懐かしく思うこと』の作文集

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懐かしく思うこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

10/31/2024, 3:29:54 AM

「初恋リベンジドライブ」


ローカル線が廃線になりバスが運行されていたが、あと半年でそのバス路線も廃止になる。

それを知ったのは、有名な配信者の動画。

高校卒業まで過ごした集落の風景を見ていたら、居ても立っても居られなかった。


あれだけ出て行きたくて仕方がなかったのに。
もう戻らないつもりで出てきたのに。


突発的にもぎ取った有給は三日。
都心から故郷まで、公共の交通機関を使うと移動に一日かかる。しかも時間的に帰りのバスはない。
すでに実家は無いので、今もまだ集落に住んでいる幼馴染に連絡を取ると、車で駅まで迎えにきてくれるという。有難い。


数年ぶりに会った幼馴染とふたりきりの車内で、思い出話に花を咲かせる。
すれ違う車もない細い道をスムーズに運転する彼。こっそりと盗み見る私。

まさかこんな日が来るなんて。子供の頃の私からは想像もつかなかったことだ。
あの頃、顔を合わせれば喧嘩ばかりしていたから。

それが実は初恋だったことは、ここを離れてから気付いたことだった。


「そういや、どこに泊まるんだ?」

集落の入り口の分かれ道で一時停止した彼は、そう言って私を見つめた。

「あー、実はまだ……急だったし……」
「予約してないのか。うちに泊まればいいよ」
「いやいやいや、そういうわけにも」

彼の提案に慌てて両手を振る。
だって、奥さんとか子供とかいるでしょ。

「いや、俺まだ独身だし。母ちゃんも喜ぶしさ」

そう言って彼は私をじっと見つめてくる。
なんだか居心地が悪い。
私は彼から目を逸らした。


────懐かしく思うこと

10/31/2024, 3:29:36 AM

「懐かしいこと」
 人生80年を過ぎると、昔の細かいことは、だいたい忘れてしまっています。兄弟や友人と「あのとき、こうだったよね」という話が出て、あぁそんなこともあったな。と思う程度で、下手をすると、そんなことあったっけ?と、曖昧な返事をしてしまいます。
 そのくらいですから、いま懐かしく思うことは、たぶん非常に胸に残っていることなのでしょう。
 それがねぇ、無いです。
 嫌なことは忘れるようにしているし、実際忘れます。良いことは、少しは覚えておきたいけど忘れます。
 だんだんと、昨日のことも忘れてしまうのでしょう。
 あれ?今日のお昼ご飯、何を食べたっけ???

10/31/2024, 3:27:31 AM

私が懐かしく感じるのは、近くの公園を歩いている時だ。通学路として10年以上同じ道を通っていたため、どこで遊ぶか、どんな植物が咲くのかがわかる。
しかし、最近は自分よりも小さい子が遊んでいる時に思う事が多いのだ。自分がこの年頃であったらこのような事をしていたな、またこのような事もできたのかと新たな発見をする事もある。SNSが発達し、小学生からスマートフォンを持っているという場合もある。私の頃はほれほ程発達していなかったため、外や中で遊ぶことが多く、スマートフォンを利用しての遊びは無かったに等しい。このように自分の過去を振り返ると社会の変化と共に心も成長し、幼い時の気持ちと今考えることまるで違う場合もある。当時では理解出来なかった事も高校生である今の私なら理解ができる。

10/31/2024, 3:19:33 AM

懐旧の気持ちに駆られている時は、今の現状に満足していない時という見解もある。
昔は良かった、なんて老兵さながらの発言をしてしまうのは、そのようなことがあれば仕方ないとも言える。
しかし、悪いというわけでもない
懐旧の想いを馳せその気持ちを未来に向ければ、きっと未来だって、今だって、良くなると思う

10/31/2024, 3:08:32 AM

懐かしく思うこと。

点滴。

小さい頃の僕は気管支喘息という不治の病を患っていたので、病院に行かねばならぬことがよくあった。
気管支喘息とは、風邪を引いたりすると、喉がキュッと狭まって、息が吸えなくて死んじゃう…っ、というやつである。
だから、夜が深まると徐々に息が吸えなくなり、息を吸うだけで、ゼイ、ゼイ、と喉の奥から音がするようになる。

