『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夏は嫌いじゃないと思ったとき、
その理由をなんとなく考えてはいけない気がした。
「夏」
夏の匂いがした。
どんな匂い、と言われても夏の匂いは夏の匂い。
照りつける太陽にバテそうだけど、なぜかドキドキして浮き足立ってしまう、そんな匂い。
海に行きたい。アイスが食べたい。お祭りにも行って、花火も見たい。
そして隣に居るのは君がいい。暑さなんて吹っ飛んじゃうくらい爽やかで、でも太陽よりも明るい笑顔で、笑いかけていて欲しい。
そんな君の手を握って、結局熱くなってしまったとしても…。
→夏、来訪
つい今しがた、夏から電話がかかってきた。
電話の向こう、ハキハキ話すその声に、原色の青色に浮かぶ入道雲を思う。
大きな旅行鞄を手に入れたと嬉しそうに笑っている。
「これで長期滞在もお土産もバッチリ!」
しばらく他愛のない話をして、私たちは受話器を置いた。
あっ! しまった! お土産って熱気パウダーだった! 少しでいいよって伝えようと思ってたのに忘れてた!
熱気パウダーは太陽専用のお化粧品。地元の名産だからと夏は必ずお土産に持ってくる。太陽は大喜びして厚化粧になる。暑いのが苦手な私はバテバテ。夏来訪の風物詩。
窓から生ぬるい風が吹き込んできた。
「仕方がない。なんとか乗り切ろう」
今年も、暑くなる。
テーマ; 夏
“夏”
生ぬるい風に乗って、吹奏楽部の楽器の音とグラウンドを走る運動部の掛け声が聴こえてくる。完全に集中力を欠いた俺は指でシャーペンを回しながら、解答を悩んでいるふりをしてそっと向かいに座る男の顔を眺めることにした。
透き通る様な白い肌、スッと通った外人みたいに高い鼻、長いまつげに縁取られた切れ長の目、さらりと流れる少しだけ伸びた髪。見ているだけで涼しくなる様な見た目の彼はその実ありえないほどに沸点が低い激情家だが、今は課題に集中しているせいか静かにしている。
静かにしてればなあ、なんて彼をよく知る人間なら誰しもが一度は口にしてしまう言葉が頭の隅を過ぎった。
静かにしていれば、確かに彼はとても綺麗な男だった。クラスメイトの女子たちがグラウンドにいる彼を見ながらヒソヒソと話していたとおり、目の保養というやつなのだろう。激情家な一面ばかりを目撃してきたからか静かな彼は少し物足りなさもあったが、目の保養と思えばもう少しだけみていたいという欲も出てくる。なんだか急に喉が乾いてきて、ゴクリと喉を鳴らしたと同時に、彼が顔を上げた。
「さっきからジロジロと人を見やがって、なんのつもりだよ」
目一杯に怒ってますという顔をして睨みあげてくる彼はもう完全に激情家の顔になっていて、良くわからないけれど酷くホッとした。
「なんでもないよ、良くこの暑い中集中が続くなって見てただけさ」
「お前の集中力がないだけだろ」
フンッとバカにした様に鼻を鳴らした彼はそのまま机に置きっぱなしにしていたペットボトルを手に取った。ペットボトルについた水滴が彼の白い腕を伝って落ちていく。流れる水滴を目で追っていた時にチラッと見えたYシャツの下の二の腕の白さがやけに目について、また喉がゴクリと鳴った。その意味を考えたくなくて目を逸した先には夏の抜けるような青空が見えた。
夏だから、暑いから。ただ、喉が乾いただけだから。
ちょっと飲み物買ってくるわと教室を出る俺の背中に向かって俺のも頼むわと言う彼の声が聞こえた。
夏が来る!!ってか、もう来てる気がする。それぐらい、今年は夏前から暑い。
私は夏が嫌い!もっと言うと暑いのが苦手。虫も苦手。
そう!セミが苦手。あの色がとくに。
今日は猛暑だ。扇風機に身を寄せながらテレビをつける。今日は海に行っている人が多いらしいとニュースキャスターが言う。
そっか、やっぱり暑いもんね。皆、行きたくなるよね。海。
私は海にいい思い出が無いと言う訳では無いが海が嫌いだ。何処までも冷たく、広い海。青空を吸い、煌びやかに見せている。
何が言いたいのかと言うと、私はその広くて何処までも果てしない海が怖くてたまらないのだ。何処までも、果てしなくとは無限にという意味に聞こえてしまう。あの、深く、深く、けっして浅くない海が嫌だ。私を呑み込んでしまわないか不安になるのだ。
テレビは次に日焼け対策や熱中症予防についてやっている。
日焼け止め、あったかな。
私は立ち上がり、棚の上を見た。日焼け止めクリームがそこにあった。手を伸ばし、手に取った。蓋を外し、クリームを腕や足に塗りたくる。絶対に日焼けはしたくない。
私はこれから海に行こうと思う。怖いと言ってしまったが、私は毎年この時期になると海に出かけに行く。何処までも果てしなく続く海を克服するために。
「暑いー!!!気持ち悪いよっ……」
夏は嫌いだ。
日焼けするし、夏休みも休めないし、部活もできない、プールも泳げないから、尚更。
海も濡れたあとの気持ち悪さが堪らないから、苦手だ。
それでも、最近休日の朝だけ、毎日続けていることがある。
30分くらいかけて、いつもは行かない場所を歩くこと。
楽しいし、自然も多いし、知らなかったところが知れて嬉しい。
あと……
貴方に会いたいってのも、あるかもね?
