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俺は幾度となく
生死を繰り返している



10歳くらいの時
数人の友人と遊んでいたんだ
確かかくれんぼだったはず

隠れに入ったボロい蔵のような場所
もの好きな奴らが出入りした痕跡もあったようなー
そんな場所
多分子供と言うよりは大人だろうな


小さい体だからこそ
隠れるのにはピッタリな場所を見つけて

そこへ身を潜めていると
不意にみーつけた!と
友達の声が聞こえた

近くだったが俺じゃない

まぁ、こんなボロくて
汚い場所に入るやつなんていないよなぁ、

そう思いながらくすくすと笑いをこらえていると


肩に冷たい水が滴って
反射的に肩を見れば服にシミを作っている

まぁ、こんなところだし
こういうこともあるよな、と思いもしたが
特に気にするようなことはせずに 隠れ続けていたが

やはりこんな場所を探されることもないーー


仕方ない


そう思って蔵から出てみると
相変わらずの昼間の光景が広がっている
暗いところから明るい場所に出たせいで
眩しい、そう感じていると

さっきまでいた蔵のような場所の中から
俺の背に囁くような、小さな声をかけられる

“輪廻“

少年のような少女のような少し高めの声
振り返ってみたが特に誰かいるようもない
首を傾げて、友達が集まっている場所へ向かったーーー




この日から数週間後

この暑くもなく寒くもない季節が来た
俺は高校へ通うようになった頃


“輪廻“



子供の頃に聞いた囁き
肩に滴ってきた水が当たった場所

星に似たようなよく分からない痣が出来てからというもの



何かの死に出会う
そして“俺“にまた生まれることもあれば
別の誰かになっていることもある


抜け出す方法を探してはいる
あのボロい蔵のような場所に行っても
その蔵は取り壊されたのか更地になっていた


俺は今でも
現実なのに現実では無い
この迷いの世界から抜け出せないでいる




[子供の頃は―死に直面しては生まれ―]

6/23/2024, 9:52:50 PM