愛を叫ぶ。』の作文集

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愛を叫ぶ。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/11/2023, 1:15:01 PM

[愛を叫ぶ。]

「君が朝雲の新しい新造か」
「はい。先日朝雲姐さん付きとなりました、まめと申します」
「そうか。よろしく頼むよ」
そう告げて貴方は柔らかに微笑む。
それが、貴方との初めての出逢いでした。
そして、私の初めての恋情が生まれた瞬間でもありました。

「青木様、お久し振りでございます」
頭を下げ青木様をお迎えする。朝雲姐さんのお客であった彼は、私の水揚げの話を小耳に挟んだらしく自らその役を名乗り出てくれた。どうしてかと問うと「まめには幾度となく世話になったからね」と、また貴方は笑顔を浮かべた。
「ああ。朝雲には会いに来ていたんだが、確かに君と会うのは久方振りだったか。元気にしていたかい?」
「……はい」
「どうかしたのかい? 随分と堅苦しいようだけれど」
「青木様に水揚げをしてもらえるとは思っていなかったものですから緊張を、しているようです」
これは本当のこと。ずっと慕っていた貴方に水揚げされることに張り裂けそうな程に胸が高鳴っているもの。でもそれ以上にこの胸中を埋め尽くすもので上手く笑顔が作れない。
「大丈夫さ、そんなに緊張しないでくれ。君の緊張が僕にまで伝わるようだ。そうだ、少し話でもしようか。遊女としての名はもう貰ったのかい?」
「はい、夕霧と」
「霧に隠れる夕陽か、美しい名だ。まめによく似合っているよ」
「そう、でしょうか?」
「そうだとも。君はどこか儚げな印象があるからね」
「青木様にそう仰って頂けるのなら、今後胸を張って夕霧を名乗れそうです」
「ああ、君にこの上なく似合いの名だよ。でも、そうか……まめもこれから遊女として客を取ることになるのか。顔も知らない男共に少し妬いてしまうな」
「ご冗談を。朝雲姐さんに怒られてしまいますよ?」
「朝雲はこんなことでは妬かないさ。僕は彼女にとっていつまでも数多いる客の一人でしかないんだからね」
「そんなことは……」
「いや、いいんだ、まめ。ありがとう」
また貴方は笑う。私の前で貴方は笑顔しか浮かべない。私では貴方の弱さをさらけ出せる相手にはなれないのだと、寂しげに笑みを浮かべる度に思い知らされる。
「酒を注いでくれないか、夕霧」
「……はい」

行燈の火が吹き消され、貴方の手が肌に触れる。
(お慕いしておりました)
姐さん付きとなり貴方に出逢ったその日から、一日たりとも貴方を忘れたことはありませんでした。
声にしてはいけない想いを胸中で叫びながら、私は貴方の熱に身を委ねる。

5/11/2023, 1:12:41 PM

愛を叫ぶ

いやぁ
ちょっと、難しい

怒り
喜び
は叫ぶけど、愛を叫ぶ事は今までやった事が無い

あ、
子供が2才くらいの時、高さ5メートルくらいの遊具から落ちそうになり、ぶら下がった状態になった。

助けに行くまで、手を離すな!

しきりに叫んで、助けに行った。
よく、離さなかったなぁ

あの時は、背筋が凍る思いをしながら、遊具に登り、助けに行った。

私にとっての愛を叫んだのは、これだ。

5/11/2023, 1:11:35 PM

お題「愛を叫ぶ」



叫ぶほどの「愛」はない
あったところで叫ぶわけがない
なりふり構わず叫べるほどもう若くもなく
歳を重ねるほどに「愛」に「情」がついて来る
だから「愛」は叫べない

なんて
お題に反することしか思いつかない
結局はただのひねくれもの

5/11/2023, 1:09:22 PM

【愛を叫ぶ。】

君への想いを伝えられるならなんだって良い。
メールでも電話でも、手紙でも絵でも歌だって

どんな媒体だったとしてもこの気持ちは変わらないんだ。
早く、早く、君に伝えたい、今にも溢れそうなこの気持ちを

どんなシチュエーションだって言葉だって関係ない。
でも僕は君の表情が、感情が見たいから走って

全速力の後、呼吸が整い終わってもいない中で
僕は今、君に愛を叫ぶ。

5/11/2023, 1:06:36 PM

届いた、と。その一瞬、確かに思った。
 この喉をついた言葉にならない声が、あなたに。
 あなたと目が合った瞬間、幽かに揺らめく瞳の光が、見開かれてパッと強くなった。
 そこにある輝きは、ちゃんと、わかっていた。
 そのように見えた。
 それは繋がりだった。
 手を取り合うよりも、口づけするよりも。
 ずっと愛おしい、あなたとの疎通。
 言葉にならなくても、伝わる。
 あなたになら。
 あなたとなら。


