『大切なもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
金だよ、金。
そうでしょ?
貨幣が流通した社会で生きてるんだからさ。
ふふ。半分、冗談だよ。
君のことは、大好き。世界で一番ね。
大切なものには期限がある。
それじゃあ大切じゃないかと聞かれるとそうじゃない。
生活に必要なもの、初めての給料で買ったもの
親から貰ったもの
どれも大切なはずなのに肌身離さず持つ必要性は感じない。大切だったものは、今の自分に必要だったものでも未来には手放せる気がする。
冷たいのだろうか。必要性で考えてるからだろうか?
昨日の自分より今日の自分が素敵になるよう
成長出来た部分があるよう生きているだけだ。
大切なものは自分の心。
壊れたらもう元には戻れない。
粉々になってしまう前にあなたの笑顔で治して。
ストレスという名のトンカチからは遠ざけて。
私が大切なのはね
貴方から貰ったネックレスや指輪もそうだけど、
それじゃなくてね。
1番はやっぱり貴方なんだ
笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も全部大好きで
大切なの。
普段はこんなこと言えないけど。
大切なもの
私の周りには
大切なものでいっぱいだ
大切な人からもらった大切なもの
大切な人も大切なものも
失いたくない
守ってみせる
大切なものは見失いがち。当たり前にあると思いがち。
そう思っている今も、私は大切なものの価値をきちんと測れていない。
自分の人生を生きられていない、ということなのだろうか。
大切なものはありますか?
貴方の大切なものは
手に残っていますか?
……僕の?
もう零れ落ちましたよ?
大切な
ものほど手から
零れ落ち
残った残滓〈もの〉は
笑顔のお面
【大切なもの】
白い壁、脈打つアイツは、零したインクの跡みたいに広がっている。
「無視するなよお嬢さん、俺はあんたが声を聞いてることくらい、お見通しさ」
リズムを刻んで話すアイツ。
ありえないのに、
90年代のどこか古臭いその喋りに、私はひどく悩まされた。
「どなたですか、私はあなたを存じ上げませんが」
「忘れちまったってのかい!俺は悲しいよベイビー、ずっと共にいたってのにさ」
「はぁ…」
少なくとも私には喋る臓器の知り合いはいない。いや、人間を臓器の塊とするなら、そうも言える。いや、ないな。
あまりに突飛な考えに笑ってしまう。少し思考を巡らせた後、この状況の答えを探す。
「人違いじゃないですか?」
「いや、嬢さんほどの美人、俺が忘れるわけないさ」
「いやぁどうでしょう、他人の空似というやつですよ」
中身のない会話を続けてると不意に壁の一部が倒れ込む。手のひらサイズの金属片がふよふよ浮かんでいる。垂れたコードを左右に振って、私もそれに手を振り返す。
「ごめんなさい、やっぱり人違いでした」
「おいおい、そんな金属が俺の代わりを務めるなんて無理無理だ」
「そんなことない、私にとっては命と同じくらい大切ですよ」
金属片を握りしめ、胸に当て込み部屋を出る。最後に一言告げてやる。
「私のオリジナル、見つかるといいですね」
『大切なもの』
あなたにもらった本が捨てられない。
布のカバーは端がほつれ、2本あったスピンは片割れしか残っていない。
昔、あなたが読んだところには青のスピンを、僕が読んだところには赤のスピンを挟んだ。僕は読むのも遅くて機会も少なかったから周回遅れで、あなたは繰り返し短時間で読むから頻繁に位置が変わる。
リビングのテーブルに置かれた表紙の鮮やかなデザインが目に入るたび、そっと横から目をやって、今はどこのあたりだろうと気にしていた。
それも今はもう動かない。
自分が読み切った時に赤色を外へ垂れたままにしていたら、いつのまにか引っ掛けてボロボロになったので、それを切った。
あなたが挟んだ青色を何度も何度も追い越して、慣れているからスピンがなくとも一冊読み切れるようになって、あなたの速度に追いつけただろうか。中を誦じれるくらいになっただろうか。
次、会えたら、あなたの前で覚えている限り暗唱してやろう。
それだけ読んだのだと驚いてほしい。
それから、「伏線になるところに挟んで遺すんじゃないよ」と言ってやりたい。
「なるほど、ずいぶん大切にしてくれたんだなぁ、きみ」
って言ってくれるかい。
どうして人は大切なものほど
すぐに忘れてしまうのだろう?
