『君の奏でる音楽』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
"栄"
空冷星型複列14気筒
かつて日本の空に轟音を響かせた傑作エンジン
三翅のプロペラを遮二無二動かし、
小さな翼で初めて空に舞い上がったとき、
そのエンジンサウンドは、
この世に生まれた喜びを歌うようだった。
やがて自由に飛べる場所も狭くなり、
満身創痍で最後の空に舞い上がったとき、
そのエンジンサウンドは、
まるで護国の鬼が泣いてるようだった。
今はもう、
その音を聴く者はいない。
// 君の奏でる音楽
8/12 お題「君の奏でる音楽」
流れるような指遣い。重厚な和音も、楽しげなスタッカートも、あなたの思うがまま。わたくしは目を閉じてそれを楽しむ。
情熱的な響きが耳をくすぐる。触れられたい。あなたの目で見つめられていたい。
演奏を終え、わたくしのもとに歩み寄って、あなたは囁く。
「今宵は、貴女の奏でる音楽が聴きたい」
「何も弾けないわ。歌も苦手よ」
「私の指で貴女を奏でてて見せましょう。お嫌でなければ」
「ふふ、構わなくてよ」
そう。わたくしは、あなたの思うがまま。
(所要時間:12分)
【君の奏でる音楽】
誰も居ない放課後の屋上に、ギターの音とのびのびと響く女声が響く。
辺りを暖色に染めている太陽は、そろそろ地平線に飲み込まれそうなところまで来ていた。
もう帰らないといけない時間だ。
「そろそろ時間」
歌が途切れた時にそう声を掛けると、まだ歌いたかったのか「あと一曲だけ!」と彼女が言ってきた。
別に門限は無いし良いか、と置いたギターをまた構える。
「やった!ありがとう!」
俺のギターに合わせて彼女が歌う。
力強くて美しい歌声は、夜が見え始めている夕暮れにはとても合っていた。
お互い名前も知らない、そんな脆い関係だが、そんなもんで良いと思っている。
放課後ギター練習をしていたら歌好きの彼女も歌うために来て、どうせだから合わせているだけ。
そんな細すぎる糸で繋がっているこの関係は、いつプチっと切れてもおかしくない。
でも、それはそれでいいんじゃないかな。
ーーー
友人が言った言葉に、思わず噎せた。
「いや、は?どゆこと?」
「だから、これお前じゃないの?」
友人がずいっとスマホの画面を近付けてくる。
そこには、昨日の屋上でギターを弾いている俺と、歌を歌っている彼女が映っていた。
隠れながら撮ったのか、屋上の扉の窓から撮影がされている。
「いや、まあ、俺だけど…」
俺の言葉に周りに居たクラスメイトがざわざわと騒ぎ出す。
静かだと思ったら盗み聞きしてただけかよ。
「再生数やばいよお前」
友人の言葉に再生数の丸の数を数える。
というか何で丸の数が数えられるんだよ。どんだけ見られてんだ。
「なにこれ、10万?」
「そう、これ一日で」
はー、やばいな。と実感もなく言うと、友人から突っ込みが入った。
言うに、『もっと喜べ』らしい。
「いやぁ、だって投稿するの許可も撮ってない動画でバズっても…」
ずっと俺はカメラに背を向けているが、彼女は横顔が見える構図だ。
一応ぼかしはしているらしいが、顔も見せていない俺がバレたのだ。彼女もバレてしまっているだろう。
無許可なの?!と騒ぎ立てる周りに適当に返事を返しながら、俺は少し思った。
彼女との関係がちょっと太くなっちゃったかなぁ。
「それはそれで良いのか…?」
…でも、勝手に投稿したやつは許さん。
君の奏でる音楽。音楽の話題か。音楽というと少し前はアドで最近はヨアソビのアイドルが有名というか話題だったな。
どうでもいいけどローマ字が名前のミュージシャンは書くのがめんどいからカタカナで書いちゃうな。
いや、アドとヨアソビの間に米津玄師のキックバックがあったな。他にも色々とあったんだろうけど俺のセンサーじゃ知ってるのはそれくらいだな。
アドはワンピースの声優やったり映画で歌ったりとこれ越えるのはもう現れないかと思ったらヨアソビのアイドルがすげーことになってびっくり。
実際のところどっちがどれくらいすごいのかさっぱりわからんけど。でもどっちもいい歌多いよな。
そういや鬼滅の主題歌だかも話題になってたっけ。これは名前わからん。しかし俺が知ってるのアニソンばっかやな。
アニソン以外で流行った曲ってなんかあるのかな。まぁ俺が知らんだけでアニメ関係なく流行った曲のほうが多いのかも知れんけど。
しかしどの曲もヨウツベで聞きまくったのに一円も払ってないんだからすごい時代だ。誰がどこでどう儲けているんだろう。よくわからん。
今の時代で音楽を買う人ってどこでどんな形式のものを買ってるんだろうか。もうおっさんだし人との交流もないから時代についていけないわ。
ずっと、ずっと
この気持ちが何かわからなかった
いや
きっとそうじゃない
そんなわけがない
そう言い聞かせて
蓋をし続けた
きっかけは突然
認めると急速に蝕まれた
おまえの側で見る
笑顔
泣顔
怒顔
哀顔
楽顔
おまえが奏でる音楽に
ずっと触れていたいと言えば
おまえは受け入れてくれるだろうか?