 #愛を叫ぶ。

5/11/2023, 1:06:35 PM

素直な気持ちをぶつけられない自分が嫌い。心配かけたくない。

5/11/2023, 1:05:40 PM

#15 愛を叫ぶ。


「…と言えば?」

「世界のちゅ「はい世代」


追い詰められたときには
逃げるか、立ち向かうか、
選ばなくてはなりません。

でも案外、
自分の取った行動がどちらに当たるのか、
自分の希望を叶える為に必要なものが何か、
分かってないこともあるものです。

---


あの時。
突き放すことが出来ていたら。
もしくは困惑したフリで流せていたら。
直感で守らなきゃ、って思ったけど。

『 困っていることがあるんだよね』

結局のところ、
私の心が叫んだ愛と、
向こうからの愛は違っていたのだから。


私の取った行動は、
立ち向かっているように見えて、
思考停止した「逃げ」だったのだろう。

5/11/2023, 1:03:58 PM

「今日も愛してるよ。」
こんな甘いことを隣にいる愛しい人に囁く。
隣にいる愛しい人は、恥ずかしそうに顔を赤らめて「…私も。」と言った。それだけ。それだけ?って思われるかもしれないが、俺には…いや、俺たちにはそれだけで幸せだった。
のに…
「なんで…」
目の前には血だらけの愛しい人。信号無視の車と衝突しそうになった俺を助けてくれたんだと理解をするのに時間がかかった。救急車で運ばれ、俺には怪我がなかったのだが、愛しい人はそのまま帰らぬ人となってしまった。
「ねぇ、今日も明日も、ずっとずっと永遠に…」

      愛してる。
愛を叫ぶ。

5/11/2023, 1:03:21 PM

19時を過ぎた。
会社を出て駅までの雑踏の中を
人を避けつつ歩きながら
いつものアプリを開く。

今日のお題は……と。

「愛を叫ぶ。」

あいを?さけぶー?

私は思わず天を仰いだ。
こりゃあ今日のはダメなやつだ。

なにしろ愛だのと言われても
彼氏とは先月別れたとこだし、
そもそもこの都会のどこに叫べるような場所がある?
出題者は何を考えてるんだろう。

そんなことより週末の菅田将暉君の映画の予約のほうがよほど大事だ。

「銀河鉄道の父〜♪」予約完了っと。

私はスマホをバッグにしまって
あるき始めた。
前方が何やら騒がしい。
このあたりは先日、白昼堂々強盗事件があった辺りだ。
私は嫌な予感がして足を止めた。
前方の女性達が悲鳴を上げながら
こちらへ向かって走ってくる!

また犯罪だ!どうしよう!!
逃げようと思うのに間に合わない。
みぎに? それともひだり?

オロオロしている間に
犯人らしき男の姿が見えた。
黒いサングラスをかけ、全身黒い服だ。
どうして犯罪者っていうのは黒を着たがるのだろう。
これでは証言もなにも
参考になるわけがない。

男がみるみる近づいて、
勢い余って私にぶつかってきた。

刺される!!!!
私は咄嗟に目をつぶった。


「ごめん、だいじょうぶ?」

え?恐る恐る目を開けると
そこには心配そうに
サングラスを持ち上げて
私の腕をとる


菅田将暉?!!!!


きゃあああああ!!!
すだくぅーーーーん!!
すきーーーーー!!!!!

私は思わず菅田将暉くんに抱きついたっ!