こんなにも手の届くところにいるのに。
君はなんでもないように首を傾げる
いつもの声で
いつもの仕草で
何一つ変わりなく、話しかけてくる
今にも泣き出しそうだ。
でも、精一杯溢れそうになる涙を堪えて
ボクは君に笑ってみせた。
『大切なもの』
この世で一番大切なもの、貴方にとってそれは何ですか?
家族? 恋人?
仕事? 恋愛?
お金? 名誉?
それとも私ですか?
私の大切なものは何だろうか?
家族? 恋人?
仕事? 恋愛?
お金? 名誉?
でも星の王子さまは言ったわ。
『砂漠が美しいのは、どこかに井戸が隠されているから』
きっと大切なものは目に見えないところにあるのよ。
この世で一番大切なもの、貴方にとってそれは何ですか?
出来れば私だと答えて欲しい。
私の一番大切なもの、まっすぐに正直に伝えるわ。
すぐ隣にいるのにどこにあるのか分からなくて、だけど確かに存在している貴方の愛だと。
明日
世界が終わるなら
きっと誰もが
愛と優しさを
思い出し
そして
瞳を閉じる
それぞれの
大切を抱きしめて
「大切なもの」
君と出会ってしまった事が
時々酷く恐ろしくなってしまう程
別れを想像しただけで
世界が灰を被ったように思えてしまう程
この奇怪な人生を
結局僕は愛していて
手放す事が惜しいほど
大切に思っていて
僕は死ぬ事を選べないまま、
選ばないままでいる
「あなたの大切なものってなあに?」
のんびり過ごす休日。テーブルで3時のおやつを食べていると、目の前のキミが不意にそんなことを聞いてきた。
「何?急に」
ドーナツを食べる手を止め聞き返すと、今読んでいる雑誌に、あなたの大切なものは何ですか?というアンケートの結果が載っている。とのことで、俺にも聞いてみたそうだ。
「うーん、そうだなぁ」
ドーナツを一口かじり
「アンケートの結果はどうなの?」
気になったので聞いてみると
「お金だって」
と言われる。
「ふうん、お金ねえ」
ドーナツをもう一口かじり、飲み込んだあと、俺は口を開く。
「確かにお金は大切だけどさ、俺の大切なものは、キミとの生活かな」
「私との生活?」
「そう。愛するキミがここにいてくれる。一緒に笑ってくれる。同じ道を歩いてくれる。本当に毎日幸せで、かけがえのないものなんだ。そのかけがえのないものを失わないために、仕事も頑張れるんだよ。だからさ」
俺はキミの手を取り
「一緒にいてくれてありがとう」
笑顔を向けると
「こちらこそ、ありがとう」
キミも微笑んでくれたのだった。
「見て、懐かしいもの出てきた」
春うららかな平日の午後3時。濃いめに入れた緑茶といちご大福で素敵なおやつ時を過ごしていると、押し入れの整理をしていた母から声がかけられる。その手には表紙の端が少し破れたノートの様なものが握られていた。
「なにそれ」
「学級文集。あんたが小学生の時に書いたやつよ」
「えー、そんなの書いたっけ。というか掃除途中でしょ、戻りなよ」
「手伝い免除したげてんだから、話し相手くらいにはなりなさい」
そう言って母は私の隣に腰を下ろし文集を開く。相変わらず強引な人だ。まあ、思い出に浸るのも悪くはない。粉まみれの手をウェットティッシュで軽く拭きながら文集に目をやる。
「ん、」
すかさず母が私の横腹を肘でつついた。何事かと軽く睨めば急須の方に視線を向けている。溜息をつきながら彼女の分のお茶を入れた。
学級文集は小学二年生の終わりに書かれたものらしい。題材は『将来の夢』とまあありきたりなものだった。警察官に看護師さん、お花屋さんといった一般的な職業から怪獣やクレヨンのような荒唐無稽なものまで様々で、各々の自由な発想が感じられる。大人になって擦れてしまった私にとっては、小さな彼らの夢物語はとても輝いて見えた。
