愛情』の作文集

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愛情』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

11/28/2023, 9:50:17 AM

「だからさぁ、それは言い訳でしょう?」
大声ではないが、威圧的な言い方が本当にムカつく。なんなんだ、このおじさんは!
自分がいつも正しいと思っている、昭和の悪いところを引きずっているおじさんは嫌いだ。

言い訳ではなく、私には言い分がある。
第一に、もともとは彼の指示が遅い。その上ギリギリになって、原稿の差し替えを言ってきた。私にだって都合はあるのだ。その日は早めに帰らなければならなかったのに…。
慌てて対応した私の些細なミスを、彼は自分のことを棚に上げて、私を責める。
もう、言い返すのも面倒になってきた。

帰りの電車の中でも、私はそのことを反芻して、なんだかモヤモヤした。
このモヤモヤをどう処理したら良いのか。

駅前のスーパーで、いつもよりちょっと高めの肉と、有機野菜を買う。
「うんと美味しいものを作って食べてやる!」

料理を作る時は、楽しく。家族への愛情を込めて作るのが、私のルールだ。

食事ができた頃に、家族が帰って来た。

でも、昭和のおじさんの話はしない。せっかくの美味しい食事が台無しになるから。

モヤモヤした気持ちは、愛情たっぷりの食事と幸せな時間で晴らす!
まぁ、完全ではないとしても、少しだけでも心が晴れれば、明日からも大丈夫!

また、おじさんに何か言われても、軽くスルーして、私は私らしく生きるのだ。

11/28/2023, 9:49:03 AM

愛情
愛情はものすごく大事だと心の中で思う
友達の愛情 家族の愛情 親戚の愛情 etc…
皆さんの愛情はなんですか?

愛情

11/28/2023, 9:44:51 AM

ただただずっとそばに居たい。
別に何もしなくていいから。

愛情に見返りなどいらない。

11/28/2023, 9:32:52 AM

忘れるまでは愛しています。
忘れるほどなら既に愛はありません。

愛情

11/28/2023, 9:24:19 AM

──大人になれば『それ』は自ずから与えられるようになるという。

だから大人になれば、自ずから与える『それ』が湧き出でると思っていた。どうやら違ったらしい。

ある人は「求め続ける限り、与えられる日は来ない」という。またある人は「そもそも与えられて来なかった者に『それ』を他者に分かち与える余分は無い」という。
つまり、私がいまだ誰かに与えられないのは、いまだ『それ』の足るを知らないからか。

さて、大人になった今からでも、足るを知ることは出来るのだろうか?

そうして私は今日も『それ』の在処を探すのだった。

11/28/2023, 9:17:27 AM

【 愛情 】

僕には人を愛せないと思ってた。
君に会って初めて、湧き上がる気持ちに気付けた。

寒空の下、木の根元に横たわっていた君。
体は冷たく硬かったけど、なぜか連れ帰らなきゃと
思って、背負って帰ったね。
何も話せず、動きもしない君に感じた気持ちは本物だよ。

ただ、時間とともに腐臭と虫を発する形になって、
僕らはお別れすることになったよね。

出会った木の下に君を葬ったけど、新しい縁もあった。
君が連れてきてくれたのかな。
君に似て、やはり冷たく硬い体をしている。

僕の胸は高鳴ったよ。
また、大切にしてあげるからね…。

11/28/2023, 9:09:31 AM

彼は愛情を与えるだけだと思っていた。
 愛情はそれだけだと。
 諦めて許して堪えて。
 彼がそれも愛情だと知ったとき彼は優しくなった。
 だけど、無口になった。

11/28/2023, 9:06:42 AM

「愛情」

 
   意外と身近に潜んでいるものだ

              靴がそろっているのも

   近すぎるからこそ気づかない

            毎日の美味そうなお弁当も

   気付けないだけなのかもしれない

         帰ってくれば部屋がきれいなのも

   当たり前の日々の尊さに

11/28/2023, 9:00:24 AM

私はイチゴを愛情込めて育てている。

 私はアパートに住んでいて庭がないので、ベランダで育てている。
 最初は育つのだが、イチゴがならなかったり、枯らしたりして大変だった。

 でも水やりの頻度、日当たり風通しなどが分かってきたときくらいから、大きなイチゴを付けてくれるようになった。

 今では見るだけで調子がわかるようになった
 これを、愛と呼ばずしてなんと呼ぼう!

