世界の中心で愛を叫びたい!と路上ライブをしていた男二人組が歌っていた。ばかやろう、フラれたこともフったこともない充実した毎日を送ってるやつほどそう言う綺麗なことを言えるんだ。フラれたばっかりの僕は募るイライラとやるせなさに無意識のうちに通学カバンを胸に抱え歩いていた。
「いや……俺らって、ただのセフレだよな」
苦笑いを浮かべ言われたその言葉に「ウン」と答えるしか僕は出来なかった。彼にとって僕はずっと前から"ただの"セフレで"ただの"おもちゃに過ぎなかったのだと知った。
「彼女と結婚するから、…もう会うのやめてくんない?」
彼にとって僕は迷惑でしかなくて、僕にとって彼は心の拠り所でしかなかった、僕の縋れるたったひとつの場所。
「っ愛なんか、知ったもんか、ばぁーかぁ!」
ふえあ、と嗚咽が漏れて体を前に倒すとさっきよりも汚い嗚咽が出た。真夜中、東京の郊外、人の居ない道路。だれも泣くのを邪魔する人は居なくて、足を引き摺る様に歩いた。
愛なんて信じないからぁ。と声を漏らす。
「もういいよぉ……だれでもいいから…僕を抱いてよぅ」
ラブホ街をあるいた、多少熱気のある道を軽く汗を流して、号泣する男にソウイウ目的の奴らは寄ってくる。
世界の中心でこう叫びたい「愛なんて信じてやらない」。
5/11/2023, 12:47:26 PM