柔らかなトーンで咲き誇る紫陽花が、雫に濡れている。
こんなにも雨が似合う花を、私は他に知らない。
この曇り空も、降り続く雨の音さえも、この花を引き立てる為のものに思えて仕方ない。
風に揺れる葵が、上へ上へと咲いていく。
霞んだ視界で、その鮮やかな色に目を奪われる。
打ち付ける雨の中でも、凛と佇む美しさ。
その花があとひとつ、ふたつ、咲く頃には。
じっとりとして空気すら重たく感じる梅雨にも私たちを愉しませて、後に続くうだるような暑さになる夏の、心構えをさせてくれているんじゃないかって、そんなことを考えている。
夏
吹き抜ける海風
照りつける太陽と
急に降ってくるスコール
それは確かに夏だった
異国の地での夏休みが
始まった
夏は君と海辺のデートに行きたいな!笑
可愛い水着着て君にかわいいねって言ってもらうんだから!!笑笑
あと夏祭りにも行きたいな!綿菓子を買って二人で半分越しながら花火も見たいな〜笑
夏はやりたいことが盛り沢山だな!!
【夏】
心身の辛さを人に打ち明けたら
梅雨は気分が落ち込みやすきからね、と言われた
悪気はないのだろうが、軽い返しにモヤモヤした
では、夏になれば気か晴れるというのか?
心身が晴れやかになるというのか?
わかってる、これはただの八つ当たりだ…
もう疲れた
思うように動かせない体
思うことも儘ならない頭
いつまで続くのか
夏がきて、秋がきて、一年がたっても変わらない
もう疲れた
夏旅は 高速道路の 後部座席
手を窄め 作るソフトクリーム 入道雲
夏といえば、素麺、氷菓、花火、川、海。
蚊取り線香に火をつけて、貴方と夏の計画を立てる。
さぁ、今年は貴方と何をしよう?
クマゼミが鳴いている。
「シネシネシネシネシネ」
虫にまでそんなこと言われるのか、私は。
ああ、動けない、暑くて。
寝返りをうつと、太ももに畳の跡がくっきりと。
「うるさいうるさいうるさいっ」
「シネシネシネシネシネシネシネ……」
(夏)
昔憧れたアニメの主人公と
諦めたはずの夢の残像が
いつまでも僕の瞳を焦がすから
自分が幸せだ、と感じれるまで
後どのくらい辛い目にあえばいいんだろ、
そんな暑苦しい事をいつまでも考えてた
どこに行ったって息苦しい
花火に海に眩しいものばかりで
蚊取り線香の煙たさと
頭を垂れたひまわりは
僕みたいだった
今年もそんな夏なのだろうか
だとしたら
耐えれる自信はもうないや、
夏は嫌いだ。暑いし、虫が飛び交って顔面によく当たるし、何かとイライラしたり、うるさかったり…
夏にいい思い出なんかない…
そんな僕だが、今年は…いつもの夏と少し違った。
蝉の声がうるさく鳴いている昼休み…
ひとりぼっちの僕に声をかけてくれた、部類の違う、僕にとって眩しくて、暑苦しいと思う同じクラスの1人の男の子。
「なあ、お前。」
クラスの人に声をかけられたのは、いつぶりだろう。
長い前髪のせいで顔はよく見えないけど、何となく、この人は光属性だと分かる。
「な、何?」
恐る恐る、答えると…その子は、僕と同じ目線でしゃがんでくる。人と関わることが苦手な僕は、突然の行動に動揺した。こんな風に目を合わせてくれる人は家族以外誰にもされたことがなかったから…
「なんで逃げんの?」
「あ、いや、その…め、を、合わせてくれた人…あまりいないから…」
「ふーん…ま、いいや…」
「そ、それで…僕に、何か?」
「……あのさ、夏休みって暇か?」
突然、何を言い出すのだろうかと身構えていたが、その男の子は、こちらをじっと見てくる。
基本的に、僕は家からでない人間だ。暇かと言われたら、即答できる。だが…相手が問題だ…
「暇ならさ…俺と、どっか、遊びに行かないか?」
「…………???」
なぜ?
