの質問にはまだ答えてない。
「ふ、ふ、ふり、フリスク……?」
「ハハ、はァ……ッ、フリスクは、オイランことを……はあ……しんぱいしてくれてるんだよ……やさしいヤツだ」
さっきよりマシになってきたオレは、また立ち上がって、フリスクのほうに近寄ろうとしたが、アイツ、オレが頭を撫でてやろうとした瞬間すり抜けやがって、アルフィーに今やってるホラー映画を調べてくれとかなんとか、言ってやがる。
「ふふ、じゃあ決定ね。その、ビックリ系ホラー、見ましょう!
もちろんサンズィ、あなたもね」
フリスクはこっちをみて、メタトンの番組でそうしたみたいに、不敵に笑った。
アルフィーは興奮した様子で、賛成っ賛成っ!と言っている。
オレはまたもや、地面に倒れふした。
ぐったり下に向けた顔の先に、土がうごうごして、顔を出したのは、ミミズ……
ああ、友よ、アンタだけは味方だよな。
……汗がミミズの上に滴り落ちて、ヒット!
ぐにゃっと体全体を曲げて、すぐさま地面に潜っていってしまった。
千手観音が握手会を開いたら、
一度に1,000人も相手出来るのか…………
祭りという非日常な時間と空間がある理由が、なんとなく分かった。
着馴れぬ浴衣や、見慣れぬ屋台。普段は静かな神域が飾り布で彩られ、笛や太鼓、鈴の賑やかな音が鳴る。
すれ違う人は皆、どこか浮かれた表情をしている。
そして誰も――他人の事なんか見ていない。
「·····」
だから自然に、どちらからともなく指先が触れ、それを合図に互いに指を絡ませた。
雑踏の中を少し足早に歩く。
繋いだ手から互いの温度が伝わって、一つになったような気がする。
誰も――自分達の事なんか見ていない。
この非日常の時間と空間は、この為にあるのかもしれないと、ふと思う。
薄暗がりの中、互いの存在だけが明確で。
長い参道をこのまま手を繋いで歩き続けていれば、やがて繋がったまま一つの生き物になれるのではないかと、そんなありもしない妄想にかられた。
END
「手を繋いで」
僕に出来る事を探してる…
君が好き
時おり…
どうしようもないほどに…
好き
どうしようもないくらい…
好き…
いつも君を思ってる
いつもうまく言えなくて…
ごめん…
思うと胸が痛くて…
君が好き
美佐子が好き
手を繋いでみせてよ真実なら
銀貨30枚は信頼の錘
キスを求めたのは貴方でしょう
こんなはずじゃなかった
生まれたのが間違いだった
イエローに染まった私を赦さないで
危険信号が塞いで前も見えない
怯えていること知っていたのに
手を離したのは誰かなんてわかってる
罪で溢れた安寧に沈む
裏切り者は貴方だ
私だけのものではない事を知っている。
ユダの裏切りをキリストは知っていて許したなら、それは裏切りではなかったのでは?と思って書きました。
蘇ると言った3日後、復活しないことに絶望したユダは得た銀貨を神殿に投げ入れ畑を買って身を投げた。その後きっちり3日を過ぎる頃にキリストは蘇った。少しでも疑った事が罪でしょうか。しかしキリストの復活を知らないユダにとっての裏切り者は、間違いなくキリストだったでしょう。きっと責任感があって少し臆病だっただけ。ユダは自分で罪を償い、救いを求めないのならそもそも宗教に向いていなかったのではとか思ってます。まだまだ調べ足りない。
救われるなら誰かにではなくて自分自身でありたいです。
手を繋いで
手を繋いでいると、心がポカポカする。自分は一人じゃないって思えてくる。
手を繋いで
仕事柄手を繋ぐ事が多かった。最初は抵抗があったが、必要に迫られてどんな手でも繋いでいるうち慣れてきた。人間とは慣れる生き物なのだ。次第にその手があまりにも柔らかく意志がないように感じられ、全てを委ねたその手が、私を優しく包むようで癒されるようになってきたのだった。肌と肌の触れ合いとは言葉などいらないかの様に真っ直ぐに心に届くようだ。
悲しいかな、それでも私は感情がなかった。癒されながらも、氷のような冷たい心には無意味だった。
母親、家族と手を繋ぐ事は殆ど無かった。子供達が小さい頃はあったのだが。嫌悪感が先に出るのだ。自分でも同仕様もなく肌が触れるのを無意識に拒否してしまう。
自然に手を繋ぐ事が出来たなら…、もっと自分を好きになれたなら、違う付き合い方が出来ただろう。