「あ、あんたの書いた奴見つけた。どれどれ〝わたしのゆめは〟……」
「ちょっと音読しないでよ。流石に恥ずかしい」
「少しくらい良いでしょ。えーと、〝きらりちゃんとおかしやさんをやることです〟だって。かわいい夢じゃないの」
楽しそうにけらけら笑う母。忘却していた過去の夢を暴かれた、何とも言えぬ恥ずかしさが頬を熱くする。我が親ながら無遠慮なものだ。ただ、悪意はないのだろう。 笑い声からは馬鹿にしている、というよりは我が子の成長を懐かしんでいるような柔らかさが感じられる。そんなところが憎めない。
口に出そうになった文句を緑茶で流し込めば、少し熱めのそれは体温と同化するかのように染み渡った。うん、やっぱり渋い緑茶は良いな、ほっとする。
それよりも〝きらりちゃん〟か。 彼女のことは覚えている。 気づいた時には友達で、いつも一緒におままごとやかくれんぼをして遊んでいた。いちごが大好きでよく笑う、 そんな子だったはずだ。
4年生になる直前に引っ越しか何かで離れ離れになってしまったが、今頃はどんな人生を歩んでいるのだろうか。 何だか無性に気になった。
「きらりちゃん、 今どうしてるんだろうね」
そう何気なく呟けば、母は一瞬きょとんとした顔でこちらを見る。そして、またけらけらと笑い始めた。
「なに笑って。 何かおかしいこと言った?」
「ごめんごめん。そっか、言ってなかったか」
「言ってないって何を」
「きらりちゃんはあんたのイマジナリーフレンドって奴なのよ」
イマジナリーフレンド、 空想上の友達。 意味を理解するのに数秒かかった。しかし納得はいく。 いくら幼少期の記憶とはいえ友達になったきっかけや家の場所、彼女の家族や離れ離れになった理由、そういった個人情報がごっそり抜け落ちているのだ。
それに先程から文集の中に〝きらり〟と呼べる名前の子が書いたものが見当たらない。特徴的な名前だ、存在するならば気づかないわけがない。もちろん同い年じゃない可能性も残っているが、そんな微かな可能性より何故だか母の一言の方が何倍も信じられた。
「きらりちゃんが来たからジュース出して〜とか、きらりちゃんのお母さんに挨拶して〜とか、お母さん大変だったんだから」
「なら、 どうして今まで言ってくれなかったの……」
「あんたが信じてる大切なお友達を、ほんとは居ないだなんて言えないでしょ」
「そりゃそうかもしれないけど」
形容しがたい感情に思わず机に突っ伏す。 忘れてしまった幼少期の夢、見えなくなったお友達。当時は何でもないものだったそれらは、今となっては得ることの出来ない、純粋で特別なものだ。少し切なくて、どこか温かくて、なぜだかむず痒い。
記憶の底に埋められたタイムカプセルの威力は、なかなかに凄まじいものだった。
「大人になるってちょっと残酷だね」
「なに知ったような口きいてるんだか。 私から見たらまだまだ子供だよ」
「まあ、でもさ」
顔を上げ、 半分残っていたいちご大福を口に運ぶ。 いちごのさわやかな甘酸っぱさがこし餡の甘さに包まれて、先程までの思い出話に似てるなとぼんやりと思った。
「こうやっておやつ食べながら話している時間も、十年後思い返したら大切な思い出になってるのかな、とか考えた」
「そうかもねえ」
母はうんうんと頷いてお茶を口に運ぶ。 カーテンが揺れ、温かな風が室内に取り込まれる。風に紛れて下校中だろう子どもたちの、弾むような話声が聞こえてきた。
【大切なもの】
当たり前に近くにあったもの
失って大切だと気づく
失って当たり前じゃないと気づく
何気ない一言で全て変わってしまうかもしれない
