『子猫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『子猫』
帰ってくると薄汚れた白い毛玉が家の中にいた。まだニャーとも鳴けない小さき命を拾ってしまい、連れていった先の病院で指導を受け、必要な道具一式を買って今ここにいるのだと同居人は説明してくれた。傍には真新しい子猫用の授乳器具が開封されて置いてある。何か言おうとしたものの、続いて彼がぽろぽろと涙をこぼしたのでぎょっとして次の言葉を待つと、箱の中にいた毛玉のきょうだいたちの命はついえてしまい、今さっき墓を作ってきたのだと彼は時間を掛けてようやく言った。彼の手指は汚れていて、ほのかに土の香りがしていた。ただ一匹の生き残りは病院で実演されたミルクの与え方によって満腹になり、親兄弟ともう会えなくなっていることを露ほども知らずに迫っていた死の影から遠ざけられてすやすやと眠っている。私の言おうとしたことはもう言えなくなってしまった。
「……病院で名前決めた?」
「暫定でシロちゃんって書いた」
シロちゃん(仮)は2時間おきに腹をすかせてけたたましく鳴くらしい。それが2週間ほど続くという。子を持たない我々は世の親という存在のほんの一端を理解して育児とはこういうことなのかと戦慄したが、しかし覚悟を決めた。天涯孤独だった子猫に家族が増えた瞬間だった。
あたしの飼い主は、とても高貴な人だ。
華やかな異国情緒漂う、美しい顔立ち。
艶やかな長い黒髪に、大きな栗色の眼をしていた。
蜜のように甘い声で、あたしを呼ぶの。
「マロン、あなたは本当に可愛いわね。」
いつも、飼い主はあたしにそう言うの。
だから、いつも、あたしは言うの。
「ニャ。(ありがと)」って。
そう言うと、いつも、とても喜んでくれるの。
【子猫】
子猫は旅をする
生まれて少しばかり育ったころに
母猫とはぐれ
生まれて初めて飢えを知り
生まれて初めて人間の温かさを知った
けれどそれにいつまでも縋ることは許されず
子猫は旅を続けることとなった
子猫は旅をする
どこに行くとも決めず
ただ歩いていく
生まれて初めて狩りに成功し
生まれて初めて自分より大きな猫と出会った
けれど分かりあうことはできず
子猫はまた旅を続けた
子猫は旅をする
自由気ままに旅をする
好きなものを好きなときに食べて
好きなときに眠って
好きなときにまた歩き出す
それを毎日繰り返していくうち
いつしか子猫は子猫でなくなっていた
立派な大人の猫になったとき
かつて子猫だった猫は
ようやく孤独の寂しさを知った
母猫と離れてから
ずっと独りで生きてきた
かわいいと言って寄ってくる人間から逃げて
他の猫と出会っても避けてきた
それでも生活はできたし
困ることはなかったが
こんなふうに大人になると
番う相手を見つけるものだと
本能が教えてくるのだ
他の猫と仲を深める術も知らない
旅を続けてきたからここがどこかも分からない
それでも
猫は自分の子猫に会いたくなった
そのときは
決して自分のような孤独な旅などさせまいと思った
猫は旅をする
いつか出会える未来の家族を探して
猫がいる
鳴き声からしてまだ子猫だろうか
みーぅみーぅと寂しそうに
みーぅみーぅと必死な声で
親猫を呼んでいるのかもしれない
暫くの間鳴いていたが
いつの間にか静かになった
気になってしまい
いつも以上に授業が長い
チャイムが鳴る
窓の外には子猫はいない
「子猫」
黄金の稲穂が頭を傾いでいる。
赤く焼けた空に、実った穂が一斉に頭を下げていた。
音は全くない。
不自然なほどに静まり返っている。
不安だった。
不安だけが、漠然とこの世界を覆っていた。
私は、その静寂の只中に、ぼうっと立ち尽くしていた。
さっきまで、冷たく冷えた夜闇の中を、家路を辿っていたはずだった。
繁忙期の残業を終えて、ガチガチに覚めてしまったかすみ目で、コンクリートの道を歩いていたのだ。
確か、あの時、どこからともなく子猫が呼んでいるような声がして、ああ、子猫がいるんだ、どうしたのだろう、と道を外れて辺りを探し回ったのだ。
子猫の呼び声はまだしていた。
私はその声を頼りにして、子猫を探して、探して、スマホのライトをつけて、辺りを見回して…
…それで、結局、子猫はいたのだっけ?
