『声が聞こえる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
なんで降ったんだろ
ほんの気の迷いだったのか
それともちゃんと決断したのか
その時の思いや考えは忘れてしまった
向こうは納得行かなそうな顔だったのに、納得してくれた
私はそれに甘えた
離れる理由は私の成長でもあった
あと、私が申し訳ない気持ちに押しつぶされた
甘えてしまう環境は私の心を救ってくれたが、その逆は無かった
デートだって毎回奢ってくれる
当たり前かもしれないが私のほしいものまで全部だ
そんなこと考えたり気にしなかったら今頃2人で笑顔でいれただろうか
私は切り替える
また出会い、今度は幸せになる
だから元彼にも幸せになって欲しい
私の泣く声
私の心臓が鳴り響く
思い出すトラウマと
何も出来ない無力さ
どうしようも出来ないこの気持ちをなんと呼ぼう
【声が聞こえる】
✂ーーーーーーーーーーーーーーー✂
皆さんは
もしも明日
世界が終わるとしたら何をしますか?
お母さんに会いますか?
友人と話しますか?
ゲームをしますか?
好きなものを好きなだけ食べますか?
私は好きな人と愛した人と最後を共にしたい
【無題】
声 が 聞 こ え る
おーーーーーい!
誰か 居るかーーーー?
誰も 居ないよーーーー!
聞こえるかーーーー?
聞こえないよーーーー!
・・・・そっか。
あの人どんな声だったっけ
どんなことを話していたっけ
いつからか人の言葉が分からなくなった
声を聞きたい、生きているその人の熱い声が聞きたい
生きたい、信念を持って心を燃やしたい
自分はどう生きたいか、それが人生だと思う
きっと今なら
声が聞こえる
川の中には神様が住んでいる。
私の故郷である小さな村では、そう言い伝えられていました。
黄昏時は川に近付いてはいけない。
神と人の境が交わる時間帯だから、もし、黄昏時に川に近付けば、悪戯好きの神様に川に引きずり込まれてしまう。
子供の躾に使う、与太話です。
全く馬鹿げている物ですが、私は幼い頃、これを信じきっていました。
何も、親から聞かされた話を鵜呑みにした訳ではありません。最初は、今のように馬鹿な話だ、と笑い飛ばしていたのです。
始まりは、友達と他愛もない“おふざけ”で、黄昏時に近所の川へ遊びに行ったことでした。
その友達も私と同様に、神だのなんだのと言った話は信じておらず、何度も何度も口煩く同じことを繰り返す大人への、ちっぽけな反抗心。
それだけのために、私達は黄昏時の川を訪れました。
特に、遊んでる間に変わったことは何もありませんでした。
なぁんだこんな物か、と拍子抜けしたほどです。
やはり大人な嘘つきで、私達子供を縛り付けたいだけなのだ、とそう感じました。
川遊びに飽きて帰路につきました。
家の前に辿り着いても、何も起きませんでした。
ただ、一つ。
別れ際友達が「川の声が聞こえる」と、ポツリと呟いたことだけが、やけに気になりました。
そしてその友達は四日後、私と遊んだあの川で、水死体となって発見されました。
その時の恐怖といったら。
一日中布団の中に蹲って、用を足しに行くことすらままならない状態でした。
本当に神様は居て、そして、言い付けを破った悪い子供を、川に引きずり込んでしまったんだ。そう思うと、例え便所だとしても水場に近付く気は起きませんでした。
それからの私は、神様という存在をすっかり信じきってしまったのです。
決して自分も殺されてしまわないように、必死に言い付けに従いました。
昼だとしても川には近付かず、黄昏時になれば、川が近くに無かろうとすぐに家に帰って、眠りにつくのです。
それが唯一生き残るための手段だと、当時の私はそう信じきっていたのです。
今は?いえ、もうそんな馬鹿げた妄想に取り憑かれてなどいません。
結局、友達のあの死はただの偶然なのです。
まだ年端も行かない子供が、川で遊んで死ぬなんて、よくあること。
そう言った悲しき事故を防ぐために、ああいった薄暗くなる時間帯に川で遊ぶな、なんて言い伝えが出来ただけで、神様が実際にいるなんてそんなことはあり得ない。そのはずです。
あの友達が死んでから、もう何年も経ちました。ですが、私は今もこうして生きている。それが、私の中で神様が居ないという確固たる証拠になっていたのです。
だから、そう、だから。
耳の奥で聞こえる、この小川のせせらぎは、私の幻聴でしかないのです。
『声が聞こえる』
❲ 声が聞こえる ❳
~寂しいので一人二役で会話していた秋の夜のことでした。
私ちゃん、今日はどんな日だったの?
