『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『夜の海』
お盆の前の夜には
海で亡くなった人たちが
我が家に帰って来るという
だからお盆の時期は
海に入ってはいけないと
けれど
私は毎年 お盆の前になると
無性にあの海に行きたくなる
あなたを迎えに
あなたに会いに
そして
最後は あなたと共に
けれど
あなたは いつも
悲しげに 寂しげに
静かに笑いながら
「キミは駄目だよ」
そう言って
繋いでいた手を
そっと離す
「また 来年」
言い残し 海に戻る
私は
静かに 灯籠に灯りを灯し
そっと海に流し
その背中を見送る
また 今年も
独り取り残された
寂しさと共に
夜の海。
行ってみたいなぁ。
もちろん。
1人でね。
僕は夢を叶えた。海上自衛隊に入隊して、船乗りになった。幼い頃から船が好きで、水平線に隠れそうな船があれば、小さな僕を乗せて遊んでいた。あれは米国のタンカーだろうか
教育隊での僕の成績は中の下。文化部の僕が赤点回避したのは奇跡。色をつけてくれた体育班長ありがとう。勉強を教えてくれた仲間ありがとう。多忙な日々を走り抜けたあの頃の僕ありがとう。それから、職種は電測員に決まった。レーダーや海図を扱う仕事だ。遥か登って甲板に出ると広がる青い海には日の丸のついた護衛艦が一隻。追いついてきた。
#夜の海
わたしの家から海に行くまではだいたい車1時間かかる。だから、海なんてここ3年くらい1回も見ていない。でも、目を瞑るといつの記憶か分からないけれど、どこか懐かしいような海がはっきりと想像できる。しんとした自分の部屋の中で意識を海の方まで持っていく。床に座ってそっと目を瞑り、夜の海を想像してみる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
辺りには誰もいない。月明かりに照らされて、波がきらきらと反射している。ザッザッ。幾度も打ち寄せる波が潮の匂いを運んでくる。
私は波打ち際の砂を、裸足になってゆっくりとなぞる。そっと両手でざらざらした砂を掬って、ぱらぱらと波に投げてみる。
少し疲れたから、砂浜に座って、灯台のぼんやりとした光に照らされた暗くて深い藍色の海を何にも考えずに眺める。
海に入ってみたいな、ふと私は急に思う。私はお尻についた砂をはらってゆっくりと腰を上げて冷たい砂の上を歩く。あっ。波に少し足が入った。波は思ったよりも軽くて優しい重さだった。足首に届くか届かないかくらいまで、何度も何度も打ち寄せてくる波がなんだか愛おしくて、私は少しずつ移動しながら波を楽しむ。気づけば、波は私の膝あたりまで来ていた。
ザッパーン。急に大きな波が私を襲った。波は頭のてっぺんまで私を覆いつくし、私を勢いよくさらった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
また、辺りには静けさが訪れた。夜の海は月明かりに照らされていつまでもいつまでも綺麗だった。
夜の海と聞けば、ロマンチックな響きだが行った経験がない。身体を突き抜ける冷たい風、暗闇に灯る船の照明、静まり返った浜辺に響く波の音。イメージするところはこんなところだ。夜の海にひとり佇む機会があれば、そこで何を感じ、何を思うだろうか。そして、何を求めてそこに居るだろうか。
想像の世界の中で夜の海を見つめる。
友達に「もうやめなよー」とか「帰ろうよー」
って言われてるけど、聞こえないふり。
やさぐれているんだ。私は。
今日のデートすっぽかされた。
これで3回目。
夕方にかかってきた電話で「寝てた」って。
そんな訳あるかい!
朝から駅で待ってたのに。
遅刻常習犯だった彼氏。いや、元彼氏。
だから、のんびり街ぶらしたりカフェでお茶したり、案外1人時間満喫しちゃうのに慣れちゃったけどさ。
でも、待ってたんだよ!
おーまーえーをー!!って心の叫びが届いたのか、帰ろうと思った駅のホーム。
止まった電車の扉の向こうに元彼氏と、その横にぶっさいく(に、見えただけかもしれない)な、女!
電車のドアが開いた瞬間に、元彼氏の股間に蹴りを一発。
うずくまる元彼氏と、私を睨んで叫ぶブサ女。
もちろん、その電車には乗らずに、別の電車で海に来た。
たまたま海に遊びに来ていたらしい友達と偶然会った。
友達は帰るところだったらしい。
私は今からあの薄汚れた元バカ彼氏に触れてしまった足を海の水で清めてもらうんだい。
私とさして仲良しなわけじゃないのに付き合ってくれる友達はきっといい奴。
私の心がやさぐれてるだけ。
学校始まったら是非、仲良くしていただきたい。
海で遊んで疲れたはずの友達は暗くなっても私を見張ってくれた。
日が落ちて、真っ暗な海が怖くなって友達のところに行ったら、
「遅いしー」
って、ぬるくなったコーラをくれた。
ぬるくて甘くて、ちっとも美味しくないのに最高なコーラだ。
きっと、夜の海ならではの味だな。
真っ暗闇の中
ザザ…、ザザ…と波打つ音だけが辺りに響く。
空は曇っていて星すら見えない
水平線は暗い空と融け合うように闇になって
手の平すらぼんやりとしか見えない暗さの中で
足元を照らすスマホのライトだけが
私達の存在を証明しているかのようだった。
別に落ち込んでたりしてるわけじゃないですけど、
夜の海に君と僕が遊んでるっていう事実、背徳的で楽しくないですか?
