底冷えするクーラーの効いた部屋で、遠くに子供の声がする。
日差しは確かに硝子を通り抜けて届いているのに、まるで別世界かと錯覚するほどに影が冷えた。
耳鳴りがする静寂に時折、時間が止まったようだなんて愚かしい思考がよぎる。唸る機械音にすら助けられているのだから、結局は救われない。
一筋腕を伝う汗が、いっそう自分には違和感だ。
窓を閉め切っているから、空気が動くことなどないのに澱んだ気配が感じられないのは、木造の隙間が外界と通じているからだろうか。
身じろぎもせずに耳を澄ましていると遠くから蝉の鳴き声が響いてきた。
それはすぐに合唱となる。
床は冷えているのに日差しはあつく、その落差に眩暈を覚えた。
6/28/2024, 2:13:17 PM