 込めた愛情を返してくれたのだ、というほど私はロマンチストではない
 多分、イチゴはいい感じの水といい感じの土、いい感じの日当たりで自分のしたいことをやっているだけなのだ。
 私という存在を認識しているかすら怪しいものである

 ならばイチゴのしたいことはなんだろうか
 赤いイチゴという魅惑の果物を作り、他の存在に恵みを分け与える
 それは実に慈悲深く、愛に溢れた行為だ

 もしかしてイチゴは、私よりずっと愛情深い存在なのかもしれない

11/28/2023, 8:56:43 AM

朝起きて台所に立つと
ぽてぽてとワンコがそばにきて何かくれるの?って右前足をあげる

そんな毎日が今考えるとたまらなく幸せだったなぁ

11/28/2023, 8:38:07 AM

#66 愛情


可哀想で、哀しそうな
私が愛おしいんだよね

11/28/2023, 8:29:44 AM

移動の為にワゴン車の後ろに乗ってると君が隣に乗ってきた。後ろに座った仲間となにか盛り上がってるみたいで、隣に座ったってのにずっと後ろ振り返ったままめっちゃ喋ってる。

いや別にね。そんなのなんとも思ってないよ。俺よりも話盛り上がるもん、趣味とか俺とは全然合わないし。隣に座ったのだってたまたま俺の隣と後ろがひとつ空いてたからで、ここ俺が座ってなかったら2人で座ったんじゃん。
いやもう、全然そんなの。
いつものことだし。
仕事にあいじょーは持ち込まないし!


「…なんで突然膝枕されてんの?」

俺がばたんと横倒れに倒れて君の膝に頭乗せてかたーく目を閉じて寝たふりしたら、話を一旦中断した仲間が呆れたように言うのが聞こえる。
君は知らねーって笑いながら、仲間からは見えないように俺の頭を撫でた。

仕事に愛情は持ち込まない。
でもね。

たまにはね。



▼愛情

11/28/2023, 8:15:12 AM

母からもらえない愛情が憎しみに変わる


それでも私が色んな人に『優しいね』と言われるのは、亡き父の愛情と学生時代の先生達の愛情があるから。今の私がいる。


母からもらえなかった愛情で、自分口下手に。
気持ちを素直に伝える事ができなくて
料理とお菓子を作って愛情表現。

11/28/2023, 8:15:12 AM

彼を想い続けて多分一年が経とうとしている。
その大半が片想いだったけれど。
そろそろ恋は終わりかな? 
彼と愛を育めているかな? 
想いはもう愛になれたかな?



#愛情

11/28/2023, 7:48:38 AM

胸の中に秘めておけない愛情が
君に伝わってしまわないだろうかと
僕はいつも恐れている
触れられないその手に、ひとつ、ふたつと、
本当は受け取ってもらいたいのに
拒まれてしまったらと思うと踏み出せない

(愛情)

11/28/2023, 7:46:24 AM

【愛情】

もう永遠に君とは会えない
その事実を受け入れられないまま、
時間だけが過ぎていく

あれから随分経ったのに、僕が目にする
SNSのタイムラインは今も賑やかで
君が愛した人たちと君を愛する人たちが
今日も楽しい想い出を語っている

君からの愛情は今も誰かに届いていて
君への愛情も誰かが届け続けている
君からの言葉と君への言葉が交差するのを
僕は幸せな気持ちで眺めている

時々、すきま風が吹き込んでくるように
君がいない寂しさを感じてしまうけど
そんなときも君と君を愛する人たちの
愛情あるエピソードの数々に救われている

ふと気がつくと僕は、夕方になると
君が好きだった歌を口ずさんでいる
僕と君との想い出の中にある大切な歌

おかげで僕は今日もまた
カレーライスが食べたくて仕方がない

11/28/2023, 7:41:49 AM

誰にでも忘れられないものはたくさんある。特に母親からの愛情は一生忘れない。それが例え連続殺人犯でも、総理大臣でも。ONE PIECEでガープが言っていただろう「愛ある拳は防ぐすべなし」とだからどんな人でも愛には勝てないんだろうと僕は思う。

