『天国と地獄』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【天国と地獄】
「わぁ〜!」
その場所へ足を一歩踏み入れたとたんに、紗夜香さんが歓声をあげた。
色とりどりに咲き誇る花々の間を、色とりどりの鳥たちが飛び交っている。まるで天国のような光景――って、さっき読んだパンフレットに書いてあった。実際の天国とは、きっとかけ離れているんだろうけど。でも、僕は天国なら、このドーム内の光景のほうが親しみやすいと思う。綺麗な花は、僕も大好きだ。
ここは地元の動物園で、色鮮やかな花と鳥たちが有名なテーマパークでもある。僕たちは今、その花と鳥のドームに足を踏み入れたところ。そして、僕の横で目を輝かせて周囲を見回している網代紗夜香さんは、結婚相談所のお見合い相手。地元で二百年以上続いている布団問屋の娘さんだそうだ。一方の僕は、天涯孤独のしがない地方公務員。しかも、顔に醜い傷痕がある。はっきり言って、彼女と釣り合うとは思えない。相談所のお姉さん、なにを考えて僕たちをマッチングさせたんだろう?
「結城さん、ほら、あの飼育員さんのところ、鳥が集まってますよ、行きましょう」
紗夜香さんが僕の手をとり、引っ張っていこうとする。えっ、初デートなのに、こんなにすんなり手を握られちゃっていいの?
彼女に会ってから高鳴りっぱなしだった心臓が、ますます早鐘を打った。うるさすぎて、もう心臓に杭でも打ち込んで黙らせたいぐらい。彼女にこの鼓動が知られたらどうしよう。
僕の武骨な手をぎゅっと握りしめた、華奢な手のひら。折れそうに細い指先。驚いた僕の顔を振り返り、小首をかしげる仕草。続いて、ふふっ、と悪戯っ子みたいに吹き出す表情。いちいちあまりにも可愛すぎて、不安になってしまうほど。なんでこんなに可愛くて無邪気な二十五歳の子が、結婚相談所に登録してるの? なにを間違って、三十歳のおっさんの目の前にいて、あまつさえ手を握ってくれてるの? もしかしてここ、本当に天国なの? それとも、美人局みたいな地獄に続いてるの?
近くでペンギンたちの徒競走でもはじまったのか、ちょうどオッフェンバックの『天国と地獄』がドーム内に流れだした。運動会やテレビの動物たちのかけっこでよく聞いたあの曲だ。鳥を目指して小走りになった紗夜香さんと、それを追う僕にぴったりの曲でもある。かけっこのコミカルなイメージが染み付いた曲調は、どのあたりが天国でどこが地獄なんだか、よくわからない。でも、『天国と地獄』というタイトルだけなら、僕の心境そのものと言える。
というのも、僕は羽毛アレルギーだ。鳥に近づいただけで地獄がはじまるのは、目に見えている。なのに、僕を引っ張る紗夜香さんの幸せそうな笑顔には逆らえない。だって、一目惚れだったんだ。
「で、あえなくフラれた、と」
職場の机に突っ伏す僕に、主任がニヤニヤと無遠慮な言葉をかけてくる。いや、僕は顔を伏せているから彼女の顔は見えないけど、ぜったいニヤニヤして僕を見下ろしている。そういう意味で、僕はこの上司を信頼している。
「うちでは羽毛布団を作っているから、羽毛アレルギーのかたはお断りしているの、ごめんなさい」
デートのあいだじゅうズビズビ鼻を啜ることになった僕は、帰り際のバス停で紗夜香さんからはっきりそう言われた。初デートでいきなりこの動物園を指定したのも、アレルギーの有無を確かめるためだった、と。そんな選別方法ある!? ……なんて、そのときは思ったりもしたけれど。今ならわかる、あれはとっさに思いついた嘘の断り文句だ。しかたない、もともと網代紗夜香さんと僕とじゃ、釣り合わなかった。彼女も、僕を断る口実を見つけられて、さぞやほっとしたことだろう。
