柔らかなトーンで咲き誇る紫陽花が、雫に濡れている。
こんなにも雨が似合う花を、私は他に知らない。
この曇り空も、降り続く雨の音さえも、この花を引き立てる為のものに思えて仕方ない。
風に揺れる葵が、上へ上へと咲いていく。
霞んだ視界で、その鮮やかな色に目を奪われる。
打ち付ける雨の中でも、凛と佇む美しさ。
その花があとひとつ、ふたつ、咲く頃には。
じっとりとして空気すら重たく感じる梅雨にも私たちを愉しませて、後に続くうだるような暑さになる夏の、心構えをさせてくれているんじゃないかって、そんなことを考えている。
6/28/2024, 2:31:08 PM