『夢を見てたい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『夢を見てたい』
いつもありがとうございます。
家族が体調を崩してしまい、スペースのみです。
明日以降の予定が総崩れな予感……。
できる限り更新がんばります。
ひとまず、様子を見ながら昨日のお題『ずっとこのまま』を更新しました💦
ご興味がありましたら目を通してくださるとうれしいです。
みなさまもご自愛してお過ごしくださいませ。
最近あなたを夢に見る
いつも隣にいた、傍にいた、
大切なあなたが出てくる夢
ひとつひとつの空気感が
あなたの存在をつくるすべての要素が
愛おしくて
あなたの足音
あなたの髪
あなたの呼吸
あなたの声
私の名前を呼ぶ、声
笑いあっていた
今までなんてどうでもよくなるぐらい
大好きで大切なその一瞬
暖かい空気の中
また明日、おやすみ
と声を掛けた
あなたは
おやすみ、また明日
と返した
嬉しくて愛おしくて
起きたら
夢は覚めていた
昨日隣で眠ったあなたは
とっくの昔に長い眠りについていた
魔法が溶けた朝の4時
おはよう、愛してる
夢
推しに一度も会うことができてない。
いつか推しに会えたらいいなー。
家族全員で旅行に行きたい。
夢を見てたい
「うーん、美味い」
ソファに深く座り、淹れたてのコーヒーをゆっくり味わう。
「時間に余裕がある。って、最高だよなぁ」
雑誌を見ながらのんびりしていると、壁掛け時計が出勤時間を知らせる。
「さて、そろそろ出るか」
ソファから腰を上げたところで、もう一度、時計の音がけたたましく鳴り響いた。
「…あっ、なんだ、夢か。もっと夢を見てたいけどなぁ」
夢の中の僕とは違い、現実の僕は時間に余裕などない。
「おっと急がなきゃ」
急いでベッドを降りると、慌ただしく出勤の準備をするのだった。
少し足先の窮屈な勉強机の前で唸り始めて、早三十分。今日の課題は、まだ終わりそうにない。
将来の夢について考え、調べるというだけの課題。それが、僕には酷く難しくて、どうにもできそうになかった。
夢が無い訳では無い。将来の夢はきちんとある。でも、それを書いて提出するとなると、どうしても勇気が出ない。
「…………どうしよ……」
何度も書いては消してを繰り返した紙は、もうよれてしまって、黒鉛の汚れが落ちきらなくなってしまった。提出しなければならないが、書けない、否、書きたくない。
僕は自分の夢に、自信が持てなかった。今よりもっと幼い頃は、なれるかも分からない、現実感さえ無いような夢を、嬉々として語れた筈なのに。今は、剰え自分の夢を恥じているのだ。
そんな僕だから、きっと夢は叶わないと決めつけて、勝手に一人で諦めている。そんなことは、分かっている。
前に、たった一人にだけ、夢を語ったことがある。その時、当然のように吐かれた一言で、僕は二度とこの夢を語れなくなった。
僕の夢は、世間的に見れば珍しくて、安定するかも分からない博打に近い。何度も諦めようとして、なのに胸の奥で燻ぶり続ける火は消えてはくれなかった。その火に焼かれ続けて、僕はずっと苦しかった。
皆と同じように、安定した、地に足のつくような職業だってたくさん調べた。なり方も、年収も。その中には、きっと世間一般では好待遇のものだってたくさんあっただろう。
でもやっぱり、どうしても。なりたいのだ。諦めきれなくて、みっともなく藻掻き続けている。震える手でもう一度シャーペンを握って、紙に向き合う。
僕は、こんな僕だからこそ。自分の思い描く世界が、自分の手で綴る文字が、好きなのだ。好きで好きで堪らなくて、諦めきれずにずっと立ち止まっている。
課題の紙の、名前の下。小さな四角い記入欄に、いつもより少し震えた、僅かな羞恥と確かな執着の滲んだ字で、小さく、薄く、たった二文字の夢をなぞった。
テーマ:夢を見てたい
夢を見てたい/イマジナリーな声
落ちる感覚のあとに辿り着いた森に、細い道が登り坂で緩くくねっている。
遠くから声が聞こえた気がして、目を細めて道の先を望むと、大樹が両翼を広げて、遠くから呼んでいる声が届いた。
ーヤ、ヤット、ト、キタカ。
ーサ、サアア、コチラ、ラ、ニ
