『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夏といえば青という価値観が定まったのはいつだろうか。
冬よりも空の色が濃い。
花と散った彼女に向けた恋。
夏という季節で叶わなかったこの恋は何よりも青臭いものであった。
まだ未熟で青い僕達は青い季節に青い思い出を創る。
だから夏は青色なのだ。
「夏」
枝豆、すいかにとうもろこし。
桃に冷奴に、かき氷。
夏ポテトにだって会えちゃう美味しい季節。
蒸し暑さの中でも貴方と一緒なら、そこはどんな所よりも心地良い場所だったのに
■夏
生ぬるい空気がまとわりつく
冷たい空気は有償で
暗い世界にそれはなく
パンっと弾ける光
散らす気 感嘆の声
夏
金盥に氷と水を張り、両足同時に突っ込むと
熱が一気に溶けていく。
「そんなに張り切らなくてもよくなぁい?…お疲れ様~」
太陽に缶ビールを掲げて乾杯。
#夏
泣いて生まれた分
笑って終われる
ように努力しよ
自分の努力次第
音が聞こえる
セミの鳴き声
草葉のざわめき
気化する打ち水
軽やかな風鈴
喚く室外機
賑やかな歓声
滴る汗
封切られたボトル
音が聞こえる
生命賛歌の音
命限りに叫ぶ音
あるいはこの季節を
超えられぬ音がする
‹夏›
家の扉を開けたら冒険の始まりで
魔王になって倒されたかと思ったら
王城で勇者の誉れを受けた
小さな隙間には四つ足の猫になって
伝説を確かめに空駆ける龍になる
穴に落ちたら学校の帰り道
一人の筈がナニカに追われ
車の下に隠れ逃げたら
オープンカーで海風を受けた
てんでバラバラめちゃくちゃで
怖くてびっくりすることもたくさんで
目を開けたら全部砂絵のスクリーン
脳味噌は現世をなんだと思ってるんだか
‹ここではないどこか›
サッカーをして服で汗を吹くきみの仕草
そんな姿も好きだから
ぼーっとしてるふりをしてずっとみてる
きみは気づいてるのかな
何を思ってるのかわからない
そのあと話しかけに行く
近めの距離で
そしてきみの匂いがわかる
きみの匂いはだれよりも好き
夏の汗の匂いも冬の柔軟剤の匂いも
今年も夏がきたんだろうな
ニヤニヤはならはりなひやなやらならはりなひやなやり
『夏』
嫌なほど蒸し暑い日の照りが、俺を蝕んでいく。
寒い冬が。暗い夜が。俺にはお似合いだ。
永遠と光に照らされ、生きていく自信が
俺にはない。
創作)23話 夏
--6月11日--
八木千尋:……、大丈夫ですか…?
天杉琉初:大丈夫じゃ無ぁい…
千尋:手掴まって下さい、保健室行きましょ
保健室の先生:いらっしゃい
千尋:頭痛、目眩、吐き気等あると思います
先生:あら、そうなの?その割にはいつもより元気そうね
琉初:エヘヘー、千尋くんが私のこと触ってくれたぁー
千尋:でも、熱ありますよ、おでこ触ったらとても熱くて…
先生:えー、そうなの?低気圧かしら、梅雨入りしたし
千尋:琉初さんと去年から関わりがあったんですけど、去年は低気圧で頭痛とか無かったですよ
先生:あらー、そうなのー?
千尋:多分ストレスかと…人間関係で随分悩まれていました
先生:そうなのね、…時間があれば話し相手になってあげて
千尋:え…?…分かりました…
--6月12日--
安達優生:昨日大丈夫だったー?琉初のこと
千尋:はい、大丈夫でした、具合はどうなんでしょうか
優生:大丈夫そうだよ、でも一応今日休むらしいよ
千尋:あ、そうなんですね、ありがとうございます
優生:夏だね、初夏がもう来ちゃった
千尋:そうですね、雨の音で全然声が聞こえないです
優生:うん、そうだね…、…オマエノコトナンテスキナワケナイ
千尋:…?なんか言いました?
優生:ううん、なんも言ってないけど…?