僕、この人に何かしたのか?もしかしてあれか?新手のイジメってやつなのか!?
「い、命は、取らないでください…」
そう答えると、男の子は、笑い出した。
何か面白いことを言っただろうか。
「違う違う!!俺は、普通にお前と仲良くなりたいから誘ってんの。」
なぜ???
何でこの人が僕と仲良くなりたいんだ。理解不明なのだが…
「…な、なな何で、僕?」
そういうと、男の子は、僕の前髪をおげ、僕に自分の顔を見せた。
「何でたと思う?」
男の子は。そういって、耳を赤くした様子で眩しい笑顔を見せてきた。
その顔を見てしまったのがいけなかったかもしれない。僕は気づいたら、いいよと承諾してしまったのだ。
太陽の笑みというものは…厄介者…
どこかの誰かがそう口にしてるのを聞いたことがあるが、まさにその通りだと同意できる…
でも…初めて家族の旅行以外、誰かと居る夏は、初めてかもしれない…
今年は…どんな夏になるのか…ほんの少しだけ…
楽しみだと…思う…
夏
私は、夏がくると、夏風、空気から、夏休みの匂いを感じて、子供のころの夏休みを思い出し、嬉しくなることがあります。
近所の友だちと毎日、野山を駆けめぐって遊んでたこと、花火したこと、祖父母の家にお泊まりに行ったこと、海で、親戚たちと"チョロチョロ蟹"を必死でとったこと(^o^)盆踊りを恥ずかしがって踊れなかったこと(^_-)キャンプしたこと、絵日記が上手く書けて嬉しかったことなどなど、子供のころの夏休みは、思い出が沢山あります。
夏休みの匂いを感じて、嬉しくなるのは、そのような子供の頃の思い出が、私の心の糧になっているからだと思います。
夏
蝉時雨の中、目が覚める。
硬くて汚いけれど、玄関の方がよく寝れる。
友達には変って言われるけど。
でもまぁ、しょうがない
きっと……すぐに逃げられるからだと思うから。
精神的に不安定な兄。
叱れず怒鳴ることしかできない父。
世界の中心に生きる妹。
兄のようになるなと暗示をかける母。
それぞれ許容し合ってきてたみたい。
でも僕はそんなこと出来なくて。
家よりも学校の方がリラックス出来ていた。
そんなことはどうでもいい。
ひとりで自分語りしてる暇なんてない。
もうそろそろ家族が起きてくる。
時間に合わせて掃除をしよう。
きっと機嫌が良くなるだろうから。
なんだかんだ夏は小学生のときが一番楽しかったな。友だちに電話して、待ち合わせして、自転車こいで、プール行って、アイス食べて。……書いている内に羨ましくなってきたな。こっちだってスイカ一玉買っちゃうからな。
底冷えするクーラーの効いた部屋で、遠くに子供の声がする。
日差しは確かに硝子を通り抜けて届いているのに、まるで別世界かと錯覚するほどに影が冷えた。
耳鳴りがする静寂に時折、時間が止まったようだなんて愚かしい思考がよぎる。唸る機械音にすら助けられているのだから、結局は救われない。
一筋腕を伝う汗が、いっそう自分には違和感だ。
窓を閉め切っているから、空気が動くことなどないのに澱んだ気配が感じられないのは、木造の隙間が外界と通じているからだろうか。
身じろぎもせずに耳を澄ましていると遠くから蝉の鳴き声が響いてきた。
それはすぐに合唱となる。
床は冷えているのに日差しはあつく、その落差に眩暈を覚えた。