思い出せない。
ここはどこだろう。
急に足元がざわめいた。
周りで頭を傾けていた稲穂たちが一斉に、ピンと背筋を跳ね上げた。
足元が不安定と分かると、漠然とした恐怖が、漠然とした不安の中から急速に頭をもたげてきて、激しく混ざり合った。
低い、低い、轟くような声が、遥か上から聞こえた。
小さく、甲高い、驚くような声が、足元の地から湧き上がるように上がった。
その声を聞いてハッとした。
記憶の中にある、あの子猫の呼び声にそっくりだったから。
しかし、なぜ?
私の思考回路は、もうぐちゃぐちゃだった。
さざめくように周りの黄金の何かが伏せって、地が大きく揺れ騒いだ。
不安と恐怖が、私を強く苛んだ。
私は何処にいるのだろう。子猫は何処にいるのだろう。
だってこの地には、動物の気配など私以外には、とても感じられないのに。
風を切って進んで進んでいく末に、また上から、包み込むような声が聞こえた。
「あらあ、みぃちゃん。何処行ってたの?」
「にゃあん」
甘えたような声が、私と黄金の毛皮を包む。
その時、私は、閃光のように気づかされた。
私は、子猫の毛の最中にいるのだ。
子猫の、ふわふわで天鵞絨のように滑らかな、あの滑らかな毛皮のコートの中に立っているのだ。
立ち尽くしているのだ。
その証拠に、外の声とは裏腹に私の周りは、なんの音も立てない。
気づけば、静かな、静かな空気と微かな獣の香りが、ふわふわの中に立ち込めている。
みぃちゃん、というらしい子猫は、餌を食べていた。
あの声の主に貰った、高い高い餌を食べていた。
私がここにくる前に、誰が買うんだ、と悪態を心の内でついた、あのキャットフードを、当たり前のように食べているようだった。
ああ、あの声は罠だったんだ。
子猫の、自分の武器を惜しみなく生かした巧妙な罠だったんだ。
そう悟って、悟った途端に、糸が切れたように恐怖も不安もなくなった。
ただ、安らかな、謎の心持ちがたっぷりと、私の心も思考も満たしていた。
「やい、何処へ行かれるか」
妻に先立たれてから、見境なく話し掛けるようになってしまった。いや、"なれた"と言う方が正しいだろうか。
「ふふ……あなた、人見知りは治ったの?」
「おや、君のは、まだみたいだね」
小さな体は、塀の上を軽やかに歩き去っていく。
「1人で大丈夫かい?まだ、そんなに小さいじゃないか」
「元は大人よ?」
彼女は腕の代わりに短かな尾を振った。
丸い腰に白い毛に性格、生前の妻そのままだ。
猫は一生に一度だけ喋れると言うが
「…まだ心配性は治ってないみたいだね」
無邪気に遊ぶ君も好き。
子猫の頃からおしとやかで控えめな君が大好きだった。生きることはつらいけれど、君がいてくれるお陰で頑張ることができるんだ。
いつもありがとう。
『子猫』というテーマについて…
子猫は可愛いね。猫を飼った事がないけどテレビとか動画で子猫や猫を見るとどこか癒されるね…
私は猫も好きだけど、犬派かな…
動物を見ると癒されるね…
嫌な事が吹き飛ぶね。子猫に限らず他の動物…
人間の赤ちゃんも見ると癒されるね…
子猫は小さな生き物。
子犬だって犬だってもちろん猫だって人も人間の赤ちゃんも…生きている限りは大切な命だね…
うまれて生きていくんだね…命って不思議な物…
とにかく子猫は可愛いって事だね…
自分が思う『子猫』っていうテーマかもしれないね…
子猫って、綿毛みたいだよね。
正直なところ猫派ではないけど、小さくてふわふわしたものは全部好き。
毛虫…も、小さくてふわふわだけど、遠くから見てる分にはまぁ、ね。
「あっ可愛い~このポテポテ歩き可愛すぎない?あ、転んじゃった。めっちゃ巻き込んでる。転んだときの足の形が可愛すぎる……。巻き込まれた子アワアワしてる可愛い子猫同士の交通事故可愛すぎる。いや交通事故は可愛くないけど。あ~この密集地帯最高。この世のすべての可愛いが集結してない?可愛い以外の語彙が出てこない。可愛いの前に人は無力すぎる。可愛いを超えた形容詞を発明すべきじゃない?もしかして既にあったりする?目の前の可愛さを表すのに可愛いだけじゃ足りなさすぎる。この言い表しがたい気持ちを表すことばが欲しい。切実に。なんというか、このパヤパヤした毛の感じとかこう……すごく可愛い最高駄目だ可愛いしか言えない。もう別名可愛いでもいいんじゃない?学名を可愛いに変えるべきな気がしてきた。可愛いということばの8割近くは猫子猫に捧げられてきたと思うし妥当な気がする。あれ?そうなると早急に可愛いに代わる形容詞を作り出す必要があるのでは?……無理だ私の貧弱な頭じゃ産み出せそうにない学者を呼ぶ伝手もない私は無力だ……。」