ああ、彼女と触れ合ったあのつかの間の時間は、まさしく天国だった。だけど、今の僕の心境は、地獄そのものだ。
だって、さっき回ってきた出動要請のターゲットの顔写真が、忘れもしない、僕が一目惚れした彼女その人だったのだから。
書類の写真を見るなりいきなり頭を抱えて机に突っ伏した僕から、主任が先週の動物園デートの話を聞き出したのが、ついさっきのこと。そして今、僕は無粋で失礼な主任にニヤニヤ笑われているわけだ。
いつまでも突っ伏して職務放棄しているわけにはいかないので、僕はしぶしぶ顔を上げた。主任に目をやれば、ほら、やっぱり。黒いパンツスーツの足を組んで隣の机に行儀悪く腰掛け、ショートカットがサマになる綺麗な小顔で、僕を見下ろしながらニヤニヤしている。
「討伐対象の吸血鬼に失恋済みとはねぇ」
「どうりで、やたら魅力的なわけですよ……。吸血鬼なら納得です……」
「君がフラれたのは、吸血鬼狩り専門の警察官だと気づかれたからだね。銀の匂いが染み付いちゃってるんだろうな。君のほうこそ、相手が吸血鬼だと気づかなかったのかい?」
「ぜんぜん気づきませんでしたよ……」
僕はすこぶる耳がいいので、その気になれば人の鼓動を聞き分けられる。つまり、鼓動がない吸血鬼のことも見抜ける、いや、聞き抜ける? とにかく判別できる。とはいえ、普段はそこまで聞き耳を立てていないし、あの日は、僕自身の鼓動がうるさすぎた。
今回、彼女が吸血鬼だと判明したのは、隠密調査員がバーで彼女の唾液の採取に成功したからだ。そして、人の世に紛れる吸血鬼がいるとわかったからには、僕たち警察官は彼女を狩らねばならない。
「だいたい、どういう奇跡ですか、吸血鬼と吸血鬼ハンターのお見合いマッチングって」
僕が愚痴ると、主任がニヤリと笑う。あ、いやな感じ。
「最近の男性不審死の調査対象に、もともと彼女が含まれていてね。で、ちょうどいい接触ポイントに君がいた、というわけだ。君が尻尾を掴んでくれればその日のうちにカタがつくだろう、ということで、相談所に働きかけてマッチングしてもらった」
「ひ、ひどい、僕の婚活心を弄んだ……っ!」
「なんだ、婚活心って。ほら、以前にも婚活パーティーで獲物漁りしてた吸血鬼がいただろ? あれ以来、上層部も婚活現場に着目しててね。私としても、不埒な吸血鬼どもを炙り出すための猟犬として、君にはとうぶん婚活しててほしいと思っているよ」
「とうぶんなんて、いやですよ。さっさといい人を見つけて、家庭を持って安らぎたいんです」
「家庭を持ったところで、この仕事をしている限り、安らぎとは無縁だねぇ。ほら、立ちたまえ、わざわざ君を指名した出動要請だぞ」
「失恋相手を狩らせるなんて、僕に対して無慈悲すぎやしません?」
「君に尻尾を掴ませなかったぐらい強力な吸血鬼だとしたら、命を賭けたお見合いの相手が務まるのは、この部署じゃ君だけ、ということだよ。今回は、私もサポートに入る」
最後の一言で、急に身が引き締まった。主任まで駆り出されるなんて、そうとう戦い慣れた吸血鬼ってことだ。
「この任務が終わったら、辞表出しますからね!」
「ああ、ぜひとも無事に終わらせて、元気な辞表を見せてくれたまえ」
黒いスーツをピシッと着こなして警察手帳を見せると、話が早くなるので助かる。やっぱり、見た目と権威は大事だ。とくに、僕のような、相手を怯ませる顔面を持っているともなれば。
