『子供のままで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ぎゅって抱き締めて。
お母さんにそうお願いしたら、僕のことをそのあたたかな腕の中に抱き寄せて、僕が満足するまで離さないでいてくれた。
頭を何度も撫でてくれたし、大好きだよって何回も言ってくれた。
柔らかなお母さんの感触に包まれていると、ずっとそうしていたくなる。
でも僕は意を決して顔を上げ、お母さんの腕の中から離れた。
「もう、大丈夫」
もう僕は充分にお母さんを堪能したから。
「次は産まれてくるこの子を、ぎゅってしてあげてね」
そう言ってお母さんの大きなお腹をさする。
本当はもっと子供のままでいたかったけど。
でも、お兄ちゃんになれることも楽しみだから。
僕は子供のままをやめて、一歩大人になった。
【子供のままで】
子供のままで
もしも私が子供のままでいられたなら、
今頃あらゆる文学賞を総なめする天才小説家でしょうね。
何をもって子供をやめたのかは知らないけど。
子供をやめた気もないけど。
でも何の夢も叶ってないから、きっと大人になったんでしょうね。
お題「子供のままで」
子供のままで「いたかった」とは
思ったことがない
大人のほうが断然自由だと思っている
ただ
亡くなった父や母に会えるなら
子供の自分に「戻りたい」とは思う
会いたいなぁ
#子供のままで
ここは子供しか住んでいない夢の国
子供の王国
私は家族でここに来たはずだった
だけど今はお父さんとお母さんとは離れて暮らしている
ここではいつまでも子供のままでいられるらしい
毎日不思議なお菓子を貰う
甘くて不思議なお菓子
あとからわかった、あれは成長を止める魔法がこもってる
身体の成長しない呪い
心の汚れのない純粋な子供しか住んでいない
今日も国の子供たちは大人を狩りに出かける
この世から大人を駆逐するまで。
子供のままで
無邪気に笑う君は子供みたい
自分はそんな風にはもう笑えないな
どう君だけはそのままでいてほしかった
あなたは毎日きちんと化粧し会社に向かう。
あなたは仕事に真摯に取り組んでいる。
けれど会社のおかしな風土に染まらず、人としての優先順位は変わっていない。
客先に向かう途中、道でお年寄りが倒れていたら、車を止めて助けに行く。同僚がアポイントの時間を気にして見過ごそうとしても。
社会問題にも関心を持ち、より良い世の中にするにはどうしたら良いかを考え、休日は大学開催のセミナーに参加している。
いつか好きな人ができたら、結婚して子供を産みたい、と夢を話す。
友人との電話の最中に母親から声をかけられるとムッとして「今◯◯ちゃんと電話中!」と応える。
辛いことがあったら家族や気のおけない友人に相談する。泣きながら電話することもある。
電話に出てくれない友人は自分のことを嫌っているのではないかと悲しくなる。
仕事やプライベート、いろいろあって悩みは尽きない。
でもたいていのことはお父さんが解決してくれる。
わたしもあなたも中年と言われる年齢になったけれど、あなたは出会った子供の時のままで。
#子供のままで
仕事帰り、買い物を終え品物をエコバックに詰めていた
疲れたな…帰ったら洗濯して夕飯作って…夕飯何作ろ…
などと考えていると視界の端、床を黒っぽい何かか動いた
反射的に目をやるとそこにはつるつるの床を一生懸命動く虫
ゴキブリにしては細みだし、コウロギにしては長い
おぉ、おけらだ
春だなー
いやまてそんなことじゃなくここはドラックストア
このままじゃこの子踏み潰されちゃうじゃん
そもそも什器の下にでも入ったら終わりじゃん
あーそういや去年もコンビニでおけら見つけたな
久しぶり過ぎて触るの躊躇してたらアイスコーナーの下に逃げられちゃったんだよなぁ
あの時なぜか助けられなかったこと酷く落ち込んだんだよな
今でもそのアイスコーナーの前を通ると、暗い埃だらけの床の奥で現実には見たこともない乾いたおけらの姿が浮かぶくらいに
