『手を繋いで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
放課後に見かけた教え子は、
夕暮れの道をお母さんと手を繋いで歩いていた。
クラスでは大人びたことを言ったりもするけれど。
おちゃらけていることもあるけれど。
叱られて強がったりもするけれど。
同じ顔をしたお母さんをにこにこと見上げて
しゃべりながら歩くあなたを見ていると。
人はみんな。
誰かにとっての宝物なのだ、と。
改めて気づかされるのだ。
手を繋いで
お題《手を繋いで》
亡き友の想い継ぐ
星の涙が降り注ぐ夜
声の限り泣いて
明日からもう泣かないから――儚き誓いたてた 喪失の夜
夜を織り込んだマフラーに涙はとけてゆく
明日がくるのはこわい
でも僕らの友情は
コンペイトウのように夜を彩り続ける
――僕らの友情は色あせない
手を繋いで、あいつと一緒に海に行きたい。
何にも干渉されず
2人きりで
『 手を繋いで 』
――寒々とした冬空の下、両手で缶コーヒーを握って暖を取り、寒さで頬を赤らめる貴方の横顔に目を奪われた。長い睫毛、鋭く高い鼻、リップクリームで潤った唇、どこか色気のある貴方の表情に心臓が高鳴る。
「...なんだヨ、オレの顔にゴミでも付いてるショ?」
一瞬横目で見たつもりが、長い間眺めていたらしい。
困ったように眉を下げて話しかけてくる貴方とバッチリ目が合い、少しの間沈黙が生まれた。
「い、いやなんでもない!気にしないでくれ、巻ちゃん!」
沈黙を繕うように慌てて返事をする。いつもだったら話しかけられただけで動揺することなどない。
先々週――
『巻ちゃん、好きだ。付き合ってくれ。』
『......遅せェヨ。その言葉、ずっと待ってたショ。』
艶のあるよく手入れされた鮮やかな玉虫色の髪の向こう側には、白く透き通るような肌と対に赤く染まる頬が覗く。やけに輝かしく光る星空の下、冬の峠の頂上で長年募らせていた想いを告げた。
――それから恋人同士となったが互いに忙しく、今日久々に会うことができた。それが偶然イルミネーションの点灯開始日だったらしく、見に行こうと急遽予定が決まった。
“ イルミネーションデート ”という恋人らしいことに妙に緊張し、どう接していいのかわからなくなる。
「なんかお前...、今日おかしいショ。なんかあったか?」
「べっ、別に何もないぞ!!いつも通りだ!!」
自分の緊張を指摘され、心の内に小さな波が立つ。
「そうかヨ。...時間だな、行くか。」
どこのブランドか検討もつかない奇抜な柄の腕時計をちらっと見てはこちらに目線をやり口を開く。二人で短い冬道を歩きながら天を仰ぎ、
(本当に俺たちは付き合っているんだな)
なんて考えていると次第に顔が熱くなる。赤くなる顔を悟られないよう、寒さのせいだと自分に言い聞かせ続けた。悴む手をさすりながら白い息を吐く、特にこれといった会話もできないまま目的地に到着してしまった。点灯前の装飾ライト近くのベンチにゆっくりと腰をかける。
「...20秒。」
無言のままだった貴方が突然口を開く。何のことか理解できなかった俺は、きょとんとした顔のまま隣に座る貴方の顔を覗いた。俺に視線を送られようともこちらに見向きもせず、目の前の装飾ライトだけをじっと見詰めていた。
「15.........10...、お前もちゃんと見とけショ。」
男性らしい鋭利な横顔といつもよりワントーン落ち着いた声で話す貴方にどきりと動悸が弾む。言われたとおり、じっと前だけを見詰めては謎の緊張感に息を飲む。
「5、4、3、2、1......0」
貴方のカウントダウンと共に、ネオンライト
『手を繋いで』
僕ら一緒に生まれてきたの
始まりと終わりの双生児
君が天に還るその日まで
ともに傍らを歩んでゆく
『手を繋いで』
僕は兄の手が大好きだ。
僕の頭を優しく撫でてくれる手。
何かを書いている時に動いている綺麗な手。
スマホを触っている時のフリックの早い手。
少しした動作の手、全て好きだ。
そして、僕はとある日散歩をしていた。
その日はそこまで暑くはなく、寒くもなく、とてもちょうどいい気温だった。
僕の家の近くには小さな商店街がある。
そして、その奥を少し行くと小さな森がある。
僕は小さい時に兄と作った秘密基地でお昼寝するのが好きだった。
けれども、兄はその場所を嫌った。
僕は久しぶりにそこは行こうと家を出た。
兄はもうすぐ大学受験に控えている。
なので、今は一生懸命自分の部屋で勉強をしている。
いつもなら兄と一緒に出かけるが、今日は1人で出かけた。
僕が商店街に着くと、色んな人が話しかけてくれた。
「今日は1人なんだね。」
「お兄さんは?