「ああ、毎回ツレが違うのに、初めて来た、みたいな反応をしてるあの女の子ね。さっきドームに入っていったのを見たよ」
僕と主任は、対象の吸血鬼を追って例の動物園に来ていた。彼女はまたしても婚活デート中で、またしても花と鳥のドームに相手を連れ込んでいるらしい。まさか本当に羽毛アレルギーチェックをしているわけでもないだろうに。そろそろ職員さんたちに顔を覚えられているんじゃないだろうか……と思ったら、案の定だった。
「そういえば、イカす傷の兄さん、こないだあの子と一緒に来てなかったっけ? 君もなんらかの被害者かい?」
……僕まで覚えられていた。たしかに、鼻の上を通って顔を真一文字に横断する爪痕は、よく目立つ。吸血鬼相手に不覚をとった若かりし日の自分が恨めしい。
職員専用の裏口からドームに入れてもらい、生い茂る葉の陰から彼女の姿を探す。主任はキョロキョロしているけれど、僕は耳を澄ます。深く――深く、聴覚の奥底へ。ドーム内に反響する鳥たちの声。人間たちの歓声。おしゃべりの声。葉が騒ぐ音。空調の風のざわめき。そして、生き物たちの小さな鼓動。呼吸音――会話やささやかな動作音が伴っているはずの、命の音がない、そんな違和感の出どころを探る。
「あ、いましたよ、フクロウの止まり木のそばです」
「ここからじゃよく見えないのに、本当に猟犬並みに鼻が利くね、君は」
「鼻ではないですけどね……」
主任が葉の陰からざっと立ち上がる。僕もそれに続く。
「では、あとは手筈通りに」
僕たちは顔を見合わせ、頷きあった。
主任が彼女の連れに話しかけて気を引いている間に、僕は背後から彼女に話しかけた。
「場所を移しましょう」
目を丸くしている彼女に、すかさず提案する。
「あなたとしても、そのほうがいいでしょう。お連れのかたに正体を知られたくないのなら」
「そうね」
僕が現れたことで、これからなにが起こるのかを察したのだろう、彼女はすぐに、ふふっと魅力的な――さらに言えば挑発的な微笑を浮かべた。
「ここで大立ち回りをして、出禁になったら悲しいものね」
彼女はすんなりと僕の手招きに応じてくれた。連れが主任と話しこんでいる間に、二人でこっそり裏口からドームを出る。
と思ったら、彼女は外に出るなりぴょんと跳び上がった。吸血鬼は身軽だ、あれよあれよという間にドームの壁面を駆け上り、姿が見えなくなってしまう。
ひょっとして、逃げたつもりだろうか。でも、僕だって、吸血鬼を相手取るために血反吐をはくほど鍛錬を重ねた警察官だ。見くびらないでほしい。彼女の後を追ってドームの壁面を駆け上るぐらいのことは、簡単にできる。
一息でかるがるドームのガラス屋根へと上りきると、少し離れたところから、彼女が呆れ顔で僕を見つめていた。
「驚いた、あなた、ずいぶん身軽なのね」
「いえ、どちらかといえば重いほうです。これでも、鍛えているので」
「細身に見えるけど、案外パワータイプってことかしら。やあね、筋肉質の血は好みじゃないのに」
逃げるのは諦めたらしい。彼女はずかずかと僕に近づいてきた。
ドームといっても、天井は平らで、ガラス屋根を支える鉄の骨組みもある。そして、人目はない。厄介な羽毛もない。吸血鬼と戦うには、うってつけの場所だ。もともとここに誘導するつもりだったから、彼女がすすんで上ってくれたのは、ラッキーだった。
「ね、今日は見逃してくれない? 私、この動物園、壊したくないの。すごく気に入ってるのよ。花も鳥も色鮮やかで、まるで、行けもしない天国みたいだから」
「天国なら、僕がちゃんと本物を見せてあげますよ」
