『子供の頃は』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
子供の頃は
何もわかってなかった。
何も知らなかった。
何をさせても不器用で、
歩けば何もなくても転ぶ。
何かを覚えるのも遅くて、
字を書くのは大の苦手。
運動も苦手。
そしてかなりの怖がり。
そんな子供だった。
長所は、心の底から毎日が楽しいと笑えていたこと。
なにか嫌なことをされても、楽しかった!と、笑ってた。
知らなさすぎて気付かなかった事もあったのだろう。
あとは、できないなりに必死に努力できたこと。
字が苦手で覚えられないからノートに書いた
ページも手も真っ黒になるまで書いた。
運動はもっと苦手だった。
でも、やらないを選ばなかった。
自分なりに伸びていって、いつしか最下位から真ん中より少し下くらいにはなった。
そんな子供が少し成長した今、
やっぱり怖がりで不器用でよく怪我をする。
でも、努力できることが長所、なんて考えながら出来ないことも頑張ってる。
苦手なことも取り繕える。
かなり、背伸びしてるだけだけど。
あと、楽しさを求めるのは変わらない。
楽しければ嫌なことも、まあ、いいか。になるから。
全く変わらない。
ただ、心の底からが少なくなっただけ。
子供の頃は
パチッと、あえて音を立てて駒を置く。
年上の彼女が歩を滑らせて動かす。
僕はまた、パチッと音を鳴らして駒を置く。
部屋を掃除していたら、子どもの時に遊んでいた将棋盤が出てきた。ルールは知っていると彼女が言うので、久しぶりに触ってみたところだ。
ねえ、なんでそんなふうに音がするの?
ふふっ、と僕は得意げに笑い、
僕は選ばれた人間だからね、と言った。
そういうのいいから。 彼女がまた滑らせて駒を動かす。
練習したから。僕も子どもの頃は、そういうふうに動かしてたよ。あと親指と人差指で摘んで。でもかっこよくないから練習したんだ。ほら、と言ってゆっくりやってみせた。
飛車を人差し指、中指、薬指の三本指で摘み上げ、駒下を親指で軽く支えたあと、人差し指を下に潜らせて中指とサンドイッチする。盤上に角度をつけて置く。パチッといい音が響いた。
近年はスマホのアプリでやるばっかりだったので、この感触は本当に久々だ。やっぱり実物はいいな。駒に命を感じる。
いいねえ、かっこいいねえ。 彼女が2本指で角を摘み上げる。
クックック。素人め。その所作が不作法だというのだよ、と心のなかで密かに嘲笑う。
王手ね。
え。
あ、違う。王手飛車取りね。
え。あっ。え?
もう詰んだでしょ。私の勝ちね。
え? あ、あれ?ま、待って。それ待って。
こらこら。男でしょ、待ったなし。カッコつけるところ違うんじゃないの? 彼女が笑顔で言う。
……参りました。
子供の頃は
私は御年69歳、いやはやこんなに長く生きているのか、人生もう、終盤だわ
絶対に認知には、なりたくないわ
子供の頃は一人っ子だったので、大人しくて穏やかだったと思うわ
今のわたしの変貌ぶりには、自分自身
ビックリだね もう、自分自身御身大切のみを考えている自己中の固まりになってしまったね
本当にあの頃にに戻りたいね
#子供の頃は
小さい頃は、から始まる歌がある。
続きは「神様がいて不思議に夢を叶えてくれた」
歌を楽しいと思える時、僕は歌いながら心を感じている。僕以外の誰か、その心になれたりもする。
歌が歌えなくなるのは、気持ちに蓋をしてしまうからなんだろうな。感じたくない感情、特に、怒り。けれどそうすると、自分も見失ってしまう。そうして時に見えなくなることで、僕は生きてきた。
だけど、今度ばかりは...
