『届かぬ想い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私の届かぬ想い…そんなの初めから分かってた…彼と付き合ってた頃ずっと、付き合ってるはずなのに届かぬ想いが、私の中には、あった…ずっと、付き合ってても、私だけが彼を好きだった…自覚は、勿論あった…きっと、初めから彼の中には、私は、いなかった…付き合ってても、いつも、彼は、何処か上の空で、私がどれだけ愛を伝えても、彼から返ってくる事も少なかった…初めから心なんて離れてるのに、次第に離れていく気しかしなくなって、私は、遂に、限界を迎えた…少なからず、私は、彼の事が最後まで大好きだった…
愛について一度真剣に考えたことがある。
ただの感情か、脳に染み付く一種の機能なのか、本能的なモノなのか。ある人は感情だといい、またある人は本能から来る欲求だと言った。
僕には未だ愛は理解ができない。
そんな生産性も何も無い日々を過ごしていた時、ある少年と出会った。彼の性格は酷いもので、傲慢無礼を擬人化したような見下した態度で僕の目の前に現れた。金が無いからって時給が高い家庭教師なんて選ばなければよかったと後悔したのを覚えている。
こんにちはと挨拶しても腕を組んで机に向かったまま黙り込む少年に、母親は苦笑しながらよろしくお願いしますと部屋を出ていく。二人きり残された空間はとてつもなく気まずくて、何を話せばいいのか分からなかった。
母親いわく、この少年は類稀なる天才らしい。なら何故家庭教師を募集したんだと疑問に思っていると、察したらしい母親が言いづらそうに話してくれた。
「あの子は、友達を作らないんです。自分以外は馬鹿だから話してもつまらないって言って、私の話も聞いてくれなくて 。なので年上の頭の良い人となら少しは会話するんじゃないかと思ったんです。」
だからあの子をよろしくお願いします。頭を下げた母親に無理だろというのが一番の感想だったが、息子の為に必死になっている姿にそんなこと言える訳もなく。分かりましたと言った僕は馬鹿だった。
「は?そんな事馬鹿でもわかるよ。」
少年と話している内に分かったことは、この子はどうしようもないほど傲慢な性格を持っているということ。一週間に二回、毎回根気強く話しかけている僕の気持ちなんて知らぬ存ぜぬで少年は僕をあしらった。先程話した大学の講義内容も、冒頭の言葉でシャッターを閉められる。まったく、生意気なクソガキだ。
そんなある日のこと。部屋で話していて何の進展もない僕達を見かねた母親が、少し散歩をしてはどうだろうかと提案してきた。家庭教師が散歩…と愚痴は呑み込み、行こうかと笑えば無視される。この子と親しくなんて無理だと思うんだけど。
歩くこと数分、近所の公園で一休みしようとベンチに腰掛けているとある外国人が困惑した表情で公園に入ってきた。キョロキョロと忙しなく周りを見ており、困っていることがよく分かる。見逃すのは流石に心が痛いので、仕方ないと立ち上がり近づいてみる。僕の存在に気づいた外国人は、焦ったようにカタコトの日本語を話した。
「ワタシ、ミチ、ワカラナイ、タスケテ。」
落ち着いてくださいと英語で話しかければ、意味がわかったようでコクコクと頷いた。英語は大丈夫ですかと首を傾げれば、彼は安心したように流暢な英語で返してくる。
僕は昔から外国語を親に英才教育されており、英語はもちろん、フランス語や中国語、ロシア語など幅広い言語を学んでいた。正直小さい頃は嫌で仕方なかったが、こういう時にやっててよかったと実感する。
外国人はどうやら道に迷っていたようで、ホテルまでの道のりを教えると顔を輝かせて感謝を述べてくれた。楽しい観光旅行を。という言葉を最後に大きく手を振りながら彼は公園を出ていく。
手を振り返してから時計を確認すると、もうとっくに家庭教師をする時間は過ぎていた。早く帰らなければ少年の母親が心配するだろう。
帰ろうかと呼びかけながら振り向くと、かなり驚いている少年と目が合った。目を見開いて、口も少し開いたまま唖然としている彼に、大丈夫かと声をかけた瞬間。少年は今までの態度からは想像できないほど楽しそうに、興奮した様子で僕の元に駆け寄って
「すごい!すごい!お前、英語話せたのか!」
