『快晴』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
冬のよく晴れた青が好きだった。
夏ではだめだ。春も、秋も、違う。
肌を切り裂くように冷たい風の中、けっして届かない、高い薄い青がよかった。
遠いというのがどういうことか、わたしはあの青に知ったのだ。
君が最後に、わたしに笑ったあの快晴に。
#快晴
春はなかなかに忙しく、二人揃って同じ日に休みを取れたのは、葉桜の頃のこと。
花見に行こう、と約束して取った休みだったのだが、あの冬の寒さは幻覚だったのでは、と思うほどのポカポカ陽気な彼岸のせいで計画は台無し。
あっという間に近場の桜が一斉に咲いたかと思えば、みぞれ混じりの雨が降り、台風並みの風が吹いて……文字通り、秒で散ってしまった。
朝のニュースを見て崩折れたのを、なだめすかして仕事に行かせるのに苦労したなぁ、と卵を焼きながら思い出し、一人苦笑する。
既に炒めて皿の上で冷ましていたタコさんウインナーと唐揚げの横に卵焼きをポロンと転がして四つに切る。
おにぎりも握ったし、後は詰めるだけだ。
我ながら上出来と自画自賛していると、おはようと眠そうに欠伸をしながら、キッチンのカウンターにやって来た。
どうやら花見は「おじゃん」になったと思っているのか、カウンターでダラダラと新聞の4コマ漫画を見出す。
花見に行くよ、と言ったら君はどれだけ驚くだろうか。
全ての桜が散ったわけではない、これから開花を迎える種もある。
ワクワクしながら君の名前を呼んで、うん?と上がった顔の、口めがけてタコさんウインナーをシュポンとぶちこんだ。
テーマ「快晴」
心が晴れすぎたら、怖いような気がして
雲がちょっとあるほうが、いいような気がして
お題:快晴
1年前、
冬
快晴の空
下校中に、
「好きって言って」
彼女が言ってきた。 「好きだよ凄く。」と即答。
そのまま彼女の家に連れ込まれて
従順に従って
ベッドの温かさも 貴方の目線の柔らかさもすべて覚えている。
私は従順に従うだけ
感覚に、彼女のすることに、気持ちに
現在、
冬
快晴の空
下校中に、
もう彼女は私の隣にいなかった。
もう、何も残っていない。
寒さと指す日差しが、私を滅多刺しにして殺そうとしてくる。 もう何も残ってないのに、刺しても何も出てこないよ。
私にはもう、失うものがない
愛も忘れてしまった。
快晴なんて眩しいだけだ。
お題「快晴」
【快晴】
ピクニックに行こうって、言われた。晴れた日がいいって言ってた。快晴の風がそよぐくらいのちょうどいい日。
「今日は動いてもいい日?」
「適度な運動。動かなきゃ行けない日。」
身体が弱い彼女は外に出るのもしんどいはずだった。だから、外に出ることも少ない。それなのに、彼女がここに来たってことはそういうことだ。
「ここに来た理由、聞いてもいい?」
「いいよ。」
理由を聞いた後に彼女の命を奪った。仕方のないことだった。きっと、こうするしかなかった。彼女の願いを叶えただけ。
※ポケモン剣盾二次創作・マクワとメロンとセキタンザン
土砂降りの雨を初めて見た。大きな邸宅の一室、閑静な母の部屋の中。音も立てないその雨は、普段凪のように青く澄み切った母親の瞳に暗雲をもたらし、頬を濡らしていた。
ぼくは逃げるようにその場を後にした。もちろん、音を立てないよう細心の注意は払った。
いつだって勇ましく、試合中、たとえ最後の一体となり追い詰められてもその大きな瞳を輝かせるあの母が、まさか泣いているなんて思いもよらなかったのだ。
原因がぼくにあることはわかっている。朝、ぼくは母に自分の本当の意思を告げた。
いわポケモンに憧れていて、いわ使いになりたいのだと言い、そして既にその第一段階として、タンドンを連れていることも伝えた。これからいわジムの門戸を叩くことも。
あわよくば、笑って背中を押してくれるというのは、ほんの僅かばかりぼくが抱いた小さな希望的観測だった。だがしかし母が相当自分の跡継ぎに関して入れ込んでいることはぼく自身が何より、おそらく世界で一番身をもって知っている。
ぼくはこの世に生を受けた瞬間から、その祝福は全て立派に母の座を継ぐためという理由を紐づけられた条件付きのものだった。