胸の中に抱えていたこと、あの時言葉にしてくれて、何とも言えなかったなぁ
あれから君は、大人になれたかな
歌詞のメッセージ、引用します。
「優しい気持ちで目覚めた朝は
大人になっても 奇跡は起こるよ」
#松任谷由実「やさしさに包まれたなら」
子供の頃は
何も考えていなかった。
それに、無邪気だった。
それが、いい方向に傾くこともあれば悪い方向へと
傾く時両方あった。
じゃあ、歳を重ねた、今はと言うと
何も変わらない。
何をしても、いい方向。悪い方向。
どちらにも傾く。
だから、自分の考え方ひとつで世界は
変わる時もあるのではと考える。
どうにもならない時は、あるかもしれないけれど
考え方をすこし変えてみると、見えてくる世界も変わるから。
今、何かに悩んでいるのなら
ものの見方を、角度を、考え方を変えてみるのも
ひとつの方法かもしれない。
『 子供の頃』
子供の頃は、なんで怒られるんだろう。
自分のこと嫌いなのかな。
そう思った。
中学生になっても、怒られるのが大っ嫌いだった。
だけど、大人になって分かった。
私は愛されてたんだ。
愛があったから叱ってくれたんだ。
大人になったいま。
理不尽に怒鳴られ、迷惑な客が来て、怒られる。
叱ってくれるのは次を成功に導くため。
安全を守るため。
決して勢いで話しているのでは無い。
私は今頃、愛されていたんだと自覚し、後悔する。
お墓の前で手を合わせて、目を閉じる。
私をいっぱい叱ってくれてありがとう。
子供の頃は
よく一人でおままごとをしていた
勿論みんなとするのも好きだけど、
一人の方が断然に楽しかった気がする
そのせいか、今でも想像力は現実を遥かに超えて
感受性の強さに結びついた
共感することや雰囲気の変化にとても敏感で
考えるよりも先に体が動く
それは良くも悪くも感覚的で
楽しくもあるし 苦しくもある
でもそんな自分は嫌いじゃないから
もう少し翻弄されてもいいかな 笑
子供の頃は、将来なりたいものを語っていた
子供の頃は、いつまでもわがままで居れるような気がしていた
子供の頃は、こんな大人になるかと思い生活していた
子供の頃は、そんな事をみんな思っていたのかな〜
よく泣いた、今でも泣きそうになる場面はあるけれど昔ほどではない。泣いても意味がないと気がついてからは、泣くことをやめた。代わりに、どんなに辛くて苦しくても少し笑うことにした。笑えば辛くも苦しくもなくなると思ったから。
俺は幾度となく
生死を繰り返している
10歳くらいの時
数人の友人と遊んでいたんだ
確かかくれんぼだったはず
隠れに入ったボロい蔵のような場所
もの好きな奴らが出入りした痕跡もあったようなー
そんな場所
多分子供と言うよりは大人だろうな
小さい体だからこそ
隠れるのにはピッタリな場所を見つけて
そこへ身を潜めていると
不意にみーつけた!と
友達の声が聞こえた
近くだったが俺じゃない
まぁ、こんなボロくて
汚い場所に入るやつなんていないよなぁ、
そう思いながらくすくすと笑いをこらえていると
肩に冷たい水が滴って
反射的に肩を見れば服にシミを作っている
まぁ、こんなところだし
こういうこともあるよな、と思いもしたが
特に気にするようなことはせずに 隠れ続けていたが
やはりこんな場所を探されることもないーー
仕方ない
そう思って蔵から出てみると
相変わらずの昼間の光景が広がっている
暗いところから明るい場所に出たせいで
眩しい、そう感じていると
さっきまでいた蔵のような場所の中から
俺の背に囁くような、小さな声をかけられる
“輪廻“
少年のような少女のような少し高めの声
振り返ってみたが特に誰かいるようもない
首を傾げて、友達が集まっている場所へ向かったーーー
この日から数週間後
この暑くもなく寒くもない季節が来た
俺は高校へ通うようになった頃