品物を詰めながら床のおけらをちらちら見る様は紛れもなく不審者
んー結構周り人おるな…けど去年の助けられなかったあのおけらの生まれかわりかもしれんし…
いや、絶対違うだろと思うもう一人の自分も品物を詰めている
詰め終わるとサッカー台にあるペラペラのビニール袋を一枚引きちぎり、そのまま流れるようにまるで自分の落とし物を拾うかのような所作でおけらを捕獲
高速で店内を後にする、不審者過ぎる
いやいや大丈夫、誰も見てないしお前自意識の塊かよ
自分につっこみを入れながら捕獲したおけらを見る
半透明の袋の中で必死にショベル型の前脚を動かしてる
弱ってはなさそう、良かった
ドラックストアの駐車場を見渡してみても土のある場所はない
当たり前だがすべてアスファルトで舗装されている
途中の公園にでも…いやこのショベルで掘れそうな土あったっけな?花壇とかなかったかも…
んー仕方ない、持って帰って家の前の畑に逃がすか
どうせなら柔らかい土のほうがおけらもきっと安心だろう
エコバックに一緒に入れるとシャンプーの詰め替えとかで潰れるかもしれない
せっかく助けた命を自ら終わらせてしまうことだけは避けたい
そんなもん後味悪すぎるに決まってる
ビニール袋を片手で握りしめながら自転車を漕ぎだした
子供の頃はこんな風に生き物捕まえては家に持ち帰ってたなぁ
その辺に落ちてたペットボトルにおたまじゃくし入れて帰ったり…懐かしい
あ、逃がす前に息子に見せよう
昔は私と一緒で虫好きだったけど今はひたすらゲームだもんなぁ
おけらはレアやろ、驚いて感動しちゃうかも、ふふふ
意気揚々と帰ってただいまを言うなり息子に
見てー!おけら捕まえた!
ゲームの手を止めて出迎えてくれた息子は眉毛を少し上げ
あ、へー、ほんとだ、初めて見た
みみずだーって♪おけらだーって♪のおけらだよ!
あー、なんかあったねそんな歌
初対面はなんともあっさりしたものだった
本人いわく、顔に出ないだけで驚いたし感動もしたらしい
もうちょい観察する?との母の提案に、もう見たしいいかなとサラリと断る息子とともに外へ出た
五月初めの夕方はまだ涼しくて、薄い明るさでどこか寂しかった
ビニール袋のおけらを土の上に出してみる
おけらは慌てた様子だったが周りが土だと分かると、ショベルを巧みに動かし見る間に土に潜っていった
そのあまりの速さに二人とも、おぉ〜と感嘆の声をもらす
姿が見えなくなったが、地中のおけらの動きに合わせて表面の土が波打つ
子供のままの私と、子供なのに大人な息子に見守られ
小さな命は拍動していた
息子と二人、土が動かなくなるまで見送った
静かでいい時間だった
さて、夕飯でも作りますか、何か食べたいのある?
いや〜、特にない
君はいつもそうだよねぇ、などと交わしながら家に戻る
突然舞い降りた、正確には地べたを這いずってた出会いと静かな別れを終えて
ゆっくりと、それぞれの日常へ戻っていった
いつまでも子供のままでは行けないと躾を喰らい、世の汚いところが目立ち、綺麗なところが見えなくなりました。
#子供のままで……
子供のように思うまま
子供のようにあどけなく
子供のように笑いながら
子供のように我儘に
子供のように気を使うことなく
子供のように気まぐれに
子供のように……
子供のように……
ありのままの私でいられたら
幸せに思えるのだろうか……
答えは……否
思い悩みながら生きている
今が幸せなんだろうなぁ……きっと
私には幼なじみの男の子がいる。
幼稚園に入る前から友達だったし、小学校のクラスもこの2年間ずっと一緒。
自他ともに認める(1度使ってみたかった)、1番仲良しの子ってやつ。なんでも話せる仲だった。
……過去形なのは、いつの間にか私から彼へ向かう気持ちが少し変わってしまったから。
テレビでやってたし保健の教科書にも書いてあったけど、もう少し経ったら男女がずっと一緒にいるのは変なことになるみたい。お姉ちゃんも、男の子と遊ばなくなっちゃった。
私も、いつかあの子と遊べなくなっちゃうのかな?
