【宝物】
眩しいほどの星空を背景に君は、「ずっと、ずっと一緒にいよ」なんて、笑った。
僕は、なんにもあげられるものが思いつかなかったから、だから、今度あったら、僕の宝物をあげるから、なんて思って。そして、温い君の手を握って、「あいしてる」なんて呟いた。
それから僕たちは完全に空に溶けて、星に、なって、眠りについた。
向こうに着いたら、君に何をあげようかな。ありきたりだけど、指輪かな。まだ僕たちが小さい頃、本物をあげられなかった、苦い思い出がある。あの時は、なんて言ったんだっけ。
「大人になったら、僕が幸せにするから。」
これが僕たちの幸せである、なんて言ったら、世間は逃げだなんていうんだろうか。
翌日、片田舎の小さな山のその奥で、眠る僕たちを発見した大人たちが、「かわいそうに」っていう声を聞いた。
11/21/2024, 3:24:26 AM