『宝物』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
宝物
消しゴムや下敷きや
シールやおもちゃ
ぬいぐるみや第2ボタンや
プリクラやメール
賞状や宝飾品や
マイホームに家族
写真や遺品や
おもいでに受け継いだ味
宝物はいっぱい
世界はすべて 誰かの宝物
宝物は奪われる
分かっているから 僕らは守る
自分の命も 他人の命も
同じだけれど 同じじゃないんだ
宝物って 悲しいね
ひとりよがりで 死んでく愛だね
【宝物】
眩しいほどの星空を背景に君は、「ずっと、ずっと一緒にいよ」なんて、笑った。
僕は、なんにもあげられるものが思いつかなかったから、だから、今度あったら、僕の宝物をあげるから、なんて思って。そして、温い君の手を握って、「あいしてる」なんて呟いた。
それから僕たちは完全に空に溶けて、星に、なって、眠りについた。
向こうに着いたら、君に何をあげようかな。ありきたりだけど、指輪かな。まだ僕たちが小さい頃、本物をあげられなかった、苦い思い出がある。あの時は、なんて言ったんだっけ。
「大人になったら、僕が幸せにするから。」
これが僕たちの幸せである、なんて言ったら、世間は逃げだなんていうんだろうか。
翌日、片田舎の小さな山のその奥で、眠る僕たちを発見した大人たちが、「かわいそうに」っていう声を聞いた。
宝物
桃太郎は、鬼ヶ島に乗り込んで、大勢の鬼たちを犬、猿、キジの協力を得てやっつけた。鬼たちは都に行っては、街を荒らし家を荒らし、人々の命や宝物を奪った悪者集団だからだ。
さて鬼たちを屈服させたあと、桃太郎御一行様は、鬼たちが奪った宝物を奪い、凱旋した。「心配して待っていたおじいさんやおばあさんと幸せに暮らしましたとさ」
っておいっ!その宝物は、都の人々から奪ったものだから、それで幸せに暮らしたらいけなくないか?
昔から気になっている、オレの疑問。
宝物
私の宝物は
家族や
友達や
支えてくれてる人たちや
私のペットが
私の宝物
yui
宝物
あなたが
私の宝物
手にすることは
出来なくても
大切な存在
だいすきだよ
道端の石ころだったんだ。俺は。
誰も目にも止めない。誰も気にも止めない。蹴り飛ばしたとて、そこに転がっている俺が悪いのだと言われる存在。
何の変哲もない。何の名前も無い。ただの石ころだったんだ。
だが、お前はそれを拾い上げ、あろうことか大事に大事に磨き上げた。名を付け、愛おしそうにそれを呼んだ。
お前にとっちゃ拾い上げた数ある石ころの内の一つだったのかもしれない。もっと出来の良い、比べ物にならない宝石を拾ってたのかもしれない。
けれど、俺にとっちゃ拾い上げてくれた手はお前しか知らない。唯一無二の存在だった。
拾い上げ、包み込み、守ってくれたのは、お前しかいないんだ。
俺の知りうる世界の全てだった。
そんなことを言ったら、お前はどんな顔をするだろうか。重たい、なんて言うだろうか。こんな重たい石ころ、捨ててしまいたいだろうか。
それでも俺は。俺は—心から願う。
友よ、俺はお前の一番の宝でありたい。と。
***
あの日のことは良く覚えている。晴れやかな気分だったことも。
なのに、どう説明したらいいか未だに難しい。ただ、俺にとって凄く嬉しい出来事だった。それだけは確かだ。
けれど、今まで誰にも言えなかった。なんだろう、秘密にしていたかったのかもしれない。
砂浜を散歩していたら、たまたま見つけた綺麗な貝殻。それがアイツの第一印象だった。
少し欠けてはいるけれど、綺麗な色で陽に当てるとキラリと輝いた。
角度を変えその煌めきを見て「ああ、ココに居たんだ」と何故か嬉しかった。ピッタリはまる片割れを見つけた、そんな気分だった。
だから誰にも言えなかった。本当は皆に見せびらかして自慢したかったんだ。「すごいお宝見つけたんだ!」って。でも、そんなことしたら、誰かに取られちゃうかもしれないから、言えなかった。
