『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜の海って
なんだか怖いよ
よく見えないからさ
なのに音だけはして
その音にすべてを
飲み込まれそうで
ほら、聞こえない?
ザブーン、ザブーン
波の音が
まるで
おいで、おいで
と、
手招きしているみたいに
お題
夜の海
「夜の海」
打ち上げ花火のあとだった。
もう見ていた人のほとんどは帰ったのに、私達だけは海岸に残っていた。みんな部活に塾にと忙しく、今日のような日は特別だったので、充実した時間をまだ終わらせたくなかったのだ。
そうはいっても、することもなかったのでただその場に佇んで雑談をしているだけだったが、それでも満足だった。
もう花火の見えない海を眺めていた。
ザー、ザザー...。単調でない波の音は生きているようにも思えた。灯台の光が数秒おきにこちらを照らす。
水は 深い青に 染まっている...浅瀬では街の灯りをみなもが反射してぼんやり輝いていた。
これだけ落ち着いた空間でも、変わらず時間は過ぎる。私達の内に秘めた感情をガソリンに加速して、まるで矢のような速さに思えた。時間は終わる。明日からまたそれぞれの毎日に戻っていく私達。それはまるでメトロノームのようで、少しずつずれていく。再度テンポが揃う日がくるなら、そのときもこの七里ヶ浜で同じ花火を見ていたい。
「夜の海」
あかるくてやさしい
太陽の守護のもと
海の生き物たちは戯れるように
遊ぶかのように舞い泳ぐ。
けれども 銀色の凍えるかのような
月の光のもとでは
生き物たちは
食う 食われる 奪い合う
競い合い 生まれ
なにもわからず波に揉まれる中で
共に生まれたきょうだいが
瞬く間に死ぬのを目にする。
人間などには決してみせぬ
夜の海というのが きっと
ほんとうのすがたなのだろう。
つまりは
ほんとうのすがたなどというものは
明るい陽のもとでは
上手に本性を隠し 姿を表さない。
「夜の海」
海ナシ県育ちで、わりと地味な人生送ってるもんで、夜の海ってあんまりよくわからないんだよね
好きな人と2人で夜の海辺を歩いたら、ロマンチックだったりするのかなあ
波をパシャパシャしたら、夜光虫がキラキラ光ったりして
そういうの、やってみたいけどね
静かでちょっと怖い海を見つめていたら
大好きなあなたを思い出す
普段の生活はそこにはなくて
心が満たされていく
この時間が続いて朝なんか来なければいいのに
【夜の海】
「夜の海」
夜の海
寄せては返す波の音
火の爆ぜる音
しとしと降る雨の音
風で森の木の葉が揺れる音
虫の音
自然の音は何故か落ち着く
月光のステージ、漣の音色に合わせてステップを踏む。
観客は星と魚だけ。それで良かった。
白いレースが波に踊る中で、私は私を夢想する。
世界で一人と言うことは、世界で一番だと言うことだ。
私は海に深く沈み、ぷくりと小さな泡を歌って目を閉じた。
夜の海の底を
旅せざるおえない日も大丈夫
命は発光していてあたたかいものだから
おどろおどろしい怪物のかげも
照らしてみればよく知るかたちをしているはずさ
東を目指す旅
ありがたい経典を得られるわけでもなく
苦難をともにする仲間もいない
死の淵の闇をのぞきこむような航海
けれどそれは生まれ変わりのチャンス
ほら
東の水平線にはたくさんのひかりが集まって
空を燃やしているよ
もうすぐ夜が明ける
『夜の海』
月明かりだけが海面を照らし
波は銀色にさざめく
岩礁に座る美女が優しく笑むのは、夜の海
『あら、歌を聴きに来たのね?』
重ねた唇も抱き合う体温も
海に潜む魔物は
痕跡すら残さず喰らうという
「好きだと言わせてくれよ」
「お前、狡いだろ…」
歌声は惑わす
朝になれば海の藻屑になるのよ、と
『それでも良いの?