あ、あったわ。


      愛を叫ぶシチュ。

5/11/2023, 1:03:18 PM

いつもの彼の住むアパートのいつも通りの彼の部屋。
整頓されていない部屋に2つだけある座布団のうちのひとつに座って見馴れない彼の背中を眺めていた。

私は大学3回生の冬に同じサークルの1学年上の先輩から告白されて付き合い出した。
なんであのタイミングで告白してきたのか聞いたら、卒業前に後悔したくなかったと言われた。

学生時代に寮生活をしていた彼は、隣の市にある中小企業に就職して一人暮らしを始めた。

いつもと変わらない部屋なのに、居心地が悪い。

昨日のLINEからしておかしいのだ。
いつもなら彼の家に行くと伝えると『はいよー』か『用事ある』の二択なのに、やたらと到着時間を訊いてきた。
彼は時計とは無縁の人間だと思っていたから、怪しいと思ってはぐらかした。

さっきだってそうだ。
アパートに到着して彼の部屋のチャイムを鳴らしたら、ドタドタと物音がしてからタンクトップにボクサーブリーフ姿の彼が出てきた。
これはいつも通りなのだが。
すると、彼はちょっと待っててと言い残してすぐに扉を閉めた。

怪しい。

2、3分して彼は戻ってきた。
ワイシャツにデニムという出で立ちで現れた彼は、視線が合わずそわそわとした様子だ。

「ねえ、どうしたの?」

ここ1年は彼がワイシャツを着た姿なんて見た記憶がない。

最後に見たのは、休日に急に彼の職場から電話がかかってきた時だと思う。
あの日はスラックスを摺り上げながら出ていった彼が戻るのを彼の部屋を掃除しながら待っていたが、2時間経ってから『ごめん、遅くなる』とだけ連絡があり、呆れて返信もせずに帰った。

そんなことを思い出していると、部屋に上がるように促されて今に至る。

「ねえ、どうしたの?」

私はティーバッグが入ったままの見馴れないカップから立つ湯気を見ながら尋ねた。

「んー?ちょっと待ってて」

彼は慌てたように机の引き出しを上から順に開けて漁っている。

「はぁ」

つい溜め息が口からこぼれたが、彼はそれにも気付かない様子だ。

いつもそうだった。

彼はいつもだらけてて、そうじゃない時はいつも何かに精一杯。
なんだか子供を持つ母親を疑似体験しているみたいで。
嫌気が差す時もあるが、結局彼を憎むことができないし、いつだって目が離せないのだ。

「あ!」

彼の声に引き戻されて声の方を向くと、彼は目を爛々とさせてこちらを見ていた。

「え?どうしたの?」

「誕生日おめでとう!」

目の前に差し出された彼の手には深緑の小箱が乗っていた。
中に入っていたのはシンプルだけど、優しい雰囲気を持ったエメラルドのネックレスだった。

「あ、りがとう」

「どういたしまして!いつもありがとう。愛してるよ」

あまりに驚いていると、不安そうな彼の目が私の顔を覗き込んできた。

「どうしたの?」

「誕生日、来月だよ」

「え?あ!どうしよう。レストラン予約しちゃってる!」

落ち着きのない様子の彼を見て、問題はそこなのかと呆れてしまった。

「予約した場所と時間は?とりあえず着替えてくるからあなたもデニムはやめてよ」

「わかった!ええっと、時間は……何時だっけ?ちょっと待って!場所はあの、一昨年行ったホテルの所で―――」

見えない何かに悪戦苦闘してる彼を見ながら、手の中にあるネックレスに合う服を想像したのだった。

5/11/2023, 1:02:54 PM

愛を叫ぶ。
愛にも色々あるんだけど
まずは誰に叫んで
何を目指していて
何故叫んでしまったのか
叫んだ愛とやらは何をもたらす
それを聴いたものは愛だと思うのかな

愛だと思っていたものを叫んだところで
叫んだそのものは愛するものには
すでに愛ではなくなってるじゃない
愛が何かによるとは思わなくもないけど

何かを伝えようとしたら
それは変質する
その相手が決めていくことだから
それがどの様なものであれ
そのままの形には留まれない

愛を叫ぶって行為自体がただの迷惑
愛とは伝えるものじゃなくて
伝わるものなんじゃないかな?
その愛とやらに到達するまでは
それが愛だとは判らない
もちろん伝えようとするのはいいけど

何を愛だと思っていようが
叫ぶって行為は
叫んだあなたの為のもので
伝えたい誰かの為のものではない
相手に伝わるように伝えないと
それはただの叫んでるだけで
愛ではない

