『大事にしたい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
たとえ叶わなくても
大事にしたいの
_大事にしたい
どうして
言葉で伝えてあげられないんだろう。
行動で示してあげられないんだろう。
相手が素直に思いを伝えてくれているのに、応えてあげられないんだろう。
自分はこんなにもダメなんだろう。
本当は
もっと伝えたい。
もっと合わせたい。
もっと応えてあげたい。
もっと
#大事にしたい
記憶
記憶は自分しか知らない秘密の宝箱
過去の記憶はずっと、記憶を描き続けていくためのラッキーアイテム
大事にしたい
闇夜を切り裂く、一振りの刃があった。
わたしは、はっとして暗い夜空を見上げた。カーカーと醜い鳴き声を上げて飛び去っていく二羽の鴉。番だろうか、鳴き声というより泣き声という感じの声で、互いを呼びあっている。
刃に見えたのは、鴉の黒い羽の影だった。
「ーーーちゃん」
……み、ちゃん。
誰、だっただろうか。記憶の中の彼女は。
「ーーーちゃん」
誰だったのだろうか。わたしを置いて消えてしまった彼女の名は。
あなたは残酷な世界に裏切られて、わたしの前から姿を消してしまった。はずなのに、わたしの脳裏には振り返り様に笑う彼女の無邪気な笑顔だけが焼き付いている。他は何も覚えていない。
会いたいよ。ーーーちゃん。
声を出しても虚しいだけだから、心の中で呟いた。
「……どうして、置いていったの」
返事は返ってこない。
わたしは、あの日からずっと、一人ぼっちなのだ。
その時、ふわりと懐かしい匂いが漂った。わたしは、はっとして顔を上げる。
ああ、その顔は。その笑顔は。
「もういいんだよ。……ちゃん」
一言そう言うと、彼女の姿は白く透き通っていく。
嫌だ。よくなんてない。
あなたのいない世界なんて、わたしは嫌だ。
何も持っていないわたしの、これが唯一の宝物だった。彼女との思い出だけがわたしの生きる寄す処だった。
ーーーちゃんが消えた世界で、わたしは微かな残り香だけを頼りに、いつまでも暗闇を見つめていた。
大事にしたい
大事にしたいのは、意志を突き通すこと、自分がこれと
決めたものは努力を惜しまず全力で走り続ける。
大事にしたい
木彫りの人形が私をじっと見つめている。
クーラーの効きが悪い実家のリビングで、
ソファにくつろぎながら、私は木彫りの人形を見上げていた。
その人形は、ニポポといってアイヌのものらしい。手のひらサイズの小さな女の子の形をしている。かわいい、穏やかな顔だ。私が、網走に行ったときに買ったものだ。観光地の土産といえば他人宛にしか買うことがなかったが、ニポポは自分のために買った。今は実家のピアノの上に置いてある。
ニポポとの出会いは、先週の土曜日だった。
私が網走に行ったのは、特に何の目的もなかった。ただ焦って、車を走らせていたら、網走についていた。
とにかく、何かをしたくて車を走らせていた。何かをしたいと思うほど、私はなにもしていなかった。
私は、昨年の冬、気がついたらいろんなものを無くしていた。
仕事、婚約者、都会の生活。自分の体を壊すまで我慢したものが全て水の泡になった。病めるときも健やかなるときも共に歩む予定だった婚約者は、一時の性欲に支配されて、都会の寂寞に消えていった。晴れて、30歳手前というのに無職、婚約者もなければ金もなく、実家で寄生虫の様に暮らしながら、早1年が経とうとしている。仕事を辞めてから、夜が怖ければ、朝も怖い日々が通り過ぎてゆく。眩しい光が窓から差し込むとき、私は心底嫌悪感がした。今日は何から逃げればいいんだ。
弱り果てた心では都会にひとりでは耐えられないという理由で、全てから逃げ出して実家のある北海道にやってきた。それからというもの、実家で親の生気を吸いながら、私は生きている。そうだ、私は、学生のころから何一つ成長していないのだ。
