『幸せに』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
幸せに
誤解してるみたいだから教えてあげる。
トマトジュース(無塩)をぐびぐび飲む僕に、トマトの精霊が話しかけてきた。
トマトのこと。
トマトがなに?
トマトはね、果物なの。
野菜だろう。
それが誤解なのよ。確かに公的な分類では野菜になるけど、でも果物なの。
根拠は。
私がそう言ってるから。わたし、トマトの精霊だから。
イマイチ説得力がないな。 つれない僕の態度を見て、精霊は目に涙を浮かべた。そして大声を僕にぶつけてきた。
だって、小さい子どもたちはみんな、野菜嫌いって言うんだもん。おいしいのに。だからトマトは果物なの。絶対そうなの。
わかったよ。いいよ、それで。泣くなよ。 僕はティッシュを精霊に差し出した。精霊はそれで鼻をかんで、
あなた、なんでそんなにごくごく飲んだの?
美味しいから。
えっ?本当?
本当。
野菜だと思ってたのに?
うん。
へえ。そうなんだ。 精霊は途端に笑顔を浮かべた。
じゃあ、トマトは野菜でもいい。
なんだよ、果物じゃなかったのか。
うん。野菜。
はあ、と僕はため息をついた。
まあ、どちらでもご自由に。
うん。トマトは野菜。 精霊はもっと笑顔になった。
ありがとう。わたし今、すごく幸せな気分。
大げさな。僕は何もしてない。ジュース飲んだだけ。
うん。でも、ありがとう。
僕たちの行動は幸せにつながっているはずなのにこんなくるしくなるのはなぜだろう。
「前々回のお題で『ハッピーエンド』、どうにかこうにか書いたばっかりなんよ……」
なんなら2ヶ月前、1月4日、「幸せとは」ってお題も書いたな。某所在住物書きは相変わらず、過去投稿分とネット検索の結果に物語のネタを求めていた。
「ハッピーエンド」は思考実験ネタ、「この場合の『幸せに終わる結果』を求めよ」を書いた。
「幸せとは」では疲労困憊状態で帰ってきた父親を幸せにいたわる子供のほっこりを書いた。
去年の「幸せに」は、パワハラオツボネ上司がそのパワハラをトップに知られて、実質左遷の処分を食らったハナシの後日談を描いたようである。
「……このアプリに関しては、買い切りの広告削除オプションさえあれば、大多数が幸せになれると思う」
それは物書きの長年訴え続けてきた嘆きであった。
「だってこのアプリ12歳対象なのによ。広告……」
――――――
「さようなら。お元気で」
2024年から遡ること、約8〜9年前。春一番の風吹いた頃、ひとりの人間嫌いが、初恋のひとの前から完全に姿を消しました。
「どうぞお幸せに」
スマホは番号もアカウントもキャリアも総入れ替え。グループチャットアプリは完全消去。
居住区も仕事場も、遠い遠い場所へお引っ越し。部屋は引き払い家具は売却。手荷物は、トランクひとつ。
以下はこの人間嫌いが辿った、遅い遅い初恋と、ありふれた失恋話。その一端です。
…――まだ年号が平成だった頃。花と山野草溢れる雪国から、ひとりの真面目で優しい田舎者が、春風吹くに身をまかせ、東京にやってきました。
当時の名前を附子山といいました。
今は改姓して「藤森」になりました。
改姓の理由は前々回、あるいは前々々回投稿分あたりに書かれてるような気もしますが、
まぁ細かいことは気にしない、気にしない。
田舎と都会の速度の違いについて行けず、最初の職場は木枯らし吹く前に解雇となりました。
まずは都会の生活に慣れようと、挑んだ次の職場は人間関係と距離感の向かい風に吹き倒されました。
置き引き、スリ、価値観相違、過密な人口。
4年で4回転職して、4度目の転職先たる図書館で「人の心」を勉強しながら都会を少しずつ覚えて、やっと生活に慣れてくるまでに、優しい附子山は人間嫌いな附子山になっていました。
都会の悪意と時間と差異の嵐に、揉まれて擦り切れてしまったのです。
『元気無いね。具合でも悪い?』
その人間嫌いに、構わず声をかけてきたのが、薫風吹くに身を任せて流れ着いた5年目、5度目の転職先の同期。他県出身の同い年でした。
名前を加元といいます。
元カレ・元カノの、かもとです。
名前の由来が不穏ですし、なんだか前々回、あるいは前々々回投稿分で見たことのあるような名前ですが、
こちらもまぁ、気にしない、気にしない。
『実家から送られてきたの。食べる?』
加元は、附子山の顔が好きなようでした。
『大丈夫大丈夫。見た目地味だけどおいしいから』
加元は附子山に一目惚れしたようでした。
『他県民でしょ。どこ出身?』
附子山がどれだけ平坦な対応をしても、話しかけて、一緒に食事して、休日は都内散策に誘ってきて。
『こっちも4回目の転職なんだ。なんか似てるね』
加元は附子山の擦り切れた心にぬるり潜り込み、
数ヶ月かけて、魂の傷を紡ぎ直してゆきました。
『大丈夫。今つらいだけだよ。いつか、良くなるよ』
『あの……!』
気がつけば附子山も、加元に恋をしていました。
『もし、良ければ、……良ければでいい、』
心拍数の明らかな上昇と、前頭前野のブレーキの緩み具合と、報酬系及び大脳辺縁系の馬鹿具合から、附子山は人生初めての、遅い遅い初恋を自覚しました。
『日本茶と和菓子の、美味い店を見つけたんだ。……良ければ、今週の……土曜日にでも』
自分の心魂を癒やしてくれたこのひとに、恩返しがしたい。この人が幸せになるなら、自分のすべてを差し出しても構わない。
優しさを取り戻し、人間嫌いの寛解しつつあった附子山は、当時、この時間が今後ずっとずっと、幸せに続いていくのだと、本気で思っておりました……
#12 : 幸せに 2024年4月1日(金)
私が大好きな人がいよいよ結婚した
少し胸が苦しかったが、あなたが幸せになるのならそれでいいと思った
どうか、お幸せに
仕事もプライベートも上手くいっている。
家族仲は良く、新しい家族に変わっても、そこでも幸せな家庭を築いている。
みんなに慕われ、尊敬されている。たくさんの人に愛されている。
僕は世界一幸せに生きている!