そんな状態だと入院しなよ、という有様なのだが、入院というのはお金がかかってな。
日帰り入院とでもいえばいいのか。
横になっているだけの木偶の坊の子供(僕)を引きずるように大型病院に連れていき、点滴と吸引をする奴である。上体を起こすだけでも死んでしまうのです。でも、吸わなきゃいけないっていう奴。

病院の吸引薬でちょっとだけ元気になると、適当に院内を歩けるようになる。
点滴の、なんか液体が詰まってるパックをぶら下げた棒とともに歩く。
腕にはぶっとい針をぶち込まれ、固定されて点滴されるのであるが、僕のその時の仕事は、おトイレにいくことである。

約3時間くらいで500mlの点滴パックが3回交換されるということだから、1.5リットルくらい強制的に注入されてるんかな。
だから、小学生低学年ということで、5分に一回レベルで膀胱がいっぱいになってしまうのだ。

その日は昼食やら夕食やら、食べた記憶がないので、点滴がご飯という感じである。
きっと栄養剤も加味されていると思う。経口摂食でないから、味も満腹も感じませぬ。

今は、入院も点滴もすることはないので懐かしい。
しかし、不治の病の気管支喘息だけは残った。
寛解なのだが、風邪を引くと一カ月ほどぶり返す。
一カ月間ずっとゴボゴボしてます。
吸引薬ほすぃ。

拝啓、電車内の人。
風邪は治ったんですが、咳だけ残ってます。
大きく吸って、ゲボン、ゲボン。
これでも夜よりマシなのです。深夜はこれよりでかいの咳が出てしまって寝れません。
これは不治の病なので、小さい頃からこうなのです。
仕方ないのです。

10/31/2024, 3:04:18 AM

「懐かしく思うこと」

                             今は、とても近代になり昔ながらと言うと

                           「今は、令和だよ」とか「昭和だね」とか言われて

                                今の子供は可哀想だと思う

                          なぜって、遊ぶ所なく、部屋でTVゲームやインターネット等

                           それに第三者や親に怒られないから好き勝手にして

                               起これば、「虐待」とか親は困る

                                 やっぱり、昔が一番だ

10/31/2024, 2:30:04 AM

お題《懐かしく思うこと》



積み重なった言の葉を書き留めたノート。


意味のわからない、言の葉の羅列さえも愛おしい年月の証。



今だって、道は昏く道標の灯りがあっても歩くのは怖い。



それでも歩いてゆけるのは、彼《物語》があったから。


そして彼女《言の葉》は連れていってくれる――私をいつだって。遠い遠い旅路にさえ、友にゆく旅人になって。



世界はいつだって木漏れ陽に満ちている。

10/31/2024, 2:29:30 AM

懐かしく思うこと

君の態度を見ていると昔の自分を思い出す。受動的にしか行動しないせいで、されるがまま言われるがままに生きていたあの頃。君と違うのは断れるかどうか。君は何でも受け入れているように見えて、駄目なら駄目、無理なら無理と割とハッキリ言葉にする。それは自分には出来なかったことで、だから関係が続かなかったんだろうなと今は思う。逆に言えばこういうアプローチだったら自分も飽きなかったのに、という他責の念も含みつつ君へのアプローチは続いていて、君はもはやそれが日常であるかのように受け流してくれている。君が拒否せずに寛容に受け流してくれる度に、自分を犠牲にして成り立っていた日々を懐かしく思うのだ。

10/31/2024, 2:27:38 AM

懐かしく思うこと

今日は久々の休日!
今日は街に出かけようと思う。
まずは支度を済まし、朝ごはんを食べる。
街に来ると、前みたいに珈琲を買う。
あ…またやっちゃった。
もういないのに2個買っちゃった。
あれ?なんで2個買うんだろう?
まぁいいや!
久しぶりにあの丘に行こう!
丘に着いて寝転ぶと、風が頬を撫でていく。
暖かいなぁ…寂しいな…
ってなんで寂しいって思ったんだろ。

懐かしいようで…寂しいような…
ねぇ…そろそろそっちにいってもいいかな?