しかし、危険が迫っていたり、生きるか死ぬかの瀬戸際なら自然と手を繋ぐかもしれない。実際、母が亡くなった時何の違和感も感じられなかつたのだから。
生きている時に自然と手を繋いであげられたらよかったのにね。
生まれ変わって又、母娘だったら今度はお互いに普通の母娘として、手を繋ごうね。
簡単だよ、きっとね。
また虐められた。今度は靴隠し。これで何回目だろうか。こんな生活なんて早く終わってほしい…。
事の発端は数ヶ月前。昔から仲の良い幼馴染みの友達と下校していた。いつものように何気ない話をしていた。段々と盛り上がっていき、ある話題になった。
「好きな人いる?」
「はぁ?いるわけないじゃん、笑」
「とか言って、本当はいるんだろ?、笑」
「誰にも言うなよ?実は前から〇〇のことが気になってる…」
恋バナは他の人の話を聞くのは楽しいが、いざ自分の番になると恥ずかしさが込み上げてくる。
「ふ~ん、そうなんだ…。まあ、頑張れよ!」
次の日の昼休み、暴露ゲームに参加させられた。こういう系のゲームは苦手なのでいつもは参加しない。しかし、幼馴染みに「もし来なかったら、昨日の話を暴露するから」と言われ、渋々参加する羽目になった。ゲームは幼馴染みの番になった。
「はいはい!!こいつの好きな人は〇〇でーす、笑」
周りが静かになった。ゲームに参加してない人たちも静かになり、一斉にこちらに視線が向いた。恥ずかしすぎる。その話は言わない約束だったはずなのに…。
「…嘘つき。お前とはもう友達じゃない。」
言葉を吐き捨て、その場から逃げた。
「…嘘つき。お前とはもう絶交だ。」
そんな言葉が心の奥深くに刺さる。やり過ぎた。いつも俺は一線を越えてしまう。昔から治らない悪い癖。俺は何回あいつを傷つければ気が済むのだろうか。早いうちに謝ってしまいたい。そして許してもらい、また仲良くなりたい。俺はあいつと会うチャンスを作るために、あいつの下駄箱の中をいじった。靴隠しから発展するいじめを偶然見かけた俺が助ける、そしてあいつと仲直りする、という作戦だ。しかし、中々上手くいかない。あいつとの距離は日に日に離れていってる気がする。もうあいつと俺が前のように仲良くすることはできないのだろう。あいつと初めて会ったとき、俺は一目惚れしていたのだと思う。俺はあいつが好きだ。今でも好きだ。前のように何気ない話ができたら…。告白してあいつと手を繋げたら…。こんな夢はもう叶うことはないだろう。
※フィクション
【お題:手を繋いで】
p.s. 前と似たような内容になっちゃったかも…
手を繋いで
やっとの思いで、あなたと、付き合い始めて、暫く経つのに…
まだ、手も繋げない…本当は、他の恋人達みたいに、腕を組んだり、戯れあったり、もう少しその先にも…心の中では、あなたと触れ合っていたい…って求めているのに…いざとなると、恥ずかしいのと、勇気が出せなくて…
ねぇ…早く、手を繋いで…
かつて、小さな子どもだった頃は、世界は自分を中心に回っていて。至極当然のように誰かに甘えて寄りかかっては、優しく手を引かれては守られていた。
そこには危険なんかほとんどなくて、たとえ転んだとしても手を差し伸べて慰めて手当をして、失敗も貴重な経験だと見守られていた。
安全で快適な箱庭のなか自由でのびのびと遊んでは日々を繰り返して、それを肯定されて生きてきた。
けれど、今は。──ひとり。
仕方がないことなのだ。守られるべきは小さな、か弱い存在であって 独り立ちの済んだ個体がいつまでも巣に蹲っているなど赦されるはずもない。
羽を手に入れ風を読んだその日から世界は広がってしまったのだから。それだけの知識も実力も確かに授けられているのだから。
でも、それでも。
どうしたって、触れる熱のない指先が凍えてしまう。大人だって孤独は寂しい。正解なんて分からない。進むべき道も知りはしない。情報の波に惑わされてしまう。
ただ歳を重ねただけでは、足りない。なにもかも満たされなくて恐ろしくて目の前すら見えない。本当に何もわからなくて身動きができない。そんな夜がある。
だからお願い。叶うのなら どうか。
どうか、手を繋いで───
テーマ; 【手を繋いで】
手を繋いで
手を繋いで未来を見て歩いていきたい。
…そんなことも思っちゃダメなの?