寄せては返す波のようにはいかないわ』
許されない恋のゆくえは
深海の闇へ
#夜の海
夜の海。
満月の夜の海それはとても美しかった。
1人で散歩をするのが大好きだ
満月だった海は素朴な感じだ__
【夜の海】
夜は暗くて怖い。
だけどそれを我慢してとある場所につけば帰りの怖さなんて忘れてしまう程美しい。
そのとある場所とは夜の海だ。
夜の海を見に来た。昼の海とは違って、月明かりに照らされていて、綺麗だ。波の音を聞きながら、海の風を感じる。美しくて儚くて、ちょっと寂しくなる。
夜の海
夜の海は吸い込まれそうだ
真っ暗で月明かりに照らされ、海の音だけが響いている
俺は海は好きでは無い
生き物は死んだら海に帰る、そう言うだろ
俺の親友は海にでるた、行ったっきり帰ってこない。それから数十年経った
もうここには帰ったこないだろう
まだ生きてるのかも知れないが俺は信じない
その日の夜
俺が家に帰るとあいつが居た
あいつは、今まで連絡もよこさなかった
帰ってきてるとしても何故俺の家に、あいつは俺の家なんて、知らないはず、なのに…
「…おい、なんて顔してんだよ、まるで化物を見るような顔だな」
そして困ったかのように眉を下げて
「ただいま。長いこと待たせたなこんな変な姿で会うことになるとは思ってなかったよ」
震えが止まらない泣きそうになる、
こいつはボロボロで、おかしい、何か違うそう思うのに嬉しいんだ…
これから、またあいつと過ごせる。
そうおもったんだ。
でも
あいつは次の日になるとまた、どこかにいなくなっていた
そして俺は家ではなく昨日の砂浜で倒れていた
夜の海
音とか
匂いとか
風とか
月とか
花火とか
写真とか
全部よく感じるのは
隣に君がいて
笑ってくれるから
1人の海は
ちょっと寂しい
「おじいちゃん、見てみて!綺麗だね!」
そう言って、目をキラキラと輝かせながら海を見つめる孫のリン。彼女とこうして海を訪れたのはいつぶりだろうか。今日は8月15日。私の妻であるリリーの命日だ。夜の海を見てはしゃぐ孫の姿を見ながら、リリーも海が好きだったなと思い出す。
「リン。夜の海は危ないから気をつけなさい」
「はーい!」
本当はお盆に、しかも夜に海へ行くことは危険だと昔から言われているが...。リンが「今日はどうしても行きたい」と言っていたため連れてきたのだ。
私の妻が亡くなったのは、リンが小学生に入りたてのとき。まだまだ幼くて周りの状況が分からない年頃だった。そのため最後の別れのときは、リンだけ別室で待機させたのだ。あの子の心が壊れないように。
けれど歳を重ねるうちに理解してきたのだろう。リンは毎年、妻のお墓参りに行くと「ごめんね」と謝るのだ。きっと恐らく「お別れが言えなくてごめんね」という意味なのだと思う。そう思うと、あの時の自分たちの判断は間違っていたのかもしれないと、後悔と罪悪感が湧き上がってくる。
しかし、今回は違った。いつもなら「ごめんね」と言って「帰ろうか」となる流れなのだが、今回は「ごめんね」も言わずにずっと笑顔で、それで「海へ行きたい」と言い出したのだ。その変化に最初は戸惑ったが、彼女の中で何か折り合いがついたのかもしれない。そう思って見守ることにした。
「ねぇ、おじいちゃん」
「なんだ?」
「...おばあちゃんも海、好きだったんだよね?」
「そうだね」
「そっかぁ...」
リンはそう言ったっきり黙ってしまった。いろんな感情の整理をしているのだろう。少し一人にさせて方がいいだろうか。
「リン。少し一人になりたいか?」
「ん?全然大丈夫だよ!」
「そうか?」
「うん!...さて、そろそろ帰ろうか。このままだと身体が冷えちゃうからね!」
大丈夫だと言ったリンは、いつものように笑っていた。いや、そう見えるように笑ったと言った方がいいだろうか。この子は今、高校2年生。まだまだ脆い部分がある女の子だ。周りに心配をさせまいと気丈に振舞っているのだろう。それがなんだかとても悲しく思えた。