『通販で買った電子レンジが届いたから設置したのが今日一番の山場。知ってるだろ。』
知ってるよね。自分の事だしね。
設置は簡単だけど場所を作るのが大変だったね。
『家が狭いから物が置けないよ。使わない物は捨てよう』
まずは何から捨てるの?
『お前だー!』
それもそうだな!って何でやねん。私捨ててどないすねん…
駄目だ、つまらない。さすが私の分身。
『隣の部屋が事故物件で、もう何年も人住んでないし、これからも住まないよ。壁に穴を開けて繋げて家を広げよう。壁の穴には本棚でも置いとけばバレないよ』
バレるよ!どうした?勢いがあるな。私はちょっと面白いと思うぞ?たとえ全人類がつまらないと言っても、私はちょっと面白いと思う!
私はもう自己否定する癖を止めるの。自分を一番に愛していつでも味方になってあげるの。今まで全否定しててごめんね。これからは幸せになろうね。
『えっ?なにそれ。何かに目覚めたの?
別にいいけど。じゃ、壁に穴開けていい?』
うん、開けよう! 自由への扉を!
~という訳で壁に穴開けたんです。そしたら、別の世界に繋がってたんです。本当です。信じて下さい。ここから出して下さい。
【声がきこえる】
僕のSOSは僕以外に聞こえていないみたい
たしかに僕には僕の声が聞こえているのに
周りは見えないかのように無視している
多分それが正解
面倒事には関わりたくないよね
でも本当に聞こえる
僕が助けを呼ぶ声がきこえる
でももしかしたらそれは心の中だけだったのかも
なら誰にも気づかれないし傷つかない
いちばんへいわなおとがする
塞いだ耳に突き刺さる魂の声は、
いつも正しく、鍛えた盾を容易く貫く。
声が聞こえる!!
これでやっと助かる...!
「助けてー!お願いします!助けてください!!」と今ある力の全力を出し、叫ぶ。だけど、私なんかいないかのように通り過ぎてゆく。なんで?私はここにいるのに。皆からは見えてないの?無視してるだけ?でも、なんで?本当に分からない。ただ、わかることとすれば私の体は透明だ。これから、どうなってしまうのだろうか?
声が聞こえる
音が鮮明になっていく。木々が風に揺らされ木漏れ日が私の顔に降り注ぐ。葉っぱのかすれる音が聞こえる。でも、それだけじゃない。誰かが私を呼んでる気がする。はっきりとは聞こえない。でも、どこか懐かしいような、愛おしいような、私のぽっかり空いた穴にピッタリはまる、そんな音。私はどうしてもその正体が知りたくて耳を澄まし、目をそっと開けた。ああ、そうだ。あなたの音だ。姿形が変わろうとも、あなたのその足音だけは変わらない。私の初夏の訪れ。
昔から、私はひとり遊びをよくしていた。
引っ込み思案で人と会話するのが恐かった。
それと ―――――
「さや〜、おまたせぇ!
