『大好きな君に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『大好きな君に』
墓参りには年に6回ほど行っていた。正月、春分、盆、秋分、君の命日、君の誕生日。今日はそのどれでもない日だけれど、報告したいことがあった。
君の命を奪った通り魔は有罪判決となり懲役刑が確定した。けれど模範囚になったとやらで刑期は短くなり、判決よりも早く社会に帰ってきた。それを許すことができなかった私は興信所などを頼って居場所を突き止め、何も言わずに後ろから刺した。事切れたのを確認してから自分で警察へ出向き、刑務所で服役した。
「これで思い残すことなくそちらへ行けます」
真新しい線香と真新しいろうそくに火をつけて手を合わせる。墓石は何も語らない。
生きる気力はすでに失われてしまった。立ち上がってからどこへ行こうかと考える。海がいいだろうか。山がいいだろうか。
無糖のピーナッツバターとオートミールで作ったクッキー、ほら、ヘルシーなのよ。
君は美味しそうに食べるね。
君に作ったついでに私も食べようかな、全然甘くないね。
メープルシロップをかけてみようかしら。
あ、君は糖分はダメだよ、獣医さんに叱られちゃうよ。
君のため。
題「大好きな君に」
「自分が、『君』のことを大好きなのか、
たとえば『お菓子が大好きな君』がいて、その君に向けて『チョコが大好きな君』へのプレゼンか。
『君』だから、捻くれれば『大好きな君主に』も、書けるっちゃ書けるわな」
某所在住物書きは今日も通知文をざっと見て、いじり倒し、最終的に面倒になって努力を放棄した。
お題の「大好きな君に」の前後に、少し言葉を付け足す。物書きの常套手段である。
「……恋愛ネタも君主もムズい」
ぽつり。物書きは本音を呟く。
唯一の救いは「『◯◯が大好き』な君に」か。
――――――
年度末、残り1ヶ月だけど、
突然支店異動を食らって、長年一緒に仕事してきた先輩とも離れ離れになっちゃって、
その先輩から届いた手紙を、部屋で読んでる。
届けてくれたのは子狐の郵便屋さん。
比喩でも冗談でもなく、先輩がヒイキにしてるお茶っ葉屋さんの看板狐、稲荷神社在住のコンコンが、
頭に郵便屋さんキャップな飾りをつけて、郵便屋さんユニフォームなポンチョ羽織って。
ポンチョのおなか部分にはマジックテープで、郵便屋さんバッグなナイロン製がくっついてる。
撫でて、とばかりにおなか見せると、丁度そこに封筒入りバッグが有る設計になってた。
どうやって私の部屋知ったんだろう。
狐だよ。子どものおつかいバイトじゃないよ。
どうやって私の部屋知ったんだろう。
「『付烏月さんには、お前の寒暖差等々による体調の酷い崩れのことは、ある程度話してある』」
封筒を切って、シンプルな便箋を引き上げる。
いつもの明朝体な綺麗さで書かれた真面目な文章は、手紙って言うより、引き継ぎ書だ。
「『付烏月さん自身も、お前ほどではないが、体調に少し波がある。サポートは惜しまないと言っていたので、安心して頼ってほしい』。……あのさぁ……」
手紙に書かれてる「サポート」とは、多分先輩とのシェアランチ、シェアディナー、それから先輩の部屋でのお泊りのことだ。
私と先輩は、別に恋人同士でもないし、お互いにそういう目でお互いを見てるワケでもない。
でも生活費節約術として、それから主にお人好しで優しい先輩の自称お節介で、私はたまに先輩のアパートに行くし、一緒にごはん食べるし、寒暖差とかで体が本当に動かないときは泊めてもらったりする。
今、先輩の部屋に先輩は居ない。
居るのは、先輩の旧姓「附子山」を名乗る、お菓子作りがバチクソ上手な「謎の男」。付烏月さんだ。
別に大好きだからってハナシでもないし、付き合ってるワケでも全然ないけどさ。……だけどさ。