近づく彼女を制するように、スーツの襟を開き、裏地から手のひらサイズの十字架を抜き取る。銀製の十字架の先端は尖り、杭になっている。十字架の頭を握れば、形はほぼ短剣だ。
「あなたが、天国に? つまり、血を吸わせてくれるってことかしら?」
彼女はあの魅力的な表情で、ふふっと笑った。
「だって、吸血鬼は死んだら地獄に落ちちゃうんでしょ?」
「そんなことはないと思いますよ」
それは吸血鬼を悪魔とみなす特定の宗教が言い出したことで、吸血鬼も人間も動物も、死んだらどこに行くかなんて、本当はわからない。
「ところで、最初にお聞きしておきたいのですが」
杭を逆手に構え、彼女との間合いを計る。彼女はまだ爪を見せていない。
「本物の網代紗夜香さんはどちらに?」
「あら、彼女なら、とっくの昔に土の中よ。しわしわのお婆さんになって、ね」
「それは、老衰で寿命をまっとうした、という意味ではなく?」
「吸い尽くしてやったに決まってるでしょ。なかなかの美味だったわ。たまには女の子もいいものね」
「それを聞いて安心しました」
「え?」
「遠慮なくあなたを天国に送れます」
僕はほんの一瞬で距離を詰めた。体を倒す力をそのまま移動のエネルギーに変えた、縮地。彼女の懐に入り込むなり、体当たりの力を乗せて、心臓の位置に銀の杭を打ち込む――はずが、彼女はそうそう簡単には終わらせてくれなかった。素早く避けた彼女に杭は空振りして、僕は前のめりにバランスを崩した。慌ててしゃがみ込むと、吸血鬼の鋭い爪が髪をかすめとった気配を感じた。
僕はしゃがみ込んだ勢いで彼女の足元まで前転し、跳躍を誘う。彼女が僕を避けて跳んだ隙にさっと立ち上がって、体勢を立て直す。
「驚いた。私と同じぐらいに素早いのね」
「僕も驚きました。僕と同じぐらいに素早いんですね」
最初の対峙からそっくり入れ替わった立ち位置で、僕たちは睨み合う。
僕は並の吸血鬼よりは素早い自信があったから、素早さが互角ということは、彼女はかなり強い部類に入る。主任の言うとおりだ。こんな面倒な相手、他の同僚には任せられない。
吸血鬼の武器は、俊敏な身のこなしと、あの長くて鋭い爪。車を簡単にへし折るほどの怪力。そして、多少のダメージならものともしない回復力。決着をつけるなら、一瞬で決定的なダメージを叩き込まなければならない。それも、あの俊敏でパワフルな爪を掻い潜って。
彼女の隙を生み出さなければ、僕に勝ち目はない。素早さは互角。パワーも今のところは互角。打ち合いの体力勝負になれば、無尽蔵のスタミナを持つ吸血鬼が有利。武器のリーチでも、吸血鬼が有利。五分五分どころか、九対一ぐらいで、僕には分がない。
とはいえ、まったく勝算がないわけではない。なにしろ、今日の僕には主任がついている。
かすかなワイヤーの音を耳に入れながら、僕はおもむろに足の位置を入れ替える。彼女を中心にして、円を描くようにゆっくりと周囲を回る。彼女は僕から目を離すまいとして、体の向きごと僕を追う。
かすかなワイヤーの音が止まる。僕は一気に攻勢をしかける。彼女に飛びかかって、そのまま杭と爪の打ち合いになる。短い杭一本で両手ぶんの爪を捌くのは厳しいので、スーツ内に仕込んだ籠手の出番だ。両腕を使えるなら、爪あしらいには自信がある。彼女は思うように僕を捉えられず、少しムキになっている。いいぞ、その調子。ワイヤー音はふたたび唸っている。僕はスタミナの消費も気にせず、鉄骨の上でステップを踏みながら、彼女を誘い続ける。
ギリリ、と弦を引き絞る音が聞こえる。主任が愛用している、大型の弩の音だ。
吸血鬼は、まだ気づかない。