言葉も行動もそれそのものを表せない
伝えれるものはその相手のもので
あなたのものではない

探し出して貰えるように
色々やってはみても
それがどう届いてるのかは判らない
あなたに判るように
相手も伝えてくれたらいいね

5/11/2023, 12:54:51 PM

愛を叫ぶ。


愛を叫ぶ、なんてベタなこと
今じゃあまり聞かなくなったな。
昔はあったのかもわからないんだけどさ。

愛、それって人間が人間に抱くだけじゃないよね。
動物、植物、物質
あらゆるものに愛しさを感じることがある。

そのうちAIの人格に、思わず愛を叫んじゃったり?
なんてね。

5/11/2023, 12:54:00 PM

―愛を叫ぶ―

私が愛を叫びたい相手って推しさんしかいない。

だから今日も推しさんに愛を叫ぶ。

推しさんの全てが好きです。

一生愛してまーす!!!

5/11/2023, 12:51:55 PM

私は小さい頃から好きになると、みんなからバレバレだよ。とよく言われたもんだ。ここ10年ぐらいいい人に恵まれず、恋というのがわからなくなってしまった。
恋❓愛❓それの区別もわからなくなってきた。
昔、ドラマで、世界の中心で愛を叫ぶのDVDを買った。
久々にそのドラマをみた。あーなんて美しいんだろう…と思った。最近、気になる男性を見つけた。。それが愛なのか恋なのか…その男性はとても爽やかで明るい人で人なっこくて面白い人。友達にきいたらそれが恋なのよ。かっこいいし、優しい、あまり喋らないけど、みていて飽きない。私はこれが愛かもしれないけど、叫びたい。好きです。付き合ってくださいと叫びたい。
好きです。付き合ってくださいと叫びたい

5/11/2023, 12:50:02 PM

可愛いなあ

僕は絶賛片想い中

相手は同じクラスの〇〇さん
大人しめの性格で笑った顔がちよー可愛い。

STが終わった。
続々とクラスのみんなが出ていく。

僕は委員会があったから残っていたら
気がついたらみんないなくなってた。

ふと外を見ると、〇〇さんがいる。

「やっぱ可愛いなぁ」

ぼーとしていると〇〇さんはいなくなっていた。
帰ったのかな?

僕はもうほとんどの人がいなくなったことに、
気を抜いたのか
気づいたらこう叫んでた

「やっぱ〇〇さん好きだなぁ」

すると後ろから音がした。
そこには〇〇さんがいた。

僕は恥ずかしすぎて声が出せなかった。
〇〇さんは顔を赤らめて、

「わ、忘れ物しちゃって、、/////」

〇〇さんは忘れ物を持って走っていってしまった。

「やっちまった」




9回目

5/11/2023, 12:47:26 PM

世界の中心で愛を叫びたい!と路上ライブをしていた男二人組が歌っていた。ばかやろう、フラれたこともフったこともない充実した毎日を送ってるやつほどそう言う綺麗なことを言えるんだ。フラれたばっかりの僕は募るイライラとやるせなさに無意識のうちに通学カバンを胸に抱え歩いていた。
「いや……俺らって、ただのセフレだよな」
苦笑いを浮かべ言われたその言葉に「ウン」と答えるしか僕は出来なかった。彼にとって僕はずっと前から"ただの"セフレで"ただの"おもちゃに過ぎなかったのだと知った。
「彼女と結婚するから、…もう会うのやめてくんない?」
彼にとって僕は迷惑でしかなくて、僕にとって彼は心の拠り所でしかなかった、僕の縋れるたったひとつの場所。
「っ愛なんか、知ったもんか、ばぁーかぁ!」
ふえあ、と嗚咽が漏れて体を前に倒すとさっきよりも汚い嗚咽が出た。真夜中、東京の郊外、人の居ない道路。だれも泣くのを邪魔する人は居なくて、足を引き摺る様に歩いた。
愛なんて信じないからぁ。と声を漏らす。

「もういいよぉ……だれでもいいから…僕を抱いてよぅ」

ラブホ街をあるいた、多少熱気のある道を軽く汗を流して、号泣する男にソウイウ目的の奴らは寄ってくる。
世界の中心でこう叫びたい「愛なんて信じてやらない」。

5/11/2023, 12:46:52 PM

#愛を叫ぶ。

       なにか聞こえる。
  ピッ.....ピッ····       ピッ····ピッ....