「私、先輩だったから先輩を頼ってたんだけど」
ねー。 なんなんだろねー。
悶々々。悶々悶々。このモヤモヤをグルチャで先輩にぶつけたけど、ごはんの準備でもしてるのか、既読は1分経っても5分経っても付かなかった。
「なんなんだろね。なんだんだろうねぇー」
私の心が分かるのか、子狐の郵便屋さんは私の膝に飛び乗って、コテン。おなかを見せた。
「よーしゃしゃしゃ。待っててね。お返事書くから」
読み終えてない先輩の「引き継ぎ書」を机に置いて、100均で買ってきたばっかりの便箋1枚出して、
久しぶりに、なんなら十数年ぶり以上かもしれない、手書きで長文の文章を書く。
「……なに書こう」
十数字、多くても百数字くらいの短文なら、グルチャでポンポン送れるのに、
ボールペン持って便箋を前にして書く百数字千数字は、最初の1字も出てこない。
手紙って、不思議。 先輩は何を書いてたっけ。
ふと「引き継ぎ書」に目を戻したら、最後に
『私などが作る簡素な飯が大好きなお前に』
って題して、先輩がよく作ってくれた粉スープ活用オートミールとか、ホットミルクとかのレシピが、
相変わらずの真面目さと見やすさで、書いてた。
「ホットミルク飲みながら考えよっと」
子狐抱っこして、牛乳温めて、ジンジャーと砂糖とシナモン入れてたら、5分経っても既読が付かなかったグルチャにピロン、返信。 先輩のお返事は、
『文句なら附子山に言ってくれ』
「……ん?」
手紙では「付烏月さん」って本名を書いてたのに、グルチャでは、付烏月さんを「附子山」って呼ぶ先輩。
「女の勘」でもないけど、なんか、ピンときた。
『拝啓 先輩』
メモ帳アプリで、私は手紙の下書きを打ち始めた。
『もしかして:グルチャ誰かに読まれてる説?』
大好きな君に早く会いたくて、
そわそわしながら家を出る。
めいっぱいお洒落をしたし、
デートの予習だって何度もしたから、
きっと、今日こそは大丈夫。
君に会えると考えるだけで心が弾む。
今日の君はどんな格好で、どんな表情を見せてくれるかな。
ああ、早く君に会いたいなあ。
大好きな君に
あなたと同棲がしたかった。
毎日一緒が良かった。
ずっと前から約束してた。
親にも挨拶してくれた。
それなのにやっぱりできないって言われちゃった。
ひどいと思ったけど、そうさせたのは私だから、しかたない。
大好きだった頃の君。私のことが好きだった頃の君。
どちらももうこの世には居ない。
赤の他人に戻った君。もう二度と会うことはないでしょう。
幸せになってほしいと思うことすらおこがましい。
私にできることは、二度と連絡を取らないことだけです。
『恋が滑走する』
好きな人ができたなら ガタゴト道でもデコボコ道でも突き進んで行くんだろうなぁ 緩い妄想の下 数学のノートに謎の地図 錆びた路線をトロッコが走る
このスリルはこのドキドキは どこか恋に似てやしないかと 不気味な追い風に問いてみる 多分朽ちる
このまま朽ちる だけどもう止まれやしない
このアプリは書く習慣をつけさせてくれた。
それはありがたいのだけど
お題によってはネタを考えてるうち、いつの間にか脱線して
自分の古傷をえぐっていることがある。
結局書けない代物を頭でいくつ作ったろうか。
大好きな君。一緒にいた頃を思い出してしまった。
表情をしぐさを思い出してしまった。
許せないほど馬鹿な自分を思い出してしまった。
勝手にはじまった脳内再生が止まらない。
(大好きな君に)
「どれくらい好き?」とかちょっと困るけど、そうだねマックのポテトより好き。
愛してるはなんだかとてもチープだし、大好きくらいがちょうど良いよね
風呂上がり瓶底眼鏡で腑抜けてる君の素顔に寄り添ってみる
題目「大好きな君に」
(※二次創作)(大好きな君に)
――大好きなキミに。