現代病の「人間関係リセット症候群」よろしく、そんな自分を克服するべく、私から絶対に人の縁を切ってはならないと決意した大学一年生の近いは虚しくも守られずに終わった。東京を離れるときに、惨めで仕方がない自分に耐えきれずに連絡先を全て消したのだ。そういうところも含めて、私はつくづく惨めな女だった。
惨めではあるが、一方で身軽でもあった。世間からは後指刺されることしかない。だが、あまりにも社会から離脱した自分は、傷つかない閉鎖空間に居て、居心地はいいものだった。
網走についたのは昼過ぎだった。網走といえば、有名な網走監獄がある。地元が北海道でありながら、なんとなく厳格そうな雰囲気の観光地だなと、食わず嫌いをしていた。何も考えず、網走監獄へ向かうと、なかなかの賑わいようであった。
天気は曇天だった。
私は北海道の曇天が好きだ。広い土地には鬱々とした天候も圧迫感を感じない。空が迫る感覚もなく、曇天を曇天として楽しませる自然の余裕がある。その余裕に身を委ねていれば、曇りに左右されず、私は灰色の空の色や雨の匂いを感じられる。
結果は、行ってよかった。
昔は知ろうともしなかった北海道の歴史が、今はスポンジの様に自分の頭と心に染み込んだ。幾人もの命の軌跡に、郷土愛のような、不思議な気持ちがじわじわと生まれる感覚があった。嬉しいも悲しいも感じなくなっていた自分の心に、じんわりと温かなものが込み上げてきて、なんとなく涙が出る様なそんな気持ちになった。そうか、これが感謝か。観光地は様々だが、地元の観光地こそ行くべきでは、と考えさせられた。
ニポポとは、網走監獄で出会った。
監獄内に、私の同じくらいの身長の木彫りの女の子の像があった。詳しい内容は忘れたが、アイヌ由来の像で、遠出をする際にニポポに無事を祈っていたらしい。かわいい女の子の像だった。直感的に、欲しい、と思った。
私のような消費者心理を悟った様に、出口の土産屋には小さなニポポが売られていた。誰の土産でも無く、私はニポポを自分のために買った。800円くらいだった。社畜として身を粉にして働き、ストレス発散の如く買ったデパコスよりも、はるかに、私の心は800円のニポポによって満たされていた。
実家に帰って、ニポポをピアノの上においた。
ピアノは私の唯一の表現場だった。特別な場所だから、その上に置いた。
色々失った昨年の冬に、手に入れたものは適応障害だった。
親や兄弟の病気やらで落ち着いていなかった学生時代から、なんとなく直向きに隠していた自分のボロが如実に現れた。そんな私に、自分の感情を吐き出させていたのがピアノだったのだ。いろんな日を生きた当時の自分が、鍵盤を触ると蘇る。置き去りにしてきた自分が、あの日のままピアノのイスに居るのだ。
今回、全てを失ったのも、決して運が悪かったのではなくて、解決されない自分の心の問題だと、私は知っていた。なるべくして、私は今この状態にいる。
私は、ニポポを見た。
私は、ピアノの上にあるニポポを、小さな頃の自分だと思うことにした。なんとなく、そうしたかった。
ピアノ椅子に座り、ニポポを手に取って、小さな頭を指で撫でた。
幸福をもたらしてくれるニポポ。でも、この子が、あの日の小さな私なら、私はこの子に何をしてあげればいいんだろう。
そんなことを日々考えていた。
散々、私は自分の人生から逃げてきた。傷つくのが怖くて、逃げて逃げて逃げてきたのに、結局なりたくない想像のまま今日まできた。
だけど、もう逃げれない。
私が幸せじゃないのは、私のせいだった。
自分を幸せにするのは、いつだって自分だった。こんな巷で何十年も言われ続けてることが、小さな木彫りの人形に宿した過去の自分を見たときに、初めて理解した。
自分を大切にする方法はまだよくわからない。愛するとかもよくわからないし、ダメな方の自己愛は強そうな気がする。
だけど、とりあえず、私は、このニポポを大切にする。