その代わりガラルでトレーナーを志す同級生や、上級生に後ろ指を刺されたことは数えきれないし、羨望を向けられることも少なくはなかった。
一流選手である母のことは、当然誰もが知っている。その長男がぼくであることも。
魂を切り売りするような複雑な環境の中、母がその身で蓄えた知識と経験全てを直接その身で学ぶことが許されていたのだった。
だからこそぼくは将来こおりタイプのジムリーダーになることが決まっていた。
ジムリーダーという職業に就ける保証は、ガラルのトレーナーであればのどから手が出る程欲しいものに違いなかった。
もちろん母は身内だからといって容赦をすることはない。ガラルリーグは実力主義の厳格な場所だ。もとより自分のジムのトレーナーにさえ厳しいと評判のひとだ、跡継ぎと決定している相手に手を抜くことはしなかった。
今思えば幼い子供にさせることだったろうかと首をかしげたくなるようなものもあった。とにかく、凍えるような冷たさはぼくにとって母の代名詞となった。
そう思っているのも、おそらくこの世界でぼくひとりだろう。いや、こおりタイプのジムトレーナーであれば多少は理解してくれただろうか。
しかし母は、時に恐ろしい程の甘やかさを押し付けることで、ぼくから何もかもを奪おうとした。
自分の連れているバディを、ぼくのバディにしようとしたのだ。
母は自分の思うがままだったが、ぼくはなんとかそれにしがみ付いていた。そうしなければ失望されて何もかもを失うと、本気で思っていたこともある。
幼い子供だ、母親に見捨てられて、しかもポケモンさえ連れていないとなればどこにも行き場は失う。寒いキルクスの中でひとりで生きられるはずがない。
けれど初めて母がラプラスをぼくに譲るのだと言った時、ぼくの脳裏に浮かんだのは、初めてのポケモンを自分で選ぶこと、あるいは捕まえること、その経験が奪われてしまうことだった。
ぼくはぼく自身の新しい経験を刻み、そして絆を深めた相手と一緒に居たかった。
きっと母のラプラスをぼくがバディにしてしまえば、また母はラプラスに対してもっと良い方法があるなどと言って強く口出しをしてくるだろうことは、手に取るように想像が出来た。
母が自分の育てたラプラスを譲られてしまえば、何もかもを失ってしまうと思った。それはもはや、スタイルの押し付けに違いなかった。
ポケモンが嫌いなわけではない。こおりポケモンのことも、繊細で美しく、そして特有の強さをもった彼らを尊敬していた。
リーグを席巻するようなポケモントレーナーにはなりたかった。ぼくであれば必ずなれるだろうという自信も少なからずあったのだ。
だが、とにかく母のやり方に「No」を突きつける必要があると思った。それも早急に。
でなければぼくがぼくでなくなる。枷付きのぼくに、呼吸が出来るとは思えなかった。今でさえ、母のやり方についていくことは簡単ではなかったのだから。
それからぼくが行動に移したのはあっという間の事だった。こおりに強いポケモンをぼく自身の力で手に入れた。
そして、ぼくはとうとう母の元から離れたい、いわタイプを極めたいのだと母に告げることが出来たのだった。
当然のように母は絶対零度で怒ったし、ぼくもそれに対抗した。絶対に譲らない硬い意志を示した。母は自分の部屋に戻っていった。その向こう、廊下の先にぼくの部屋があったので、半分だけ開いたままの母の部屋の扉を覗いた。
そこで見たのが、母の降らせた雨……もとい、涙の姿だった。
気丈で強く気高い母が、明るくて優しく頼もしいあの母が、まさか泣いてしまうだなんて。そしてその原因がぼくだなんて、信じられなかった。
口の中が乾き、それから胸の奥の方に震える熱くて重たい塊のような何かがあった。それが何なのかはわからなかった。ただ、暗雲はぼくの心にも分厚く立ち込めていることだけは理解した。
ぎゅっと口を結び、母の部屋を後にした。それから荷造りの仕上げをして、いわジムの下へと飛び込むつもりだった。
ばたんと部屋の扉を閉ざし、既に衣服や荷物が詰められた鞄を見ようとした。何かの角を思いきり踏みつけてしまい、痛みに呻きながらベッドの中に顔を押し付けた。
普段なら綺麗に整理しているはずの部屋の床の上に、無造作にものを置いて捨てていたぼくの自業自得だ。大きなテレビの電源が入り、画面はトレーナーの試合を映し出している。