ごめんね、待たせちゃって。」
「大丈夫だよ。帰ろっか。」
放課後の帰りを待ち合わせていた友人のアヤカは、いつも元気で、みんなからもよく頼られるムードメーカー的な存在。
幼稚園よりも前から中学に上がった今まで、ずっと一緒にいる私の幼なじみだ。
「でさ〜、、」
「…」
「…さや?大丈夫?」
「え、、あ、大丈夫!ごめん!なんだっけ?」
「…あのさ、さっきトモコ達が色々言ってたけど、気にしちゃだめだからね。」
色々 というのは。
今日最後の体育の授業、後片付けを行ってた時だった。私とアヤカが用具準備室へとボールを運んでいると、中から何やらヒソヒソと話し声が聞こえてきた。
その内容に思わず、足を止めて息も潜めてしまう。
「さやがさ、たまに誰もいないところで何か言ってるんだよね、」
「あの子小学生の頃からそんな感じだよ」
「私には幽霊が見えるの〜的な?不思議ちゃんキャラかよw」
「かまって欲しいんじゃない??」
「なにそれw」
「まぁ、正直ちょっとね、、」
「気味が悪いって言うか」
「…変わってる子だよねー。。」
またか。
というのが正直な感想。
元々周りの人と自分の雰囲気や感じ方がズレてるのはもう理解している。
小学生の頃はそのズレを理解出来ずに苦労したし苦しんだ。
いや、今でも苦しい。
それでも最近はこれでも 普通 に慣れて来ているのに。
久しぶりに自分への陰口にちょっと傷ついた。
(ボール片付けられないな…アヤカは、、)
自分も気まずいがこの状況にアヤカの反応が気になった。
ガラガラッ
「「!!」」
「あれー?トモコ達ここにいたの。あたしらのボールで片付け最後だよー!先生が最後の号令の為に集まれってさ。先に行ってて」
「あ…あぁ!おっけー!アヤカありがと!」
「はいよー」
アヤカが笑顔で返事をすると、中で話していた女子たちはバタバタと用具準備室から走っていった。
何食わぬ顔で、何も知りませんよ、聞いてませんよ風で、私もすれ違う。
すれ違った後、後ろからはこちらの様子をちらりと確認して(今の聞こえてた?)(やば〜)と会話がうっすらと聞こえる。
アヤカはこういう立ち回りが上手いと思う。
それで何度も私は助けられてる。
「ボールってどの棚だっけ?」
「、奥の2段目。」
「そうだった!ありがとう!」
何事も無かったようにアヤカはボールを片付けていく。
こうゆう時、普段と変わらず対応してくれる人。対応できる人ってかなり少ないんじゃないだろうか。
何も変わらない。
それが私にとって、どんなにありがたいことか。
「アヤカ、」
「ん?」
「…ありがとう。」
「…ん」
帰り道、アヤカの話を聞きながら私はさっきトモコ達が話していた内容を頭で改めて噛み砕いていた。こういうことは以外と時間が経ってから心にズシリとくるものだ。
気にしちゃだめだからね というアヤカの言葉に うん と返す。
「さやはさ、まだ周りからの声とか影とか、昔言ってたような別の何かは見えてるの?」
「…うん。最近減ってきた方なんだけどね、私的には。」
「そっか。最近そういうこと言わなくなってたから、もしかしたらもう見えたりしないかなーと思ってた。」
「んー、正直…慣れだよね。これは。」
「慣れ、、なのかな…?」
アヤカは私の言葉に疑問符をうかべる。
「今でもあれらのことはよく分からないけどさ、昔みたいに訳の分からない恐怖はだいぶ減ったよ。''そうゆうものなんだ''って、無理やりでも納得すると、見えても「またいるなー」とか、聞こえても「何か言ってるなー」って。ちゃんと内容を聞かなくなったしね。」
「だいぶ図太くなったねぇ、さや。」
アヤカはくすくすと笑う。
「…あたしは、話を聞いてあげることしか出来ないからさ。聞いて、さやの思ったこととか感じたこととか。想像しか出来ないから。苦しい時とか辛い時とかは直ぐに言ってね。」
「うん。いつもありがとうアヤカ」
へへへっとアヤカは笑う。
ありがとう。アヤカ。
でもこれはしょうがない事だから。
見えちゃうのは。
聞こえちゃうのは。
それを感じてしまうのは。
もう割り切るしかないんだよ。
話を聞いてくれる友達がいる。
理解してくれてる人か身近にいる。
それだけで、私はとても恵まれている。
親も信じてくれなかったこと。
子供の作り話だと真剣に聞いてくれない大人に囲まれて一番辛かった時に、話を真剣に聞いてくれたアヤカ。
今だって、クラスの子から色々と言われているのにいつもと変わらずそばにいてくれる。
この先もこれのせいで辛いことがあるのかもしれない。
それでも。
「…ね、さや。」
「なに?」
「何が見えようが、感じようが、さやはさやだからね。」
「!」
なんで欲しい言葉が、
この幼馴染にはわかるんだろう。
「…うん!」
人と変わっていようがなんだろうが私はわたし。
私はわたしを否定したくないし、自分自身を受け入れたい。
最後に私たちは笑いあった。
*
side A
あたしの幼馴染は、昔から 何か を感じるらしい。
それは時に影であったり、話し声だったり。
とにかくそれはあたしにはない感覚だった。
初めて話をしてくれた時、さやは泣いていた。
そりゃそうでしょ。誰だって怖いよそんなの。
さやはすごいよ。あたしじゃきっと耐えられない。
でも昔、さやと少し会話でぶつかったことがある。
いつものようにさやは耳を塞いで、この時も 声が聞こえる と辛そうだった。
声はさやに何かを囁いていたらしい。
さやはそれを聞いて泣いていた。
その時の私はやはりまだ子供で、ズカズカとさやに何を聞かれたのかとか興味本位で聞きまくった。
さやの気持ちも考えないで。
「なんで分からないの!?なんできこえないの?!