と僕の腕を掴んで目を輝かせた。本当に同一人物かと疑うほどの舞い上がりっぷりに少し照れてしまう。言語で褒められることなんて滅多になかったから。
「明日から英語を教えてよ!俺もお前みたいに流暢に話せるようになりたい!」
それから少年と仲良くなるまで時間はそれほどかからなかった。毎日頑張って単語の発音を一緒に練習するのは自分としても復習が出来て良かったし、英語で会話をすると途端にいつもの傲慢さを無くす少年が面白かった。少年の母親もこの事に安心したようで、毎回のようにありがとうございますと笑ってくれる。
家庭教師の期間が終わってからも、少年の我儘によって関係は継続されていた。小学生だった彼がもう高校生だという事実に驚きながらも、自分も社会人として頑張らなくてはと奮闘することが多い。一度も先生とは呼んでくれないけれど、まぁそれも彼らしくて良いだろう。今では英語だけではなく、フランス語の習得を目指しているようだ。あの日から尊敬し、慕ってくれている少年、僕はそんな彼を不思議な感情で教え、見守っていた。
が、それは突然終わりを迎える。
不慮の事故だった。横断歩道で久しぶりに会った少年と話していた僕は、居眠り運転をしていたトラックから逃れることはできなかった。少年だけはどうしてもと、強く突き飛ばしてしまったのは悪かったと思ってる。トラックに引かれる寸前に見た驚いた彼の表情が、前に公園で見たものとは全く違くて。あぁ、あの表情は驚きではなく自分の出来ないことをできた人物へ期待する表情だったのかもしれないと、関係ないことを考えてしまった。
自分のお葬式は、見たくはなかったけれど少年が心配で少し覗いてみることにした。自分の死を目の前で見せてしまったということの罪悪感から僕は幽霊になったのだろうか。ふよふよと安定しない自分の体にイラつきつつも、葬式に出席してくれている少年の様子を見守った。彼は俯いたままで何も言わず、黙ってお経を聞き、線香をあげ、席に着く。その後も何のリアクションも起こさない少年に僕は杞憂だったな。と少し、いや、かなりショックを受けながらその場を離れようとした。
「……今までありがとう。先生。」
聞き間違いだと思った。葬式が終わり、次々と移動する人達の奥で、棺の目の前に立ち、少年は小さく確かにそう言った。涙を流しながら、母親に背中を撫でられながら泣く少年。どうしようもない感情が今は無い胸を熱くする。
「お、れは、貴方の、自慢の生徒に、なれた?」
肩を震わせて手で涙を拭う少年を、この腕で抱きしめたくて。地面なんか蹴れないけれど、走り出した。
少年に伝えたくて、君は僕の大事な教え子だって。
君は僕の教えを求めてくれた唯一の少年だったと。
この腕で抱きしめた彼に叫んで言い聞かせたかった。
でも、この透けた腕が、この音にならない声が、それを拒んだ。ダメだ。お前は死んだんだ。そう証明するように、自分の声に少年は全く反応しない。
柄にもなく焦って、少年の肩を掴むように手を伸ばし、それがすり抜けた事実に衝撃を受ける。分かりきっていたことでも、無いはずの心臓がドクンと大きく脈打つ程には酷い悲しみが僕を襲った。
どうして僕は彼と喋れないんだろう。どうして彼に伝えたいことを伝えられないのだろう。今まで楽観的に見ていた自分の死を、その時初めて後悔した。
泣き続ける少年の姿が痛くて、泣かないで欲しいと願う。手で強く涙を拭う少年にそんな強くしたら痛いだろうと世話を焼きたくなる。
その時、昔考えていたことの答えが突然頭に浮かんできた。
愛とは、こういうことだと。人によって愛は違うから、これが正解だということは無いけれど。それでも自分の愛の答えはこれなんだと。再び受けた衝撃に、目から何かが溢れる感覚がした。
傲慢無礼なあの少年は、今や青年と呼べる歳になっている。それでも尚まだガキだなと考えるのは、親に似た不思議な愛だろう。
あぁ、なるほど。少年、僕は君に英語やフランス語を教えたけれど、僕は君に昔の問の答えを教えて貰ったよ。
『君は僕の自慢の生徒だ。少年、今までありがとう。』
僕の言葉は宙に浮かぶことすらなく、儚く消えた。
届かぬお想い
お父さん
お母さん
もっともっと
たくさん話しておけば良かった。
あなた達の娘は、
自分の両親が
何を感じ何を考え
生きてきたのかわからない。
わたし、毎日いろんなこと考えるんだよ。
泣きたくなるんだよ。
聞こえてる?