10/31/2024, 2:20:38 AM

祖母のにおい
雪の冷たさ
あたたかい手

満天の夜空
キリキリする空気

それが
今の自分が思い出す
子供だった頃の記憶

10/31/2024, 2:12:37 AM

懐かしく思うこと


記憶力が乏しいので
覚えていることがすごく少ない
その数少ない覚えていることの中には
懐かしく思うことと
思わないことがある

その差はたぶん
自分の中で消化できているかどうかだ
懐かしく思うものは
その出来事だけでなく
その時の感情とかそういうものも全部消化できた出来事
そして
思い出せるのに懐かしいと感じないものは
まだ自分の中で消化できていないもの
それは傷にも近い形で
癒えることなく自分の中にある

いつか全部を
懐かしいと笑えたらいいな

10/31/2024, 2:12:06 AM

穏やかな
朝の光

カーテンの
隙間から
照らす

貴方は
その光に
起こられて

眠たそうに
布団を被る

貴方と過ごす
平凡で穏やかな
1日

こんな風に貴方fと
一緒に過ごせるなんて

私を選んでくれて
ありがとう

貴方と過ごす日々を
大切にしたい

10/31/2024, 1:58:40 AM

懐かしく思うこと 途中

地元の大型商業施設は、僻地にあるもので残り一つとなった。
人口15万人前後のこの街にある店々は、
高校卒業後、10年足らずで次々と潰れていった。
特に駅前の大型商業施設が潰れたことはかなり衝撃的だった。あまり地元の人間と交流していないので、その衝撃が地域全体のものかは知らないが、わたしの世代はそれなりに驚き悲しんだことと思う。
地元若者といえば、遊び場といえば、潰れた駅前のそこか、ラブホテルくらいだったと思う。というか、当時はその二つくらいしか聞いた覚えがない。
つまり、地元に帰り懐かしさを巡る場所はあの無駄にデカいラブホだけか…と思うと酷く過疎化した地域問題について意識せざるおえなくなってきた。なんとも悲しい現実である。

かといって、私は懐かしむような思い出がそもそもこの土地になく、早く地域として潰れればいいのになと思っていた。その怨念は物心つく時から始まり、現在ようやく縮小しかけている。この土地で生まれ育ったくせになぜそんなことを思ったのだろうかと振り返ると、やはり遠方から嫁いできた母の愚痴から、私はその罪悪感をこの地元に押し付けていたのだなと感じた。

10/31/2024, 1:50:22 AM

懐かしく思うこと

そういえば暫く君に会ってないなと、ふとそう思った。あの頃の君と僕はいつも一緒に遊んでいたね。僕は今、君と遊んでいたあの頃のことを懐かしく思い出しているよ。

でもある時、突然君は僕の前から姿を消したんだ。いつも一緒に遊んでいた君が突然居なくなるなんて、何があったのかととても心配になった。その後で母さんから君が病気でなくなってしまったことを知った。

もう一度君に会えるなら、僕は迷わず君にこう言うだろう。ありがとう、君と友達になれて本当に幸せだったよって。僕は、君の分までたくましく生きるからずっと見守っていてね!

10/31/2024, 1:48:16 AM

「懐かしく思うこと」

あの頃が一番燃えていた。
空振りしていてもやる気に溢れていた。

書く為の資料探しに行って値段や在庫の有無に一喜一憂したり
夜中3時までとかに作業してそのまま
学校やバイトに行っていた精神力と体力と気力。

今はもうそんな精神も体力も気力も財力もないのだよ。
あの頃は何故か頑張れたなぁ。

突然と無くなってしまったあの頃の自分。
懐かしは戻らない。
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「懐かしく思うこと②」

平成前期~2000年までの家電やバイクや車のカタログや
携帯電話(orスマホ)などのカタログを眺めると
懐かしいのもあれば、「こんなの販売してたのか?」と
販売すら知らなかったモノに出逢い一つの知識を知る。

カタログはメーカーの歴史で
そのモノの歴史でもあると思う

10/31/2024, 1:33:57 AM

愛言葉の続き

懐かしく思うこと

私が小さい頃 お父さんとお母さんが
私に言った。

『シズクは、好きな人は、居るのかい?』
お父さんが私に聞く

『貴方シズクにその質問は、まだ早いわよ』お母さんが可笑しそうにお父さんの
言葉に笑う

『好きな人?私は、お父さんとお母さんが
一番好きだよ!!』
その私の言葉にお父さんとお母さんは
クスクスと笑い二人揃って
『『ありがとう!!』』とお礼を言ってくれる。