幸福を呼ぶニポポより先に、私が幸福を運ぶのだ。
緊張が解き、じんわりと体が温まる。夜を迎えることを認めた私の身体は、これからの自分を生きるための準備をし始めていた。
笑われる愚者。ただ生きているのに、己を否定される存在。皆から煙たがられ、周囲からは軽蔑の目。だが、そんな人間にも夢はある。その夢をただ追い、胸に秘める小さな希望を抱き締めるのだ。
ただ一つ、守り抜いて来た物を大事に、大事に抱える。そのまま、一筋の光へ手を伸ばす。そんな私を、私は大事にしたい。
大事にしたい
私は、今この瞬間を幸せだったと
思い出すことはないだろう。
でも、この気持ちは
大嫌いだったあいつを後悔させるための
大事な思い出なんだ。
この気持ちに嘘はつけない
この人だけは、どうか
大事にしたい
この事件は、忘れられてはならないの
この憎しみを、もっと
おおごとにしたい
大事にしたい。
僕は僕。だから大事にしなさいと幼い頃に皆、
教えて貰っているはず。
「あなたはあなただから気にしなくていいのよ」
なんて、戯言。大事にしたい?んなもの確証もないのに
言うなよ。僕の友人にもいるし、僕もそう。
一人称がバラバラなんだ。
今は僕の気分。だけど、リアルで僕と言うと奇妙な目で
見られるし、私と言うと困惑するような目を向けられて
俺と言うとは?みたいな目を向けてくる。
自意識過剰かもしれないが、一人称がバラバラがおかしい
という教えをされているから自分もおかしいんだと
認識する。だけどしょうがない。俺は俺。
ネットの俺は俺なんだしだからさ、あなたはあなたなんて
簡単に言うもんじゃない。キモイという認識をして
しまった、してしまったからこの一人称は否定される
という認識になってしまう。だから、「俺は俺」で
「私は私」で「僕は僕」なんだよ。
愚痴?
ネットでしか吐けない自己中でごめんなさい
俺にも推しって存在いるのね?
そのグループが遂に運営という存在と敵対?というか
本当に対立しちゃったの。
某っくすのIDも公式のIDじゃなくなっちゃって、
ファンの方々は中身は変わらないから推すっていうのが
綺麗なファンというレールを引いてると感じちゃったの
だからさ、某っくすには言えないんだけど、あきらか
非難?されそうな内容なの。
俺は!!!!
そのグループの○○っていう可愛い、かっこいい容姿で
推してるの!!!!だから!!!
中身は同じとか言わないで!!!!
推しは見た目も大切なの!!!!
全くの別人になっちゃっても!!!!推す???
そりゃあ皆が推すと言ってんだから推さなきゃ怖いじゃん!!!
何に対しての恐怖心が分からないけど!!!
本当に…グループの○○が好きだったんだよぉぁ…
あーあ…すんごいギリギリに立ってる。
界隈を離れるか離れないか。
離れるかどうか悩んでるなら離れたらとか思わないでね。
自分でも思うかまってちゃんだから構ってね。
まぁ、君が誰かは知らないけど。
あー…なんか痛いな。めっちゃ痛いやつになっちゃった。
話逸れたけど、別のアカウント?っていうか新しい
活動アカウントで活動しますってメンバーが言ってて
それは運営と言ってることと異なってて、本当に
「あぁ…もうこの○○グループは終わっちゃうの?」とか
勝手に妄想しちゃって。ヘラる。
個人で活動するっていうメンバーもいて、なんか
声を聞けて、ゲームしているのも聞けて、嬉しいんだけど
なんか複雑なんだよね。
やっぱり、○○グループの○○達で活動して
喋っているってのが好きなんだよね。だから個人活動?
そんなのやだ!!!みんなと喋ってよ!!!
コラボ???やだ!!!!同じグループで活動してよ!!!!
なんて、叶わないけど願っちゃうんだよね。
なんか、飽きちゃったからありがとね。
見てなくても好きだよ。このアプリを開いてくれて。
じゃ、次は私の情緒が安定した文章で会おう!!!