ところで、君は三月いっぱいでここからさよならだったね。日付も年度も変わってしまって、もう君とは会うこともないかもしれない。
それでも、これから先も君が幸せに過ごせることを願っている。
※今日はエイプリルフールです。
『幸せに』
前から好きだった人が、先月結婚した。
彼氏はきっと素敵な人なんだろう。お幸せに。
『幸せに』
どうせなるのならば不幸よりは幸せに
そうは思っていても、どうにもならないのが世の常であって
ただ奴隷の如く休み無く働き、働くために生きているのか
生きるために働いているのか、その区別すらつかないことは
幸せであるはずもなく
かといって何もせず、何も得ず、何者にもなれぬまま
社会の歯車としてすら機能することなく
怠惰に無意味に時間と資源を喰い潰すことが
幸せであるはずもない
もとより幸せというのは個人の感覚であり、
誰かの幸せが必ずしも自身の幸せとイコールであることも無い
そんな曖昧な概念に振り回されていることにすら気付けない
存在し得ぬ幸せを求める内は決して幸せにはなれない
幸せに
お、を付けたら
お幸せに。
結婚する人へ、お祝いの言葉です。
自身が結婚してて、全然幸せを感じてない結婚生活だったとしても、そう伝える言葉ね。
本音で言うなら、幸せになれるかも知れないし、そうじゃないかも知れないけど、頑張ってみてね‥
こんな感じでしょう。
『3月の言葉たち』
沈黙を守り続ければもう誰も
傷付くことない 泡立つ樹木
射止める為の恋の矢を
致命傷には至らない場所に放つ
結局は自殺しないで生きている
WEB上で見る君の生き様
あとがき
気持ちがじっとしていれなくて、
自分の中では消化しきれなかった3月
雨が降る小さな町の隅、時が止まったような古い本屋がありました。店内には、時間を忘れさせるほどの静けさと、数え切れないほどの物語が詰まっていました。この場所は、訪れる人々にとって、ただの本を売る場所ではなく、心の安らぎを見つける場所だったのです。
ある雨の日、寂しげな表情の若い女性がその扉を押し開けました。彼女は、心に穴が開いたかのように、何か大切なものを失ったばかりのように見えました。店の奥から、温かな声が彼女に問いかけました。「何をお探しですか?」彼女の答えはシンプルでした。「幸せについての本を。」
特別な棚に案内された彼女の前に、幸せについて書かれた数々の物語が広がりました。中でも一冊の本が、彼女の手に渡されました。ページをめくる手は、初めはためらいがちでしたが、物語が進むにつれて、その動きは確かなものに変わりました。物語は教えてくれました。真の幸せは、外に求めるものではなく、自分自身の中に見つけるものだと。
読み終えたとき、彼女の顔には微笑みが戻っていました。深い感謝の言葉と共に、彼女は本を手にその場所を後にしました。彼女が残していったのは、ただの微笑みではありませんでした。それは、心が触れ合うことで生まれる、温かく、深い絆の証だったのです。
この物語は、幸せとは目に見えない絆や心の触れ合いから生まれること、そして人それぞれが心の中に持つ、温かい光を分かち合うことの大切さを教えてくれます。雨が降る日にも、心の中にはいつも太陽が輝いていることを忘れないでください。人生の旅路は時に雨に濡れるかもしれませんが、その雨がまた新しい物語を育て、心を潤すのです。
あなたを幸せにするのが
わたしだったらよかったのに
そんな想いを
「お幸せに」のメッセージの
裏側に隠して
幸せに
十年前の自分から手紙が届いた。
小学校の授業で、十年後の自分に、という題で手紙を書いて、それをタイムカプセルに入れて埋めたのだ。あれから十年か、と歳をとった心で、時間の流れの早さを感じる。
穏やかな十年だったと思う。ドラマチックもロマンチックもエキセントリックもない、平凡な人生だった。
タイムカプセルの蓋を開けて、中から自分の手紙を受け取る。
手紙には「特になし」とひと言。
かわいくない奴だ、と十年前の自分に呆れる。
友達の手紙には、今何をしているのか、恋人はいるのか、お金はあるのか、健康か、など書かれている。
十年前の私は、十年後の私に期待していなかったのだろう。本当にかわいくない奴だ。
「また十年後の自分に手紙を書こう」