カサ、と足元の草の音。呼ばれるままに一歩一歩進むうちに樹の根本が見えてきた。
森から開けた大地に広く根を張る樹から、空に向かって放たれる光が見える。
惹かれるように駆け出した私は、思い出した。遠い昔に出会っていた存在、懐かしい気配を纏っている存在を。
意識の中に表れ、話す相手の姿。
兄のような、いつも側に感じた存在と時々話していた幼い日の、遠い記憶が掘り起こされる。
辿り着いた幹に触れ、何度も撫でた。
あなたは居たのね。本当に居たのね。
涙が落ちた、愛おしいという感情に近い、思いが溢れ、
タイマーの音色が聞こえた。
私は軽い頭痛と目眩を感じて、
鳴っているメロディをオフにした。
触れるスマホの固さが、夢だと告げた。
私の頬を涙が流れていた。
このまま見ていたかった。
時間を超えてやっと見つけた便りが、消えてしまった。
何故今朝なのかは分からないけれど、温かいぬくもりに触れていた幸せが、夢の中で泡が膨らむように表れたのを、離すのが辛くて、少しだけぼんやりしたあと、
諦めて起き上がった。
今日は水曜日、まだ平日だから出る支度しなくちゃ。
【夢を見てたい】
ずっと楽しい夢だけを見ていたい。
苦しい夢なんて見せなくたっていいんだよ..
『幼少期の悪夢』
「ここは…?」
目を覚ますと、そこは遊園地だった。ただ、人ひとりっ子いないしアトラクションも寂れていた。でも…どこか見覚えがある。いつ、誰と見たのかは思い出せない。
突っ立っていても仕方がない。誰かいないか探そう。
そう思い足を踏み出した所で、誰かが泣いているような声が聞こえた。辺りを見渡してみると、遠くの方に小さな女の子がいた。あの子が泣いているらしい。
「大丈夫?」
近寄って声をかけてみる。女の子はぬいぐるみを強く胸に抱きながら、ゆっくりと顔を上げた。その顔を見て、驚きで声が詰まる。女の子は……小さい頃の自分だった。
「パパとママがいないの…お姉ちゃん知ってる?」
女の子…小さい頃の自分が問いかけてくるが、何も答えられない。喉になにか詰まっているように、「…ぁ」とか「ぅ…」とかなど小さな声しか出ない。
「お姉ちゃん?」
何も言わない私に、目の前の自分が首を傾げる。そのまま何も言えずにいると、興味を無くしたように「パパとママ、どこに行っちゃったんだろう……」と何処かに歩いてしまって行った。
小さい自分が歩く度に影も一緒に揺れる。その影から目が離せずにいると、いきなり影が大きくなり目と手が生えた。その目と目が合うと、影が勢いよくこちらに向かってきて、私を飲み込んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はっ!」
勢いよく目を開ける。見慣れた天井が目に入った。息が乱れていて、汗もびっしょりだ。
今のは夢だったのか……
そう安心していると、パタッと音がして何かが落ちた。体を起こして、それを拾う。それはぬいぐるみだった。…ちょうど、今見た夢の中の自分が持っていたものと同じの。
夢の中の自分と同じようにぬいぐるみを胸にだく。
「早く…早く助けてよ……」
【夢を見てたい】
あの子みたいに笑っていたい なれもしない
時間だけを思い知る
あの子みたいに笑ってみたい 他人のように祝いたい
きらいでも愛していみたい
時間だけを忘れて
夢と現実の狭間で踊っていたい
前々回から地味に続いておったおはなしも、今回でようやくひと区切り。
最近最近の都内某所に、後輩もとい高葉井という女性がおりまして、
前々回あたりのおはなしで、幸福な推しの夢を数時間、諸事情により見ておったのでした。
「めっちゃリアルだったの」
「そうか」
「もう、8K16Kくらいの高画質で、無圧縮くらいの高音質で、ツー様が私に、コーヒー」
「そうか」
「めっちゃ、リアルだったの……」
「高葉井、」
「何故かキャンパーだったし、焚き火の民だったけど、言動全部解釈完全一致だったの……」
「高葉井。寄贈本がだいぶ貯まってきてる。
仕分けか装備のどちらかを頼みたい」
「リアル……」
「こ う は い」
ポワポワ、ぽわぽわ。
推しが夢に出てきて、大歓喜の高葉井です。
幸福な夢を見て、なにより久しぶりに十分な量の睡眠をとりましたので、長年の睡眠負債も軽減!
