無邪気、無邪気。目に入るは、そんな言葉である。短く、不鮮明な光を纏い舞うような、戯れに生きている。しかし、あと2,3年もしてしまえば嫌に小賢しくなるのだ。刹那を生きる者にとって、なんのために生まれたかなどその身一つ程度の重さしかないのだろうか。路地に打ち捨てられた段ボールの中をよじ登ろうとするその者を見て、スポットライトにも外れへたり込むのが情けなく思えた。私が一歩を踏んだとき、お前は三歩進むのだろうか。どこへ消えるか、私には見当も付かない。
「なんのために」
言葉を巡らせるのは、
いや、そう思うのは後で良い。
そう決心し、酷く汚れた段ボールを小脇に抱えた。
11/16/2024, 4:16:18 AM