“輪廻“
子供の頃に聞いた囁き
肩に滴ってきた水が当たった場所
星に似たようなよく分からない痣が出来てからというもの
何かの死に出会う
そして“俺“にまた生まれることもあれば
別の誰かになっていることもある
抜け出す方法を探してはいる
あのボロい蔵のような場所に行っても
その蔵は取り壊されたのか更地になっていた
俺は今でも
現実なのに現実では無い
この迷いの世界から抜け出せないでいる
[子供の頃は―死に直面しては生まれ―]
子供のころは
子供はあれだけ素直だったんだなって思った
大人になれば気を使って、なにも言えなくなる。
だから大人になると恐ろしいんだなって。
【子どもの頃は】
かわいらしくない、冷めた子どもだった。プレゼントもサプライズも苦手、クリスマスのからくりには早々に気がついて、苦言を呈するような子どもだった。同級生とはもちろん馴染めず、いつも大人が友だちだった。頭は良かったから、秀才キャラで生きてきた。
アニメにも興味なし、ひたすら本ばかり読む私に、先生という先生はなにかといちゃもんをつけてきたが、根拠がなさすぎて一蹴した。最初の方こそ罪悪感はあったが、背に腹は変えられないから致し方ない。
1年ほど前に、母に引きずられるようにして病院に行った。私には病名がついた。社会的には私は生きづらい人間、らしい。ひどく安堵した顔を見せた母に、私は不思議な気持ちになったが、まあ、母のこんな顔はなかなか見たことがなかったから、そういうものなのか、よかったよかった、と思うことにした。
その話をすると、たしかに変な子だったもんねー、そんな感じしたもん、と笑う周りに、見てもいないくせに、と言いたくなってしまう。
勝手に人を変だとか変じゃないとか言うことは勝手だが(ちなみに私は変人という言葉は褒め言葉として受け取るようにしている)、そんなことに構っていられるほど暇じゃあない。変かもしれないけど、それが私。
毎日が苦痛だった
周りのみんなの様子を真似て
周りに溶け込むように、目立たないようにと過ごす
だけど他と違うことはすぐに気付かれてしまう
みんなが普通にできることができない
誰とでも自然に話すとか
長縄跳びに入っていくとか
100以上の数を数えるとか
右と左の違いとか
教室にいることがただただ苦痛で
ランドセルを置いたまま
上靴のままで学校の外に飛び出した
***子供の頃は***
子供の頃は
神童と呼ばれたあの子に
いつか勝つのが夢で
なのにあの子は
世間に潰されてしまった
打ちっぱなしのコンクリート剥き出しの階段
螺旋の途中の踊り場は冬は特に冷ややかだった。
どんな声を上げようが、響くだけで返っては来ず
虚しさだけを溜め込んでブリキの扉を開く。
上等な靴箱なんて物も無く玄関先は味気無い色で
散らかった見知らぬ爪先が示す奥では
身知った声の変わり果てた様を聞かされた。
意図せず向かい合った木戸の先へ駆け込んで
いっそ便器と向き合ってしまおうか?
しかし、吐き出せる内容物などは最早無い。
拭い方も知らぬ不快感に酩酊する脳味噌では
靴を脱ぐ事すらも億劫で、ブリキの扉へ背を預け
ずるずると緩慢な動作で腰を落とす度に
意識も瞼も落ち込んで睡魔へ浸かりこんでゆく
後頭部がキンと冷えて目の奥が点滅する。
ここで寝てしまったら、邪魔になってしまう。
後ろ手にドアノブを捻れば
また冷ややかなコンクリートへ逆戻りだ。
背骨の一部を強かに打ち付けたが
元より傷んでいた身体ではこれ以上痛みはせず
子供の自分には乗り越えられない手摺りの先で
冬の晴れた空だけは無粋な程に青かった。
何時になったら、私は家へ帰れるのか。
迷い子とは癒えぬ病ではないかと
あの頃は、そうとしか思えなかったな。
ー 子供の頃は ー
「子供の頃」
子供の頃は、世界が輝いてみえた。
色々な夢もあった。小さなことで喜べた。