頭がとっても、スッキリしています。
良い体調で家を出て、良い気分でバスを待ち、
心体双方軽やかに、自身の職場に到着です。
高葉井は都内の私立図書館に勤めておりまして、
そこは、夢に出てきた推しが登場するゲームの、
まさしく、原案と原作が爆誕した聖地でした。
「やっぱ人間、寝なきゃダメだよ先輩」
「そうか」
「寝れば夢の中で推しと会えるんだよ先輩」
「今なら寝なくてもツバメさんとは会えるだろう」
「そっちは公的なツー様。こっちは私的ツー様」
「はぁ」
「また会いたいなツー様」
「頼むから仕事をしてくれ高葉井」
できるなら今日もあの夢を見たい
とか、
なんならずっと、あの夢を見てたい
とか、
いっそずっとずっと、あの夢だけを見てたい
とか。
高葉井のポワポワは長くながく続きます。
そりゃそうです。
高葉井の夢に出てきた推しを、高葉井はずっとずっと、だいたい中学生くらいの頃から、
専門用語も解釈も見解も何も知らぬままに、
ただ一心に、推しておったのです。
その推しが超現実的な夢に出てきたとあっては、
そりゃあ、脈拍数も血圧も、上がるのです。
「先輩の近所のあの稲荷神社にお参りしたら、またツー様、夢に出てきてくれるかな」
「なぜ」
「だってあそこ、ご利益ありそう。本物のコンちゃん居るもん。叶えてくれそう」
「はぁ」
「神様仏様子狐様」
「稲荷は中途半端に頼ると後が怖いらしいぞ」
睡眠大事。夢大事。推しは更に大事。
ポワポワ幸福に口角の上がる高葉井は、
ポワポワ幸福に図書館の仕事をこなして、
外を見て、天上を見て、上の空になります。
「こうはいさん」
「大丈夫だいじょうぶ仕事はしてる」
「高葉井さん」
「だから仕事はしてるってば先輩」
「私です高葉井さん」
「はいはい新しい寄贈本はそこの箱にどうぞ〜」
ポワポワ、ぽわぽわ。高葉井は夢見心地。
そのわりに図書館の仕事はミスなく為しています。
まったく器用なものです。
「あの。高葉井さん」
「はいはい後輩の高葉井は推し夢を燃料に絶賛高速仕事中ですよー」
推しは高葉井の燃料として、極上高品質であるらしく、高葉井の仕事は一気に片付いてゆきます。
「おまえ、ツバメさんが居ると仕事が早くなるな」
「なりまーす。ルー部長も居れば爆速でーす」
気がつけば高葉井、見た夢を燃料にして、
その日の仕事の7割を、午前中で終わらせます。
「夢っ!おやすみ!」
「メシはどうするんだこうはい……?」
「知らない!夢!夢を見てたい!」
「はぁ」
昼休憩にはどこからともなく、枕を出してポフン。
秒でイントゥーザドリームしましたとさ。
「夢を見てたい」がお題のおはなしでした。
おしまい、おしまい。
クラス内に、苦手な人というのはどうにもいるもので。今年私が厄年なのもあるのかもしれないが、ほとほとその苦手な、Aさんに、なぜか、なぜか、巡り会ってしまうのである。
例えば廊下、角を曲がった先でAさん。
教室で、荷物を取りに帰りドアを開けるとAさん。
帰り道、なぜか前を歩くのはAさん。
またAさん、またかAさん、あぁAさんまたなのか!
