『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
三秒前の空の色を、爪の色と喩えようか。
明日にも姿を変える空を、僕は明確な形に象って、思い出の中に付箋を貼って綴じるのだ。
あの初夏の空はラムネの色をしていた。
茹だるような暑さの中、ただ頭の中で涼しい思い出を反芻する。冷蔵庫から取り出したかのような水滴の光る瓶を脳裏に描いて、熱った手で自販機のボタンを押す。ピッと聞き慣れた電子音を鳴らし、自販機は目当ての飲み物を吐き出した。手を伸ばして容器を掴むと、ひんやりとした感覚が手のひらを伝い、身体を蝕む熱を急激に冷ましていく。鈍い痛みにも似たそれは、夏でしか味わうことの出来ない飲料の良さの一つだ。
残念なことがあるとすれば、この飲料がラムネではないことだろう。あいにく、今日は眩しいほどの晴天であった。
夏____
クーラーの効いた部屋。窓から差し込んだ光が私の瞳に映り込む。細い目で、カーテンを開けると、山の奥から飛びかかってきそうなくらい大きな雲が、真っ青で明るい青空に一つだけあった。手を伸ばせば届くんじゃないかってぐらい雲は私に近づいて来る。
スマホを見るともう10時だった。
中学校生活最後の夏休みはあと5日で幕を閉じる。
階段を降りると、リビングには誰もいなかった。食卓には一枚の「出掛けてきます。お昼はチンして食べてね」という母からの手紙がおいてあり、その隣には昨日のカレーが残っていた。この暑い日にカレーか、と思ったが、1日たったあとのカレーは上手いと皆が言うのだから、きっとこんな日でも美味しいのだろう。
誰もいないリビングにはクーラーの風の音と夏らしいセミの鳴き声が、家の中まで聞こえてきた。私はひんやりと冷えきった床に足をつけ、台所に向かった。
冷蔵庫を開けた瞬間の匂いと、冷たい空気が私に当たる。私は、1番に近くにあった冷たいサイダーを開けた。プシュと音を立て、ひと口いや、ふた口飲み干した。朝起き抜けの私の口はカラカラだ。それを一気に刺激のある炭酸がリフレッシュされ、程よい甘さが舌を和らげる。これを飲まないと1日が始まった気がしない。
私は冷凍庫を開けて、ガリガリくんを手に階段を駆け上った。出窓に座りサマーウォーズをつける。やっぱり夏は最高だ。
回る扇風機
手に持って
くるくるとまわる
学生の喋り声
少し背伸びしてメイク
バスの外をみながら思い出す
暑い夏 スイカ
おばあちゃんがよく用意してくれた
いかなごの佃煮も作ってくれた
一緒に歩いた坂道 懐かしいな
小さい頃の記憶はやたらと鮮明で
私はとても幸せな気分になる
あの味忘れられないな
低気圧、紫陽花、梅雨、花火、台風、夏休み
"夏"には沢山の楽しい事と沢山の気分が沈む事がある
子どもの頃、私は夏休みがあまり好きではなかった。
夏休みの課題は最初に殆ど終わらせるタイプだったし、夏の暑さが嫌いな訳でもなかった。
にも関わらず私が夏休みを好きではない理由は、ただ単純に終わるのが悲しいのと、冬になるのが嫌だったから。
それに私は夏休みの水泳教室がインフルエンザの検査と同じくらい嫌いだったのだ。
そんな水泳教室と諸々の呪縛から解き放たれた"夏"が
今はもう日常だけど、それがあるのは私が今まで苦手な事も頑張ってきたからある当たり前なのだと思う。
給料いらないからさ?夏の間だけ休ませておくれよお願いだよ汗かくの大嫌いなのよ
ー 夏 ー
逃げ出そう と彼女は言った。
僕はそれに黙って頷き 走り出した。
それは蒸し暑い 夏の事だった。
この出来事は ぱっと思いついただけの子供の遊びだったけど 僕らにとっては 決心のひとつで 選択のひとつで 逃げ出せないことの証明だった。
事の始まりはこの日の前日からだったと思う。
僕らは いつも通りに学校に行き いつも通りに学び いつも通りに帰ってくる。
その日は 帰りに少し寄り道をすることにした。
もちろん そんなに長い時間じゃない。
きっと 数十分 くらい。
1時間はたっていなかった。
お互いに 離れるのがなんだか寂しくて もう少しだけ と欲張っただけだった。
次の日の彼女を見て 僕はそんな欲など捨ててしまえばよかったと思う。
彼女の親は 近所では少し有名だった。