元隠密調査員だった主任は、吸血鬼に対して気配を消すのがうまい。ワイヤーを使ってドームの端に上がって来た主任は、さらにワイヤーで愛用の弩を引き上げると、そこそこ離れた場所から吸血鬼の背後を狙って、矢を放とうとしている。
僕は吸血鬼の注意を引きつけ、向きを誘導し、主任を視界に入れないようにする役割。戦闘に夢中にさせ、主任の気配に気づかせない役割。
そして、もうひとつの役割は――
僕は吸血鬼の爪を弾いた隙に主任へと視線を向け、大きく頷いた。
その合図で、吸血鬼はようやく、弩を構えた主任に気づいた。
「挟み撃ちってこと!? 甘いわね!」
間髪入れず弩から放たれた矢を、吸血鬼が反射的な動きではたき落とす。
それが僕たちの狙いだった。
木の矢にくくりつけられていた風呂敷がほどけ、中身がぶわっと周囲に飛び散った。
彼女の足元にぼとぼとと落ちる、色とりどりの花。ドーム内で咲き誇っていた、美しい花たちだ。
「え、なんで!?」
彼女が一瞬目を見ひらいた、その隙を見逃さない。
縮地で彼女の懐へ。体重を乗せて、まっすぐに。
彼女の心臓の位置に、杭を打ち込む。深く、深く。僕のありったけの想いをこめて。
「受け取れ。結城くんから君へ、天国への餞だそうだ」
遠くから、主任の声が遅れて聞こえる。
吸血鬼にとどめを刺すのも、僕の役割だ。主任はあくまでもサポートで、戦闘員ではないから。まあ、弩を持たせたら腕前はピカイチなんだけど。
「そん、な……」
彼女にぴたりとくっついた体を通して、呻き声が僕に響く。
とっさに僕へ突き立てようとしていたのだろう、長い爪が、かき抱くように僕のスーツの背中を切り裂いていた。僕の両脇から、スーツの生地が、死者の腕のようにだらりと垂れ下がった。
彼女の形をした灰が、輪郭をとどめきれずにさらさらと崩れ落ちていく。足元に咲いていた鮮やかな色たちが、またたくまに灰に埋もれていく。僕のスーツの切れ端も埋もれていく。僕は杭を落とし、彼女を掬い上げるように、灰を手のひらに受け止めた。
ドーム内ではペンギンの徒競走がはじまったのか、真下から『天国と地獄』が聞こえてくる。まさに僕の心境だ。無事に吸血鬼を退治できた高揚と、一目惚れだった彼女を手にかけた消沈で、天国なんだか地獄なんだか、わけがわからなくなってしまう。この仕事は、いつもそう。相対する吸血鬼たちは美しく、魅力的だ。顔に傷を負った醜い僕とは正反対で、だからこそ、僕はいつも彼らに惹かれてしまう。
「灰の清掃業者には連絡済みだ。今回は花も片付けてもらわねばな。言われたとおり、生け垣で間引いたぶんをもらってきたが、君もなかなか粋なことをするねぇ」
主任が僕の背後に立った。ぜったい、ニヤニヤ顔で僕を見下ろしている。顔を見なくてもわかる。僕は主任を信頼しているから。
「で、怪我はないんだな?」
「ないです」
「擦り傷もか? 相変わらず、たいしたものだな。しかし君、戦闘のたびにスーツの背中を切り裂かれるのは、なんとかならないのかい? その背中のダメージが、相手の強さの指標にはなるが……」
「相手の懐に飛びこむのが僕の戦闘スタイルなので、スーツは必要な犠牲です。だいたい、なんで戦闘用の支給服がスーツなんです? 普通、もっと動きやすい服とか斬られにくい服とかあるでしょう。防刃シャツだけじゃ不安ですよ」
「上層部の調査によると、戦闘服萌えの吸血鬼より、スーツ萌えの吸血鬼のほうがだんぜん多いから。以上」
「僕のスーツは、そんな萌えのために毎回消費されていた……?」
「ま、いいじゃないか。君はスーツの着こなしがすこぶるいい。よく似合ってるよ。これからもぜひスーツを着こなし、婚活という名目で吸血鬼退治を頑張ってくれたまえ」