クラスの女の子たちは、早くも〇くんが好き、△くんに好かれてるかも、両思いかな?……なんて話題で盛り上がってる。
男の子たちはまだそういうの全然みたいだけど。だってほら、授業が終わった瞬間、彼が私の席まで迎えに来てくれた。今日は公園に行く約束をしていたのだ。
手を繋ごう、だって。嬉しいな。ドキドキしてるの、バレてないかな。
もうちょっとだけ隣にいたいから、
君にはまだ、子供のままでいてほしい。
無邪気
悪意に呑まれることなく
見返りを求めることもなく
邪気が無いこと
そんな頃が僕にもあった
虚ろに澱んでいく僕の瞳
あの頃の
子供の頃の僕が
どうしようもなく羨ましい
もし子供のままで生きていたら
僕の瞳に映る世界はどんなだろうか
一日が
びっくりするほど長かった
一年が
気が遠くなるほど続いて
毎日が驚きと哀しみと喜び
濃い感情であふれていた
おさない気持ちのまま
死にたくなることもたくさんあった
あの日々と感情はもどらないけど
子供のままでいたいとは思わなかった
いまも
まえをみて歩くだけ
♯子供のままで
「『子供のまま』。『ネオテニー』って単語を、昔々調べたことがあるわ」
きっかけは約20年前の某かくれんぼゲーム。SじゃなくAの、1作目な。某所在住物書きは過去を懐かしみ、カタカナ5文字を20年越しに再検索する。
「姿が子供のままで、大人になること、だったか」
アレじゃね?リアル見た目は子供頭脳は大人みたいな。正確には違うけど。物書きはクルリ振り返り、
「身に覚えが無いでもない」
積みゲーの2本をジト目で見つめた。
――――――
「子供のままで」。子供のまま「で良い」のか、子供のまま「ではいけない」のか。はたまた「自分は/彼は/彼女は」子供のまま「です」なのか。考えれば色々、幅の広がりそうなお題ですね。
こんなおはなしはどうでしょう。
最近最近の都内某所、某アパートに住む、人間嫌いと寂しがり屋を併発した捻くれ者には、ひとりだけ、職場に3歳年上の、宇曽野という友人がおりました。
1年目に新人と教育係の立ち位置で知り合い、かれこれアレソレどったバッタ、色々ありました13年間。
今は部署も離ればなれですが、たまに会って話をして、時折ギャンギャン、喧嘩などしておるのでした。
「はぁ、疲れた!」
今日も何やらひと悶着、あってからの帰宅の様子。漫画かアニメのそれのように、顎に冷湿布を貼ったり、おでこにバッテン絆創膏をつけたり。
「後で謝っておかないと」
にしても何故私と宇曽野は喧嘩したんだったか。
片や体格差と力量でポコポコしてくる宇曽野、片や相手の力を利用してポンポン投げ飛ばす捻くれ者。
いっぱい体を動かして、体も心もお互いスッキリ。
おかげで何故ポコり、何故ドッタバッタしていたのか、経緯こそ記憶が有れど、何故あんな烈火のごとく互いに互いを怒ったのか、程度の意味がサッパリ。
どうせ、しょうもない何かでしょう。
どうせ些細な何かでしょう。
まるで心が子供のまま大人になってしまったような、純粋で、はたから見れば微笑ましい程度の、小さな小さな何かだったのでしょう。
『無事か?』
ピロン。ベッドで寝転がっていた捻くれ者のスマホに、グループチャットのメッセージが届きました。
『無駄に強く殴った。酷い怪我になってないか』
それはさっき喧嘩をしていた、宇曽野からでした。
何か思うところがあって、彼の方から先に、謝罪を送ってきたようです。
気にするな。私の方も悪かった。すまない。
と、ポンポン文章を編集していた捻くれ者。ですが送信一歩手前で、全消しして、打ち直して。