ああ、もう、そんな歳なんだ。」
僕はその人たちと話をするのも大好きだ。
その人たちは僕のことをちゃんと見てくれる。
そして、兄のことを褒められると僕まで嬉しくなる。
僕はその人たちと話し終え、その数分後には目的地である秘密基地に着いた。
僕はボロボロになったダンボールの上に座り、眠った。
どのくらいの時間眠っていたのだろう。
僕は目を覚ますと辺りは少し暗くなっていた。
上着を着てこなかったので少し肌寒い。
どんどん暗くなっていく森に、僕は少し怖くなった。
何回も来たことある森だし、迷うことはなかった。
けれども、フクロウの鳴き声や森の囁き、全ての音を敏感にとらえ僕を恐怖させた。
森をぬけたあと、商店街が見えてきた。
僕はようやくホッとしたが、何やら商店街が騒がしかった。
僕は胸騒ぎがした。
遅い足で頑張って走ると、そこには赤色の光がグルグル回り、白い大きな車が止まっていた。
そして、少し先を見ると黒と白の車も止まっていた。
普段はあまりみない人たちを見かけ、僕は止まった。
「………君は、彼の弟かい?」
その担架に載せられていて、心肺蘇生をされていたのは紛れもなく僕の兄だった。
そして、その近くには少し凹んだ車があった。
兄は、交通事故にあった。
どうやら、僕を探しに来ていたみたいだ。
そして探すのに夢中になり、目の前から車が来ていたのに気が付かなかったみたいだ。
周りの大人は僕のせいじゃないと言うが、どう考えても僕のせいだ。
結局兄は打ちどころが悪かったようでその三日後に命を落とした。
お母さんは泣いた。
お父さんは兄の手をぎゅっと握っていた。
僕は、ただ、呆然とすることしかできなかった。
僕には腕がなかった。
先天的ではなく、後天的にだ。
小さい頃、秘密基地で遊んでいた帰り道、その商店街ではお祭りをしていた。
そして、僕の大好きなバナナチョコをみつけ、一目散に走った。
けれども、僕は横から来たながらスマホをしていた自転車にぶつかり、腕を切断することになった。
その日から兄は秘密基地が嫌いになった。
僕は1、2週間、何もかもする気力がなくなった。
そして、悪夢を見るようになった。
兄が僕を冷たく睨み、僕から離れていく夢だ。
僕はその夢を見た日から、寝るのも怖くなった。
僕は一日中部屋に篭もり、何も食べず、どこにも行かず、寝ることへの恐怖を感じ、毎日を過ごしていた。
4日くらいだろうか。
僕の生活が変わり4日くらい経つと、幻覚や幻聴が聞こえるようになった。
兄が僕を呼んでいたり、兄が僕のそばにいるものだ。
そして、 そのいるはずのない兄が手を広げ、僕の名前を優しく呼んだ。
僕はフラフラの足でそこへ向かった。
そして、そこへ行き着くと、兄の姿がなくなり、落下していく自分が居た。
僕の部屋は2階だ。
僕は2階から落下した。
けれども、不思議と何も感じなかった。
僕は重力に身を任せ、落ちて行った。
そして、次に目を覚ますと目の前には兄がいた。
そして、無くなったはずの腕が、手があった。
僕はその手で思いっきり兄の元へ走り、飛び込んだ。
今度こそは、居なくならなかった。
兄は少し泣きそうな目をしていたが、僕の大好きな兄の手は僕を優しく撫でた。
「行こう。」
兄が震えた声で、無理やり笑っている顔をつくり、
僕に手を差し出した。
僕はその手を掴み、約5年ぶりに手を繋いで歩いた。
その先に広がっているのは天国でも地獄でもなく、
ただのっぺりとした空間だった。
