『子猫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕は猫派だ。ただ、猫が大好きというほどでもない。犬か猫かで訊かれれば猫というだけである。子犬か子猫かで訊かれても同様である。
まぁでも猫が可愛いのは間違いない。子猫ならば尚更だ。しかし、なぜ僕は猫派なのだろうか。考えたことがないだろうか。なぜ自分は猫派or犬派なのかと。そこには必ず何か自分の体験が関係している筈である。例えば親が猫を飼っていたから猫派、犬の博物館に行ったから犬派、という具合だ。僕は幼い頃、野良の子猫に近所の子供達と一緒に餌やりをしていた。多分、僕の猫派はそれに由来している。
今考えるとあれはいけないことだった。野良猫に餌をやっては駄目なのだ。でも、あの体験が自分を猫派にしていたと思うと感慨深い。
雨の日。仕事帰りに子猫を見つけた。
雨に濡れて寒そうにしている、段ボールに入った子猫。
最初に思ったのは、今どきこんなことするやついるんだ。だった。我ながら少し冷たい感想だったと思う。
俺の家は狭く、とてもじゃないがペットを飼うスペースはない。
それに、俺自身も遅くに帰るからペットを飼うのに向いていない。
だから、子猫のことは見なかったことにして帰ろうとした。
子猫の鳴き声が聞こえた。
そこからはよく覚えていない。
ただ、いつの間にか子猫は俺の部屋にいた。
捨てるわけにもいかないから俺は一生懸命部屋をきれいにして早く帰るようにした。
いつの間にかその子猫は大きくなって、俺は猫とともにいることが日常となった。
餌を買いに行ってから帰ったある日。
いつもは聞こえる鳴き声が聞こえなかった。
慌てて駆け寄れば、どことなく苦しそうだった。
病院に連れて行った。
もう、治ることのない病気だと言われた。
余命はほんの少ししか無かった。
俺は会社を休んでずっとそばにいた。
ある日、家を君は飛び出した。
追いかけると君は道路に飛び出した。
俺が声を掛ける前に、道路を車が通って、君は轢かれて死んだ。
車が去ってから俺は君に近づいた。
君はもう、息をしていなかった。
俺は泣いた。
いつまでもいつまでも。泣いた。
せめて寿命を全うするまで一緒にいたかった。
でも、君はもういない。
子猫が道に迷って鳴いていた
私は子猫と言えば
好きな小説に出てくる白黒の猫を想像する
飼い主にすりよるその猫は
気分屋で寂しがり屋で
気付けば飼い主の側にいる
その子猫は道に迷うことがあるだろうか
鳴いてもきっとまた前を向いて
気ままに散歩をするんじゃないかな
優しさと愛情に満ちた子猫たちが
みんなもっと愛されて幸せになりますように
人が蒼い球に住む前
事象、具象だけで満たされてた
名無しの金平、有象無象や
金平糖はとても美味くて美味や
人は何にでも名付け、分類したがる
金平蔵と紺碧子付き合ってるで
二人とも成績優秀、美顔んだ
名無しの紺碧子、顔なし顔梨
梨はとても美味しくて美味や
人は仲間を欲しくなる
愛、友情、絆は全部甘酸っぱい
人は紅の地で踊るおどる
今日は踊らせてくんませえ
金平糖と梨だけじゃ甘すぎる
もうちょい塩っぱいの下せえ
へいお待ち、ラーメン一杯
へいわだ平和だ今日も地球は
『食いもん』
「子猫」とかけまして
「忍者」と解きます。
その心はどちらも「ニャンニャン/ニンニン」と鳴きます。
猫は苦手だ。全ての動物苦手だ。でも、子猫なら可愛いかもななんて思ったりする。説明って難しいね
『子猫』
子猫がにゃあ、と可愛らしく鳴いて、私がそれに呼応するようにみ゛ゃあとかう゛っとか声を上げて、母と父が笑う。
それが幸せ。
家の裏で
鳴き声がする
と思ったら
子猫が
生まれていた。
はじめは
母猫もいたのに
いつの間にか
子猫たちだけになって
そのまま
にもしておけず
かと言って
引き受けられる状況でもなく
連絡を入れて
子猫たちを
引き取りにきてもらった。
あの子たちは
その後
どうなったのだろう。
命は
尊いけれど
生きていくって
残酷。
#子猫
子猫
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.11.16 藍
子猫が後ろ足で顔をかいてるのを見た。
とても可愛い。
小さな幸せ見つけた。
『子猫』
ペットを飼う人の気持ちが分からなかった
煩わしいし、責任が生じるから嫌だと思っていた
君の目を見るまでは
なかったことにならないかと思う。