「誰かに食べられちゃう前に」
触れたくて、触れたくて仕方ない。
だけど、一度触れてしまったら、きっと、もっともっと触れたくなってしまう。
もしかしたら、壊してしまうくらいに。
壊したくない。
だったら、触れなければ良い。
そう、思ってしまったんだ。
「……うん、言い分はわかった」
「わかってくれるか!」
「頭ではわかったけど、感情的にはわかりたくない、かな」
「お、おう……」
付き合い始めてから半年経っても手を出さない俺にしびれを切らした彼女が「なんで何もしてこないのよ。私に魅力が無いってこと?」「それとも本当は私のこと好きじゃないの?」と半泣きで迫ってきた。
感情を言語化するのは難しい。
だけど、俺なりに精一杯頑張って言葉にしてみたのだ。
だが、彼女にはイマイチだったらしい。
「と、とにかく!女としての魅力がないとか、そういうんじゃないから!」
「そう」
「そうなの!」
「だったら……くらい、してよ」
「……いや、だからそれは……俺の話聞いてた?」
「聞いてたよ。でも、でもさぁ……好きなものは先に食べなきゃ誰かに食べられちゃうじゃん」
そういやこいつ、好きなものは先に食べる派だったな。
俺は最後まで取っておくタイプだから、分かり合えないのかもしれない。
「だから、ねぇ……私からしても、いいよね」
「いや、だから、話聞いてた?」
「黙って。目を閉じて……」
彼女はそう言って俺の顎に手をかけ────
────大事にしたい
私たち
恋してる?
愛してる?
よく分からない
でも きっと
大事にしてる
大事にされてる
それってもしかして
愛してるってこと?
ねえ ハグしましょ
おやすみのハグ
あなたの温もりを感じたら
今夜もぐっすり 眠れそう
ねえ ハグしましょ
おはようのハグ
あなたの 鼓動を 感じたら
今日も元気でいられそう
大事な大事な あなたとのハグ
大事にしたいものが多すぎて
中途半端になるくらいなら
諦めて捨てた方がいい?
不器用だから、バランスよくなんて器用なこと、
できそうもなくて。
(大事にしたい。)🦜
僕には・・・ね
大事にしたい物が
いっぱい、有るんだよ。🦜
(たとえば、)
・僕の・・・大好物の稲穂。🦜
・僕の、誕生日に
娘雀しゃんが
お祝いにくれた
帽子。🦜
・僕の、ご先祖様が。
残してくれた
僕が、
生まれれる迄の
家系図。🦜
✣でも、僕が、
一番大切に
したいのはね。🦜
【僕が、神様から
賜った眷属の
誇りと。
人々に、幸せを運ぶ、
使命なんだよ。】
大事にしたい
アゲハチョウが私の家のベランダで舞っていた。
これには何の意味があるんだろう。
「何にでも意味があると思ってるの?」
虫の知らせっていうのがあるらしいよ。
「別にそんなんじゃないよ。私飛んでるだけだよ」
蝶はひらひら舞っている。
「何でもそんな大事にしてたら疲れない?」
幸運の意味ならいいけど。
えーと、アゲハチョウが飛んできたら、何だっけ…
「蝶ってさ、羽は綺麗だけど顔は所詮虫だよね」
えー、そう?顔見せて?
蝶が近くに来た。顔を見た。
何故か私の顔がついていた。顔だけ人間だし。
やだなぁ。やっぱり虫って。
得体が知れないし、生理的に気持ち悪く感じる。
それに、これには何の意味があるんだろう。
何か、あるはずだ。
…まぁ、いいや。全てでたらめなのかも知れない。
あと、何だか感じ悪い。無視しよ。虫だけに。
大事にしたい。
本当に 大切にしたいとか、必ず 護りたいとか、とても 想っているとか。そういう枕詞の本心を大事にしたいと思っていた。
僕の心の奥は腐っているなんて、厨二病みたいに豊かな想像力をフルに回して妄想している。勉強も運動も嫌いで、趣味は引きこもり。親との会話が鬱陶しくもムズ痒い、今この時。
私の手が荒れていく様は、痛くて辛い。炊事に掃除に仕事に、水場の事はさも当然かのように割り振られる。子供は許せる。大人は許せない。
日々、重ねて掬って捏ねて耕して丸めて、形のあるものとして見出している。これがいつか大切な思い出になると、信じて止めないピュアな君が、一番の宝物にみえる。
この日々、毎日を大事に大事にした。
壊さないように、無くさないように、手から離れないように、見失わないように、踏みつけないように、凍えないように、する。
そんな自分も、大事にしていいだろうか。
悪いのだろうか。
大事にしたいのは
君との時間
大事にしたいのは
君の笑顔
僕にとって君の隣が
大事な場所