『もちろん僕だってティアとシズクが
一番好きだよ! でもいつかシズクにも 
僕達より好きな人が出来る それは僕達に
とってとても嬉しい事なんだ 何より
シズクの可愛さを分かってくれる人と僕は
シズクの可愛さについて一晩中語り合いたいんだ』
『もう貴方ったら仕方無い人ねぇ』

そう言って、楽しそうに笑う二人がシズクは大好きだった。





(懐かしいなぁ....)シズクは、感慨深げに
イクスとティアが眠っているお墓を見つめ
手を合わせる。

(お父さん お母さん 今日またルークさんとも話ました。ルークさんに一緒に
お父さんとお母さんのお墓参りに行こうと
言ったら一緒に付いて来てくれて
バインダー局の皆も一緒です これルークさんがくれた花束ですお母さんが大好き
だった黄色いマリーゴールドです
ルークさんは、私と少しお話ししたら
すぐ帰っちゃったけど.....何だか前会った時よりルークさんの笑顔が柔らかくなってて
良かったです....)

シズクは、お墓に手を合わせた
そうしてイクスとティアに自分は
今 幸せですと報告する

そうしてシズクが報告し終わって立ち上がり振り返るとシズクの大好きな人が
ぶっきらぼうな顔でシズクの事を待って
いた。
「終わったか.....」とハイネが不機嫌な
目付きがつり上がった表情で問いかける
「うん!」しかしシズクは、知っている
ハイネは、本当は、とても優しい事を....

シズクが泣いている時優しく抱き締めてくれる事も.....

シズクが転びそうになった時必ず
受け止めてくれる事も....

(お母さん お父さん 私 この世で
一番大好きな人が出来たよ.....)

空に向かってシズクは、懐かしい二人に
心の中でそう呼び掛ける。

「ほら ミーナとナイトが待ってるぞ!」
ハイネの促しにシズクは少しだけハイネに
甘えたくなって..... 意を決してこんな
お願いをしてみる。

「あっ.....あの....ハイネ....手繋いで良い」
シズクが真っ赤になってお願いしてみると
少しの間があって....それから優しくシズクの手にハイネの手が触れてシズクより
大きな手でシズクの手を包んでくれる。

シズクがハイネの方を見るとハイネは横を
向いていてシズクに表情を見せてくれない
「一々言って来るんじゃねェ繋ぎたいなら
勝手に繋げよ!」そうぶっきらぼうに
ハイネは言うがシズクから手を離したいと
思うまで決して自分からは、シズクの手を
離さない シズクにはそれが嬉しくて嬉しくてたまらない

こうしてミーナとナイトのところに戻っても二人は手を繋いだままだった。

お互いの体温を感じて体も心もぽかぽかと
暖かくなって行く

これからもシズクの周りでは、色んな事が
起こるだろう
楽しい事ばかりじゃ無く....辛い事
悲しい事苦しい事も生きていれば起こるかもしれない.....
だけど....ミーナ ナイト ハロルド マリアの変わらない優しさそしてハイネの
不器用なこの温もりさえあればシズクは 
どんな事でも乗り越えられると胸の中で
強く信じられるのだった....。



                (完)

10/31/2024, 1:20:42 AM

懐かしく思うこと

 昔買ってどこかにいっちゃったものを見つけた時にそう思うことあるな。これこんなとこにあったのか。懐かしいな、って。

 あとはやっぱり昔住んでいた場所にいったら懐かしいって思うだろうな。結構引っ越ししてるからそういう場所が割りとある。

 ほかには食べ物も定番だな。その中でもど定番なのはナポリタン。俺はあんま懐かしくないから俺より上の人に刺さる食べ物だなナポリタンは。

10/31/2024, 1:17:25 AM

懐かしく思うこと

随分と前の様に思うけれど
きみと会えなくなって
まだ、2年ほどだったんだな

公園で初めて手を繋いで歩いた
目を見つめて 微笑んでくれた

抱きしめあった夜は 
つい、この間のことの様に感じる

俯きながら 僕の手を離して
一人歩き始めたきみ

こんなふうに いつか 
きみの全てを、懐かしく思うことが
できるのだろうか?