何もかもがなかったことに。
何に才能があろうとも、金にならないと言われてしまえば、それに反論する術を私は持っていないから。食っていけない。生きていけないと言われて、実際そうなのだとそこで止まっている私がいる限りは。
人と同じように並ぶために、いつまでも馴染めないものを目指して、どうせこのまま生きていくというのなら。鍋底で煮え切らない骨の屑のように、順応しているふりをして、つまずいて、呆れられ、信頼されず必要とされず、積み重なってゆく記憶に蓋をして笑うなかで、ふっと訪れる虚しさにこたえながら生きていく、その連続が私の人生だというのなら。いっそ最初から、私という存在がなかったことになってしまえばと。そう考えているときだけ、ぼやけた思考回路がクリアになって、はじめて、ただ一点だけを見据えることができるようになる、そんな錯覚をする。
弱々しい鳴き声の子猫は、真っ先にカラスに食われるだろう。人間は弱々しい声をあげてるだけでは誰の目にも止まらない。そこが辛い。
聞こえない、もっと大きな声を出せと、
どうして声が出ないのかといわれるだけ。
だから、命有る限りは、ただ、生きるしかない。
マイナスから0になるために、そのために、生きることしかできない。
子猫#10
「私たちもう別れようよ」
私はそれだけ送信してスマホの明かりを消した。
真っ暗で曇った空にため息をついた。
星なんてなかった。
もう今年もラストスパートで、私の香水もラストノート。
クリスマスを前にして別れを告げた。
空は黒くて息は白い。私は待ち続けたあの人が来るのをずっと前からこの寒空の下で。
でもあの人は一向に現れなかった。
約束なんてなかったみたいに平然としているのかな。
私は分かっていた。あの人は他にも会っている人がいることくらい知ってた。
だって私と会う時はいつだって他の女の匂いがしたから。
別れようなんて今更かもね。
私はいらない子。
あの人猫好きだって言ってたな。
私が子猫にでもなったらまた愛をくれるのかな。
霜のように冷たい手と、あなたの心。
さようなら。
【子猫】
「なんかこう、イライラするっていうか……」
眉を寄せてボソボソと呟いたから、何気なく聞いてみる。
「えー、猫キライ?」
「別に嫌いじゃない」
イヤではない割にむっつりとした声が返ってくる。
「じゃ、どして?」
「可愛いは、可愛い。けど」
「けど?」
「小さいの。丸めて、丸めて」
「丸める?」
思ってもみなかった方向に、話が進んでいる気がする。
「こう、手の上で」
「手の上で?」
「こう?」と左の手のひらを上にして差し出す。
「撫でてるうちに」
「うん。撫でる」
手のひらに乗っている何かを、右手で丸く撫でるようにする。
「どうしていいか分からなくなるんだ」
「へ?」
両手と目と口を開いたまま、固まる。
「どうしていいか分からなくなる……の?」
繰り返して、そのうち何かがじわじわときたのか、背中を丸めて笑い出す。
「どうしていいか、分かんないんだ〜。そっかそっか」
「なに!」
どうして笑われているのか分からず、ムキになる。
「可愛くて、可愛くて、どうしようもなくなっちゃうんだね〜」
「は?」と言った顔が真っ赤に染まっている。
「そんなこと言ってない!」
「分かるよ〜」
「ウソつけ! 思ってもいないくせに」
「そんなことないよ。ホント可愛いって困るよね」
親がいない子猫を見かけた。
このまま生きていけるのだろうか。
もしかしたら近くに親猫がいるかもしれない。
それか、人間に拾われるかもしれない。
勝手にみて勝手に心配している。
ただのエゴ。
そんな時が自分を人間だと改めて思う。
目の前の何の変哲もないアパートの扉の奥を、途方に暮れて見つめた。
チープなインターフォンの音を聞いて、5分は経過しただろうか。ふと思い立ってドアノブに手をかけたことを、こんなにも後悔するとは思わなかった。
どうしてこんなことになったのか。私は沈黙から逃避するように最近の出来事を思い返していた。
不倫は遺伝するらしい。
あの人の父親もおじさんもそうだったらしいと義母になる予定だった人から聞いた。聞く機会なんてない方が良かったけど。
今日も粛々とスマホを見せてくる彼に、これでは何の意味もないじゃないかと当たりたくなる。履歴なんて消せばいいし、私の知らないアプリやサイトを使っていたら私には分からないのだから。
「なあ、反省したんだ。浮気なんてもう二度としない。」
それに続く言葉を受け止める気力が無くて、ぎこちなくその場を流した。