[愛情]#6

11/28/2023, 7:23:50 AM

【愛情】

私は元から親というものがいなくて、施設で育った。施設の大人は他の子には優しかったけれど、私には厳しくて悲しかった。

学校の参観日の日に他の子達はお母さんとお父さんが来ていて皆、楽しそうに笑って「――ちゃんのお母さん可愛いね!」とかそういう何気ない会話を出来るのがとても羨ましかった。


私は親がいないせいか、見窄らしい服を着ていたからか分からないけどクラスの人達に虐められて苦しくなって先生に相談したらどうにかしてくれるかもしれない。そんな希望を胸に職員室へと向かった。

デスクに向かっていた担任の先生に声をかけ相談すると面倒くさそうに「君に至らないところがあるから虐められるんじゃないのか?」と言われて何で、助けてくれないの?全部私が悪いの?と、目の前が真っ暗になった。

そんな私も高校に入ってから仲のいい男の子がいて、私は初めて恋をした。それからは楽しかった。2人で色んなところに行って美味しいものを食べたりもして、自分がこんなに幸せでもいいのかと心配になるくらい今まで真っ暗だった私の世界が一気に輝いていた。

私たちが大学を卒業して暫く経ったある日彼が「愛してるよ。これからはずっと一緒だ。」と、言って抱き締めてくれて私はとても嬉しくて直ぐに抱き締め返して私達は婚約をした。

――それなのに、もうすぐ結婚式という日に彼は車に轢かれそうになった見ず知らずの子供を庇って死んでしまった。

子供が助かってよかったじゃんと思えればよかったけれどその時の私はそんな事を考えられなくて毎日毎日、泣いて泣いて。

食べるのも嫌になってこのまま死んだら彼に会えるかも、と何度も思っていた。そんな時貴方に出会った。

貴方は夜中の歩道橋で上に立って道路を見つめていた私に優しく声をかけて家に招いてくれて、暖かいご飯を作ってくれて同情心だと思ったけどその時の私は何処か安心してしまっていた。そんな私に貴方は一緒に暮らさないか?と言ってくれて最初は戸惑ったけれど悪いことはないかもと思って「はい!」と返事をして一緒に暮らすことになった。毎日毎日、暖かいご飯を作ってくれて。とても嬉しかった。


過ごしていく内に前までは死にたい程感じていた悲しみが貴方のおかげで埋まっていく感じがして、私はいつの間にか貴方に惹かれていった。

薄々、気付いてはいたけれどそれを自覚したら何かが変わってしまう気がして怖かったの。だから貴方が「愛してる」と告白してくれた時、彼が死んでしまった時の恐怖を思い出してしまってとても嬉しかったのに断ってしまった。そんな私に貴方は悲しそうに笑って「いいんだよ。これから君に好いてもらえるように俺が頑張るから。」と言ってくれた。


…貴方は私をずっと離さないでいてくれる。どうしても気になって「どうして見ず知らずの私にこんなに優しくしてくれたり好意を持ってくれたの?」と聞いた時。

「あの日、歩道橋にいた君を見た時に今君に話しかけなかったら一生後悔すると思った。最初はそれだけだったんだけど、一緒に過ごしていくうちに道端に咲いてる花をわざわざ避けて通ったり、街を歩くと色んな人を助けている君を見ているうちにずっと側にいてほしいと、心から感じたからだよ。」


