電線の上にカラスが止まっていた。
濃く青い空に、黒い姿が映える。
道路にはまだ雪が残り、息を吐くと白く煙る。
天高く馬肥ゆる秋などという。
秋で相当高いのだから、冬はもっと高い。
春が近づいていても、この地方ではまだ高い。
空気は冷たく澄んでいて耳が痛くなるほどだ。
道には車もなく、静かだった。
考え事には打ってつけの静けさ。
青い空に、寒さのなかに、なにかの答えを見つけてしまいそうになる。
それが嫌で、私は首を振った。
カラスは飛び立って、遠くどこかへ。
家まではまだ遠い。
#快晴
4/13/2023, 3:25:10 PM