素直にごめんで良いものを、ついつい、捻くれた文章を、送り返してしまうのでした。
『私の絆創膏代と湿布代そっちの経費で落ちるか?』
『じゃあ俺の方の入院代はお前持ちだな?』
『そこまで強く投げた覚えはないぞ』
『実は今救急車の中で。娘も嫁も泣いてて』
『はいはいウソ野ジョーク』
『バレたか』
ピロン、ピロン。その後もあと少しだけ、ちょっと子供のまんまなふたりのメッセージ合戦は、続くったら、続くのでした。
君の成長は、人より少しだけゆっくりのようだ。
すぐに泣いてしまうし、ちょっとしたことで癇癪を起こす。
教室に蝶々でもはいってきたのなら、君はもうそこにはいない。君はどこまでも、君だけの世界を生きている。
クラスのみんなが、段々と物事の「分別」をつけられるようになってきても、君だけはいつも苦しそうだ。その小さな胸の底で、君の魂は灰のようにいつまでも燻り続けているんだろう。僕たちが子ども時代に、とっくに置いてきてしまったそれを。
「はやくおとなになりたい。」
君はいつだか、泣いていた。溢れそうな瞳からいっぱいに流れる水滴は、本当は誰よりも繊細な心をもつ君そのものだ。
「どうして?」
「おとなになって、わたし、あなたとケッコンしたい。」
いつからか。君の涙はとても綺麗だけれど、できるだけ泣いているとこはみたくないなと思うようになった。
だって君の笑顔は、神様からの贈り物のようなんだ。僕と結婚したいのなら、君は、君を壊してまで大人にならなくてもいい、君は君のままでいいのにと、ひそかに思っている。
ずっと子供のままだったらいいのに。
そもそも『おとな』って、どこから?
子供のような『おとな』だって、世の中にはいるわけで。
やんややんやと喚いて叫んで。
結局はあの頃に戻りたいと、過去を振り返る。
ならいっそ子供のままでいたい。
めんどうなことなんて、なんにもしたくない。
〜子供のままで〜
一生子供のままで生きたいと大人になってからおもう。子供の時は早く大人になりたかったのになぜだろう。それは、きっと大人の世界を知ってきたからだと思う。となりの畑が青くみえるということわざがあるが良く言ったもんだ笑
すばらしい新世界
宣戦布告が告げられる
海で、陸で、空で、全面的な戦いが開始された
人々は武装し、地獄の戦場を猛進する
憎しみの争いの先にあるもの
ブレイブ・ニューワルドを信じて
破壊の先にあるものは虚無でしかないのに
リーダーにより、勝利が約束された
新兵器を次々と投入し、戦場は混乱する
ごく僅かな人間だけが高くから見下ろしている
儚い友情も恋も砕け散る
ブレイブ・ニューワルド
それはすばらしい新世界。
『子供のままで』
子供のままでいたかった
でも、いられない
いつか、僕たちは大人になっていく
必然的に
強制的に
でも、子供心は持っていていいだろう
童心にかえってもいいだろう
それは許してほしい
子供のままでいられたのなら
こんな思いはしなくて済んだろうか?
だって子供だからって、ほとんどのことが許される
大人になったらほとんどの人は無視する
優秀で役にたつ人以外はほとんど無視
これが世の中だ
きっと子供だったら
気づかずに済んだのかもしれないね
そう言えば短冊に願い事書いた?
うん、書いたよ!
今考えるんだよね〜
もうすぐ締め切りだよ?
こどものままが良いと書いた短冊を眺めた
どうしてこんな願いにしたんだ絶対叶わないのに
もうちょっと子供でいたいだけ
野原を駆け回る力が欲しいだけ
まさか本当に 叶うなんて
魔法みたいだった、何年経っても子供みたいで…
でも、今は呪いだ、ずっと生きてる…周りの人はしんだのに