懐かしいと思える様になるまで
後、どれくらいの時間を要するかな

10/31/2024, 1:11:04 AM

「みんな!今日は張り切って行くよー!」

 いつにも増して店長が気合の入った号令をかけた。そうか今日はハロウィーン当日だ。この日のために私は【バイト募集】の貼り紙を書いたんだ。おかげでたくさんの新しい仲間が加わった。振り返ればあの羞恥心も懐かしい…。いや、いまだに恨めしい。

「えー、あの貼り紙、ヤマノさんが書いたんですか?あたしアレ見て応募したんですよ!」

 仕事前に談笑していたら大学生のフジサキさんから告げられた。ウソだろ。いまどき求人サイトから以外で応募なんかあるんか?

「なんで?家近いの?」

 家の近所でバイト探すなんて考えられんけどな。知り合いに絶対見られたくない。

「前のバイト先がこの通りの向こうで、行き帰りで通ってたんです。フインキよさそうなお店だなぁって思ってて」

 雰囲気な。いちいち訂正せんけどな大学生。私が面接したら落とすよ。

「同じ駅でバイト鞍替えしたの?」

「クラガエ?前のバイトは辞めてきました。なんかギスギスしてて、こっちの方が楽しそうだったんで」

 カジュアルな生き方。うらやましいわ。

「はい!みなさん!今日は仮装してきたお子様たちにお菓子を配りますよ〜」

 お店では商品とは別にクッキーやらチョコレートやらを用意していた。ちびっ子たちにお菓子を配る商店街のイベントにこの店も参加している。

「はい一緒に来たお父さんお母さんには、必ずこのクーポン券!50円OFFのクーポン券を渡してください!それでお時間あるようなら中入ってもらって、お買い物もしてもらいましょう」

 店長はちゃんと商売人である。川越の地に根ざして30年。Boulangerie Joyeuse(ブーランジェリー ジュワユーズ)は地元で人気のパン屋さんだ。

 それだけに、今回のハロウィーンイベントには一つ懸念があった。


「ぶーらんじゅ…じぇ‥り、じゅじゃ、じゅやいーしゅさん、トリックオアトリート!」

 この店の前に来た子どもたちのテンションが一様に下がっていく。商店街の決めたルールで、お菓子をもらう子たちは必ずお店の名前を言ってから「トリックオアトリート」と叫ぶことになっていた。街の人にお店に興味を持ってもらいたいという計らいなのだろうが、ウチのお店では裏目に出た。

 自分も何度か聞いたことがある。

「店長、このお店の名前、読めないんですけど」

 バイト募集の時もつづりを2回間違えた。

 今日は店先にデカデカとカタカナで貼り出したが、このフランス語は子どもたちには難易度が高い。言うだけで時間がかかるので、店の前に長蛇の列ができている。それを見て敬遠する親御さんもいる始末だ。

「もういいわ、パン屋さん!パン屋さんでいいから!」

 見かねた店長が三度号令をかける。店頭の貼り紙は「ブーランジェリー ジュワユーズ」に横線を2本引いて、その上に「パン屋さん」と書き直された。

 それからちびっ子の流れもスムーズになり、なんとか目標の集客も達成しお菓子のカゴも空になった。

 閉店後、店長はうなだれていた。さすがに店長自慢の30年の看板も形無しだ。

「フランス語なんだけどね。陽気なパン屋さんって意味なの。でも商店街の方もいつも『パン屋さん』としか言ってくれないのよね。名前、変えようかしら」

 バイトの私に言われたぐらいで本気で変えるとは思わないが、ちょっと遊んでみようという気になった。

「普通にベーカリーを入れた方がいいと思うんですよね。フランス語よりまだなじみあるでしょ」

 店長は閃いたとばかりに目を大きく開けてこちらを向いた。

「じゃあ!『BAKE 川越 BAKE』は?」

「店長、それだけはやめましょう」

 店長はやっぱり陽気なパン屋さんだった。

10/31/2024, 12:45:23 AM

テーマ懐かしく思うこと
君に懐かしく思うことは
君に出会ってばかりの頃は
君はやんちゃで獲物を
取ってきてばかりだったね
今はだいぶ穏やかになったね
でも芋虫はいらないから

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