物言いたげな目をした彼は唇を噛み、短く断って今日も寝室へと籠ってしまう。それにやってしまったと思う私は、まだ彼のことが好きなのだろうか。
唇を噛むのは困った時の彼の癖で、私はいつも辞めるように諭していた。今思えばそんな時間までも優しく悲しい。視界が歪むのを止められなかった。あの頃に戻りたいのに、それを一番難しくしているのは私自身じゃないか。
「はあ?あんたはなんッにも悪くない!」
彼女がテーブルを叩いた拍子に飲みかけのグラスがそこそこ大きな音をたてて、肩を竦めた。カフェやなにかだったら避難の目を向けられていたことだろう。
そんな音など歯牙にもかけない高校時代の友人は、大袈裟に頭を抱える。
「さっさと別れた方がいいって!」
「でも仕事も辞めちゃったし、お義母さんたちにもよくして貰ってるし……あの人もね、反省してくれてるから。」
彼の親族一同に頭を下げられたのはまだ記憶に新しい。彼も彼の家族も根はとてもいい人なのだ。
「甘い!グラブジャムンより甘いわ!こんな状態のあんた放って浮気なんてろくでもないに決まってるんだから!許したくないならそれでいいの、あんたが申し訳なく思う必要なんて一ミリもない!」
「わ、なんだっけそれ。」
「インドかどっかの食べ物……じゃなくて、ねぇ!」
「あんた、猫とか興味無い?」
三食寝床つき、お腹の子の様子見ながらでもできる、猫とおまけの食の面倒見るバイト、やってみない?
そして時は現在へ。目の前の男は頭痛を抑える私など気にした様子もなく子猫に追い回されている。
「朝晩寝床つきののペットの世話、怪しいと思ったけど……」
まさかこう来るとは。そういえば友人は、高校時代から不意に突拍子もない問題を持ち込んでくることがあった。十年経った今もあの体質は健在らしい。幸いにも、彼女の人徳故かトラブルになったことはないが。
「あ、鈴木さん……ですよね、この、こいつ、なんですけど。」
どうにかしてください。と、初対面にも関わらず恥ずかしげもなく壁に張り付く男性……推定雇い主を見つめた。
へにゃりと下げられた眉からは気の弱さが醸し出され、悪人ではなさそうに見える。あの友人の紹介であるから、それはあまり心配していないが。
彼女のしてやったりという顔が浮かぶ。きっと私がどうするかも分かっての行動だったのだろう。自宅に戻ることと友人の思惑にのることを天秤にかけ、私は後ろ手に扉を閉めた。
これは私と猫と同居人の、ハートフル?ストーリーである。
『子猫』
子猫のように無知であり貧弱な君は、とても愛おしく見える。しかし、彼女は好奇心が強いゆえにあぶなっこいったらありゃしない。ここは、私が親猫として首根っこを掴んでおかねば。
英語でKITTY。
よちよち歩く。
愛くるしい。
親ネコのように、まだ伸びやかでない。
親ネコのように、まだ気品がない。
まだ女みたいでない。
子猫は暴れていた
彼の中の抑えきれない衝動が、彼を突き動かしていた
彼はもはや子猫ではない
トラと呼ぶべきだろう
柱で爪を研ぎ、障子に穴を開け、机の上にあるものをひっくり返す
短い時間の間に、秩序の保たれた空間は、混沌へと変わり果てた
暴虐の限りを尽くしていると、どこからか女神が現れた
女神は彼の名前を呼びながら、彼を捕まえようとする
しかし彼は速かった
女神をあざ笑うかのように、華麗に回避する
もはや誰にも彼を止めることは出来ない
しかし女神は覚悟を決め、魔法の呪文を唱えた
「チュール」
それを聞いた瞬間、小さなトラは自分がただの子猫だということを思い出した
そして子猫は女神をどんなに愛しているか、訴えながら歩み寄る
そして女神に捕まり、説教をされたのだった
なおチュールは出なかった
子猫
「わぁ、子猫だ!」
弾んだ子どもの声が聞こえた方に行くと、小さな女の子たちとその親らしき人がいた。
これが、僕と家族の出会いだった。
彼らはご飯をくれて、一緒に遊んでくれた。
しばらくして、僕は彼らの家族になった。
たくさん一緒に遊んでくれて、優しく撫でてくれるこの時間が1番幸せだった。
みんながお休みの朝は、なかなか起きてこなくて起こしにいったこともあった。
テレビに出ている猫を一緒に見た。
寒い日は、お布団の中に入れてくれた。
「温かいね、ありがとう」
温かいのは僕の方だ。大切な思い出をくれたこんなに素敵な家族に出会えたのだから。
僕の家族と出会って、そろそろ20年になる。
僕を愛してくれたみんなには、ずっと幸せでいてほしいな。