スタジアムの中、キョダイセキタンザンが大きく吠えると無数の岩が現れて、相手の周囲を囲っていく。
もくもくと上がる煙はキョダイマックス・エネルギーを受けた赤い色とともに、彼自身の黒雲の色を保っている。
ぼくは思わずじっと見てしまう。キョダイセキタンザンはその大きな身体で苦手な水さえ受け止めて、たちまちスピードを自分のものにしてしまった。その鮮やかさと猛々しさが、きらきらと輝いて映る。こおりタイプのポケモンでは持ちえない耐久の力と、熱が生み出す力強さ。
あまりにもカッコよすぎて、ぼくの目は虜だった。
ぼくがテレビを見ていたことに気が付いたのか、ボールからタンドンが現れて、彼もいっしょになって画面の釘付けになる。いつもだったら叱るところだが、ぼくにはそんな余裕すらもなかった。
ただただセキタンザンのすごさに圧倒されていたのだ。
「……タンドン。ぼく……きみとこういう風になりたい……。どうかな……?」
見下ろしたタンドンの赤い瞳は、ごうごうと燃えていて、画面の中で岩を生み出した時のセキタンザンの色そっくりだった。ぼくは同じ気持ちを抱いてくれていると確信した。
ぼくは彼を利用する。母の檻から逃げるための、硬くて小さな鍵として。
そして氷を打ち砕く立派な岩石として。
「……うん……。ぼくはまだ……その……何て言っていいかわかりません。うまく言葉に出来なくて……。でもいつかぼくの心が……きみともう一度ちゃんと話せる時……。
必ずきみに伝えてみせるから……だからぼくの隣で……今一度バディになってくれますか」
タンドンはその小さな体で頷いてみせてくれた。もう十分すぎる程で、ぼくの胸の奥に溜まっていた温度がごうごうと溢れんばかりだった。
でも零してはいけない。ぼくはさっき見た母の降らせた雨を思い出して、目を瞑った。
瞼の裏に描くのは、真っ蒼に広がる空と吹き抜ける白い雲の下にいるぼくと、セキタンザンだ。天気晴朗の日、ぼくとセキタンザンは一緒にトレーニングをする。
バディはセキタンザンだ。きっとどんよりとした曇天みたいな煙がぷかぷか浮かんでしまう時もあるだろう。それでも、ぼくは描く。
晴天の強い日差しの下、蒸し暑くてすぐバテてしまうような場所で、セキタンザンの熱がさらにぼくの居心地を悪くしてしまうような島の上で、ぼくたちは訓練をしたり、時にはポケモン勝負をするのだ。
そんな毎日が当たり前になる時は、必ずやって来るのだ。その時にはきっといわジムの立派なジムリーダーを務めて、メジャーリーグの中心選手になっている。大丈夫。
ぼくの、ぼくたちの夢は、怒られるようなものでもなければ、哀しいものにもさせやしない。
母の双眸にも再び気持ちのいい輝く蒼穹がやってくる。いや、必ず呼んでみせる。
それはいわタイプの魅力をもっとぼくの言葉で、身体で伝えられるようになった時だ。
それこそが母の夢を捨てて雨を降らせたぼくに出来る、最上級の親孝行だから。
#快晴
綺麗な青空広がり暖かな太陽の日はとても気持ちがいい。
4/13日分
快晴が続く日、夏の熱い空の下空気を裂くような叫び声が聞こえた。電車が揺れ、赤い液体が散る。君が飛び出した先では白昼夢を見ているかのような現実とは思いたくない惨状が巻き起こっていた。
快晴の下見つめる先では君が笑っていた。
夏は、特に晴れの日は嫌いだ。陽の光は頭に当たると脳蒸し焼かんばかりの熱さで帽子被ってもなおサウナの様な蒸れが襲う。右手に持った温度を持っていく天然水のペットボトルは熱中症までのカウントダウンを始めそうだ。
石段を一段一段登りながらこんな日にこんなことをしなければならないのか考えた。先ず今日の目的たる彼女に思いを馳せると「わたしのために頑張っている先輩かっこいい流石です一生貢ぎます」などと鼻息荒く語る姿が目に浮かんで吹き出しかけた。
石段を登り切ると右を向くとお地蔵様が見えた。なんとなく会釈しながら通り過ぎてバケツを借りてウロウロと知った名を探す。そしてー―
「わかんねえ」
その石の前に立つ。今だに実感が湧かない。でも紛れもなくそこには馴染みのあるなまえが刻まれていて。
長く息を吐きながら桔梗を瓶に挿す。そして恨めしいくらい快晴な空は桔梗と同じ色をしていた。
――桔梗って一途な女性の象徴らしいですよ!!わたしこの花にピッタリの女になります!!