       機械音みたいだ。
  ピッ·····ピッ......      ピッ.....ピッ····
   
     「あなッたっッ、聴こえてますか?」 
 グスッ....グスッ·····       グスッ.....グスッ····· 

   あぁ···、あぁ、聴こえている。そうか···
 もう···話すことも、目を開けることもできないのか

    泣くな·····いや、やっぱり泣いてくれ。
       別れを惜しんでくれ、

      涙の深さで愛を叫んでくれ。

5/11/2023, 12:46:06 PM

早いものだ。久保樹(いつき)と私、間宮有希が付き合いだして5年になる。

樹は、その方が毎日が大切で新鮮だから「1年間だけ付き合おう」と毎年言うのだと言った。「バカみたい。そんなのヤメヤメ!」の私の一言で3度目はなかった。
樹は本気で毎年やろうとしてたらしい。
呆れて何も言う気になれない。

樹と私は大学生になった。同じ大学に通っている。
言っておくが、断じて合わせたのではない。
たまたま志望大学が同じだったのだ。

相変わらず樹は優しい。
私が腹が立つことがあり、文句を言っていても「うんうん」と穏やかにきいている。

一度、聞いてみた事があった。
「ねえ、私、樹が怒った顔って見た事ないんだけれど、腹立つ事ってないの?」と言うと
アイスコーヒーを飲んでいた樹が、困った様に「うーん」と言ってから軽く5分は考えてから「ないと思う」と言った。

「たとえば、そうやってアイスコーヒーを飲んでる時にそばを通った子に熱いコーヒーかけられたら?」と言うと「わざとじゃないんだから、しかたないよ」と言う。
「じゃあ、すれ違いざまに転んだ人が樹のお気に入りの服を掴んで破ったら?」
「それは悲しいけれど、布は破れるからね」

私はだんだんイライラしてきた。
「なんで、腹が立たないのよ!!」と言うと、樹はアイスコーヒーにむせながら、コンコンと咳をして「……なんで有希が怒るの?」と言った。
私は呆れて、もう何も言う気がしなくなり、残りのアイスティーを飲んだ。

「僕、何かまずい事言った?」と言うので
テーブルに顔を伏せたまま「何もありません」と言った。
そうなのだ。樹は優しい。
こんな私に、本当に優しい。

すると樹は「ねえ、今年で有希と付き合って5年目だから、今年のクリスマスは、ちょっと贅沢なお店で食事をして、お互いプレゼント交換しようよ」と言った。
それは、私も考えていた。先を越されちょっとムッとなった。

でも、それを言うのはあまりに大人気ないので「うん!私もそう思っていた!」と言うと、樹は嬉しそうに「じゃあ、決まりだね」と言って穏やかに笑った。この笑顔だ。
私は樹の、この全てを包み込むような笑顔に弱いのだ。

そして、それから私は、テストでもここまで真剣だったか、と思うくらい、樹へのプレゼントをひたすら考えていた。

ありきたりの物じゃだめだ。
だって、記念のプレゼントだもの。
バイト代を貯めていたのでけっこうな金額の物でも買える。いやいや、金額じゃない。
気持ちのこもった物でなきゃ。
そして、出来たら身につけてもらえる物がいい。
ベッドの上をゴロゴロしながら熱が出そうなくらい、考えた。

結局、男の人が身につけていてもおかしくない物、という事で、腕時計にした。
ーあんなに考えたのに、ありきたりじゃんー
そう思いながら、それでも樹に似合いそうな腕時計を真剣に選んだ。

その日、私は樹と初めてクリスマスに出かけた時の、襟のたっぷりしたモヘアのタートルネックのセーターを着て、初めて樹にもらった、雪の結晶のネックレスをつけた。

待ち合わせの場所に、やはり樹はもう来ていた。いつもそうだ。樹は時間よりかなり早く来る。そしてこれもいつもの事で「お待たせ!」と私は言う。

「ううん、僕も来たばかり」と樹が言い、ウソばっか、と思いながら、並んで歩く。

そこはホテルのレストランで、かなり高級そうだった。お金は多めに用意したけれど(私と樹は、私の提案で必ず割り勘なのだ。樹は渋々承知したのだけれど)足りるかな、と少し心配になった。
樹は、そんな私の心中を察したかのように、
「ここ、見た目のわりにリーブナブルなんだよ」と言った。