なんで、、なんで、私だけなのぉ…」
悲痛な叫び
あの時のさやの苦しい辛い恐い全てが詰まった表情を私は忘れられない。
さやは昔から周りの子達に優しかった。
そんな優しさに 何か も近づきたくなるのだろうか。
あたしは、人一倍優しい大切な友達をもうこれ以上傷つけたくない。
周りの友達や大人たちは私は頼れると、誰にでも優しく人への気遣いができる人だと言う。
でもそれを全て教えてくれたのは間違いなくさやだった。
「さや、私の方こそありがとう。」
普段は照れくさいけれど、今伝えたいと思った。
「???え、何が??」
なんのことか分からない。という顔だ。
「っはは!さや変な顔〜」
「ちょっ、今のはアヤカがおかしくない?!」
いつも通りの帰り道。私たちはいつもと変わらずわらいあっていた。
『声が聞こえる』
――でもあなたがいるならその声も、
もう気にならない
あ あそこへ行こう
い ほんと?
あ 行きたがってたしね
い うんうん
あ 食べたいもの食べよ
い …
あ どした?
い 珍しいからさ、何か変
『声が聞こえる』
声が聞こえる。自分の名前を呼ぶ声。
ほとんど意識のないまま返事をする。
返事をしながら、回らない頭で考える。
私一人暮らしだよな…
なんか幸せな感覚…
いつ寝たんだっけ…
ああ昨日通話して…
大好きな人の声だ…
大好きな人と寝落ち通話をしたんだった。
途端に目が覚める。
おはよう
おはよう
今日は素敵な一日になりそう。
単純な私は最高の気分で朝を迎えた。
#声が聞こえる
月曜日は私にとって大嫌いな日だ。
差し込む光、鳥の鳴き声、朝の空気すら嫌いだった。
いつからかな、あなたに恋をしてから月曜日が好きになっていた。
月曜日になり、学校につくと相変わらず騒がしい、
クラスメイトの話す声、椅子を引く音、黒板に文字を書くチョークの音
いつも通りの日々だ。
でもそんな私が月曜日を好きになったのは
『 おはよう 』
あなたの少し低く、掠れた声が聞こえるから。
« 声が聞こえる »
鼓膜を揺らして遊びましょ
耳を傾けてかわりばんこに
私が見る夢は、みんなとはちょっと違う。眠りについて、気がついたら真っ暗な空間にいるんだ。
そして、色んな声や音が聞こえてくる。
「おはよう」
「ありがとう」
「ひさしぶり」
「だいすきっ」
改札の音。
信号の音。
炭酸のぱちぱちする音。
鳥の声。
風がふく音。
いろんなものが聞こえてくる。
なんだか不思議な感覚だけど、次の日はなぜかいい気分になってるんだ。
声が聞こえる
だらだらスマホ見てていいんか?
やるべきことが頭に浮かんだ状態でみるyoutubeは楽しいか?