蘇るのは初めてのめての交際で狼狽して俺が二人きりになるのを避けていたとき、高らかに宣言した姿。頑張るのは俺の方だと言っても「相思相愛じゃないですか一層燃えますね!!」とか言って聞かなかったのはいい思い出だ。
視線を墓石に戻すと視界がぼやけていた。涙が滲んでいたのだ。自覚したら涙が、思いが決壊したように溢れる。
初デートの水族館、絆創膏を貼ったらやる気が出すぎて翌日ダウンしたこ、ハートのストローを勧められて死んでも嫌だと断ったこと――そして卒業旅行乗ったバスが事故にあったこと、目覚めたらクラスで生き残ったのは数名だったこと、自分だけ助かったこと。一緒にやりたいことがいっぱいあったこと。
その後、暑さも忘れて泣き続けた俺は熱中症で倒れてやっぱり夏は嫌いだと再確認した。
でも夏の青空を、特に快晴の空を好きになった。
こんな晴れた日は!と君がカーテンを開け嬉しそうにこちらを見て訴えている。
『、、ど、、っか、いく?』と僕が聞けば
ぱあああ
「本当⁈やったー!!」
お出かけっ!デートだデートだ!と
ぴょんぴょん跳ねている。
『ふっ(かわいいな笑)』
朝からこんな、元気だな笑
と見てたら
「なにしてるの早く準備しなきゃ!!」
『はい笑』
あそこのカフェの新作も気になるし、暖かくなってきたからブラウスとかほしいしと歯磨きしながらぶつぶつ言ってる君が今日も最高に愛おしい。
天気ありがとう(笑)
電線の上にカラスが止まっていた。
濃く青い空に、黒い姿が映える。
道路にはまだ雪が残り、息を吐くと白く煙る。
天高く馬肥ゆる秋などという。
秋で相当高いのだから、冬はもっと高い。
春が近づいていても、この地方ではまだ高い。
空気は冷たく澄んでいて耳が痛くなるほどだ。
道には車もなく、静かだった。
考え事には打ってつけの静けさ。
青い空に、寒さのなかに、なにかの答えを見つけてしまいそうになる。
それが嫌で、私は首を振った。
カラスは飛び立って、遠くどこかへ。
家まではまだ遠い。
#快晴
やっと仕事が終わった17時
仕事中ちょっとiPhoneが気になったからロッカーで見てたらやっぱりメールが入ってた
仕事が終わったらメールを返したけど、相変わらず変なことを言う
食べたらいい?って何?
ご飯?
貴方はいつも私を断ってる、そんなこと言われても仕方ないじゃん。
また明日も来るんだろうなぁ?
でも今だからメールができるけど夜も仕事しだしたらメールができない
今はお金がほしい。
前までは貴方に会いたいから頑張ってた
でも今は違う、ただお金がほしい。
何でこんなことになったでしょ?
