森川俊也

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雨の日。仕事帰りに子猫を見つけた。
雨に濡れて寒そうにしている、段ボールに入った子猫。
最初に思ったのは、今どきこんなことするやついるんだ。だった。我ながら少し冷たい感想だったと思う。
俺の家は狭く、とてもじゃないがペットを飼うスペースはない。
それに、俺自身も遅くに帰るからペットを飼うのに向いていない。
だから、子猫のことは見なかったことにして帰ろうとした。
子猫の鳴き声が聞こえた。
そこからはよく覚えていない。
ただ、いつの間にか子猫は俺の部屋にいた。
捨てるわけにもいかないから俺は一生懸命部屋をきれいにして早く帰るようにした。
いつの間にかその子猫は大きくなって、俺は猫とともにいることが日常となった。
餌を買いに行ってから帰ったある日。
いつもは聞こえる鳴き声が聞こえなかった。
慌てて駆け寄れば、どことなく苦しそうだった。
病院に連れて行った。
もう、治ることのない病気だと言われた。
余命はほんの少ししか無かった。
俺は会社を休んでずっとそばにいた。
ある日、家を君は飛び出した。
追いかけると君は道路に飛び出した。
俺が声を掛ける前に、道路を車が通って、君は轢かれて死んだ。
車が去ってから俺は君に近づいた。
君はもう、息をしていなかった。
俺は泣いた。
いつまでもいつまでも。泣いた。
せめて寿命を全うするまで一緒にいたかった。
でも、君はもういない。

11/15/2024, 10:11:08 AM