「落ち着いた?」
「うん……動画ありがとうね……」
とっくに動画は再生終了していたのに律儀に待ってくれていた友人の優しさに感謝した。
ちゃんと話しておけばよかった
失いそうになって
また自分の行いを後悔してる
時々ペットショップに行っては猫を見ている。その中で忘れられない一匹の子猫がいる。その子はガラスケースの中で大人しく座っていた。種類はアメショのレッドタビー。まあるい目をしていてピンクの鼻はハートの形に見えた。近づいて目が合うと、すぐに駆け寄ってきてガラスに何度も顔を擦り付けた。ゴロンも見せてくれたし可愛くて人懐っこい子だった。何度か見に行ったけど、その後はいなくなっていた。今頃どうしているかな。幸せに暮らしているといいな。
おもちゃコーナーの片隅に、ちょうどバービー人形と同じぐらいの大きさの箱で、それは売られている。
「こねこね子猫」
簡易的にペットを持つ楽しみを疑似体験できるキットとして当時の子どもたちに一世を風靡した。もとい子どもだけでなくペット禁止のマンションに住む若い女性や大っぴらに猫好きを公言できない男性たちにも愛される存在だった。
パッケージを開けると、個包装のビニールに入った水色の液体と透明なジェル状の液体、そしてこのキットには茶色い粉末が入っていた。パッケージを形どるプラスチックは子猫の型になっていて、はじめに二つの液体を型に流し込んでよくかき混ぜる。
今はデジタル技術が進化して、ホログラム化したペットを家庭で楽しめる時代だから、短期間とはいえ手のかかるリアリティペットグッズは人気が落ち込んでしまった。
かき混ぜて粘土のような硬さになったら、型から取り出して手でこねる。このときに「いっぱい愛情をこめてこねこね」しないと「いい子」に育たないらしい。生育期間は1週間、子猫から成体になったときに息を引き取る。もともと子どものおもちゃを想定して作られているから、子どもが飽きるタイミングで機能を失うようにできていた。
子どもというのは残酷で、高学年にもなるとどれだけ早く成体にして何日で息を引き取らせるかを競うような悪趣味なノリが流行することもあった。このような遊び方が増えてくると、PTAと教育委員会を中心に規制を求める動きが出始めた。
愛情を込めてしっかりこねたら、次第に色が変わってくる。水色と透明を混ぜているのに、ピンクがかってくるのだ。これが愛情の色だというのか。
こねこね子猫に重大な転機が訪れたのは「夢の長期飼育を実現!1年保証のこねこね子猫」を発売した時だった。単身者への人気に目を付けたメーカーが若い世代をターゲットに売り出した商品だった。
生育期間は文字通り1年間。しかし子猫でいる期間は変わらず1週間で、そこから先は成体の猫として活動する。この商品は爆発的なヒットとなる。その年の日経ヒット商品番付で堂々の東の横綱を獲得するほどの人気だった。
しかし、だからこそ大きな問題が続出した。まずは通常のペットと同様の問題、1年間も育てられない人が大勢出た。おもちゃとはいえ命なので、強制的に機能を停止させることはできない。こねこね子猫を捨てる行為が頻発した。
そして社会問題にまでなったのが、害獣生育だった。パッケージには注意事項としてこんな文言がある。
「本製品と別の型を使用しての成型はご遠慮ください」「注意事項を守らずに不慮の事故が発生した場合、当社は一切の責任を負いません」
パッケージに含まれる型以外を使用した場合どうなるか。使った型の生物が生まれることになる。条件は型が生き物の型であること、そして「幼体」の型であることだ。
充分にこねたらそれに粉末をかける。これは表面のコーティング材のようなもので、これを全体に満遍なく定着させると鮮やかな毛並みになる。
不正使用は発売当初からあったが、幼体のまま1週間で機能を停止すれば大きな問題にはならなかった。しかし1週間で成体になりその後1年間活動し続ければどんな問題が起こるか…。