兄ちゃんだから、いつだって大事なものは弟や妹に譲ってばっかりだったから。別に嫌じゃ無かったけど、何故かこの時は誰にも取られたく無かったんだと思う。だから、仕舞った。心に鍵をかけて、大事に、大事に…取られませんようにと。
でも、今はハッキリと言える。
親愛なる友よ。お前は俺が見つけた最高の宝だ!と。
≪宝物≫
・宝物・
宝物なんていう言葉では足りないたくさんの大切がある。あるはずなのに、私はその人(子)たちに顔向けできないような情けなさを持っている。一歩引いて、遠くであの人たちが笑っている世界を見て、幸せになってる。いつか、そこに、黒子のように関われたら嬉しい。
「あの子とあの子がくれた言葉すべて」
宝物の価値は自分にしかわからない。
カッコイイ缶は、いつだったか誰かにもらったというお土産が入っていたもの。
その中に入っているものを、ひとつひとつ出してみる。
綺麗な色の石。これはあの子と拾ったものだ。
ミニカーはタイヤがひとつ外れている。気に入っていて、毎日毎日持ち歩いていたのを覚えてる。
ぬいぐるみの洋服。しかもスカートだけ。意味がわからない。
怪獣のおもちゃは尻尾が取れている。たしか、退治するときに放り投げたんだ。子供って残酷だな。
あの頃俺が好きだったもの。
そして、あの子がくれたものは、なんだって宝物だった。
でも本当に入れたかったものは、ここには入れていない。
いや、入らなかったのだ。
────宝物
宝物
なんでもないこの日常が宝物ってことさ。ただ健康に生きていられるだけで結構人は幸せ。案外人生なんてそんなもの。
今の時代は人との差がネットというかSNSで可視化されていて簡単に見れちゃうからそう考えることは難しいけどね。
かくいう俺も実際には人を妬んで自分の惨めさに泣きたくなる時もある。常に生きてるだけで十分とは考えられない。
でも生きてるだけでいいという考えを持っていることが大切なんだと思う。それならメンタルが傷んでも頑張って生きていける。
宝物
私の宝物
それはアルバム
アルバムを見るたびに
昔の自分を知れる
いわば私の勉強だ
私の宝物
それは古くなったノート
古くなったノートを見るたびに
「私、頑張ってたんだなー」と
懐かしげに見れる
いわば私の本だ
私の宝物
それは家族
家族とハグをするたびに
心がとてもあったまる
悲しい時も辛い時もそばにいてくれる
いわば私の
世界一の宝物
きっと一生忘れない思い出
あなたと私の世界が交わった気がしたの
あなたにとっては大勢いるうちの1人に気まぐれに目を向けただけなのかもしれないけれど
あなたにとっては取るに足らない、きっともう忘れてしまった事なのかもしれないけれど
それでも私の宝物なの
テーマ 宝物
君は私の宝物
君を大事に抱きしめて
君に優しくキスをする
私は君の下僕
君に扉を開け閉めて
君にご飯を捧げます
人によって形を変える「それ」は
それぞれ全く違っていて
まるで空に浮かぶ雲みたい
きみは何が大切ですか?
きっと色んなかたちで
みんな心がふわふわする
「それ」を知ることができたら
見つけることができたら
今よりもっと自分になれる
いつかきみにも聞けたら
きみの「それ」を一緒に守れたら
『ごめん!いま起きた!』
最悪。待ち合わせ時刻の5分後にメッセージが来た。もう着いてるんですけど。
『場所も時間もそっちが決めたんだよな』
駅構内のC&Cの対面、ベンチが3つ並んでるところに13時。サトシから指定されたのはこの場所だった。
『ごめんなさい』『もうしません』『死して詫びる』
謝罪スタンプ3連投されてもイライラが募るだけだ。今日オレ誕生日だぞ。
『あな許すまじ…!』
怒りを込めたスタンプで返す。
『恩に着ます』『神様かよ』『一生ついて行きます!』
ヨイショスタンプ3連投…あれ? 勘違いしてるぞ。
『違う!「許す・マジ」じゃなくて「許すまじ」な!』
『ダッシュで2時間で向かいます!』
いやもういいっつぅの。
『帰るからな』
『そう言わないで、カフェでも行っててよ。あとでおごるから!』
はぁ、めんどくさぁ。呆れてベンチにドサっと座る。刹那、背中にチクっとする感触があった。ん?