でも、それは今では
出来なくなっているかもしれない
世の中を知れば知るほど難しくなってしまうから。
それでも、その世の中に少しでも
輝いているものを見つけられたらいいですね
少しでも、子供の頃のように戻れたら…
今日は『私のこと』を書こうと思います。
私は13歳不登校の引きこもり。
朝起きれず、夜に活動する。
そんな生活です。罪悪感で毎日涙が出ます。
なぜ自分だけ普通の生活ができないのか、
自分が自分に甘いだけじゃないのか。と。
私は周りから見ると『明るい性格』な、らしく
テンションが高く、悩みが無さそうに見えるそうです。
本当の自分は夜にコソコソ泣いて、
相談相手が犬しか居なくて、なにも出来ない落ちこぼれ
『社会不適合者』なのに。。
『本当の自分』を誰にも見せた事が無い。
溜め込むことしか出来なくて、
ずっとだるさと頭痛が続く毎日。健康な朝なんて無い。
スッキリとした目覚めなど無く気だるさしかない。
起きれずずっとスマホを見る。何も出来ない。
頭では『起きなきゃ、動かないと』思っているのに
体が動かない。
『あぁ、普通の生活がしたいな』
時報鳴り終わった道にもヤマモモは実りさびしさに降られていたろう
『19時にいつもの店で』
LINEが届いたのは1時間前。
三徹して書き上げた原稿を担当編集に送った直後のことだった。
急いで熱いシャワーを浴びて眠気を追い出し、ボサボサの髪と無精ヒゲを処理する。
クローゼットの中から、先月妹に薦められて買った服を引っ張り出して袖を通す。
それなりに値が張るだけあって、着心地は良い。
財布とスマホを手に家を出て、5分後店に着いた時、彼女は既に1杯目を飲み干した後だった。
「遅い!」
イヤ、まだ19時になってないし…という言葉は呑み込んで、彼女の向かいの席に座る。
突然呼び出されるのは毎度の事。
今の所、俺は彼女からの呼び出しを断ったことがない。
仕事で人と会う予定があったとしても、39度近い熱があったとしても、3日前に転んで足を捻挫していたとしても、だ。
店員にいくつかの料理と烏龍茶を頼んで彼女と向き合った。
2杯目のビールも既にジョッキ半分の勢いでなくなっている。
これは覚悟せねばなるまい。
「ねぇ、運命って何?」
運命、人間の意志を超えて幸福や不幸、悲しみや…って、そういうことを知りたいわけじゃ無いよな。
「何があったんだ?」
店員が運んできた烏龍茶を受け取って一口飲む。
確か、先々月呼び出された時は、新婚旅行はどこに行くのがいいかって、生まれてこの方日本どころか、本州から出た事もない、ほぼ家に引きこもりの34のおっさんに相談してきたんだよな。
まぁ、散々惚気られて俺の心はズタボロになったわけですが。
「……き………た」
「うん?ごめん、聴こえなかった」
そんな睨まれても全然怖くないし、寧ろ可愛いとか思ってしまう所、俺も重症だよな。
まぁ、実際可愛い…いや、美人だしな。
ちょっと吊り目できつい印象は受けるけど、笑うと可愛いし、色白だし胸も大きいし、腰細いしいい匂いするし。
幼稚園の頃から男子に人気あったし、中学に入ってからすぐに彼氏できてたし、大学ではミスコンで優勝もしてたよな。
就職してからも、会社の先輩とか取引先の奴とか街コンで出会った男とかと付き合ってたし、今の男はマッチングアプリで知り合ったんだろ?
えーと確か…3年、いや、4年付き合ってるのか。
次のふたりの記念日、来年春に結婚するんだって言ってたよな、薬指にはめた指輪見せびらかして。
お陰様でその時の原稿、書き直し喰らいまくったわ。
んで、式場とか見て回って場所探ししてるって……、ん?指輪が無いな、そう言えば。
「浮気してた」
「お前が?」
「違うわよ!あっちが!」
追加で注文したビールが届いた。
それ、3杯目だよな、ペース早すぎじゃないか?