届いている?
届かぬ想い
文字に起こそうと
言葉にしようと
声に出そうとも
貴方には届かない
貴方は、此処に居ないから
私と、貴方が出逢ったのは、偶然だった
初めて会った印象は、お世辞にもよくは、なかった
ただ、よく笑う人だなぁと思うくらいで…
そんなあなたと、話をしたり仕事で一緒に悩んだりして行くうちに互いに必要と感じる存在に慣れたと思った喧嘩もした、理解出来ないとも思った
ただ、いつか変わる変わってくれると思いながら
年を重ねた
何処で、間違ったか分からないしもともと間違ってたのかも知れないし
ただ、私は、貴方が残した小さいこの子と一緒に生きて行く
貴方とは、道は違うけれどいい人生を自分に悔いなく生きてほしい
今は、届かないけどそう願っている
小さいこの子と生きて行くのは、なかなか
大変だった。
初めての育児、初めての経験、夜は眠れず
不安の中で徐々に壊れてくるメンタル
この先を考えても切りがないが考えずにもいられない…
仕事も探してお金を貯めて保育園も探さないと
する事は、わかるやるべき事も決まってる
ただ、やるべき事をこなす心の余裕は、ない
毎日の育児に時間をみては、求人情報の検索
そんな毎日だった
そんな日々を過ごして行く中で運良く
保育園も決まり、仕事も決まった
前職とは、違う仕事だがやりがいは、あった
やった事のない仕事は、何もかも目新しく
新鮮に映った。
仕事をしながらの子育てある時、3ヶ月検診の
手紙が届いたあれからそんなにたったのかぁ
特に気にも止めず検診の日をむかえた
順番待ちをしやっと順番がやって来た
「まだ首が座ってないね」
遅い子は、遅いから気にしないでそのうちに座るようになりますよ。
医師からの言葉でそんなもんなのかと思い後は
特に何の問題もないと言われ安心して帰宅した。
慣れない、保育園、検診、予防接種等を受け
本人のもとからの体質なのか、よく風邪を
ひく子供だった何度か、近くの病院に
受診して診てもらっていた。
その日もいつもの風邪のつもりでの受診だった
お子さんだいぶ大きいですねと言われ
コロナ渦でもあった為、他の子供との接点もなかった為、疑問にも思わなかった
うちの子は、大きいですか?
全てにおいて同じ月齢のお子さんより大きいですよ。
特に頭が大きいですね。
何か、病気があるかも知れないので検査をしましょう
話を聞きなが頭が真っ白になった
私の子供は、何処か悪いのか?
何で何も思わなかったんだろう…
その後、あらゆる検査を受けて行く
この病気では、ないですね
この病気でもないですね
本当に子供は、病気なのか?