そう言ってくれた貴方に私は、どうせ貴方も彼と同じように私を置いて逝ってしまうのでしょう?と考えてしまっていた。普通の人だったらきっともうこんな私に呆れて離れていくだろう

なのに貴方は愛情に応えない私に呆れることも無く、私に向けるにはもったいないくらいの愛情をくれた。

そして弱虫な私はやっと貴方に私の気持ちを伝えた時にはとても嬉しそうに抱き締めてくれて私はそんな貴方を抱き締め返してとても素敵な夜を過ごしましたね。


それから貴方と付き合い始めて暫くした時、綺麗な夜景をバックにプロポーズをしてくれて私はそれに泣きながら返事をしたことを今でも覚えています。

貴方との結婚式が終わって、何度も愛を確かめあって、子供にも恵まれて、

私は、今とても幸せです。


こんなしょうがない私を愛してくれて有難う。


最期の相手が貴方で良かった。


そう思いを馳せながら私はもう二度と空くことはないであろう目を閉じた。

11/28/2023, 7:13:04 AM

『愛情』

 学校に行く。バイトに行く。帰る。これが私のルーティン。部活はしていない。そんな暇はない。なんせ、天涯孤独の身だから。
 今の身の上になったのは、本当に突然の事だった。私が高校に入ってすぐ、両親が交通事故にあって亡くなった。よくある話だ。ただ、両親ともに一人っ子であり、両親ともの祖父母は既に他界していた。それだけの事。恐らく調べれば遠縁等はいるのかもしれないが、会ったこともない子どもが突然親戚ですなんて言ってきても困るだけだろうから、調べるのをやめた。とはいっても未成年である為、事実上の後見人はたてられた。その人は、母親の友人なのだという。弁護士をしており、いろいろな手続きも代わりにやってくれた。しかも、何故か無償で。申し訳ない、両親が貯蓄してくれていたお金はあるわけだしちゃんと払いますと言ったが、気にしないでの一言で終わってしまった。その時は仕方なく引いたが、いずれちゃんと返そうと心に決めている。
 その人は、私が今まで通り暮らせるようにしてくれる代わりに、いくつか条件を出した。一つ、学校は高校、行きたければ大学まで行くこと。一つ、基本的には両親が残したお金で支払いをするが、もしその他の必要経費で足りないものがあれば費用はこちらで負担するから言うこと。一つ、定期的に状況報告の連絡を入れること。一つ、定期連絡とは別に、月に一度は顔を合わせること。
 あまりにもメリットしかない条件だった。まるであしながおじさんだなと思ったことは、内緒にしている。いや、相手は女性なので、あしながお姉さんか。何故そこまでしてくれるのか勿論気になったが、昔あなたの母親に助けられたから、としか言ってこなかった。私としては、母親にそんな友人がいたとは思いもしていなかったのだが。結果として一人暮らしという一定の自由は得られた。
 その人は忙しいだろうに、私が定期連絡を入れたらちゃんと返信してくれるし、月に一度の顔合わせもちゃんとしてくれる。お金の工面の為に私がバイトをしたいと言った時も、安全なバイト先を調べて、候補を作ってくれた。その時にバイトは大学になってからでいいのにと言われたが、できるだけ金銭面で援助は避けたかったので、そこは折れなかった。結果的に、それなりに時給も良いバイトをすることができた。
 そのまま二年が過ぎ、高校卒業目前となった。
 今日は卒業前最後の顔合わせ。無事大学を合格したことは定期連絡で伝えてはいたが、実際に会っては言っていなかったため、今日言おうと思っていた。そして、今日こそ今まで親切にしてくれた理由を教えてもらう。そう決めていた。
「久しぶりね」
「お久しぶりです」
 月に一度なのでいつもの事なのだが、これが最初の挨拶となっていた。それが二人の暗黙のルールでもあった。
「おかげで大学も合格して、高校も無事卒業できそうです」
「合格したのは私の力じゃないわよ。あなたが頑張った結果じゃない」