言っておくが、別にAさんと何か特記するような出来事があった訳ではない。少し話した程度で嫌うような何かがあるでもない。ただ、なんだか、苦手なのだ。それはきっと、初日に出会った日のドアの締め方に由来しているのだが、テストで69点を取った時のような、なんとも言えぬモヤッとした気持ちに似ている。このいってんが、自分が思うより大きかったりするのだ。
さて、ここからが本題なのだが今日のテーマ、夢を見てたい。私は悩んだ。何故ならば、今日は夢にAさんが出た。
もう!
♯夢を見てたい
彼から目が離せない。
長くて細い指
立ち上がると際立つ背の高さ
勇ましい演奏からは想像もつかない甘い笑顔
気づけば恋に落ちていた。
高校に上がって、彼と同じ部活に入った。
中学の頃からずっと目で追っていたけど、声をかける勇気はなかった。
声をかけたら、もっと求めてしまいそうだったから。
あわよくばあなたの隣にだなんて、考えてしまいそうだったから。
そんなことを考えてはいけない。
だって、彼には彼女がいた。
彼は私に見向きもくれなかった。
でも、
…欲が出た。
「先輩、今度の週末…」
声をかけた。 だめ。
「…カフェにでも行きませんか。」
後輩からのただの相談。 だめ、だめ。
「今度の大会について相談したいことがあって。」
私の腹の底にどす黒い塊がドスンと落ちたようだった。
「いいよ。」
先輩は少し考えたあと、甘い笑顔で答えた。
その笑顔にまたときめいてしまった私が許せなかった。
『ごめんなさい』
何度も打っては消してを繰り返した。
スマホを睨みつけて、罪悪感に押しつぶされて、恋心に浮ついて、そんな事を繰り返すうちに、ついにその日が来てしまった。
私はヘラヘラと世間話を連ねて、場を凌いた。
しかし、沈黙が目立つようになってきた頃、先に切り出したのは先輩だった。
「今日はどうしたの?相談って…」
「えっ、あー、」
本当は相談なんてない。
頭をフル回転させて答えを考えたが、ついに私は言葉を詰まらせて、俯いてしまった。
視界は髪と机だけ。正面にいるはずの先輩は、存在を感じさせない沈黙を貫いていた。
耳まで熱くなっているのを感じる。
手には汗を握っている。
自己嫌悪が頭を巡る。
私は顔を上げた。
途端に、真っ直ぐに私を見る先輩の目線に貫かれる。
顔がさらに熱くなる。
「…先輩、ごめんなさい。」
先輩は何も言わない。
「私、先輩のことが好きなんです。」
先輩は表情ひとつ変えずに、私を見つめていた。
私はいたたまれなくなって、再び下を向く。
それとほぼ同時に、机の上にあった私の手に先輩の手が重なった。
驚いて顔をあげると、すかさず唇を奪われた。
「俺も。好きだよ。」
頬を伝う嬉し涙が、悲しみと混ざる頃には目が覚めていた。
スマホの画面には、先輩からの返信の通知が表示されていた。
01-14 夢を見てたい
「夢を見ていたい」
もう少しだけ。
眠るように、夢を見ていたい。
ふわふわの甘い綿菓子の様な、暖かい夢が良い。
ずっと夢を見てたい。子どものころから思っていることがある。その道を追いかけていたけれど、途中でその道を離れた。