確かに検診で首座りには、個人差がありますと言われた。
だけど、実際は、何ヵ月たっても首が座らない
筋力もない
これってなに
何で
何で
何でうちの子供が…
ある時、主治医に言われる
うちでは、分からないけど何か病気があるのは、
確かです
やはり、何かの病気は、あるのか
理由も分からない
いつまで、生きれるかも分からない
紹介状をもらい、受診の予約を取った
ビックリする程に予約がとれたのは、先だった
3ヵ月以上待っのは、普通と言われるも
私には、その3ヵ月は、まるで一年のように
長かった
遺伝子に問題があるのかも知れない
検査をしましょう
子供は、まだ8ヵ月だった
何で可哀想
私が悪かったのか
泣いてる声がする
申し訳ない
申し訳ありません
心で子供に謝った
結果が出たのはそれからまた3ヵ月後だった
結果から申し上げますと、異常は、ありました
医師が告げる
お子さんは、稀な希少疾患です
症例件数も少なくまだ、詳しいことは、
わかって居ません。
子供と私の世界が壊れた音がした
君と歩く、君と話す、君に触れる
その度に水面へ浮かびそうになる気持ちを
深く深くと押し込んでいく
これは永遠に届かぬ想い
届けては、いけない想い
(届かぬ想い)
#届かぬ想い
私には、好きは人がいる。
でもそれは、届かぬ想いだってもう分かりきっている。
だって、親友も彼の事が好きだから。
私が、好きな人をうちあけた時___、
親友は、頑張ってねって言ってきてくれたけど、
その何週間後に私に、
私ね、○○くんが好きになっちゃったみたいなの。
と、私に言ってきた。
次の瞬間、親友は、、、
絶対あんたなんかに○○くんは渡さないから。
私は初めて見た親友の顔に驚いた。
その次の日からは、親友は彼に猛アタック。
私の入る隙も無いくらい。
彼に話しかけようとすると、
彼女(親友)が割って入ってくるし、
一緒に帰るのを誘っても彼女(親友)もついてくる。
そんな日常で、もう…と思う時もあった。
でも___。
彼は私が辛い時、困っている時にいつも助けてくれた。
私が嬉しい時も一緒に喜んでくれた。
そんな大好きな彼をそんな事で諦め切れるわけがない。
ごめんね…○○。
漫画の世界とかなら、譲る選択かもしれないけど…。
私も○○が好きなんだ。ずっと前から大好きなんだ。
届かぬ想いでも……
これは、決して譲れない私の初恋なんだ─────。
「届かぬ想い」
どれだけ想っても、
この気持ちは誰にも届かない。
届かぬ想い
その言葉がよく似合う
あなたは酷いほどに、努力家だ
無茶をする、とも言うだろう
周りから忌み嫌われようと
はっきりダメだと言われても
認められるまで
自らの言葉を信じてもらえるまで
努力家という言葉が、良く似合う方です
努力している時の、あなたの真っ直ぐな目は
失礼ながら、とても魅力的に感じました
私はあなたに、特別な感情を
想いを持っているのかもしれない
届かないことなど承知です
この想いをただ
私が本当に持っているものなのかを
再度、確かめたかっただけです
綺麗な瞳を失った
希望もなくただ明るいあなたを見て
一目惚れをしただけではないと
再度確かめるために
私のいまの感情は
あなたにだけは、届かぬように
今はなき祖父や祖母へ。
届かぬ想いは心の中で澱となり、時々、私を苦しめる。
そういう時は深く深呼吸して、澱を解きほぐすようにしている。
そして、今生きている人へ感謝を伝えるようにしている。
届かぬ想いは、仏壇に唱えてみても、墓前に唱えてみても、結局届かないままだから。
後悔も懺悔も、感謝も。届かない以上は、一生背負って生きていくしかない。
今私がいくら願ったところで…
今私が気づいたところで…
それは、届かぬ想いなんだ。
久しぶりに先輩の匂いを思い出した。校舎の桜が満開に咲き、散り始めている時だった。いつも通り私はセクションごとの練習に励んでいた。やる気もクソもないので私はボーッと桜を眺めた。桜は春風に舞っている。少し眩しい太陽の光。単調な足音。春風に運ばれてくる匂い。…わかる。覚えている。この景色、この匂い、この記憶。ちょうど1年前に同じ時間に見たあの光景。私の目の前を走り去る1人の男の人がいた。先輩。ひと時、ほんのひと時だった。私の目には確かに先輩が見えた。
「ありがとう」
たった一言。聞き覚えのある声に、見覚えのある笑顔。気づいた時には先輩はもういない。探しても…どこを探しても私一人だけ。舞い散る桜の中に隠れて私は涙を流した。