たまにはこういうのもきっとありですよ。
砂浜を歩く
月明かりに照らされて浮かぶ
貴方の横顔
海の色に染まる貴方の瞳
吸い込まれそうなその蒼瞳に
私が映ってると良いな
ちょっとしたお願い
足跡は波にさらわれてすぐに消えるのに
私の気持ちはなかなか消えてくれない
貴方の笑顔
貴方の困った顔
貴方の涙
貴方の怒った顔
その度に気持ちが上書きされていく
波のように何度も何度も私の心に打ちつける
ねえ・・・?
繋いだ手に私は期待していいの・・?
勘違いしちゃうよ
勘違いじゃないといいな
綺麗な海
彼に告白された場所
裏切らないって、言ったのになぁ…
自然と涙が
忘れるためにここに来たのに
悲しんでどうするのよ
忘れるんだ今度こそ
あの時もちょうど夏の夜だった
海に反射する月
空を見上げた
小さく呟いたのだ [さよなら]と
あの人が見てるとも知らずに
知ってるかな?夜の海は寒いんだ、でもねそんな海に俺は、進んでる何でだろう?あぁ、そっか消えたいんだ、、、でもその理由が分からない、、、
暗い。波の音だけが聞こえてくる
夜の海は優しい
このまま飛び込んで、泡になれたら
どれほど幸せだろう
何も考えなくていい。傷つかなくていい
このまま夜の海に消えてしまいたい
足をつけることは怖かった。なんせ、真っ暗だ。
空も海も境が曖昧になって溶け出している。よくもまあ、星は輪郭を保てるものだ。
夜の主役は視線をずらさず微笑む
やけに響く波のおと
いずれ暑さの主犯がやってくる それが待ち遠しい
まだ遊び足りない はやく明けて!
夜の海は、静かで、入る前から深海にでもいるかのよう。
それでも、オレは海へ足を進めた。
海水が胸まできたところで、おまえのことを思い出してしまい、泣いた。小さなガキみたいに泣いた。誰も聴いてないから、泣ける。
ほんの少し海を増やしながら、オレは進む。
とぷんと、全身が水の中に入って。ふと、見上げた先には、月の光があった。
月のように優しいおまえを傷付けるのは、これが最初で最後だから。
夜の海。引き寄せられて、吸い取られて、出られなくて護ってくれそう。邪悪な心を持っていっておくれ
夜の海
眠れなくて、散歩をすることにした。行き先は海。
夜の海は真っ黒で、少し不気味で、昼間に見る楽しそうな海とはどこか違っていた。
周りには誰もいないから、足音と波の音しかなかった。
ふっと雲間から大きな満月が姿を見せた。暗かった海に一筋の光の線が浮かんだ。
それがあまりにも幻想的な景色だったものだから、家に帰ることにした。
明日は夜の海の絵を描こう。そのためにも早く寝ようと思ったから。
俺の最近の楽しみは、
ざあっ
海の音がする。
夜の海を あなたと
走った
涙が こぼれそうになる
あなたの姿が ぼやける
愛しているわ
どこまでも ついていく
夜の海とあなたの前で誓う
青い海。
最初の海が
修学旅行の沖縄、
その後は
ハワイだったから
本当に贅沢な身体。
日本の青い海だと
視線が痛すぎるから
どこかで
こそっと入りたいなぁ。
4「夜の海」
俺には習慣がある。夜の海で人魚の女の子と会うことだ。
出会いは窓から見える影を見に行き、人魚の女の子がザバッ、と海から上がって来た時だった。
人魚がいることには疑問を抱かなかった。この村には第第伝えられている物語があるから。
人魚と式を上げたものは幸せになる。そんな言い伝えだ。
どうしてもあの子が欲しい。そう思ってからは早かった。
あの子は、人は怖いと思い込みがあったらしく、俺が優しく接してあげることでギャップ萌えらしき状態になっていた。
好きだと詰め寄り、親密な関係になった。そしてプロポーズのときが来た。
「君と一緒になりたいんだ。君が良ければ、式をあげさせてください。」
彼女は驚いたようだが、照れながら、喜んで、と返してくれた。
式の日になった。彼女が水槽で運び込まれる。
そこには、村の一族と人数分の空の食器があった。
彼女は結婚式を思い描いていただろう。だが、ちがう。
今日行われるのは、「人魚の解体ショー」だ。
彼女が声にならない悲鳴を上げながら連れ去られる。
皆の注目が彼女に集まる。
ダン!
この村に伝わる昔話は、人魚を解体して食べる、「式」を上げると寿命が伸び、「幸せになる」というものだ。
今日という日を、村のものは楽しみに待っていた。顔が嬉しさで歪む。
男が、恋人だったはずの人魚の肉を口に運ぶ。
「やっぱ、苦労したかいあって美味いなあ、、、やっと君と一緒になれるよ」