軽い調子で、ボロボロの背中を叩かれた。
「職場が地獄で上司が鬼です……」
僕はようやく手中の灰を振り落とした。『天国と地獄』が突き上げるように響くドームの上で、膝を抱えて丸くなる。今日はもう、後始末を全部主任に押し付けて直帰しちゃおうかな。いや、でも、まずは職場に帰って、やることがある。
「私からすれば、優秀で職務に忠実な君をこき使えるってだけで、天国みたいな環境なんだけどねぇ」
「宣言通り、帰ったら辞表を出しますからね」
「はいはい。今回も握りつぶしておくよ」
「天国」は、明るく穏やかで雲の上にありそう
「地獄」は薄暗ぽそう
ここから
抜け出しさえすれば
大丈夫
そう思っていた。
もう
こんなに
考えることばかりで
憂鬱で
ずっと休まらなくて
疲れる
そんな
日々から
解放―――
なんて、
甘くなかった。
最初は
楽しかったけど
そのうち
質の違う
しんどさが表れて
眠れなくなって。
結局
地獄はあっても
天国
なんて
社会には
ないんだ。
#天国と地獄
『すんごい、雨だネ〜。夏音ちゃん、あんずちゃん。おはよう〜。』と陽葵ちゃんは挨拶をした。私たちも陽葵ちゃんにおはようと言った。
陽葵ちゃんは、ハーフアップの髪の毛をタオルで丁寧に拭いていた。
『濡れちゃったねぇ~。』と、私は、又あたり前にのことを言った。囲碁の先生なら面白くないぞ~、あんずちゃんって言われそう(^_^;)
夏音ちゃんが眼がイタイ〜。と、喚いていた。『推し活って、大変なんだよね~。』と、朱色の目薬をさした💧
一瞬、ショートボブヘアーの夏音ちゃんの白目が朱色に染まって見えた。😱
『あんずちゃん、真夜中のマリアのことを憶出だしたの??』と、陽葵ちゃんが言った。わは、頷いた。
ちょっと、離れた席で、高橋悟君と木田太一君たちが盛り上がっていた。
『昨日のクレージージャーニーヤバいよな~。』と言っていた。木田くんが言った。
『天草四郎の埋蔵金だよな~。』と高橋悟君たちは言っていた。
『まだ、エンディングじゃないの一言は、夏音の主人公の台詞みたいだったよな~。』と、高橋悟君はちょっと何時もより弾んでいた。
『言えているな~。』と木田くんは、wwwった。
『おはよう🌄』挨拶をして私たちも交ぜてもらった。夏音ちゃんが私も見た〜(。>﹏<。)と言って欠伸をした〜。
『スペシャリストは、ヤバいぐらいに過ごしかったよね〜』と、夏音ちゃんもサラリと参加した。
『そんなにすごかったんだ〜。』と、私は、言った。
高橋悟君があんずも見ればよかったらのに〜絶対に沼るよな~。と、三人で盛り上がり出した。
『埋蔵金を探すんだけれども、天気や自動車のタイヤがパンクしたり、ことごとく阻むんだよな~。』と、高橋悟君は、熱くなっていた。
『天草四郎は、そういう力の持ち主だからな〜。』とも高橋悟君は、言った。
『あんずも、色々なことがあったりするはよな〜(^_^;)、そういう時に、私は、見えない力が阻んでいるだ〜(。>﹏<。)』と、想えばいとをかしだと、オレは想うけれども。』
『高橋、すごいなぁ〜』とリスペクトの眼差しの木田くんだった。
『真夜中のマリアの闘いだって、まだ終わってない。ーーまだ、エンディングじゃない。』と、いう台詞が合うと想う。』と、夏音ちゃんは言って、欠伸をした。(^_^;)
あらま😯雨がキツくなっていた、
終わり