噂では 虐待をしているとか。
僕は 元気でよく笑う彼女と 虐待 という言葉が上手く結びつかず そんなものはただの虚言だろうと思っていた。
だけど その日の彼女は 顔を腫らし 足は鮮やかな痣で彩られていた。
その日 学校で彼女に話しかけるものはいなかった。
それでも 僕らは一緒に帰った。
無言の中、彼女が口を開く。
「別に 君のせいじゃないよ。ただ 少し虫の居所が悪かっただけ。慣れてるの。こんなの。だって。子供は 親の 玩具で 操り人形で サンドバックで 所有物だから。こんなの 別に平気だよ。だから 気にしないで。」
僕は 震える手で彼女の手を握った。
彼女は少し驚いた顔をした後 少しだけ 力を込めてくれた。
僕らは そのままお互いの家へと帰っていった。
彼女から連絡があったのはその数時間後。
【昨日の公園へ来て欲しい】
とだけ表示されたメッセージを見て 僕は公園へと走り出した。
すぐ飛び出したのにも関わらず 彼女は 僕よりも先に公園にいた。
「こんな時間に呼び出してごめんね。用事はないの。なんでもないの。でも あの家にいたくなくて。でも 誰かのそばに居たくて。ただそれだけなの。少しだけ 少しだけでいいから。わたしの相手をしてくれない?。」
僕らは他愛もない話をした。
彼女の痣を見ないように。
彼女の涙に気づかないように。
僕は細心の注意を払って。
そろそろ帰ろうか と彼女は言った。
僕は そうだね。 と答えた。
公演を出る時 小さな声で 逃げ出そう と彼女は言った。
その言葉を聞いた瞬間 僕は彼女の手を掴み 走り出した。
2人きりで走る夜の街は 寂しくて 暖かくて 今でもずっと 覚えている。
走って 走って 。
疲れた頃には 2人で笑いながら また走った。
笑って 笑って 走って。
僕らは警察に補導された。
僕らは それぞれの家に帰らされた。
次の日 彼女は学校へ来なかった。
次の日も 次の日も ずっと。
僕は 彼女の家の前を通る度に悲鳴が聞こえる気がした。
彼女の 鮮やかな痣と 一緒に。
朝 父の読む新聞をチラッ見たとき 大きく 少女の死亡 と書かれていた。
僕はそっと新聞を捨て 彼女の家の前を通るのをやめた。
夏。蒸し蒸しとしてとても暑く苦しい。
私は8月生まれの「夏海」だ。
私は夏が大っ嫌いだ。
家族にも友達にも驚かれるが、どうしようもなく嫌いなのだ。
私が夏を嫌いになったのは5年前の出来事だった。
「なっちゃーん 遊ぼー!」
「海行こ、海!」
「ほんと元気だねぇ…行こっかぁ…w」
私は冬華が大好きだ。
いつも明るくて、初対面なのにびっくりするぐらい話してくれて、本当に可愛かった。仔犬みたい。
元々、あまり人が好きではなかった私が初めて一緒にいたいと思った。
人が苦手で友達もいなかった私にとっては冬華といる日々は楽しすぎて幻だと思ったほどだ。
そんな冬華と夏休みに初めて海に行った。
泳いだり、
ビーチバレーしたり、
砂遊びしたり、
かき氷を食べたり、
とにかく一日中遊んだ、時が過ぎるのも忘れて。
あっという間に夕方になってしまった。
「明日暇?」
「暇だけど…どうしたの?」
「明日も遊ぼうよ!夏休み中毎日遊ぼ?だめ?」
すごいこと言うなぁ…体力持つかな…w
「体力お化けが…w いいよ、遊びに行こw」
「やったー!めっちゃ楽しい夏休みになる!」
「「またあしたね、」」
「「おはよ!」」 「「またね!」」
「「おはよー」」 「「また明日!」」
本当に夏休み中毎日遊んだ。
もう今日で最終日。
今日は橋の名所を見に行こうと言っていた。
(正直橋とかわかんないけど冬華が楽しそうだからいいやw)
「おはよう」「おっ、やっときたー!行くよ?」
ひたすら歩いた。
まさか徒歩だと思っていなかった私はクタクタになってしまった。
「ま、、まだ?もう限界…」
「後ちょっとだよー!頑張れ!」
本当に絶景だった。
少しでも顔を出せば真下にとても澄んだ海があった。吸い込まれそうだ。少し怖くなった。
「なんで、、、ここに…?」
「うーんたまたま?見つけた時ビビッと来たんだよね、ここがいいって」
よく分からなかった。ただ疲れていて頭も働いていなかったんだと思う。
「夏海、、学校好き?」
えっ……?冬華の声…変わった…?