突然こんな手紙を書くことを許してほしい。僕は、初めて会った時から、キミのことが好きだったんだ。牧場主として右も左も判らない僕は、少しでも何かアドバイスが得られないかと藁にもすがる思いで、キミの図書館に行った。それまでろくに本屋にすら行ったことのなかった僕は、当然、本の山の前で立ち尽くすしかなかったんだけど、キミはそんな僕に優しく手を差し伸べてくれた。初対面なのに、親切にしてくれた。その日から、僕は、時間があれば図書館に通うようになったんだ。
キミは僕に本当によくしてくれた。仕事に関係ないジャンルの面白い本も、いっぱい教えてくれた。キミだけが書いている秘密の物語も、こっそり読ませてくれた。僕はそのひとつひとつが、本当に嬉しかったんだ。
だから、僕は、キミのことが――。
「お、そろそろいい感じかな」
牧場主ピートは顔をあげた。手には、昨夜一晩かけて書き上げた懇親のラブレターがある。そんなピートの鼻腔を、何とも言えない香ばしい匂いがくすぐった。空は晴れ、風は少ない。絶好のチャンスだった。
「…………」
ラブレターを、くしゃくしゃと丸める。これは届くことのない手紙だ。マリーはもちろん、他の誰にも読ませるつもりはない。ぱちぱちと、火の爆ぜる音がする。ピートはそのまま、目の前の焚火にラブレターを放り込んだ。
マリーが、鍛冶師見習いのグレイと結婚したのは、つい昨日の話だ。
ピートはマリーのことが好きだったけれど、告白一つできないままに、彼女は別の男を選んだ。確かに、毎週木曜日、鍛冶屋が休みの日は、グレイを図書館でよく見かけた。今更気付いたって後の祭りだけども。
「お、焼けてる焼けてる」
焚火の中には、アルミホイルに包んだサツマイモが幾つか入っている。一つ取り出してかぶりつけば、素朴な自然の甘みが広がった。
大好きな君に
1年間お疲れ様でした。この1年間はどうでしたか。去年よりは楽だったかな。仕事量は楽になったけど、人間関係はちょっと大変だったようですね。
今までで1番出来ないメンバー。君は「ワインの澱を集めたようなメンバー」と言ってましたね。「あんなにやらない奴らが集まったことはない。この2時間は俺の人生に意味を与えるのか。残り少ない時間を無駄にしているのではないか」とも言ってましたね。
ペアの社員は途中で病み辞めたなか、君はよく頑張りました。耐えました。最終的にはまあまあの結果になったのは、君の力だと思いますよ。
もう片方のグループはどうだったんでしょう。こちらもまあまあだったのではないでしょうか。
新たな戦いが始まった今、いろいろと考えるところがあると思います。成功したところ、失敗したところ。新年度はどう戦うか考えているのでは。
あまり考え過ぎす、体調に気をつけてほどほどに頑張ってください。
好きな人に“すき”って言えてますか?
言えてないのなら
後悔しないうちに伝えた方がいいです
会えなくなってから後悔しても
もう遅いから。
まあ、会えても私は言えないんだろうな
きっと迷惑になるから
せめて近くにいたらいいのにね
思わせぶりな態度も好きだったの
#大好きな君に
『大好きな君に』
大好きな君に幸せになってもらいたい。
笑って欲しい。
何かあったら助けに行く。
なんて。
本気で思ってた。
笑った顔が好きだから。
笑い合う空間が幸せだったから。
でも。
今は。
大好きな君に不幸になってもらいたい。
泣いて欲しい。
嘆き悲しんでほしい。
なんて。
本気で思った。
大好きな君へどちらも本当の気持ち。
犬の忠誠心
愛情を注いだ分だけ愛情を返してくれる。
君が天国へ旅立つ時が怖くて怖くて仕方ない。
出来れば、生まれ変わったら君と同じ種類の生き物になりたい。
大好きな君が今、静かに息を引き取ろうとしている。
何故、君は私を置いていくの?
