小絲さなこ

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「あの子とあの子がくれた言葉すべて」



宝物の価値は自分にしかわからない。

カッコイイ缶は、いつだったか誰かにもらったというお土産が入っていたもの。

その中に入っているものを、ひとつひとつ出してみる。

綺麗な色の石。これはあの子と拾ったものだ。
ミニカーはタイヤがひとつ外れている。気に入っていて、毎日毎日持ち歩いていたのを覚えてる。
ぬいぐるみの洋服。しかもスカートだけ。意味がわからない。
怪獣のおもちゃは尻尾が取れている。たしか、退治するときに放り投げたんだ。子供って残酷だな。

あの頃俺が好きだったもの。
そして、あの子がくれたものは、なんだって宝物だった。

でも本当に入れたかったものは、ここには入れていない。
いや、入らなかったのだ。

────宝物

11/21/2024, 2:45:07 AM