「でも、いろいろお世話になっていないと高校の卒業すら危うかったかもしれません。とても感謝しています」
「それなら、素直に受け取っておくわね」
「大学についてなんですが、連絡でも言ったんですが遠方になるので、ここから離れることになりそうです」
「そうね、少し寂しくなるわ」
「なので、多分顔合わせが難しくなると思うんですけど……」
「気にしなくていいわよ。今までは近かったから問題なかったけど、遠くから来いなんて言えないし、私もそちらまで行くのは流石に厳しいからね。長期休暇でこちらに帰ってきたときにでも会ってくれればそれでいいよ」
「ありがとうございます…。あの……」
「どうしたの?」
「そろそろ聞きたいんです。どうしてそこまで優しくしてくれたのか」
「言ったじゃない。昔あなたのお母さんに助けられたって」
「そうは言いますけど、うちの母は今までそこまで交友関係を私に話してこなかったから分からないんです。母親に友人がいるという感覚が」
「…まあそういうものよね。あなたのお母さんはあまり自分の事は話さないタイプだったし、人の事も話さないタイプだった」
「それってどういう…」
「口が固いってこと」
 いまいちよく意味が分からない。仕方がないので無言で続きを促した。
「昔ね、あなたのお母さんに告白したことがあるの」
「告白?」
「あ、告白って好きとかそういうのじゃないよ。まあ似たようなものではあったけど。…私ね、女性が好きなの」
 今日一番の衝撃だった。今まで全くそのような気配を見せなかった。私が鈍いだけだったのかもしれないが。
 私が目を見開いたのを見ていたようで、少しため息のような笑顔を見せ、話を続けた。
「あなたのお母さんになら話してもいい。あわよくばって気持ちはあった。…あの人は、私を肯定してくれたうえで、断った」
 昔を思い出しながら話をしてくれているのだろう。目の前の人は、こちらを見ているようで、その向こうを見ていた。
「その後は、今まで通り友人として接してくれた。私がそう望んだから。そうしてほしいとは言わなかったけど。それに、私の事を周りに一切言わなかった。それも、私がお願いしたわけじゃない。はじめての告白ってわかってたんでしょうね。彼女らしいと思ったわ」
 ここまで話して、言い切ったのか少し伸びをしていた。これ以上を話す気は、今はないらしい。
「このことを話したら、もう会わないと決めていたの。邪な目で見ていないとはいえ、相手がどう思うかはまた別の話だから」
 だから、後見人でなくなる成人を超えるまでは言うつもりはなかった、と話した。
「でも、あなたを見ていると、それって誠実じゃないんじゃないかって思えてきた。だから、次聞かれたら話そうと思っていたの」
「だから今日話してくれたんですね」
「ええ、この後あなたがどうするかは好きにしていいわ。後見人である以上勤めは果たさせてもらうけど、それ以上の関わりを持ちたくないのならそれでもいい。あなたには選ぶ権利がある」
 母の友人と名乗るその人は、こちらを真っ直ぐに見据えて言った。そこにはただ、愛情があった。
「…とりあえず、引っ越しの手続きを手伝っていただいてもいいですか?」
「え?」
「ほら、物は少ないとはいえ、一人じゃ大変じゃないですか。手伝ってくれると助かるんですけど…」
「…いいの?」
 お前の母親に劣情を抱いていた人間だぞ。言外にそう言っているのが分かった。でも、気にしない。この人は、決してそれだけを理由に私に良くしてくれていたわけではないと分かっているから。
「是非。今度は母の話ももっとしてください」
 私は、目の前の人に向けて手を出した。その人は、一瞬躊躇したが、次の瞬間には笑顔でその手を取ってくれた。

11/28/2023, 7:12:54 AM

「あらあら、これは不幸な……」

 ここは魔法の世界。男は家に帰ってきた女を玄関へ迎えに行った時、全身ずぶ濡れ。顔にかすり傷を作り、白い服は泥が付いている様だった。そんな彼女はムスッとした顔でつったてっている。

