夏____
クーラーの効いた部屋。窓から差し込んだ光が私の瞳に映り込む。細い目で、カーテンを開けると、山の奥から飛びかかってきそうなくらい大きな雲が、真っ青で明るい青空に一つだけあった。手を伸ばせば届くんじゃないかってぐらい雲は私に近づいて来る。
スマホを見るともう10時だった。
中学校生活最後の夏休みはあと5日で幕を閉じる。
階段を降りると、リビングには誰もいなかった。食卓には一枚の「出掛けてきます。お昼はチンして食べてね」という母からの手紙がおいてあり、その隣には昨日のカレーが残っていた。この暑い日にカレーか、と思ったが、1日たったあとのカレーは上手いと皆が言うのだから、きっとこんな日でも美味しいのだろう。
誰もいないリビングにはクーラーの風の音と夏らしいセミの鳴き声が、家の中まで聞こえてきた。私はひんやりと冷えきった床に足をつけ、台所に向かった。
冷蔵庫を開けた瞬間の匂いと、冷たい空気が私に当たる。私は、1番に近くにあった冷たいサイダーを開けた。プシュと音を立て、ひと口いや、ふた口飲み干した。朝起き抜けの私の口はカラカラだ。それを一気に刺激のある炭酸がリフレッシュされ、程よい甘さが舌を和らげる。これを飲まないと1日が始まった気がしない。
私は冷凍庫を開けて、ガリガリくんを手に階段を駆け上った。出窓に座りサマーウォーズをつける。やっぱり夏は最高だ。
6/28/2023, 2:36:43 PM