子犬、子馬などはまだ良かった。馴致すれば活用する方法もいくらでもある。しかし、世の中には幼児向けの子熊の型があふれていた。面白半分で子熊の型を使った1年保証の「こねこね子熊」は充分な愛情を与えられずに猛獣と化し、町を襲った。
政府は事態を重く見て「1年保証」の販売を禁止し、在庫も回収するよう命じられた。だが闇サイトでの売買は止まず、販売禁止から2年が経ったいまも、猟友会が東京の街中で厳戒態勢を敷く状況は続いていた。
そんな中、猟友会でも太刀打ちできない怪獣が現れた。姿は熊だが毛皮が鋼鉄のように硬く、猟銃が通らない。政府はそれをKK-55号と名付けた。東北地方で発見されたそれは、2ヶ月かけて列島を南下し、今まさに東京に侵攻しようとしていた。
通常品の「こねこね子猫」の販売は禁止されなかったが、問題が広がると怖がって買う人がいなくなり、店頭からも姿を消した。僕はたまたま訪れた町の商店街にある駄菓子屋の隅で、ホコリかぶっている「こねこね子猫」を見つけた。
KK-55号の生成犯は早々に拘束されており、調べに対し彼は「悪ふざけでやった。コーティング材には工場で出た鉄粉を使った」などと供述している。
ここまで深刻な状況に至っても、「こねこね子猫」の製造元は、メカニズムはおろか製造方法の開示に応じていない。企業秘密の一点張りである。
粉末でコーティングされた粘土質の塊は黄金に輝いていた。僕は今日、禁を犯す。そしてヒーローになるんだ。KK-55号が東京に入ったらもう時間に猶予はない。今はこのアイデアに賭けるしかないんだ。大丈夫、こいつは幼体のままで力を発揮するはずだ。相手は熊だ、ゴジラじゃない。
僕は子猫の型を脇に置き、代わりに金太郎飴の鋳型に黄金の粘土を流し込んだ——。
子猫の写真でも見るかとなっているわたくし。
今日は土曜日。横になっています。
今週風邪を引きましたわたくし。
だから、平日は休めなくて土曜日の午前でクリニックに行ってオクスリをもらいました。
咳、痰、鼻水、鼻づまりと、風邪症状のリーチをやっているわたくし。これで発熱が無いのはギリギリアウトということです。
そんなわけで処方箋をもらって薬局に行って、会計していたら、いつも貰ってるジェネリック医薬品が品切れ中とのことで、先発品になってしまいました。
「薬の供給が止まってるんですか?」
「止まってるというか、あの、メーカーに発注をかけてるんですが、それが届かないということでして……」
それを届かないというのではないでしょうか。
よくわからないので僕は寝ます。
子猫関係ない……。頭働いてないから仕方なし。
私もそろそろ子猫に相談してもいいよね
周りに味方創らないと
面白い事になりそう
そうやって月もしてきたのだから
無邪気、無邪気。目に入るは、そんな言葉である。短く、不鮮明な光を纏い舞うような、戯れに生きている。しかし、あと2,3年もしてしまえば嫌に小賢しくなるのだ。刹那を生きる者にとって、なんのために生まれたかなどその身一つ程度の重さしかないのだろうか。路地に打ち捨てられた段ボールの中をよじ登ろうとするその者を見て、スポットライトにも外れへたり込むのが情けなく思えた。私が一歩を踏んだとき、お前は三歩進むのだろうか。どこへ消えるか、私には見当も付かない。
「なんのために」
言葉を巡らせるのは、
いや、そう思うのは後で良い。
そう決心し、酷く汚れた段ボールを小脇に抱えた。
相手の信頼を裏切っていることに安心してる
結局俺の本心なんか俺しか知らない訳だし
仕方ないよね。許してくれるよね
ミャーミャーとミルクを求めて鳴く。
ミルクをあげるとペロペロと舐める。
愛くるしい君は、やがて子供になり、大人になる。
今は、まだ、よくわかっていないだろうけど、人と接し、良い悪いに関わらず人を使うことを覚えるだろう。
願わくば、君も幸せであり、みんなも幸せであれば良いと、その愛くるしい君の姿を見て思う。
「キトゥンブルー、ヘソ天、やんのかステップ。
子猫の時期にしか見られないと言われてるものは、結構多い、ような気がしないでもない」
美味い美味い言いながらキャットフード食うのは、別に成猫でも子猫でも可能性アリなんだっけ?
