やんわりと手を包むと、なんでもないような顔をして貴方はシュッと手を引き抜く。それを何度か繰り返すと、少し迷惑そうに鼻を鳴らして、風のようにどこかへ去っていく。
いつものことだ。虚しさは感じるけれど、貴方を引き止められる存在は少ない。
それに、時々寝ぼけて身体いっぱいで手を抱きしめてくれるときもあるから、私はそれで十分だ。
絨毯のような質感を堪能しながら、お腹を撫でると、噛まれ、蹴られ、引っ掻かれ。
「痛いよ。リストキャットができるじゃないか。」
12/10/2022, 5:35:11 AM