振り向いてベンチの背もたれを見ると、横木の間に紙が挟まっている。手に取ると二つ折りになっていて外側は黒一色だった。私は二つ折りの中を開いた。
【宝探しへの招待状】
見るからに怪しい文章だ。
【おめでとう!幸運なキミは宝探しへの招待状を手に入れた!暗号を解読して目的地をたどれば、素敵なお宝がキミを待っている!もしお暇だったらぜひ参加してみてくれ!所要時間は約2時間です。—玉栄商店街企画室】
一応ちゃんとした企画っぽいな。しかもご丁寧に所要時間まで書いてある。こんなのどこで配られてるんだ?
謎解き好きの性格がうずく。どうせ暇だし、やってみるか。念のためサトシにメッセージを送る。
『駅の外、出てるぞ』
最初の暗号が示す目的地は書店だった。なんの因果かサトシが指定した駅はオレとアイツの通っていた大学の最寄駅で、この書店は大学時代によく通った場所だ。
「あの、このイベントで来たんですけど」
レジで店員さんに話しかける。招待状を見せれば「お宝」を渡してくれるらしい。
「わ、あ、えっと、おめでとうございます。す、素敵なお宝を進呈いたします」
女性の店員さんはちょっと恥ずかしそうにそう言って、店の奥に入って行った。かわいい。最近入ったバイトの子かな。たしか店長はファンタジーに出てくる賢者みたいなおじいちゃんだったよな。
「お宝は、あの、こちらです」
受け取ったのは「ワンピース97巻?」
「あの、」
「ごめんなさい、わたしバイトなので詳しくはわからないんです、ごめんなさい」
そうだよなぁ。問い詰めても仕方ない。一緒に次の暗号も受け取った。これも真っ黒の二つ折りカードだった。
次の暗号が示す場所は、パン屋さんだった。ここは…大学時代のバイト先じゃんか。オレは恐るおそる店内に足を踏み入れた。
「あのー…」
ここで言葉が詰まった。見覚えのある…どころじゃない、かつてオレが想いを寄せていた元同僚がレジにいたのだ。
「え? タクミくん? やだ、ホントにき…、ホントに久しぶり、どうしたの?」
「いやあの、このイベントで」
オレは2枚の暗号カードを渡した。
「わー、すごいすごい、暗号解いたんだね。ここにいた時から謎解き好きって言ってたもんね」
「いや、こんなの誰でも解けるし」
なにオレ、中二みたいな受け応えしてない?
「はいこれ!素敵な宝物です!」
え、ちゃんとしたショートケーキ。イベントでこんなのもらえるの? ホントにお宝じゃん。
最後の暗号をもらって、店を出る。
「あ、タクミくん!」
扉が閉まる直前で呼び止められた。
「お誕生日おめでとう!」
覚えててくれたんだ。やばい嬉しい。
「あ、うん、ありがと」
オレ中二すぎるよ!
さて、最後の暗号ですが…。玉栄公園のど真ん中。タヌキとキツネが絡まり合う前衛的なモニュメントの裏側に、QRコードが貼ってあった。
仕方ない、やってやるか。
オレはそのQRコードをスマホで読み込んだ。すると画面はメッセージアプリのグループチャットに遷移した。
『Congratulations!』『誕生日おめでとう』『Happy Birthday!』『ケーキ』『クラッカー』『紙吹雪』
いきなりたくさんのスタンプが飛び出してきた。誕生日おめでとうってやっぱり…。
「サトシ! いるんだろ? 出てこいよ」
物陰からサトシがひょっこり顔を出す。すると後からエミリとユキエとダイゴがぞろぞろ出てきた。
「さすがタクミ、気づいてたか」
サトシがあちゃーという顔をする。
「でも楽しんでくれただろ?」
小癪だけど素直に言っておこう。
「ああ、楽しかったよ、ありがとう」
あー言いたくない、言いたくないけど、やっぱりこの仲間がオレのいちばんの宝物だー、…じゃないよ!
