言ノ葉のシオリ

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夏は嫌いだ。暑いし、虫が飛び交って顔面によく当たるし、何かとイライラしたり、うるさかったり…

夏にいい思い出なんかない…


そんな僕だが、今年は…いつもの夏と少し違った。

蝉の声がうるさく鳴いている昼休み…
ひとりぼっちの僕に声をかけてくれた、部類の違う、僕にとって眩しくて、暑苦しいと思う同じクラスの1人の男の子。

「なあ、お前。」

クラスの人に声をかけられたのは、いつぶりだろう。
長い前髪のせいで顔はよく見えないけど、何となく、この人は光属性だと分かる。

「な、何?」

恐る恐る、答えると…その子は、僕と同じ目線でしゃがんでくる。人と関わることが苦手な僕は、突然の行動に動揺した。こんな風に目を合わせてくれる人は家族以外誰にもされたことがなかったから…

「なんで逃げんの?」

「あ、いや、その…め、を、合わせてくれた人…あまりいないから…」

「ふーん…ま、いいや…」

「そ、それで…僕に、何か?」

「……あのさ、夏休みって暇か?」

突然、何を言い出すのだろうかと身構えていたが、その男の子は、こちらをじっと見てくる。

基本的に、僕は家からでない人間だ。暇かと言われたら、即答できる。だが…相手が問題だ…

「暇ならさ…俺と、どっか、遊びに行かないか?」

「…………???」

なぜ?

僕、この人に何かしたのか?もしかしてあれか?新手のイジメってやつなのか!?

「い、命は、取らないでください…」

そう答えると、男の子は、笑い出した。
何か面白いことを言っただろうか。

「違う違う!!俺は、普通にお前と仲良くなりたいから誘ってんの。」

なぜ???

何でこの人が僕と仲良くなりたいんだ。理解不明なのだが…

「…な、なな何で、僕?」

そういうと、男の子は、僕の前髪をおげ、僕に自分の顔を見せた。

「何でたと思う?」

男の子は。そういって、耳を赤くした様子で眩しい笑顔を見せてきた。

その顔を見てしまったのがいけなかったかもしれない。僕は気づいたら、いいよと承諾してしまったのだ。

太陽の笑みというものは…厄介者…

どこかの誰かがそう口にしてるのを聞いたことがあるが、まさにその通りだと同意できる…


でも…初めて家族の旅行以外、誰かと居る夏は、初めてかもしれない…





今年は…どんな夏になるのか…ほんの少しだけ…

楽しみだと…思う…

6/28/2024, 2:18:33 PM