「お兄ちゃん、大好きだよ。」
兄はただ、微笑んだだけだった。
電気猫を飼っても案外電気代はかからない。
電気猫達は両耳の房毛がうんと長い触手になっていて、そこでご飯の代わりに電気を吸う。放っておけば勝手に充電ケーブルと触手を繋いで食事をしている。
うちの子はUSB Type-Cがお気に入りで、スマホの充電中に知らん顔で端子を抜き取るイタズラをよくやられた。仕方なく追加でケーブルを買ってきても、新しいのには見向きもしないあたり、ほんと猫そのものなんどけど。
昔々、ある日突然宇宙からやって来た生命体が地球の猫とそっくりのビジュアルだったから、宇宙船で彼らと初めて対面した人間達はとても困惑したんだって。
宇宙生命体が猫に擬態しているだけで本体は別な姿だ、いやそもそも猫が地球征服の先兵として送り込まれていたのだ、とかなんとか人類は喧々轟々議論したらしいけど、かわいいものの魅力には誰も敵いやしない。
地球に移住した電気猫はあっという間に人間との同居にも馴染み、これまたあっという間に猫と同じぐらい可愛がられる存在になった。
カワイイだけで衣食住の全てをまかなわせるとんでもない征服王にとっくに屈している地球人たちだけど、どうしてこんなに平和で幸せなんだろうね。
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「手を繋いで」
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所感:
どんな手があるか、歌い手、旗手、担い手、両手、色々リストアップした中で、一番非日常的な単語を選んだらこうなりました。
手を繋ごうよ
そうすればもう離れないでしょ?
置いていかないでしょ?
だから 今世はダメだったかもしれないけど
間に合わなかったけど
来世は絶対に
手をずっと繋ごうね
さようなら
空に幻日のプリズム
いつか扉は開くと
手をつないで
心をつないで
分け合うときめきと
ぬくもり重ねて
不確かなしあわせを
抱きしめることできるなら
きみのこと守れるなら
怖くはないよ
この身を砕いても
ふたつのプリズムが
消えるまで
もう少しこのまま
手を離さずに
#手を繋いで
根をはった僕ら ここにいる
流れる時間を眺めながら
地中深く絡まり合う
彷徨うことの出来ない僕ら
手を繋いで いつまでも
/ 手を繋いで
手を繋いで
繋いだ手の温もりが、まだ恋だということに
私はまだ気付かない
やんわりと手を包むと、なんでもないような顔をして貴方はシュッと手を引き抜く。それを何度か繰り返すと、少し迷惑そうに鼻を鳴らして、風のようにどこかへ去っていく。
いつものことだ。虚しさは感じるけれど、貴方を引き止められる存在は少ない。
それに、時々寝ぼけて身体いっぱいで手を抱きしめてくれるときもあるから、私はそれで十分だ。
絨毯のような質感を堪能しながら、お腹を撫でると、噛まれ、蹴られ、引っ掻かれ。
「痛いよ。リストキャットができるじゃないか。」
手を繋いで
あなたと手を繋いで愛そう
君と手を繋いで生きよう
私と手を繋いで温もりを伝えよう
ねぇ、知ってる?
誰かと手を繋いで寝るとね、
その人の夢を見るらしいよ。
君は見てくれてるかな?
ただ地元の商店街に
買い物に来ていた
混む時間でもないのに
沢山の人で賑わいを見せている
活気があるのは良い事だ
ん、と差し出された
君の右手
わたしが迷子になったら困るでしょ?