某所在住物書きは過去の猫動画を鑑賞しつつ、物語を書いては消して、書いては消して。
書きたい風景、書きたい状況に対して、己の執筆力量が完全に不足しているのだ。
「……猫と関係ねぇけど、そういやこのアプリ、動物のお題がバチクソ少ない」
ぽつり、物書きが呟いて、ため息を吐く。
犬無し、鳥は「鳥かご」、魚は食い物。
「モンシロチョウ」はいつの配信だったろう……?
――――――
現実世界、最近最近の都内某所が舞台の日常連載風を投稿する、このアカウントです。
たまには東京からも、現実からもかけ離れた、こんなおはなしをご用意してみました。
最近最近ではありますが、「ここ」ではないどこかのおはなしです。
異世界と異世界を繋いだり、世界と世界の喧嘩の仲裁をしたり、終わった世界の欠片が他の世界に悪さをしないように監視したりする、舞台装置のような組織がありまして、
その組織は名前を「世界線管理局」といいました。
過去投稿分で、何度か見た名前です。
直近は11月10日投稿分です。
初出は去年の4月12日。スワイプが面倒なので、過去を気にしてはいけません。
で、何が面白いって。
この管理局、ビジネスネーム制を採用しており、局員全員が動物の名前で呼ばれておるのです。
ノルウェージャンフォレストキャットとか。
その日はお題の「子猫」にちなみまして、
猫系の名前を採用している総務部に、新しい子猫の新人ちゃんが、にゃーにゃー。仲間入りしました。
ビジネスネームを、「マンチカン」といいます。
名付け親もとい、名付け局員は総務部人事課長、リビアヤマネコです。にゃーにゃー。
新人子猫、マンチカン。先住猫もとい先輩局員に連れられて、まずは部署内の見学を開始。
縄張りの状況把握は大切なのです。
「野良猫のようにあっちこっちに居て、イエネコのようにふてぶてしくマイペース。縄張りを荒らす者は砂漠猫のごとく容赦しない」
経理、人事、集配。総務部には業種がいっぱい。
あっちこっちに興味がうつる新人子猫のマンチカンに、先輩のロシアンブルーが言いました。
「それが私達。総務部の部内信条よ。
受付窓口や広報をしてる犬系連中とは、外部対応とかの仕事が重なっているから、早いうちに、場所と顔を覚えておくといいわ」
ほら、あそこよ。ロシアンブルーが指さす先には、
各部門から申請された備品の補充に走る集配送班、「KURO-NEKO」の皆様
もとい、なにやらキャーキャーわーわー、わんわん。バチクソに盛り上がっている受付窓口。
「また接待フィーバーしてる」
どうやら、日常風景のようです。
「きっと今日窓口から上がってくる伝票に、ジャーキーとスナックが大量に書かれてるわ。『経費計上しないように』って伝えておかなきゃ」
ふーん、そうなんだ。 新人子猫、マンチカン、局内のことは把握してないので、完全に話半分。
「いいかしら?」
その、話半分の子猫マンチカンに、先住猫ロシアンブルー、人差し指を振って言いました。
「犬系だろうと、鳥系だろうと、どんなやつがウチに来ても、私達の主張を曲げちゃダメよ。
縄張りは一歩も譲らない。それが私達、猫。絶対ブレちゃいけないのが、私達総務なんだから」
へー。そうなんだ。
新人子猫マンチカン、やっぱり先輩の言葉は上の空で、ちょこまか走り回ってる集配送班の動きを、
きょろ、きょろ。視線で追ってしまうのでした。
「子猫」のお題ということで、どこかの管理局と新人子猫ちゃんのおはなしでした。 おしまい。
人肌感じたくなる季節に
ブランケットにくるまって
私の隣で寝ていた 君