モノクロ。モノクロ。モノクロ。映る景色はモノクロである。全てがこの状況だから気だるさが残るのも仕方ない。しかし今日は特にだるい。具合が悪いわけでもないのだが、涙を流したせいか頭がボーッとするんだ。練習はやっとのことで終えたのだが未だに私は競技場の人工芝から目が離せない。
「学年委員に入ったのも…も全部お前のせいだ」
「うわぁ!」
髪をくしゃくしゃにされて人工芝から目を離すことができたのはいいんだけど、よりによってそれが幼馴染くんだったとは思わなかった。
「髪…くしゃくしゃ。学年委員…と…あと…なんて、、、言った?」
「なんでもねぇよ。ってかどした?今日、体調良くない?」
「…ううん。別になんでもない」
「そう?あ、ズック穴空いてんじゃん。今日の記録とか調子、どうだった?」
君はいつもよりもそばで私に話し始める。心が空っぽで何もする気なかったんだけど、君の声に応えるかのように体が反応してしまう。君の匂いや声に安心してしまうのはココ最近ずっとだ。もういっその事君の体に身を委ねたい。抱きしめられたい。そう考えてしまうほど私はボーッとして疲れていた。甘えたい時間がこれほど長く続くのは君が私にかまうからだ。もう…
「あ……えっと。ごめん…なさい。でした。」
君の袖を掴んでしまった。
「でした?笑 やっぱり今日なんかおかしいぞ」
君が優しくするからついしてしまっただけなのにそんなに笑わなくても…。
ー君の匂いが頭の中にずっと残ってんだアホたれー
どれだけ手を伸ばしても、あなたには届かない。
彼を見つけたときから。
彼に憧れる同士を見つけたときから。
彼の後ろに、立つことが出来るようになってから――。
ずっと、ずっと、焦がれている。文字通りこの身が焼き焦げてしまうほど。
どれだけ努力を重ねても、どれだけその背に縋ろうとも。
彼は俺の手をするりと抜けてまた先へと行ってしまう。
〈鬼さんこちら、手のなる方へ。来れるものなら、来てごらん〉
言わんばかりの表情で彼は振り向く。
挑発的な瞳を湛えた、穏やかな笑みで。
いつか。いつか必ずあなたの横に立ってみせる。
そして――。今度は俺が手を差しのべてやる。
『届かぬ想い』
/届かぬ思い
俺にはひとつ、願いがある。
あの、どうしようもねぇ死にたがりと共に生きたいのだ。
だから俺は、毎日のように繰り返される自殺の邪魔をして、隠れて成功しないよう目を光らせ、自殺が面倒になればと小言を飽きもせず口にする。
どれもこれも無駄な努力だと思う。
だが、アイツだってただ無感情に死にたい訳では無いはずなのだ。
どうせ、あの賢すぎる頭脳のせいで生きる理由が分からないだとか、そんなことを思っているに違いない。
生きる理由なんかなくたって生きていればいいのに。
そんな言葉はアイツには絶対響かないから言わない。
俺はこれからもただ毎日、アイツの自殺を邪魔して小言を言うだけだ。
※※※
僕にはひとつ、願いがある。
あの、いつもいつも僕の邪魔をする君と共に死にたいんだ。
だから僕は、毎日のように君に見つかるような場所で、邪魔しやすい方法で自殺を繰り返す。
どれもこれも無駄な努力だってわかってる。
でも、君だけが僕の感じる孤独を理解してくれるから。
生きる理由が見つけられずに藻掻く僕に寄り添おうとしてくれるから。
こんな言葉絶対言えないけど。
僕はこれからもただ毎日、君の前で自殺をして、その小言を聞くんだ。
——好きなんです。
届かないとわかっているからこそ独りごちた言葉は、一体どこへ運ばれていくのだろう。
目指す道にこの思いは邪魔だから封じたのに。なのに溢れそうになったものは、音にならない言葉となって虚空へと消えていく。
伝えたくない。困らせたくもない。しかし抱えきれない。いっそ捨ててしまえたらよいのに。
そうどんなに願っても思いが絶えることはなく。体の芯の方で確かに何かが燻っている。
——好きでした。
だから私は胸の内で叫ぶ。あなたに届かぬようにと、祈るような気持ちで叫ぶ。いつか耐えきれずにこぼすことがないように。今日も必死に、愚かに。
いつかこの気持ちが消えてなくなるまで。
お題《届かぬ想い》
泡沫となって消えてしまうなら
想いを声にして咲かせよう
それで散ってしまっても
後悔はしない
-さん、ちょっとさ眼鏡外してみて。
駅の図書館での、テスト勉強中、片思いの男子にこう声をかけられた。
私は恐る恐る眼鏡を外す。
-そうそう、あと髪型ハーフアップにしてみて。
-いいけど…
何が何だかわからないまま、髪型を変える。
-うん、やっぱりそっちの方がいいよ。
それだったら、かわいいランキング、
学年で上位になると思う!!