夢への付き合い方を、考えなおそうと思った。夢は心の奥底にしまって、違う道に進んだ。それはそれでよかったけれど、なんだか自分を生きられていない気がした。
夢にまた目を向けてみた。これまでとは違うやり方をしてみようと思った。楽しい。こんなに没頭できるのだ。心が満たされてくる。それがうまくいこうがいくまいが、自分が喜んでいる。
このまま、ずっと夢を見ていきたい。
「夢を見てたい」
皆さん、遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
私事になるが去年の大晦日、俺は実家に帰省した。
数年ぶりに生まれ育った我が家へと帰ってきた俺はその夜、父と母、結婚して二児の父親になっている兄、義姉さん、甥っ子たち、弟、そして若干ボケかけている婆ちゃんと一緒にカニがたくさん入っている温かい鍋を囲みながら楽しい大晦日の団らんを過ごした。
テレビでやっていた年末恒例の歌番組をボーっと見ながら鍋に入ってるカニを取り出して無心で貪り食ってたら兄ちゃんに叱られた。以下のような内容だ。
「おい、カニばっか食うなよ。お前は終わってる人間なんだから」
……?
俺はカニの身をほじくっていた手を止めて兄ちゃんを真っすぐ見据え首を傾げた。
「終わってる人間? 俺が?」
思わず復唱する。当然だ。
カニばっか食うなよと怒られるのはまだ理解できる。自分でもちょっと遠慮したほうがいいかなと思っていたからだ。
だが、俺が終わっているとは聞き捨てならなかった。それにその真意もいまいち理解できていなかった。
「終わってるだろ。お前はこの先もう夢も希望もないんだから。老い先短い婆ちゃんや若いやつらにカニをわけてやれよ」
ビールを飲んで酔っ払っているのか、ガハハと笑いながら、やたらと辛辣なことをいう兄ちゃん。婆ちゃんはボケてて会話の内容を理解できていないようだが、楽しそうな雰囲気につられてニコニコと笑っていた。ついでに父さんと母さんと弟と甥っ子たちも爆笑していた。義姉さんだけは、やめなさいよって感じでさり気なく兄ちゃんをひっぱたいてくれていたが。この場で俺の味方になってくれたのは血の繋がっていない義姉さんだけだった。
まぁ、ともかく、腹がたった。なんだか分からないが馬鹿にされて笑いものにされている気がしたからだ。
しかし、言い返すだけの言語化能力もなければ笑いにかえるウィットに富んだジョークを咄嗟にだせるIQもない俺はただヘラヘラして、カニに手を伸ばすことなく鍋に残っている白菜とえのきをモソモソ食うことしかできなかった。
で、本日のテーマ『夢を見てたい』
2026年になった。
正月休みも終わり、俺はいつもの狭いアパートに帰ってきていつも通り仕事をしている。
1月5日くらいまでは世界が正月気分で煌めいていたが、もう今くらいになると普段となんら変わらない。
なんにもめでたくないし、なんにも面白いこともない毎日が続いている。
そんな中、寝る前にふと思う。
(俺って終わってる人間だったのか……?)