天国は内側にあるだろうか。地獄は外側にあるだろうか。ある人にとって天国とは己だけが存在する心の内、自室の内、暗闇の内だ。またある人にとってはそれが地獄だ。ある人にとって地獄とは己の外、海の外、世界の外だ。またある人にとってそれが天国だ。天国と地獄は存在するだろう。一つは天国であり、かつ地獄でもあるもの。もう一つは地獄であり、かつ天国でもあるもの。混じり合って一つになったものが見せ方を変えて二つある。そのスリットを通して差し込む二つの光、風向き、水の流れの交差点が私たちの生きる世界だろう。
君の隣が僕の居場所になる。
天国だって、君の隣は地獄のような熱をもつ。
地獄だって、君の隣は天国のような心地になる。
君がいる限り僕は何処にも行けやしない。
君は僕の神様で地獄の番人みたいなものだ。
僕の罪を捌くのは君だけど、僕の罪を赦すのも君。
二人で一つになってしまえればいいのにね。
僕の罪だけ地獄があるなら、君の善だけ天国がありますように。
《天国と地獄》
君の隣が僕の居場所になる。
天国だって、君の隣は地獄のような熱をもつ。
地獄だって、君の隣は天国のような心地になる。
君がいる限り僕は何処にも行けやしない。
君は僕の神様で地獄の番人みたいなものだ。
僕の罪を捌くのは君だけど、僕の罪を赦すのも君。
二人で一つになってしまえればいいのにね。
僕の罪だけ地獄があるなら、君の善だけ天国がありますように。
いらっしゃ~い。わたしゃ三途の川の渡し守。
おや?オタク人間様。はい、地獄にご案内。
え、なんでいきなり地獄かって?
最近決まったんすよ、人間は人間てだけで地獄行き。
どうして?ってそりゃ、多数決で決まったんす。
おっちんだ全ての生き物に聞いたんす。ええ、全ての。
そしたら、生きてるうちは人間のせいで地獄だったとの意見が
大多数でやしたからでね。
お気の毒だがホント最近決まってね、面目ねえ。
ま、服も濡らさないで済むし、希望すれば途中
暇になった10人の王とお茶会とか
裁判の疑似体験なんてのもあるからね。結構、楽しいですぜ
「異議あり!」なんて自分を弁護したりね。
おや、もうそろそろ着いちまう。別れがたいが仕方ねえ。
岸に着いてからもまだまだ先は長いので道中お気をつけて。
渡し賃?最近こちら勝手にルール変更したから
しばらくお代はいただかねえのよ。
地獄に仏?よせやい。
(天国と地獄)
死んだら天国か地獄に行くんだろうけど。
なーんかね。そんなもんは無いんじゃないかって思ってる。でも何も無い「無」になったら怖くないか?
『天国と地獄』
貴方と一緒に、あの世から消えた日。
あの世で、唯一私を理解してくれた貴方。
あの世で、一緒に蒼い世界に溺れた貴方。
この世に来たら、貴方は天国で、私は地獄に居たいと願った。
………貴方は、ここに来るべきじゃないのに。
なんで、ここでも一緒に居るの。
ぼんやりと靄のかかった空間に
人のような影が並んでいる
人気店の行列だっけ……?
そんな景色同様ぼんやりと
何も考えずに並んでいた
自分の番になってみると
先頭にはやはり
ファミレスにあるようなウェイティングボードがあり
タッチパネルで行き先を指定するようになっていた
とはいえ普通なら禁煙席/喫煙席
大人〇人
カウンター/テーブル席
などタッチするところ
そういう選択はなく
シンプルに
天国/地獄
となっていた
審判の門も随分電子化が進んだものだ
……て
ん?
選べるの?
天国と地獄ってそういうもんだっけ?
恐る恐る天国を押してみると普通に選ぶことが出来た
但し289213番という順番待ちと共に
係の人がおずおずと言う
「あのー、地獄ならすぐ行けるんですけど
だめですか?」
いや、そんな
カウンターか相席でもいいですかーなテンションできく話題か?