手を繋いで
風が冷たくて手をポケットに入れていたら彼が照れ臭そうに手を差し出す。
「……寒いんだろ」
顔背けたままで耳まで赤くしていた。
彼の手を握って帰る。
「……お、お前の家までだからな。勘違いすんなよ」
手を繋いで嬉しそうにしてる癖に
冬空の下で 君と二人きり 手袋やマフラーを身に付け
君はとても暖かそう 対する僕も君とお揃いの物を着て
君の隣を歩く しかし 真冬の中を歩くので
この格好でも寒さは消えない だから僕は手を差し出す
寒いから手つながない? 恥じらいを隠し 勇気を出して
声に出す もー仕方ないなぁ 愛しい君は 手を差し出し
僕の手をぎゅっと握ってくれた 寒さも霞む君の体温
寒い日も悪いことばかりじゃないや
手を繋いで歩いた通学路。
手を繋いで走った宝探し。
私達はいつだって横並び。
君が右手で私が左手。
繋いだ手を片時も離さず夢を追っていた。
けれど、どうしてだろう。
いつの日からか私の左手はからっぽで、隣を見ても君の姿はいなかった。
そうだ、君は、空高く羽ばたいていったんだ。
その両翼を大きく広げて。
どれだけ手を伸ばしても、空振るばかり。
私の隣に君はいない。
君の隣に私はいない。
掌にあるいつかの温もりを虚しく思い出している。
小さい頃に手を繋ぐことって
当たり前にしてたのに
大人になった今
手を繋ぐことってなくなっているなぁ
なんて私の前を歩く家族を見ながら考えた。
冷たい風が私に向かって強く吹く。
寒くてどこかに寄って暖まろうと
足早にお店に向かった。
初めて入るお店。
落ち着いた雰囲気のカフェに心誘われてドアを開けた。
カランカラン
可愛らしい音が鳴った。
珈琲の香りがお店中にふんわり香ってきて
オシャレなカフェを見つけた気がして心踊った。
席に案内されてメニューを見る。
決めきれなくておすすめを注文するすることにした。
「ご注文お伺いします。」
優しい顔をしたおじいさんが聞きに来てくれて
「どれも美味しそうで決めきれないので
おすすめ頼んでもいいですか?」
私がそう言うと
「はい,私のおすすめでいいんですか?」
笑顔でそう聞いてくれたので
「お願いします。」
そういったのを確認しておじいさんは席を離れた。
「お待たせしました。」
そう言って私の目の前に珈琲をおく。
すごくいい匂いがしてとても幸せな気分になった。
「ありがとうございます。」
珈琲を1口飲むといつも
飲んでいるコーヒーが
別物の感じがして衝撃を受けた。
珈琲を飲みながらゆっくりしていると
「今外にいる?
俺今から帰るんだけど一緒に帰らない?」
彼からLINEがきた。
「今カフェにいるの。良いよ帰ろ」
私がそう送ると
「今からそっち行くわ」
そう送ってきたのでもう少しゆっくりすることにした。
「もうすぐ着くよ」
彼からのLINEを見て私はお店を出ることにした。
「ありがとうございました。」
おじいさんがそう言ったので
「美味しかったです。
またおすすめ頼んでいいですか?」
笑顔で伝えると
「お待ちしております。」
優しい声でそう言ってくれた。
温かい気持ちになりながら彼が来るのを待った。
「お待たせ」
彼はそう言って2人の家に向かった。
「ねえ,手繋がない?」
私は彼の方を見て言った。
「なに?いつもは言わないじゃん」
そう言いながら彼は手を繋いでくれた。
彼の手は冷たくて
急いできてくれたことが嬉しくなった。
彼となら手を繋いでどこまでも行ける気がする
─────『手を繋いで』
最近噂の見えないナニかが見えるっていうあの娘
あの娘は、楽しそうに誰もいないところに
毎日話しかけている
「誰と話してるの?」
「えっと、、」
訪ねたら、そう気まずそうに答えた
「玲ちゃん…と、話してるの」
れいちゃん?うちのクラスにそんな子はいない
私は更に興味を持ってあの娘によく話しかけるようになった、そうして話してるうちに
あの娘とはどんどん仲良くなっていって
私達は大親友となっていった
それから、彼女が空間に話しかけるのを見なくなった
「玲ちゃんとは話さなくていいの?」
「うん、もう、必要ないから」
あの娘はそう答えて、可愛らしく微笑んだ
「アイス食べにいこうよ」
「…うん」
二人手を繋いで、ゆっくりと、いつもの道を歩いていった