「サトシ!お前このワンピース97巻、大学時代に借りパクしたやつだろ!」
「わーバレた! 大事な宝物だろ?」
「ふざけんな、いまさらいらねぇよ!」
宝物は
それを手に入れた時には、これがあれば大丈夫とか思うのだけど、いつのまにか、それが必要なくなってくる。というか存在が薄くなっていく。
今の自分の周りには、そういうものがたくさんあって、服やCDや本や家具・・・断腸の思いで整理しようと思い売りに出すと、本当にたいした額にならない。引き取れません、と言われることも多い。
そんな時は、自分の価値まで下がったようだし、自分の過去も安くみられたように感じる。
だけど、それはそういうもの。しょうがないしょうがない、元々そんなに高くなかったし、なんてと自分に言い聞かせながら、過去から自由になる。
最近は、そういうのも悪くないかな、とたまには思えたりする。そしてまた、これがあれば大丈夫というものを見つけにいってしまう。
押入れの奥を整理するなんて、小学生の頃以来だろう。埃を吸わないよう息を止めて動かしたのは、ピンク色に金ピカが散りばめられた可愛らしい宝箱だった。
「あら、懐かしい。」
母が言った。開けると、プラスチックでできた宝石のぶら下がったネックレスや、大きな真珠もどきのブレスレットが、箱いっぱいに詰まっていた。
あの子と身につけて遊んだっけ。どれが似合うかなってお互いの選んで、鏡の前でポーズをとって、お姫様ごっこをしたな。
思い出しながら、『捨てる』袋に仕分けをした。
「捨てちゃうのね。まあ、今の貴方にとってはガラクタかしら。」
母が言った。概ね合っているけれど、少し違う。
今の貴方にとっては、じゃない。昔の私にとっても、これはガラクタだった。
あの子が笑ってくれるから、喜んでくれるから、あの子と遊んでいる時だけ、これらは宝物になれた。今の私にとっては、その思い出が宝物だから、いいんだ。
色とりどりの天然石を組む
一つ一つ大事に心を込めて
石たちの力が
手にする人の味方になるように
石に込められた想いが
幸せへの道標となるように
一本のブレスレットとなり
それと同様に様々な絆となる
手にする人の笑顔が
繋がる思いが
繋がる縁が
何よりも大切な宝だと
私は思う
「宝物」
宝物
宝物…。家族。
社会人になったと共に、一人暮らしもスタートした。
学校もバイトも近かった私が、家から離れるのは初めてだった。
帰る度に静かな家。学生の頃は一人暮らしに憧れてたけど
いざ1人になると孤独で、寂しかった。
責任者でもない私は、休みを見つけては実家に帰るようにしていた。でも4月からスタートし、実家に帰れたのは6月の時。
久しぶりに見た、母や父の「おかえり」という言葉に涙が出た。
冷たく生きた心地がしない一人暮らしの家とは全く違う
温かくて優しい家。
私の宝物は家族。どんな自分も受け止めてくれて、誰よりも愛を感じる家族。時に喧嘩することがあっても手放すことができない家族。
私も将来、こんな家庭を作りたい
宝物っていうのは特別なものかしら。
金銀財宝、海賊のお宝、昔話のお土産、特別な美しいものたち。
それともほんとはつまらないような、なんでもないような、日常だったりしないかしら。
なんでもない日常は、実はとても尊くて、美しいものたちでできている。
この世界がぶじに回って、人々が健康で、全ての生き物が生命をまっとうして、その中で自分は今日も息をして、ぶじにそれらを感受できている。
いのちのきらめき。
世界のきらめき。
わたしもその中の小さな一つのように、その中に埋もれる。
「宝物」
宝物
好きな物はあるし好きな生き物もいる。好きな音楽や曲、本、場所、キャラクター。好きと口にできるものはいっぱいある。更に言えば、一度好きになったものはずっと好きだ。飽きることもない。昔好きになったものは何年経っても子供っぽくても未だに好きなのだ。
それなのに宝物がない。
それを失って怒りや悲しみを抱いたり、喪失感で胸がいっぱいになるものはない。人生が変わる程の衝撃を受けるような、そんな風に自分を繋ぎ止めるものがない。例えば好きな曲を作ったアーティストが逮捕されてその曲を聞くことが出来なくなっても、アーティストに対して怒りも失望もない。子供の頃の恐竜像と現代の恐竜像が変化したって拒否反応はなくて、どっちの恐竜も好きだったりする。依存はするけれど固執はしない。物はいつか壊れるし、生命はいつか終わりゆく。ただ、そうなのかと認識するだけだ。
だから宝物がない。
君を宝物と呼べたらいいのに。もし君が離れていっても、きっと泣くのは君で自分はヘラヘラと日々を過ごすだけだろう。こうやって予防線を張って自分が傷付かないようにするぐらいには大事なのに。
宝物は要らない。