「今日、デートの予定だったの。で、待ち合わせのカフェに行ったら女と一緒にいて…」
そしてそのまま彼女は何も言わず俯いた。
顔を隠すように流れた髪の隙間から、ぽたりぽたりと小さな雫が落ちている。
「知り合いか、誰か…なのかとおもっ…て、そし…た…ら……」
「……うん、そしたら?」
「………妊娠してるって言うのよ!しかももう少しで5ヶ月だって!それにその子22歳なのよ、信じられる?22よ、私達より一回りも下なの。あいつとは15も離れてるのよ?」
「もしかして…」
「そうよ、新入社員よ。教育係として仕事を教えているうちに、とか言ってたけど、入社して2ヶ月で種しこ、もがっ」
咄嗟に彼女の口にサイコロステーキを放りこんだ。
いくら騒がしい居酒屋だからと言っても、お下品な言葉は控えようか。
「あ、このステーキ柔らかくて美味しい」
「それは良かった」
「…可愛い子だったわ。何ていうの、こう、ふわふわしてて、護りたくなるような?」
そういう子に限って腹黒いものだよ。
うん、これはきっと初めから狙ってたんじゃないか。
大手企業の役職付きで、確か親は既に鬼籍に入っているんだったか。
そうなれば、介護の心配もなくて、親が残した家も土地もあるし、超優良物件だよな。
ちょっとこう弱いフリして誘い込んで、1度寝てしまえば後は済し崩し的にってところか。
このサイコロステーキ本当、美味しいな。
このガーリックがきちんと役目を果たして…って、え、もう3杯目飲み終わったの、早すぎる。
次は日本酒って、泊まっていく気だな…はぁ…。
「"僕たちが出会ったのは運命なんだ"とか言って、2人で手を握ってみつめあっちゃったりして、もう、ドン引き。指輪突き返して帰ってきたわ」
「おつかれ。でも良かったんじゃないか、結婚する前で」
「まぁ、そうよね。うん、そういうことにするわ。いい勉強になった!」
「そうだな」
それから1時間もしないうちに彼女は酔いつぶれ、彼女を背負って俺は店を出た。
「おーい、大丈夫か?」
「……ねぇ」
「うん?」
「私って魅力ない?」
「…十分、魅力的だよ」
「でも、22の小娘に負けた……」
「それは…」
「ほら、やっぱり魅力ないんだぁ!」
「ちょっ、暴れるな。落ちるぞ」
足をばたつかせて、あ、ほら、ヒール落ちた。
アスファルトに投げ出されたヒールを拾って、彼女を背負い直す。
ついでにもう片方のヒールも脱がせてしまう。
ヒールに傷がつくと怒られるのは何故か俺で、その度に1足プレゼントさせられる。
「悔しいよぅ…」
「うん」
「辛いよぅ…」
「うん」
「やっと結婚できると思ったのにぃ…」
「……そんなに結婚したいのか?」
「したいぃ、結婚したいよー」
「………なら、俺とするか?」
どうせ、明日になれば忘れてる。
「いいの?」
「あぁ」
「本当に?」
「本当だ」
「じゃぁ、指切り!」
「は?この体勢で?」
「はやく!」
「わっ、暴れるなって、本当に落ちるぞ」
「ゆーびーきーりー!」
「ったく、ちょっと待て……、いいか、絶対動くなよ、ほら」
彼女を背中に乗せたまま少し前屈みになる。
彼女を右手だけで支えて、左の小指を差し出した。
「ゆぅびきーりげんまん♪」
彼女が歌うこの歌を子供の頃はよく聴いた。
何か約束する度に指切りをさせられた。
それは、遊びの約束だったり、勉強を教える約束だったり。
でも、いつの間にかしなくなっていた。
「嘘ついたら、ラムせんぼんのぉます、ゆびきったぁ……」
下戸の俺にラム酒千本飲ませたら死ぬぞ、コラ。
あっという間に規則正しい寝息を立て始めた彼女を背負って、残りの家路を急ぐ。
重くは無いし、体力的にも問題は無い。
あと1時間以上はこのまま背負って歩ける。
けど背中にあたる双丘の柔らかさと、首筋にあたる寝息、そして三徹明けのヤバいテンションの脳ミソのせいで、理性が持たない。
「あー、覚えててくれねぇかなぁ…」
俺の呟きは夜の闇に吸い込まれていった。
子供の頃は、施設暮らしだったから
【親】と言う存在はよく分からなかった。
温かい家庭に、憧れた時期もあったけど
そんなものは、理想や夢しかない。。
現在、子供が居てバタバタと過ぎる毎日に
子供だった私に伝えたい。
今、子供が3人いて個性がバラバラで。
ただ、大変なんだけど
1つ言えることは、生きてて良かったって。
だから、過去の私
生きていてくれてありがとう。