大晦日、兄ちゃんになんとはなしに言われた言葉が妙に引っかかっていた。というより根にもっていた。
(誰が終わってる人間だよ。終わってるのは結婚して人生の墓場に入ってるアンタのほうだろ)
などと男やもめの卑屈な感情を丸出しにして実の兄に悪態をつくほどにはモヤモヤしていた。
……が、兄ちゃんの言っていたことも時間が経って考えてみると理解できる。確かに俺は終わっている人間だ。
いまさらスポーツや学問で成功するのは年齢的に難しいだろう。じゃあ企業するか?となってもそんな度胸も資本金も人脈も、というかなんも俺にはない。つまり、人生のゴールがおおよそ見当ついているのだ。たぶんこのまま適当に働いて生涯独身で酒の飲みすぎかなんかで苦しみながら死ぬのだろう。お前には夢も希望もない、それを兄ちゃんは終わっている人間と要約したのだ。
(ああ、確かにな。俺は終わってる。未来に可能性がある甥っ子や弟や、先が長くない婆ちゃんにカニを譲るべきだったなぁ)
俺はお正月がだいぶ過ぎてから、ようやくその真実に到達した。しかしそれは寝る前だったので、その時は凄く反省したけど翌朝になったら半分くらい省みる気持ちを忘れてしまっていた。これは良くない。
そして現在、我思う。
今からでも見られる夢はないだろうか?
急募、俺の夢。
ちなみに年末ジャンボ宝くじは数万つぎこんで夢と散ったので却下だ。
あーーー眠たい、もう7時なのに、早く準備しないと遅刻...........(あ~~~夢最高、ずっと押しのらいくんといられるんだから........)
いい加減起きなさい!!!!だけど小さい頃は、親に夢をぶっ壊される、だけど今はそんなことはない、っって寝ちゃだめじゃん!!!
もうさっきまで7時だったのにもう8時半何だけど!?、急いで準備して、家を出て◯△駅に行って8時4十分に電車出るのにーーーーーーー
「夢」の意味が多すぎて、僕は途方にくれました。
ただ、どちらの意味でも夢をみることができる時期があります。
それは子供時代。
大きな大きな災厄と大きな大きな困難が、ちっぽけに思えてしまった時に終わってしまう時代のことです。
〈夢を見てたい〉
母校の大学講堂の入口に立ち、私は深呼吸をした。冬の冷たい空気が肺に染みる。
「なっちゃん、久しぶり」
振り向くと、チャコ先輩が笑っていた。大学時代から変わらない呼び方に、胸の奥が少し温かくなる。倍率の高いチケットに外れて落ち込んでいた私に、先輩が声をかけてくれたのだった。
講堂の壁に貼られたポスターには、『すだこだか 復活ライブ』の文字。写真の中で並んで笑う二人を見て、先輩がぽつりと言う。
「まさか、こんな日が来るなんてね」
私は静かに頷いた。
――
十五年前、高校二年生だった私は、駅前の路上で初めて「すだこだか」の歌を聴いた。
部活の人間関係で悩み、勉強にも身が入らず、どこか投げやりな気持ちで歩いていた帰り道。ふと、温かくて力強い歌声に足を止めた。
小柄な青年と長身の青年が、ギター一本でハーモニーを響かせていた。
切なくて、希望に満ちた曲だった。
─明日が来るのが怖いし 足もすくむけど
─でも君とずっと 同じ夢を見てたい
サビの歌詞が、まっすぐに胸に届いた。気がつくと涙が頬を伝っていた。自分の気持ちを、この歌は知っていた。
路上ライブの帰り際、手書き文字のチラシをもらった。『すだこだか』という名前と、次回のライブ日程。そして「M大学軽音部所属」の文字。
それから私は、時間を見つけては路上ライブに通った。そこで声をかけてくれたのが、M大学四年生のチャコ先輩だった。
「この二人、絶対に売れるよ」
その言葉と一緒に、私の中に小さな夢が芽生えた。この大学に入りたい。「すだこだか」がいる場所で、学生になりたい。
自分でも不純な動機だったけど、投げやりだった学生生活に気合いが入ったのは事実だ。
厳しい受験勉強の支えは、彼らの歌だった。