話を聞くと、どうやら、人を殺したりしない限り選べるらしい
時代も平和になって
そうそう人殺しもなく、あっても情状酌量などの制度もあって天国が満員なのだとか
その地獄も、現世で聞くような
釜茹でや針の山はなく、
むしろ現代の人間界に近いらしい
「現世の地獄教育が酷いのか誰も選んでくれなくて」
いや、あなたのプレゼンも相当悪い
ならば、と
待ち時間の間手伝うことにした
こう見えて、現世では営業マンだったのだ
まさかの、死後再就職である
天国と地獄
【天国と地獄】
こんなに貴方が近いのに、手を繋ごうよの一言が、言えずに私は怯えているの。
目の前に輝く光
キラキラした世界
手を取る相手は著名人
全てがこの世界に詰まってる
目を開ければ
見知った天井
聞き馴染んだ罵声と怒声
空っぽの心
夢は私の中だけで輝く
私が輝くことはない
◇テーマ 「天国と地獄」
どこにあるんだろうか?
本当はないと思う。
誰もいったことがない所だし。
遠い昔、誰かが作った架空の場所。
それが天国と地獄
#15 天国と地獄
天国が、どこにあるかは知らないが。
地獄なら、どこにでもある。
あの世に行くなぞ面倒な事をしなくとも。
己の地獄は、今ここに。
「貴方との子です」
そう告げられた僕は涙を流した.
-- ''天国と地獄''
#天国と地獄…
【貴方との幸せな未来】を考えてる時の《天国》と、【貴方との最悪な恋の結末】を考えてる時の《地獄》。二つが重なり合う…私は、常に、必ず、その二つを頭に留めておくよう気を付けている。なんせ、いつ、何処で何が起きるか、分からないからね…でも、極力、マイナスな方には、考えないようにしてる。何故なら、ほんとに、マイナスな方に物事が進んでしまったら、私、もう二度と立ち直れないから…でも、心から愛する彼には、心から幸せになって欲しいと常に考えてるから、もし、最悪の場合は、離れたくないけど、離れざるを得ない…そう、これは、愛する彼の幸せの為、と…恐らく、彼と何かあったら、私は、もう二度と、異性と付き合う事は、無いだろう…それくらい、彼を愛しているからこそ、彼を失うのがとても怖い…だからこそ、尚更、彼と永遠にそばにいれるよう、私は、日々努力を欠かさない。せめて毎日一つだけでも、彼の嫌がる私の性格とかを変えていきたい。少しずつ、例え、一歩ずつでも彼の望む理想の彼女になれたら。
よく人間は死んだら
天国か地獄に行くと聞くけど
本当にそうかな?
僕は 死んだら一度魂の姿に戻って
魂の休憩所のような場所に行くと思ってる
それは動物や植物、宇宙人や人外も
生き物全て同じだ
じゃあ幽霊や妖怪はどうなるの?
また難しいとこを聞くね
自分に聞いてごらん
また何か新しい考え方か浮かんでくるかもよ
お題『天国と地獄』
一瞬で人生は変わる
天国に感じるか地獄に感じるか
どんな過酷な状況でも
それを楽しめる人がいて
楽しめない人には地獄となる…
やはり常に天国を求めて正解かもな
生きていると
色んな場面で、色んな感情を抱く
景色の良い露天風呂に入って
外気とお湯の温度差のなか
森林に目をやって思うこと
顔を合わせれば悪口ばかり投げかけてくる
意地悪な人をみて思うこと
天国みたいだ、とか
地獄のようだ、とか
比喩としてたまにそうやって表現するけど
実際は体験してないから
ほんとうに天国や地獄に匹敵するのか
わかんないよね
それでも共通認識として
表現に使用すれば伝わるんだから
わたしたちって
どちらも体験したことがあるのかしらね
◇天国と地獄◇