店内に入り、コートを脱ぐと、樹は初めてのクリスマスプレゼントの、私の編んだネイビーブルーのセーターを着ていてくれた。
びっくりして「そのセーター、まだ持っていたの?」と聞くと「有希だって、僕のあげたネックレスをしてくれているよ」と言った。

メニューを見ると、樹の言うとおり、案外そんな高いものばかりでもなかった。

こうして、テーブルを挟んで座っていると、あの時のことが不意に蘇る。1年だけ付き合おう、と言われていたので、最初で最後の一緒のクリスマスだと思って、胸が詰まって嬉しいのに淋しかった事。

デザートを食べ終わり、コーヒーを飲んでいる時、私は「はい、これ、プレゼント!」と言ってプレゼント用にラッピングされた、腕時計を渡した。実は樹は物を大切にするので、今している腕時計もずいぶん古くなっているのだ。

「開けていいの?」と嬉しそうに言って、箱を開けて腕時計を見ると「嬉しいな。そういえば、この腕時計ずいぶんと古びているものね」と言うと、早速今のを外して、プレゼントした腕時計をつけてくれた。
かなり吟味した甲斐があり、それは樹によく似合った。「ありがとう。大切にするね」と樹はにっこりして言った。

樹は小さい箱にリボンがかかっている物を「はい、僕の気持ち」と言って微笑みながら渡してくれた。

わあ、なんだろう?開けるね?」と言って小さな箱をあけると、プラチナの小さなハートのついた指輪が入っていた。
そんな事思った事もなかったのでびっくりして、すぐにお礼が言えなかった。

「気に入らなかった?」と不安そうに樹が言う。やっと口が聞けるようになり、「指輪って、いつサイズ知ったの?」と私はお礼も言わずに間の抜けたことを聞いた。

すると樹は「2年目に雑貨屋さんで、有希がかわいいな〜、って言って指輪をはめたじゃない」と言われ、よくやく思い出した。

そうだ、あれはデート中、可愛い雑貨屋さんがあったので入ってふざけて指輪をしたのだ。
ー覚えていてくれたんだー

指にそうっとはめてるとサイズがピッタリだった。指輪をはめた指がやけに重く感じた。

「ありがとう、一生大切にするね」と心を込めて言った。

すると樹が「僕は、有希とずっと一緒にいたいから、婚約指輪のつもりなんだけど」と言った。ハッとして顔を上げるといつになく、真剣な顔をしていた。

「まだ若いし学生だから有希はゆっくり考えて」と穏やかに微笑みながら樹は言った。

お店を出て、並んで歩きなら、私はいつもより無口だった。

そして、いつも別れる場所で、反対側に渡った私は、暗い道を戻っていく樹に向かって「謹んでお受けしまーす!!」と叫んだ。

すると、樹が振り返り手を振るのが見えた。
ぶんぶんとやたら手を振るので、可笑しくて笑いながら涙が溢れた。

5/11/2023, 12:41:47 PM

愛を叫ぶ。

世の中には、愛を求めても得られない人がいる。人間の愛は自己中心的で、自分のためにならない人を愛することはない。愛されない人はどうするのだろうか?愛されるように努力するしかないのか?自分を犠牲にして献身的に生きることが要求される。しかし時にそれは単に相手に利用されているに過ぎないこともある。利用されるからにはそこには目的があるはずだ。その目的がなんであるのかを見極めないと、せっかくの愛も他の人からは変な目で見られることもある。小さな愛は大きな愛には敵わないと思う。

5/11/2023, 12:38:19 PM

テーマ:愛を叫ぶ。 #179

学校の屋上に久しぶりに立った。
あの日以来だな。
この景色。

屋上から見下ろすと
たくさんの大人たちが集まっている。
みんな僕の同級生。
大好きな仲間たち。
久しぶりに見るみんなの顔を見ていると
何処か面影が残っている。
年はとっても変わらないものだなと思う。

あ、僕が好きだった南さん。
僕は彼女を目で追った。
僕はあの時、彼女に愛を叫んだ。
この屋上で。
幸せだったなあのときは。

今は声も姿も見えなくなってしまったけど、
もう一度だけ届いてほしい。
もう一度、愛を叫ぶ。

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