千尋:あ、ごめんなさい…
優生:いや、全然良いよ…
暑い。
今日はその一言に尽きる。
店内は涼しいけど一歩外に出たら灼熱の暑さ。
本当、なんでこんなに暑いの。
「氷華(ひょうか)、お疲れ様。麦茶いれたから飲む?」
「飲む...」
私は店先に打ち水を撒いていた手を止め、バケツとホースを片付けた。
「ありがとう氷華...ごめんね、暑いのに」
「大丈夫...高校の時の部活に比べたら全然だよ...」
「そ、そっか...」
私は手をパタパタとさせ、麦茶の入った硝子コップを手に取る。
ぐびっ、と一気に煽った。
ごくんっ、と喉を伝う冷たさが気持ちいい。
「...っぷはぁ~!美味しい!!」
「あ、あとこれも」
そう言ってお姉ちゃんは私の手に飴を握らせる。
「塩分補給も忘れずにね」
そう笑ってお姉ちゃんは裏へと回っていった。
私はその飴を口に放り、店内の作業へと取りかかった。
お題 「夏」
出演 氷華 言葉
夏
「あ゛づ い゛〜」
そう言いながら、図書館に涼しみに行く。
放課後のこの時間は人がいない為、涼しむ為の最高のスポットだ。
今日もいつも通りに涼しみに行くと…先客が居た。
(あっ…人居たのに気が付かなかった…。)
先客は…中性的だ。
その中性的なその子は
透き通るような白い肌
綺麗な黒髪ストレート
顔は半分マスクで隠れて見えない。
俺はそんな人に心を奪われた。
その人は俺の声に気が付くと、本から顔を上げてこちらを見た。
俺を見る瞳はルビーの様な輝きをしていた。
『えっと…クーラー強めましょうか…?』
そう言ってリモコンに手を伸ばそうとしていた。
「あ!いや!大丈夫だよ!」
そう言ってその子を制す。
『あっ…そうですか。もし下げて欲しかったら、下げますよ。』
柔らかい表情でそう答えた。
俺はなんとなく気まずくなり、適当に本を取り少し離れた場所に座る。
俺は本を読んでいる振りをして、その子を眺める。
(嗚呼…やっぱり“好き”だなぁ…。
これが世に言う“一目惚れ”ってやつかもなぁ…)
また明日も居るのかな……
俺はほんの少し、夏の暑さに感謝した。
『夏』
青春の季節と言われるそれが私は嫌いだ。暑いし、暑いし、暑い。暑いということがどれだけ人の体を蝕むのかこの季節になるととてもよくわかる。でもそんな夏にこそ好きな場所がある。いつの間にか昼食を終えた私は、走り始めていた。汗なんて感じなかった。少しきしんだドアを私は開けた。
「失礼します!!!!!!」
[今日も来たんだね〜。毎日来るから顔覚えた。]
今日もいた。部屋にはたくさんの本棚が並んでいる。カウンターにいるあの人はにっこり笑った。あぁ、ここに来てよかった。その笑顔だけでも反則なのに、顔を覚えてもらえるなんて。やばい。私の心臓は大きく動いた。
それと同時に体温も上昇した。夏の暑い気温のせいだろう。多分。
夏
私はこの暑い時期が苦手だ
でもこの試合が行われる場所は好きだ
暑いから苦手
ポンコツな体はすぐに体調崩してしまうから
夏
この季節は苦手
いっそこの灼熱の中
解けてしまおうか
唯一好きなものは
海
ただ眺めるのだ
キラキラ輝く
青い海を
「夏」
夜空に咲いたきらきら花火
甘くて美味しいしゅわしゅわラムネ
カリカリ甘いりんご飴
夏を伝える蝉の声
水しぶき舞うプール
綺麗な音色の風鈴
しゃくしゃくみずみずしいスイカ
すぐに溶けていくひんやりアイス
急ぎすぎると頭痛がしてくるかき氷
空に浮かんだソフトクリームの入道雲
どれもあなたにに合いそうで、想像しただけで頬が緩む
こんな暑い日には貴方とを思いだしたくなる
時間が無限に広がっているよう
耳に残る音
空の広さ
プールの心地よさ
時間と空間の進まなさ
夏の前ではすべてのものが
悠々と輝いて見える
動き回っても
しばらく寝ていても
夏という季節は
すべてをおおらかに包み込む
遊ぶことというよりは
夏そのものに楽しみを感じていた
季節は同じ夏なのに
その頃とは違う現在
歳を重ねるに連れ
最も自分を外から見てしまう季節になった、夏
心は躍るが
身体の外に飛び出せないでいる鬱屈
夏の真ん中で
僕はひとり取り残されているようで
心は
藻掻き、足掻いて
そうしてるうちに終わっている季節
一年は
夏を境に
世界の見え方がガラリと変わる
受験を経験したからだろうか
夏以降はなんだか追い詰められていくような感覚が今でも抜けない
秋よりも
下手をすると
冬よりも
哀愁漂う季節となった
夏が終わるだけで
ややもすると
全てのものが無に帰していくような
そんな大黒柱のような時間
偉大な夏。
『夏』
ある年の7月に世界が終わるという噂が広まったことがある。その当時小学生だった私は成人する前に世界が終わるかもしれないということを同級生たちとよく話題にしていた。どこに逃げればいいか、どこに隠れればいいかをカウントダウンの差し迫る中でみなと考え、そういった話し合いのできないひとりきりの布団の中では涙ぐむことさえあった。
そしていよいよ迎えた世界の終わりの年の7月1日。緊張感の漂う毎日は一日また一日と日を重ね、結局何も起こらないまま7月31日を終えるという形で幕を閉じた。何も起こらず肩透かしを食らった私は無事に成人して年を食っておじさんになっていったけれど、いまだに7月になると何かが起こってしまうのではないかと少しだけ胸にざわめきを覚える。
図らずも今年の7月は同窓会がある。懐かしい噂話は話題に上がるだろうか。それとも、みなそんなことはとうに忘れてそれぞれの生活に没頭しているだろうか。いずれにしても楽しみなことである。