最初は友達って言ってたのに
いつの間にか恋とは
永久に会えないと思って。
このまま友達でいようね
「はぁー」
吐いた息は白い水蒸気となり、風に流され空へと昇り消える。
雲一つない宙の下、ベランダから街の灯りを眺めながらふとあの頃を思い返す。
「あの子達、今頃何してるんだろうね。」
と、後ろから高校の頃の横居先輩が口にする。
「そうですね、」
と、彼方は寂しそうに返す。
「中入らないと風邪引くよ。」
そう言われ
「あー、もう少しだけ観てようかなって、」
と、彼方はまた寂しそうな表情を浮べる。
「それっ!」
急に横居が彼方の後ろから抱き着く。
「ッ?!せっ、先輩やめてくださいっ、」
と、頬を赤く染め上げた彼方は抵抗する。
「あれれ〜彼方くんわたしはもう先輩じゃないんだよ〜?」
と、そんな彼方を揶揄う樣に吐息混じりに耳元で囁く。
横居は、恥じらう彼方の表情を見て満面の笑みを浮かべていた。
「ねぇ、彼方。私、中学の頃好きな人が居たんだ。」
と、横居は先程までの笑顔とは対象的に物憂げな表情を浮べながら話し始めた。
「その人はね、クラスの人気者っていう感じじゃなかったけど凄く真面目で優しくて、いつもヘナヘナしてるのにカッコ良くて憧れの人だった。」
と話し
「何か良いですね。そーゆーの。」
と、彼方は少し微笑みながら聞いていた。
「彼は東京の高校へ行く事が決まってたから卒業式の日に告白しようと思った。付き合えなくても伝えたかったんだ。でも、彼は卒業式には来なかった、、」
と、話し続ける横居の瞳を照らしそこから零れ落ちる涙はとても綺麗で、その横顔を眺めるだけしか出来なかった僕は劣等感を抱き仄暗い静寂の中にいた。
「ねぇ彼方。明日も、晴れると良いね。」
吐いた息が白くなる冬の宙には、北斗七星が泛びその時交わした接吻の味は、舌が溶けるほど甘く哀しかった。
日々の汚れきった心は曇って
決められた事をこなしてたら
誰かが言った
「それで君はいいかもしれない
でも、僕には君の人生は
楽しそうには見えない
心は苦しそうだよ」
その言葉を思うと明日は晴れそうだ。
窓辺で鳥が歌う 朝を告げるやうに
雲間に照りつく太陽が
旅立ちを誘う
あの日みた夢
あの虹の向こうへ
旅は終わらない
いつかまた会えたら
名を呼ぼう
嗚呼 今日は快晴のち虹
お題【快晴】
タイトル【果てなき旅を君と】
どうして今日はこんなにも天気がいいの?
今の私の心ってば、土砂降りの雨なのに。
今日の放課後、好きな子を呼び出して告白したけど、
失敗したし。
帰る時、石につまずいて転んだし。
自分の家の近くの犬も、ワンワンうるさいし、怖いし!
はぁー……もうやだやだ。
あの眩しくて暑っつい太陽が、私のグズグズになった地面を乾かしてくれたらいいのに。
あのもふもふの雲が、私の雨を残らず吸収してくれたらいいのに。
〜快晴〜
あの日快晴だった
私は君に呼び出されて
告白された
不思議と空に気持ちを押されて
付き合うことになった
ありがとう快晴
あの日は快晴だった
僕は好きな子を呼び出して
告白をした
彼女と快晴をみて
僕はさらに好きになった
ありがとう快晴
あぁときにはそこに
存在するだけで
いいものもあるんだな
《快晴》
#18
見上げた先。どこまでも広がるのは、青く青く澄み切ったそらだ。
なににも遮られることなく注いでくる陽の光が、いっそ肌に痛いほど。まるで夏のような陽気にうんざりしながら、微かに浮かんでいた汗を拭う。
雲のひとつも見えない青空は、まさしく快晴と呼ぶに相応しいのではないだろうか。
『快晴』
快晴が気持ちいいのは
悔しさの雨を知っているから
曇りの心地よさを知ったのは
太陽の眩しさに
息苦しさを覚えることもあったから
慈愛の雨に触れられたのは
快晴だけでは知ることのできない世界があることを
教えてもらえたから
すべて、私には
必要で
大切なことなんだ
快晴のような男の子だ
涼しい眼をして
よく笑う
大きな口をあけて
笑って喋ってご飯もどんどん食べる
その声は…声はどんなかな
もう今の声とは違うね
大人の男の低い声だ
長い手足を器用に動かして
何をしてる?
野球やってる?
やっぱりお父さんと同じくピッチャーかな
楽しみだね
〇〇君、あと十五年くらい経ったら
君はそんな感じかな
この澄み渡った快晴の空のような
爽快で闊達でおおらかな男子になると思うよ
それを私もしっかりと見届けないとね