びっくりした。かわいいなんて言われたことないから。好きな人にかわいいなんて…
正直すごく嬉しかった。
でも…照れくさくて、次の日からこの髪型には、できなかった。かわいいって、もっと言われたかったけど。
あの日から数日たち、少し勇気を出して、ハーフアップにしてみた。この日は、体育祭だったから、やりやすかったこともあるかもしれない。
体育祭会場に着いて、あの彼を見かけた。
思いきって声をかけた。
返された言葉は…
-なんか陰キャな雰囲気増したな~
ショックだった。君が言ったから頑張ってみたのに、好きだから、大好きだから、かわいいって言われて嬉しかったのに。
落ち込んだことがばれないように、そのあとは、いつも通りに話した。いや、話せてなかったかもしれない。
でも…これで初恋の終わりを感じた。
「届かぬ想い」
どんなに願ってもかなわない
ずっとそんな繰り返し
いい加減嫌になるよ
でもやっぱり願ってしまう
いつか届くんじゃないかって
希望を持ってしまう そんな繰り返し
「届かぬ思い」
こう聞いて、お前はどう思うのか?
___俺は、昔の仲間を思い出す。
これは、10年位前、小学生の時だった……。
あの時、先生の言った言葉…。
『こっちだ!!こっちに避難しろ!!』
あの日、大地震が起きた。
津波から避難する時、俺は最後尾。
恐らく存在感が無かったから、先生も先に行っちまったんだろう。
俺は、分かれ道の時。皆とは、別の所を選んだ。
その先は山。___大人は熊だなんだ、気にしてたのかも知れねえ。
無我夢中で走った。皆を探して走った。
たどり着いたのは山頂。皆の居る塔を見下ろせる。
俺は、上から下の悲鳴、阿鼻叫喚を聞いていた。
その中に、仲良しの人も……
何度も叫んだ。喉が枯れるまで叫んだ。
俺が居るということだけでも、気づいて欲しかった。
____その声は、雑音となり消えた。
自然の猛攻が終わった後。
下には死骸とガラクタと引っこ抜けた植物しか見えない。
あぁ、これからどうしようか。辺りは草、木、雨風を凌げそうな穴ぐらいしかない。
幸いにも、果物とかはあったからどうにかなった。
___あの時の、仲間達の苦しそうな声。
____今も、目の前に居るように感じる。
__居るん、だろ……?なぁ……。
『届かぬ思い』
きちんと聞けばよかった。
あなたの本音を聞けばよかった。
もう会うことは無いと、何となく思っている
んだろうことを、きちんと確かめればよかった。
今さら思ってみても、もう遅い。
この気持ちは、時間が経っても、
ずっと抱えていくんだろう。
もう届かないのなら、
自分の中から消えてしまえばいいのに。
「届かぬ想い」
「あなたの中に届かぬ想いはありますか」
ゆるいゼリー状の空気が停滞する白い春の午後
国語の先生はそう言った
30人いる生徒のうち
聞いているのは多分私だけだった
だからだろう
私はまさに自分に
問いかけられているような気持ちになったのだ
「私はあります」
先生の落ち着いた声が少しだけ裏返った
「あなた、ありますか?
あるなら口にした方がいいです
届けた方がいいです
私たちには口があり、思考があります
しかし時間はありません」
いつもは寡黙な国語の先生が
こんなに早口で喋っているのを私は初めて見る
「届かぬ想いはやがて腐り、
後には取り返しのつかない死骸だけが残ります」
そう 言い終わった先生は
ゆっくりと目を閉じた
その数秒の沈黙
教室の空気が完全に固まったように感じられた
永遠とは、このことだと思った
ー
その次の日から先生は学校に来なくなった
他の先生が鬱病だとか、
なんだとか騒いでいたけれど
それっきり先生を見ることは無く
私はふと、
好きだった女の子に告白してみたが
その反応は芳しくなかった
正直後悔した
でも心の中で腐らせるよりは
ずっとマシだと思った