「あんまり、かな、」
「夏海、私の事好き?」
また声色が変わった。余計低くなった。いつもの冬華じゃない。
「もちろん、大好きだよ。」
「そっかぁ…」
自分で聞いておきながらあまり反応がなかった。
「冬華?なんか変だよ?」
「……」
冬華は泣いた。声もあげずに。ひたすら泣いていた。
私は驚いた。なんで。なんで。冬華?
唐突に強い風が吹いた。
そして、冬華はそのまま消えた。
どうなったのかは結局分からなかった。
あとから冬華が虐められていた事を知った。
きっとあれは最後のSOSだったんだと思う。
今どこにいるのか私には想像もできない。
生きていると信じることしか出来ない。
私は夏が嫌いだ。夏海が大っ嫌いだ
冬華に会いたい…
「夏だよ。夏。inkと私が運命の出会いした季節だよ」
「大分クレイジーな運命だなぁ」
彼女はため息をつきながら言う。
「あれからかれこれ4年経ったね」
「僕の友達史上最長で友達やってるよね君」
「あれ?あの子は?ほら、小さい眼鏡のショートのロリ。あの子少2からの友達で私より友達歴長いんじゃない?」
この質問はしない方が良かった。
「あー、アレかぁ。彼氏と別れたのを僕のせいにしたり、僕のありもしない悪い噂を流したりしてきたからさ、絶交したよ。」
「…あんな可愛い顔して、性格醜女極めてるな」
そんな会話をしてきました。
夏は運命の出会いをした季節だったなぁてお話!
祭りの後みたいな
夏の夕暮れ
泣いた赤鬼の涙みたいな
夕日が切なくて
どうしてあの時
もっと素直になれなかったんだろう
もう忘れてた気持ちが蘇る
カラスたちが帰ってく
わたしも帰らなきゃ
どこに?