そして春、合格発表で番号を見つけた瞬間、真っ先に浮かんだのも二人の顔だった。
大学に入ってからも、私は彼らの歌を追い続けた。
ファンは増え続け、ライブハウスでの公演も始まった。自主制作CDは完売が続き、レコード会社の人が名刺を置いていくようにもなった。
「そろそろメジャーデビューかもね」
先輩の言葉に、私は胸を躍らせた。このまま二人で、ずっと歌い続けてくれると信じていた。
でも、秋に聞こえてきた噂は「解散」だった。
理由はわからないまま、クリスマスのラストライブが行われた。
ラストの曲。「夢を見てたい」。
サビが始まると、ファンが一斉に歌い出した。私も歌った。チャコ先輩も歌った。涙を流しながら歌う人もいた。
でも、私は泣けなかった。
涙を流したら、本当に終わってしまう気がしたから。
──
それから十二年。
小高さんはソロアーティストとして成功し、私は今も彼の音楽を聴いていた。でも時々思う。ここに須田さんの声があったら、と。
先月、小高さんの新曲が配信された。
いつものようにヘッドホンで聴いていた私は、サビのコーラスに聞き覚えがあることに気づいた。
「……須田さん?」
動画の最後に流れたクレジットで「Yasuo Suda」の文字を見つけた瞬間、心臓が止まりそうになった。
その夜の配信で、画面に二人が並んだ。
あの頃よりちょっと老けたけど、笑顔は昔のままだ。
「初めまして。……そうじゃない人には、ただいま」
須田さんの声を聞いた瞬間、涙が溢れた。
あの日、流せなかった涙が、今になって止まらなくなった。
──
そして今日。
講堂の照明が落ち、スクリーンに十二年前の駅前、ラストライブの映像が映し出される。
誰が撮っていたのだろう。「夢を見てたい」を歌う、若い二人。
ファンの歌声が流れる映像が終わると、ステージに光が当たった。
そこに、小高洋人と須田泰夫がいた。
湧き上がる拍手の中、ギターの音色が響き、あのハーモニーが広がる。
─きみとずっと 同じ夢を見てたい─
隣でチャコ先輩が泣いていた。私も泣いていた。
十二年分の時間を重ねた声は、あの日よりも深く、温かかった。でも、重なり合う息遣いは変わっていない。
曲が終わり、会場が大きな拍手に包まれる。
「ずっと、夢を見てたかったんです」
小高さんの言葉に、須田さんが続けた。
「皆さんと一緒に、また夢を見させてください」
私とチャコ先輩は、涙でぐしゃぐしゃの顔で笑い合った。
夢は終わっていなかった。
ただ、続きを始める時を待っていただけだった。
そして今その続きを、私は確かに見ている。
ずっと、同じ夢を。
──────
「失われた響き」「君と紡ぐ物語」の続編、「すだこだか」のお話です。前のお話も読んでいただけると幸いです。
もっともっと長いお話でしたが、ここに載せる用に短縮版です。
「えびだかカニだか、すだこだか!」ってフレーズを使いたいんですけどねぇ、使いどころがなくなってしまいました(´・ω・`)
夢を見てたい、あ〜あ、夢を見たいな、そんな願いが叶うといいなぁ〜。
夢を見てたい。
母親の望みは、僕が結婚して子供を授かること。
親孝行を実現するなら、兵庫県に引っ越して高収入の仕事に転職し、素敵な方と結婚する。
月に一度は、僕が農業を手伝い、奥さんは手料理を振る舞う。
年に一度は、母親を車に乗せて観光に連れて行くのが理想だ。
なんて夢を見てたい。
若い頃に結婚してたら実現できたことだ。
恋愛に関しては精一杯努力したがダメだった。
この年齢で転職は難しいし、高収入でないと子供が授かる年齢の方とは結婚出来ない。
僕の親孝行は仕送りは拒否されるので、話のネタがあれば電話で話し、記念日に土産を郵送するぐらいだ。
親からすれば僕は自慢の息子ではない。
まったく値上げしなかった株みたいで心苦しい。
せめて母親が生きている間に、何かで成功して自慢させてあげたい。
そう思う日々である。