言葉は取り消せない
くれぐれも慎重に
僕らのようにならない為に
「大切なもの」
大切なもの自分で作るものではない。
大切なものはできるものなんだよ。
『大切なもの』
私の大切なものはいつも財布に挟んでいる2枚のチェキカメラで撮った写真だ。
私の15歳の誕生日の前日に撮った最初で最後の家族写真
私の家は家族皆仲が良いって訳では無かった。
祖父と母と私の三人家族。
母と祖父は仲が悪かった。
私と母は仲が悪かった。
母は祖父から逃げるように家にほとんどいなかった。
私は母に会いたくなくて会いに行かなかった。
私が母に会わなくなって一年以上経ったある日母が癌で春まで持つか分からないと言われた。
だから最後に会って欲しいと祖父から凄いお願いされたけど大好きな祖父からのお願いでも私は母と会うのは嫌だった。
私はまだ母を許せていないから、いや許せないから
だから会いたくないんだと思った。
ある日祖父にドライブに行こうと言われた。
私は久しぶりにら大好きな祖父とドライブに行ける!と張り切りっていた。
しかし着いたのは病院で、
お母さんと会いなさいと強制的に病室に連れてこられた。
私の名前を呼ぶ声が聴こえた。
何かを耐えているような弱々しい声だった。
私は病室の前で気がついたら泣いていた
人の目なんて気にしないで病室のドアの前で泣いてひたすら許せなくてごめんなさいと泣いた。
その日はそれで終わった。
祖父が何回も会わせに行くしお願いするから私はついに母に会うことにした。
扉を開けて俯いていた顔を上げてチラッと見てみるとそこには母だけど母では無い誰かが居た。
あれ?
こんなにガリガリだったっけ?
こんなに弱弱しい声だったっけ?
こんなに呂律が回らなくなってたっけ?
こんなに無理して笑う人だったっけ…
話してみるとやっぱり母で
ジャニーズが好きで祖父が大嫌いで可愛いものが好きでお菓子が大好きないつもの母だった。
でもトイレもお風呂も自力で出来なくなっていた。
喋るのも一苦労で元々統合失調症でそれが酷かったけどもっとそれが酷くなっていて寝返りも起き上がるのさえも出来なくなっていた。
久しぶりに見た母は随分変わっていた。
話す時久しぶりすぎてどう接していいか分からなかった。
でもその時はまさか次会う時が最後になるなんて思ってもなかった。
12月の初めに私の誕生日がやってきた。
誕生日の前日が日曜日でその日祖父と母と母の病室でお祝いしてチェキカメラを貰った。
さっそく私の誕生祝いという事で撮った。
1枚は3人で撮った写真
1枚は母と私のツーショット写真
次会うのは再来週になった。
来週は修学旅行の準備やらで忙しくて日曜日は荷物検査があったからだ。
「お母さんにお土産買ってくるね」
「ほんと?!待ってるね!!」
そんなやり取りをして修学旅行に行っていた2日目
昼の三時頃私はお母さんに買うお土産を選んでいた。
手がカサカサだったからゆずの香りのハンドクリームにしようと思って買って何事もなく修学旅行から帰ってきたらお迎えの車が叔父さんの車だった。
嫌な予感がした。
母が亡くなった
結局渡せなかったゆずの香りのハンドクリームは棺桶に入れた。
亡くなったのはちょうど2日目の三時頃だったらしい。
私の手元に残ったのは2枚の写真だけだった。
私の大切なものはいつも財布に挟んでいる2枚のチェキカメラで撮った写真だ、きつい時辛い時泣きたい時はいつもそれを見ている。
何故かそれを見ると元気を貰える気がしてくるから。
ふふっ
いいおかお
そのために私は
仕事をして
ご飯を作る
ほらほら
ほっぺにごはん粒ついてますよ
𓏸︎︎︎︎𓈒 𓂃大切なもの