本当は帰るところなんてないんじゃないかな
そんなセンチメンタルを
楽しめるほどまだ大人じゃなかった
まるでイルミネーションにように町並みを明るく照らしてくれる蛍、夏の暑苦しさを忘れさせてくれる唯一の存在だ。
『夏のこと』
夏は寂しい気がする。
こんなにも蒸し暑くて日差しは輝き、青春を謳歌する学生も多い。
なのになぜだか、どこか寂しく感じる。
夏を題材にした作品は、現実の夏ほど蒸し暑くなさそうに見えるからだろうか。
ほどよく風が吹き、風鈴が鳴る。
扇風機の前で宇宙人をして、縁側でスイカを食べる。食卓に並ぶ色鮮やかで綺麗なそうめん。
そして夏も、別れの季節。
それはお盆があるからだろうか。
今もお盆の迎え火と送り火をしっかりやっている人たちは居るのだろうか。
なんてことを考えたりする。
七夕で、織姫様と彦星様は今年は会えるのかしら、なんてことも。
がやがやとしたお祭りも花火大会も、
夏ならではだな。
夏は不思議だ。そして、きっと他人事だ。
お題:《夏》
1ヶ月なんてあっという間だと君は言う
僕はそれが寂しくて笑って誤魔化す
君と並んで見上げる花火は
どれほど綺麗で切ないんだろうと
想像している今がきっと一番幸せだ
こんなにくだらない、ぬるい生活の中でも
少しずつ周囲の人は変わっていって
いつの間にか夏至は終わっていて
茹だるような夏が来て
その後の形なんて
今は考えたくはないな
まだ考えたくはないな
君に会うまでに二重になりたいだとか
ちょっとは痩せておきたいだとか
身に余る熱で日々を浪費している
今がきっと一番幸せだ
猫があくびをする
扇風機の回る音が部屋に響く
ラムネの水滴が落ちる
防波堤を裸足で歩きながら
夏風を感じる
『夏』
【⠀夏 】
もう夏ですね、
私は夏が好きです、
木の下の木陰でよく休むのです、
本を読んだり、ピクニックなんてどうでしょう?
どれも素敵でしょ?
だけど私にも嫌いな事ってあるんですよ、
夏ってこんなに爽やかのように見えて実は真っ黒なんです!!
ライバルの女の子と戦ったり
部活での争いごと
クラスでの争い
親との言い争い
友とのすれ違い
自分の居場所探し
どう?
真っ黒でしょ?
だけど私はこの夏が好きなんです、なんででしょう、
今年も夏は暑いですね、皆さんも、熱中症に気おつけてくださいね?
悩みがあったらあったでこの夏も乗り越えますかぁ!!
~夏~
待ち望んでいたのに
いざ来ると堪らない
終わって欲しいのに
去るのは名残惜しい
アイスクリームじゃなくて
かき氷が旨い
それが夏
乗り遅れ
~ここではないどこか~
自分の想いを書き留めて
今ではない いつかの
ここではない どこかの
自分ではない 誰かの
心を打つ
そんな物を残せたら
嬉しい
乗り遅れ
~君と最後に会った日~
君と会った日が
人生の最後の日になるなら
今までのどんな一生も
良かったと思える
そんな君と逢える日を
待っている
吸血鬼の肩身が狭くなる季節。
いつだったか日曜日のヒロインが、「太陽は人を傷つけるものではない」と断言していたが、今やそれも全く響いてこない。親の仇とでも思わなければこうはならないだろうと疑いたくなるような、無慈悲な火の玉が迫ってくる。ただ生きているだけでも命の危険が引き起こされる、最も攻撃的な試練の季節。
【夏】
玄関のドアを開けると熱気を感じ、すぐに部屋に戻りたくなった。
家から駅まで歩いている間に溶けてしまわないだろうか。数歩歩いただけで背中を汗が伝っていった。
スーツのジャケットを手に持って歩いている会社員。こんな暑い中、ジャケットなんていらないんじゃないか。スーツを正しく着て当たり前、なんて上司に言われたりしてるのだろうか。
駅までの間に小さな公園があった。公園の木々から聞こえるセミの声が夏の始まりを告げた。
/夏
夏はしずく
垂れ落ちそうなしずく
さかさまの青空と木々
闇にちる火花
小さな小さな中にぜんぶ映す
誰ひとり気づかぬままに
落ちる寸前の
世界のしずく
今年の夏は 学生最後の夏
来年からはきっと社会人
だから思いっきしはしゃごうとは思う
出来れば 自分の恋に素直になりたいんだけど
そんな勇気を誰か分け与えてくれませんか
でもやっぱそんなことより
夏といったらフェスだよ
ハチャメチャはしゃぎたい。
_ ₈₂
四季があるなら
3ヶ月で季節は変わる
あと3ヶ月後は秋だ
なんて
プログラムみたいに簡単に変わればいいのに
季節も暑さも湿度も
思うように変えられない
だから
変えられるものを変えていこう
たとえば私の機嫌ひとつ
明日の夜はお高い素麺でも食べながら