「...リン。帰りにアイスを買って帰ろうか」
「え、ほんと?やった!ありがとう!」
身内の死というものは、月日が経っても癒えることのない傷となる。だから今だけは、この子の心が穏やかでいられるように。そう思いながら私は夜に願った。
【#3海の夜】
『夜の海』2023.08.15
ベランダの外に出ると、夜風が頬を撫でる。
目の前には暗い海が広がっており、空に登る月がほのかな灯りを落としている。空には星が瞬き、星座も確認することができる。
東京ではこうはいかない。周りに高いビルがない沖縄だからこその光景だ。
手すりにもたれてぼんやり海を眺める。
酒も入ってることもあり、波音が眠気を誘いこのまま眠ってしまいそうだ。
「落ちるよ」
声をかけられる。声の主は隣室の彼だった。
「それはどうも。……いい夜ですね」
「こんな夜は海辺を散歩してみたいねぇ」
同じ劇団のメンバーであり、高校時代の先輩でもある彼は同意してくれる。
「せっかくだし、みんなで散歩してみない?」
「冗談。男五人で行ったって色気なさすぎです」
美女が隣にいるなら別だけど、と付け足すと彼は、
「君がいるじゃん」
とからかってくる。あいにく、自分にそんな趣味は無い。女役は芝居の時だけでじゅうぶんだ。
そんな他愛もない話も、この綺麗な景色の前ではただのバカ話にしかならない。
しばらくの間、そんな海を二人で鑑賞した。
『夜の海』 ◦No.119◦
じゃぽん
どぷん
夜の太陽
ふと浮かび
星一つ見えぬ
漆黒の闇
空と波との線 まざる
ひかり 底まで 暗いまま
青く黒く 泣いている
じゃぽん
どぷん
藍色に
悲しみ染みる
ただ 揺らめく
寂しい孤独に
泣き叫ぶ
沈んだ 小さな貝殻は
底無しの海
もう 見えない
海の夜
夜空に光る数多の星の煌めきを反射して
自らも波の力で煌めいて
誰の目にも留まることなく優雅に
そして時に大きくうねり
ひたむきに朝を待ち続ける海の夜
お題:夜の海
なぜ、夜なのか?
なぜ、海なのか?
昼の海は好きじゃない。
自己肯定感が高く、人に迷惑をかけることを何とも思ってないような奴らが集まる気がしてならないのだ。
必要以上の笑い声、自分の人生には無縁な色つきサングラス。これら2つがチケットになり、ようやく訪れることができるのだ。
無論、持っている筈がない。
夜の海はどうだろうか?
独り感傷に浸りたくて、波を眺めている人をイラストでもドラマでもたくさん見てきた。
キャラの心情からすれば海と何か関わりがあるからこそ、自然と足が海に向くのだ。
自分はというと、「独り感傷に浸る為だから」とある種の自分を守る盾を用意し、キャラの真似事をしたくて夜の海にいく。
キャラの真似事をしたいと正直に思うのが恥ずかしい自分と自然とそこに足が向かないことに情けなさを感じる自分がいる。用意した盾はこの"自分達"から守る為である。
夜の海には予想していたよりも人が独りでいる。
みんな自分から自分を守っているのだろうか。
暁の海で、一人の女が寝そべっていた。
深海魚のような、白い瞳をしていた。
長いまつ毛が、その白い目を、優しく太陽の光から、包み守っていた。
白魚のような、透明な肌が、汗ばんでいるのがわかった。
それに、私はシーツを一枚かけてやった。
そうすると女は
「ありがとう」
と、消え入るような声で言う。
海の底から上がってきた泡のような声である。
紛うことなき、人魚のようである。
「海に戻るの?」
「戻りはしません。ずっと、この浜辺に横たわっています」
ただ、それが、永遠に続く儚くないものと知って、私は嬉しくなった。
このまま、女を眺めやって、永遠に見ているのもいいか、と思った。
そうすると、女は、口をすぼめて、こう囁くのだ。
「泡沫に消えるのは、もう飽きました。あなたが人間になった、私を見た時、本当に幸いだと思ったのです」