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 子猫は暴れていた
 彼の中の抑えきれない衝動が、彼を突き動かしていた
 彼はもはや子猫ではない
 トラと呼ぶべきだろう

 柱で爪を研ぎ、障子に穴を開け、机の上にあるものをひっくり返す
 短い時間の間に、秩序の保たれた空間は、混沌へと変わり果てた

 暴虐の限りを尽くしていると、どこからか女神が現れた
 女神は彼の名前を呼びながら、彼を捕まえようとする
 しかし彼は速かった
 女神をあざ笑うかのように、華麗に回避する
 もはや誰にも彼を止めることは出来ない

 しかし女神は覚悟を決め、魔法の呪文を唱えた

「チュール」
 それを聞いた瞬間、小さなトラは自分がただの子猫だということを思い出した

 そして子猫は女神をどんなに愛しているか、訴えながら歩み寄る
 そして女神に捕まり、説教をされたのだった

 なおチュールは出なかった

11/16/2023, 9:15:35 AM