貴女と手を繋いで、一緒に同じ方向へ歩んでいく。
そんな生き方が出来ていたら、と思うこともあります。
今の俺はもう、貴女の隣に立てる存在ではありません。
貴女の後ろに控え、貴女のことを陰から支えることしか出来ません。
ああ、もっと早くあの時の貴女と出会えていたら。
俺は貴女と愛し合って、手を取り合って、幸福に生を終えたのでしょうか。
#手を繋いで
手を繋いで歩きたい
そんな相手が、いつか出来たらいいなあ
作品29 手を繋いで
あと一歩のとこまで来た。なんとなく顔を上げてみる。やけに夜景が綺麗だ。さっきまで雨が降ってせいか、いつもよりキラキラして見える。いい景色だ。
ここに来るまで、いろんなことがあった。学校を卒業してすぐ勤めた会社はブラックで、3年付き合った彼氏には浮気され、金を貸してあげた奴はどっかに消えて、そんなところに身内の不幸が重なって。全部思い出したらきりがない。まあ、それくらい大変だったということだ。
そんな苦労も、あと一歩できれいさっぱり無くなる。さあ、足を踏み出せ。
と、思ったら、後ろからドアを勢い良く開ける音が聞こえた。振り返ると、なぜかあの子がいた。
「なんでここに……」
そう言いかけて気づく。
屋上に来る前に送ったあのメッセージのせいか。死ぬ前に感謝でも伝えようと思ったのは失敗だったな。面倒くさいことになった。
「何してんの。危ないよ早く戻って来て!」
今にも吐きそうな顔で彼女が叫ぶ。その目元には、真っ黒なクマがある。そういや、ずっと眠れてないって、この前言ってたな。体調不良か。この会社じゃ、そう珍しくない。
「ほらはやく!」
また叫ぶ。なんて耳障りな声なのだろう。
深くため息をついて答えた。
「……いいんだよこれで」
少しの間、沈黙が流れた。どこからか救急車のサイレンが聞こえる。あの色、好きなんだよな。もしかしたら乗れるかも。
そんなことを考えていると、彼女がようやく喋りだした。
「なんで……?」
……は?“なんで”だって?それは何についてだよ。私が死のうとしてること?その理由?なんで会社の屋上なのか?どれについてだよ。
どうせこいつのことだ。なんで死ぬのーとかだろ。頭の中どれだけ幸せなんだよ。
いや違うか。私みたいな目にあったことなんてないんだな。または鈍いのか。どれにしろ苛つく。
まっすぐ視線を向ける。そして目で語る。死ねる間際まで私を苛つかせるんだなお前は。
ま、いいや。あとちょっとだけ動けば落ちれるんだし。じゃね。ばいばーい。
「しんじゃ、やだ……」
ささやき声と言えるくらい小さな声が、私を無理やり引き止めた。
その言葉。お前もその言葉を言うのか。
ゆっくり振り返って見ると、彼女はしまったという顔をしていた。
さっき感じていた怒りとは比べ物にならないほどの、よくわからない禍々しい気持ちが、腹の底から湧いてくる。
殺意だ。
それを持っていることを気づかれないように慎重に言う。
「取れない責任の言葉を吐くなよ。それがどれだけ苦しめるか知らないくせに。紛い物の救いの言葉をほざいてんじゃねーよ!これ以上お前の気色悪い願いを、あたしに言うな!」
無理だ耐えられない。でも、どうせ死ぬんだ。言ってやれ。彼女がどんなに苦しそうな顔しても、言ってやれ。
「ずっと苦しかった!どんだけ頑張ってもすぐお前と比べられて!そのたびに吐いた希死念慮を否定されて!お前の綺麗事は、あたしの首を絞めてってたんだよ!あたしは殺された!お前のその言葉に殺された!お前が、あたしを殺したんだ!」
言ってやったぞ。わたしを追い詰めたのはお前だと。お前が全部悪いんだと。
自分の感情をここまで出したのは、いつぶりだろう。呼吸が荒くなる。頭に血が上りすぎて、まともな判断ができなくなる。
「わたしがわるいの……?」
ああ、そうだよ。
「一人ぼっちにしてほしくなかっただけなの。」
先にしたのはそっちじゃん。
顔を見ると、彼女は涙を流していた。
よく耳を凝らさないと聞こえないほど小さな声で、彼女は言った。
「一人にしてほしくなかったの。」
ああ、そうか。私はずっと、この言葉が欲しかったのか。手に入れたけど、もう、遅い。
せめてその言葉をくれたあなたを、一人にはしない。
彼女が泣き止むのを待ってから、
「分かったよ。」
そう言って、手を伸ばした。
「ほら。手、握って?」
喜んだ顔して手を強く繋いでくれた。そして小さい力で、腕が引っ張られる。そう急かすなよ。
腕をぐんっと、引っ張ってあげた。その反動で抱きしめ、耳元で囁く。
「一緒に死ねば、問題ないだろ?一人にならないじゃん。」
手離すなよと言う。かすかに戸惑いの声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。
星空が足元に広がる。
一生一人じゃなくなることになって、きっと喜んでるだろうな。彼女の方を見て微笑んだ。でも笑い返してくれなかった。
あれ?もしかして、間違えた?
それに気づいても、もう取り返しはつかない。どうしよう。間違えた。え、なんで。何が違ったんだ。どこから間違えた。今知っても手遅れか。もうどうにもできない。ならせめて、笑おう。
無理やり口角を上げる。ねえ、私今笑えてる?
それを聞く前に、体が熱くなった。
⸺⸺⸺
作品26 逆さま より相手の目線。
うまく書けないです。
手を繋いで歩こう
いつまでも
どこに行っても
離れないように
いつでも同じ景色を見よう
手と手を繋いで、心を繋ぐ