「道歩いてたお婆さんが、傘の取っ手を下にして持ってて」

「はい」

 男はなんとなく察しがついた。だが下を向いている彼女は相当腹が立っているようなので、黙って彼女の話を聞く。

「歩き出そうとしたんだろうね。踏み込んだ時に傘を後ろに振り上げた瞬間私の顔に当たった」

「それはそれは……災難でしたね」

「今日はついてない日」

彼女が足をパンパンと叩くと、靴が勝手に脱げて靴は歩いて自分の定位置にひとりでに歩いてゆく。

「その泥だらけのお洋服はどうなさったのですか?」

 スリッパに履き替えた彼女は、彼の手をちょんっとつかみ歩き出す。この方向は恐らく浴室。

「転んだ」

「それは痛かったですね。ほら、浴室。着きましたよ。扉の前で待ってますから。早く着替えていらっしゃい」

 そういって彼女を送り出した彼は、湯冷めすると困ると思い、今朝作ったスープを温め直そうとキッチンに向かう。
そして指一振りすると、コンロと暖炉の薪に火がつきコトコトと鍋が歌い出す。他にも、彼女のためにひざ掛けを用意していた頃。

「そういえば---さん、タオルと着替えを準備していなかったような」

男はそういって指をひゅひゅひゅと横に動かす。すると彼女の部屋からは彼女のお気に入りのルームウェアが、タンスからはふわふわのタオルが、空を泳ぐように浴室へ向かい出す。そして彼はコップに氷と水を注いで今頃湯船に浸かっているだろう彼女へ、こっぷを台に置き煽るように手をかざすとそれは消えて彼女の元へ旅たった。災難な1日を、ほんの少しでも良くなりますようにと願いながら。

 それもあるが元々彼は彼女に甘い。
 もう至れり尽くせりだ。

「お昼は食べたのでしょうか」

 そう呟くと彼は昼ごはんの彼女の好物であるピザを焼き始めた。彼の周りには様々な調理器具や材料がふわりふわりと浮かんでいる。

***

 しばらくたった頃、彼女が彼の名前を呼ぶ。
彼はハッとする。彼女は泣いていたのだろう。目が真っ赤に腫れていた。

「お風呂、温めてくれたの、ありがとう」

 彼女は言葉を続ける。

「他にも、タオルとかお水も。……料理まで」

 彼はそんな彼女を見ていて、元々あった愛おしさがもっと強くなる。

「いいんですよ。きちんと温まれましたか?」

 彼は入口にいる彼女に近づいていき、彼女の手を取ってダイニングへ連れていく。そこに用意されていた料理を見て、彼女は鼻をずびっと一鳴らしした。愛おしそうにその様子を見ている彼は、彼女の後ろに回りこみハグをした。すると彼女は彼の腕に顔を埋めて顔を拭う。別に涙がつこうが関係ない。むしろどんどんつけて欲しい。

「本当にありがとう。……今日がいい日になった気がする」

「さ、ピザを食べましょう。カリカリでチーズが物凄い伸びる特製ピザです」

***

昼ご飯を食べたあと、2人は出窓のベッドで横になっていた。彼女はすよすよと寝ているが、彼はそんな彼女を愛おしそうに肩を抱き、本を読んでいる。キッチンではカタカタと魔法で食器を洗っいる音がする。すぐ横の窓に彼が目を向けると、外には虹がかかっていた。彼は彼女の額に指を当て、優しいまじないをかけてやる。

「どうか、これからも2人で幸せに生きていけますように」

と。
 そして彼は目を閉じ、安らかに寝息をたてはじめた。2人で一つのブランケットが、2人の幸せを体現していた。

***

「私はもう幸せよ。沢山の愛をありがとう」

 彼女は眠っている彼に頬を擦り寄せる。温たかなまじないを受け、今日はいつも以上に至れり尽くせりで。最悪な1日がとても幸せな1日になってしまった。

 彼女は彼の頬にキスを送り、再び眠りにつく。

「彼の人生に幸在らんことを」

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