愛を言葉で伝えるのは君だからなんだよ
喧嘩しても離れがたいのは君だから
煙草やお酒を注意するのも 事故や病気で心配するのも
ごめんね。伝えきれなくて
でもね?
言葉で伝えられなくなっても
声を聞けなくなっても
手の温かさを感じなくなっても
たとえ、この身を君に捧げても
好きと全てで言わせてね
#大好きな君に
『大好きな君に』
今思えば、朝起きた時から予兆はあったんだ。
3月、春とはいえ、今日はビックリするくらい寒い。
街行く人達もコートを着込み、マスクの人も結構いる。
俺も例外なく、コートを着ている。
そして、こんな寒い日に限って、外回りが急遽入る。
「ただいま戻りました、、、」
なんとか正午前に帰社することができて、ホッとした。
午後からは会議だから。
「雪村、大丈夫か?」
同期、、、の桜井が声を掛けてきた。
「お前、顔、赤いぞ?
熱あるんじゃないか?」
「そんなコトは、、、」
言いながら、自分の席に座ろうとして、よろけたらしい、、、。
「雪村さん!?」
隣の席の女子社員、、、高崎さんの驚いた声がこもって聞こえた。
視界が暗くなって、さらに何か聞こえて、支えられたのがわかった。
あぁ、華奢な高崎さんに寄りかかってしまったのかな?
あとで、謝っておかなきゃ、、、
あれ?なんかフワッとする、、、
あれ?この香り、、、
あれ?俺、どうしたんだっけ、、、?
ハッと、目を開けた。
「あ、雪村さん、気づきました?」
至近距離に夏目の顔がある。
え?
「このまま医務室に運びますね。
雪村さん、朝からなんか顔色悪そうって思ってたんですけど、まさか熱あるとは思ってなくて、気づかなくてすみません、、、僕、、、」
俺は、夏目に所謂『お姫様抱っこ』をされていた。
降ろせ、、、とかなんとかいろいろ言いたいはずなのに、一気に怠さやらなんやらが襲ってきて、口を開くのも無理だ。
「、、、」
諦めて、夏目の肩に頭を乗せた。
伝わってくる夏目の体温とほんのり香る香水に全てを委ねて、目を閉じた。
空昊 ありがとう
空昊 ママの所に来てくれてありがとう
空昊 優しさを沢山ありがとう
貴方と出会えたこと心から感謝しています
空昊と出会えて良かった
一緒に同じ時間を過ごせて幸せでしたよ
貴方の鳴き声貴方の顔貴方の寝顔
空昊 貴方が居なくなっても
心の中に全て残っていますよ
ほら 眼を閉じれば空昊が居る
ママのことは心配しなくても大丈夫だよ
ずっと一緒だから
天国で走り回ってご飯を一杯食べて
元気に楽しく暮らしてくださいね
永遠に愛しています
今日も君が
笑顔でありますように
幸せでありますように
たまには
落ち込む日だってあるでしょう
悩むことだってあるでしょう
立ち止まってもいいんだよ
それでもいつかは
前を向いて歩けますように
こんな想いを
毎日でも
大好きな君に
贈ろう
「大好きな君に」
今は静かなんだね、良かったよ。怒ってないんだね。君にはやはり笑顔が似合うよ。どの顔が笑顔なのかは、いまいち判らないけど。
そのままで居てくれよ、何処かの国の火山くん。
一点を見つめ考える君の横顔が好き
声を掛ければぱっと振り返り笑顔の君が好き
大好きな君への切なさと愛しさとが混じり合ったこの感情が苦しい時もある
それでもやっぱり君が好き
キミだから
嬉しいこと
楽しいこと
がある。
キミだから
悲しいこと
イライラすること
がある。
他の人なら
そこまで
感情は
揺れないことも
キミだから
感情が
豊かに
揺れる。
#大好きな君に