声が聞こえる
騒がしいな。
どこからか声が聞こえる。夜一人だったから、僕は少し怖くなった。早く帰ろうと足早に歩くも騒ぎが治まることはない。いい加減静かにして欲しいと思い僕は振り返って注意しようとした。そうして振り返った時、僕は思わず息をのんだ。
そこには誰もいなかったのだ。ただ、声はずっと聞こえている。耳を澄ますと
「今日も疲れたな」
「晩飯何だろうな」
「今日はいつも以上に仕事が捗ったな」
「明日も頑張ろう」
って声が聞こえる。
ああそうか。今まで聞こえていた声は、全部僕の声だったんだ。
僕は安心したが、同時に早く寝ようとも思った。
テーマ「声が聞こえる」
笑っている声、
泣いている声、
怒っている声。
世界は音で溢れている。
そんな世界で、ずっと聞こえる声がある。
弱々しく、「助けて」って
僕に助けを求める声。
君はどこにいるの?
今、君を助けに行くよ。
『声が聞こえる』
とある秋の日の事である。
収穫の秋と言うことで、額に汗しながら農作業に勤しんでいた。
「これが嫌いで村を出たんだけどなあ」
誰にも聞こえないように愚痴る。
この村には何も無い
あるのは無駄に広い畑ばかり……
俺はそれが嫌になって、数年前この村を出て冒険者になった。
大きな街に出て、順調にランクを上げ名も知られ始めた時、
だがそんな時、信じた仲間にパーティを追放された。
当時恋人だったクレアの勧めもあって、故郷に戻ることにした。
そこで冒険者の経験を活かし、村の警備をしていたのだが……
まさか、再び嫌いな農作業をする羽目になるとは……
なんとかして逃げようとしたが、『収穫の時期で人手が足りない』と断れずやってきた。
新婚だから見逃してもらえると思ったのだが、村の奴らは甘くはなかった。
人生上手くいかないものである。
「バン様ー!」
離れたところで俺を呼ぶ声がする。
手を止めて顔を上げると、視線の先には満面の笑みを浮かべている妻のクレアがいた。
「見てください、バン様!
大物ですよ」
戦利品を掲げて俺に見せつけるクレア。
大物と言うだけあって、俺が収穫したどのサツマイモよりも大きかった。
「すげえな、おい。
俺も負けてられないな」
「では勝負しましょう!」
こうした収穫は初めてなのか、クレアはずっと楽しそうだ。
気持ちはわかる。
何事も、初めては楽しいものだ。
鬱々としていた俺も、クレアに引っ張られて少しだけ楽しくなる。
なんだかんだ嫌いな農作業をしているのは、きっとクレアがいるからだろう。
もしいなければ、『村の外の様子が変だから見てくる』と、この場から逃げ出したに違いない。
クレアがいれば、大抵の事は楽しいのだ。
「そろそろやるか」
俺は止まっていた手を再び動かし、再び収穫の作業に戻る。
勝負を持ちかけられたのだ。
罰ゲームは決めていないが、負けるわけにはいかない。
俺はクレアに勝つべく、どんどんサツマイモを掘り出していく。
日が暮れるころには、畑んぽサツマイモすべてを掘り出された
「ふふふ、私の勝ちですね」
勝負の結果はクレアの勝ち。
クレアは大きなサツマイモをを持って勝ち誇る。
「罰ゲームは?」
「焼き芋を焼いてください」
「いいぜ、焼き芋マスターの俺の腕を披露してやろう」
俺は適当なサツマイモを数個より分ける。
もともと分け前をくれるという話だったのだ。
今貰っても問題あるまい。
俺は起こした火の中に、サツマイモを入れる。
これであとは待つだけ。
『待っている間、雑談でもしようか』
そう思ってクレアの方を見ると、彼女は真剣な眼差しで焚き火を見つめていた。
その眼差しは、まるで恋する乙女のよう。
俺はその顔を見て、『食欲の秋』という言葉が頭に浮かぶ。
そのことを指摘しようとして――
『楽しそうにしているところを、邪魔する理由はない、か……』
俺はクレアの隣に座り、並んで一緒に焚き火を見つめることにしたのであった。