そんな誰かの提案に流されるまま、また手紙を書かされる。
ペンを握ると、十年前の自分の気持ちがわかった気がした。言いたい事も訊きたい事も特になかった。かわいげなんて無いよ、と過去の自分に言い聞かせるように心の中で呟く。それでも、あれから十年も経ったんだ。私だって多少は成長している。そうして考えた末に「幸せに」とひと言書いて折りたたむ。
十年前の私と比べたら、少しはかわいくなっただろう。
幸せになりたいって多くの人が思っていると思うけど
そう思えることがもうすでに幸せだったりして
なんちゃって。
幸せに
母はよく、歌を歌ってくれた。
膝枕をして、縁側で鳴り響く母の声。
お日様に照らされているせいなのか、どうしようもなく心地よくて毎回僕は眠ってしまう。
「かあさん」
さりげなく視線を上に向けると、母と目が合った。
すると、歌っていた口を止めて、僕の頭に手を置き、手のひらをやさしく動かす。
「なんで……歌ってくれるん?」
僕がそう聞くと、かあさんは力無く頬を緩ませ微笑した。
遠く木を見て「なんでやろうねぇ」と答える。
「そうやな、あんたが怖くならんよう歌ぉとる」
「僕、怖くあらへんよ」
かあさんが、また「ふふふ」と笑った。
「小さいとき、『やな夢みた』って言って、わたしの元離れへんかってんで?」
「トイレまで一緒に着いてくるもんやから、大変やったなぁ」
僕は、耳が赤くなる。
一瞬、記憶もない過去の自分を恨んだけれど、それよりも目の前の恥ずかしさで、母の服をぎゅっと握った。
猫のように丸くなってしまった僕を、かあさんは笑いを耐えながら、柔らかい眼差しでこちらを見つめる。
「怖あらへんやろ?」
「うん」
お日様は、まだ沈まないまま。
ずっとこのままでありますように
そう願って、僕は重たい瞼を閉じた。
私は幸せになれる日がくるのかな
今の恋は今後どうなるんだろう
もう二度とあんな辛い思いはしたくないって思うと
なかなか別れを告げられないけど
このまま好きでいてもきっと私は
幸せになれない
分かってるけど、
分かってるけどさ、
もうちょっとだけ
あなたに彼女ができるまで好きでいていいかな
寝れないなー
どうしようかなー
分からないよ
君が寝かしてくれたらいいのにな
眠たいなー
朝大変だよ
ねね
たかしくん
「何❓️」
テレビ がありすぎて寝れないよ
詩『幸せに』
恨み辛みもあるけれど
ぼくをいじめた人たちよ
妬(ねた)み嫉(そね)みもあるけれど
ぼくを笑った人たちよ
過去は冷凍保存され
けっして捨てやしないけど
今じゃ、父さん、母さんさ
いっぱい苦労もしただろう
人生は理不尽さ
それでも、幸せの順番は
ぼくに今でも、まわってこない
それでも、不幸の責任は
きっとその後の、生き方なんだ
決別だ
やっと言えるよ「幸せに」
赤の他人にしてやるよ
決別だ
死んじゃ花実も腐っちまう
もがき足掻(あが)いて生きてくよ
「幸せに」
それはすべての解放だ
それは、新たな旅立ちなんだ
ごめんなさい
僕は約束を守れなかった
幸せにするって約束したのに
ずっと一緒にいるって誓ったのに
君をおいていってしまった
だから
約束を守れないやつなんか忘れて
ちゃんと一生そばにいてくれる人を見つけてください
幸せになってください
#幸せに
幸せに
消しゴムを貸してくれた君
落ちたシャーペンを拾ってくれた君
いつも一人でいる僕に話しかけてくれた君
僕は君に恋をした
たまたま君の噂を聞いた
君は汚いおじさんに体を売っているらしい
君は新しいお父さんと体の関係になったらしい
君はみんなに嫌われているらしい
消しゴムを捨てられた君
落ちたシャーペンを踏まれた君
誰にも話しかけられなくなった君
僕は君に恋をしている
僕は君に何もしない 今までもこれからも
君に話しかけないし君をいじめない
けれど僕は君の幸せをずっとずっと祈ってる
「君がまた元気になって僕に話しかけてくれますように」と星に願った
幸せに。
それは誰に向けての言葉だったのか。
ついに聴きそびれてしまった。
私や友人に向けての可能性が大きい。
でも、私たちに言うくらいなら、もっと自分の幸せを追求して欲しかった。それくらいバチは当たらないだろうに。
なら仕方がない。
アイツに幸せは私が祈ろう。