お題「大事にしたい」(雑記・途中投稿)
……ちょうどiPhone12miniが壊れかけた(充電していたら復活してくれた)から、スマホ大事。
午前十時頃かな? 職場で棚の上に置いた紙コップのコーヒーひっくり返しちゃって、ちょっと濡れたのが原因なのかな、と思いつつ、でも夜中に充電器刺しているのに朝4%とかで死にかけていたんだよなと思い返しつつ。
帰ってから家で充電器差し直したら無事に充電できたから、延長コードか充電コードのどっちかが原因なんだろうな。
無事に三連休だからいい加減買った13miniにデータ移そう。SIMカードの取り出し方は未だに理解していないけども。
丸一週間ちょっと忙しかったから、机の棚の上も机の上も紙まみれでごちゃごちゃだったからついでに掃除したけども。
先輩(一応上司?)からはこうやって整理しているって助言もらったけど、それ五月ぐらいに知りたかった……。私がこの仕事初めてなの知っているよね??? ってちょっと恨みがましく思いつつ。
でも次からそうしようと思った。来年五月で今の現場が終わるはずだし。
てか私はともかく、途中離脱した先輩? も私と同じ方法なのどうかと思った。
「困るんだよね、止まってもらわないと」
「すいません……」
僕は今、お巡りさんに怒られていた。
理由は、一時停止をしなかったから。
普段人通りのない交差点を愛車で突っ切ろうとしたのが運の尽き、見事お巡りさんに止められてしまった。
でも、僕にだって言い分はある。
止まれない理由があるのだ。
「僕『時間』なんですよ。
止まれないんです。
もし、止まったら他の人に迷惑がかかっちゃう」
そう、僕は『時間』。
みんなのために動く続けなければいけない。
もし止まろうものなら、立ちどころに人間社会がパニックになってしまう。
だから僕は止まれない、止まるわけにはいかないのだ。
「分かるよ。
私も、いや私たちは君に感謝している。
でもね、一時停止は止まってもらわないと困るんだ。
ほら、事故の元だし」
けれど、お巡りさんは見逃してくれそうになかった。
なんて融通が利かない人なんだ。
法律よりも大事なものだってあるだろうに。
「あーそういえば……
きみについて、ある目撃情報を寄せられていてね」
「なんでしょう?」
「君、速度オーバーしたでしょ?
時間の流れが速いって、通報があったんだ」
「ギクウ」
胃がきゅーっと締め付けられるのを感じる
まさか見られていたとは……
誰もいないからと思って油断していた。
「も、もしかして免許取り消し……?」
「うーん。
取り締まるには、目撃情報だけじゃ弱いからね。
今回は厳重注意」
「ありがとうございます」
「感謝しないで。
許したわけじゃない。
『確実な証拠がない』だけだからね」
「はーい」
「緊張感がないなあ……
言っとくけど、証拠があったら捕まえているからね。
すぐに」
「はい……」
そうしてお巡りさんは、言うことを言って去っていく。
それを僕は見送って――
「よっしゃあ、これで自由だぜ」
よし!
これで僕を止める人間はいない。
愛車に乗り込み、アクセルを踏む
いざ行かん、光の先へ――
だがその瞬間、車の前に白い影が飛び出す。
「猫!?」
その時、時間は止まった。
だが時間が止まったことも知らず、猫はそのまま道を渡る。
猫は時間になど興味は無いのだ。
一方僕の頭に浮かぶのは、さっき止まってしまった事。
急に止まってしまったので、つまり時間が止まったことで人間社会ではいろんなトラブルが起こったに違いない。
電車の運行、陸上競技の記録、カップルの待ち合わせ、その他とんでもない事になっただろう。
僕は人類に起こった惨状を思い浮かべて……
「知ーらないっと」
僕は気づかない振りをして、安全運転で道を進むのであった。
よく友人と遊びに行って
思うことがある
なんて愛おしい時間なんだと
人生という尺度で見れば短い時間
もう覚えてもいない中身のない会話
何をそんなに笑っているのだろう
本当にしょうもない時間だ
ただただあっという間に過ぎていく
それなのに愛おしくてたまらない
最後に走馬灯を見れるのなら
こんなしょうもない時間たちを見せてほしい
そんな大切にしたい時間を忘れたくなくて
スマホを手に取り、
ぱしゃり
時間を切り取る
そして現代っ子には珍しいだろうが
手に取れる形にして
ノートに時間たちを貼り付ける
何時でもその愛おしい時間たちが
ノートを開けば走馬灯のように駆けていく
〜大事にしたい〜