【君の奏でる音楽】
「それ、最近よく聴くよな」
「ヒノハラの『君ノ奏デル音楽ハ』だよ。ドラマの主題歌になってるからじゃない? 好き?」
「あ、あぁ。まあまあかな」
「まあまあ……。あのさ、まあまあって、どっち」
「どっち?」
「まあまあ好きなのか、まあまあ悪くないのか」
「一緒だろ。それに、まあまあはまあまあだろ」
「ぜんっぜん違うよ。結構好きか、実はあんまり好きじゃないくらい違う」
「へえ」
「バカにした?」
「いや、してない」
「じゃ、どっち」
「うん、まあまあ……かな」
暑い。嫌だ。涼しい所へ行きたい。そんな事を心の中で思うくらいいんじゃないの。
話する人は選んだ方がいいかもね。心に余裕がないと全て否定的に受け取る傾向がある。
精神的視野狭窄状態って感じ。
百万年に一回会えたらいいかもね…ってくらい何処かへ行きたい。
漠然とひとり旅したい
「君の奏でる音楽」
君の奏でる音楽はとても綺麗で、音は大きいのに儚くて…消えてしまいそうなほど細い音が何重にもなって、聞こえてくる。
僕はその音を僕はとても愛しく思ってしまうんだ。
君の奏でる音楽は、君の心を表していると、僕は感じたんだ。
君が奏でる音
僕は君が奏でる全てが好き
歌声も
楽しそうに話す声も
笑い声も
そして
泣き声も
全て君が奏でる音
僕はその全てがだぁいすき♡
私は、吹奏楽部を辞めた。放課後に聞こえてくる楽器の音は、私の胸を引っ掻いた。
雲間からさすひかりが
ウィンドウチャイムを鳴らすみたいに
早朝の木にあつまる小鳥のおしゃべりや
ソーダをそそいだコップの中の氷や
高くけり上げられたボールのたてる音
君の何気ないしぐさや表情が
私のなかで音を鳴らす
無軌道な音楽を奏でている
『君の奏でる音楽』
‘私の朝’
夢は正直だ
普段隠れて自分でも見えない
私の心を写し出す。
朝は希望だ
朝日は明るくて私の心を軽くする。
いつもと同じ朝なのに。
今日から1から頑張ろう。
私は、高校の頃、吹奏楽部だった。吹奏楽部に入部した理由は、一目惚れしてしまった先輩の奏でる音楽が素敵だったから。他の人も、綺麗なハーモニーを奏でてるのに、何故か、君の奏でる音楽は、周りと違う魅力があった。あの頃の私は、その周りと違う魅力がある君の奏でる音楽は、良い方向だと思っていた…もし、あの頃のうちに、周りと違う君の奏でる音楽の中にある悲しい音に気付けてたら…と今の私が思うのには、理由がある…あの後、周りと違う君の奏でる音楽に魅力を感じ、君の追っかけっぽく、吹奏楽部に入部した私は、すぐに君に告白をした。すると、君は、すぐ返事をくれた。「良いよ」と…それから、毎日、登下校も一緒にしてたとある日、事件は、起こった…とある日、君は、突然、「ごめん。今日は、一人で帰りたい」と言った。その時、私は、何も違和感なく、「良いよ。」と言ってしまった…それが間違いだったと次の日、学校で思い知らされる…翌日。学校の体育館にて、急遽全体朝会が行われた…その内容は…「昨日、2年3組の中谷怜央君が自殺をして、亡くなりました。皆さんで瞑目をしましょう」と…そう。君は、私と離れた後、下校しながら、自転車で赤信号をわざと渡り、車に突っ込んで、自殺をしてしまったらしい。もし、あの時、私が、異変に気付いて、「今日も一緒に帰ろう。毎日一緒に帰ろうよ」と、君を止めていたら…今も、あの頃を考えると、辛くなってしまい、あれ以来、私は、恋人も作らないまま、ただ時間だけが過ぎていくのを待っていた…
大好きな君へ、あの日、助けてあげられなくて、そして、君が辛いのに気付いてあげられなくてごめんね…もう今更遅いよね…決して許して欲しいとは言わない…ただ君に早く会いたい…
【君の奏でる音楽】
繊細にして高らかなヴァイオリンの響き。幼い頃から音楽の世界で神童の名をほしいままにしていた君が、私の誕生日に私のためだけに奏でてくれるその音色が、何よりも好きだった。
ぶっきらぼうで表情にも乏しい君の心は、音楽に一番反映される。誰からも生まれたことを祝ってもらえない私へと、いつだってありったけの祝福を込めて、君はヴァイオリンを奏でてくれた。
(好き、だったんだよ)
テレビの中から聞こえてくるベートーヴェンのクロイチェルソナタ。海外公演の録画映像を専門チャンネルで流してくれているそれを、日本の狭いワンルームでぼんやりと眺めていた。
ライブ映像ではないことを少しだけ残念に思うけれど、時差の都合上致し方ない。こっちは早朝だけれど、今ごろ現地は深夜のはずだ。きっと君は公演を終えてぐっすりと眠っている。
君が有名になっていくたびに、君との距離が遠のいていく気がする。今ではもう、手の届かないほどに君は輝かしい世界へと旅立ってしまった。それを誇りに思う気持ちも応援している気持ちも本当なのに、心のどこかで醜い私が寂しいと叫んでいる。
ピロンと音を立てたスマホの通知が、テレビから流れる君の滑らかな音色を遮った。たいした興味もなしにスマホの画面をチラリと見て、そうして息が止まるかと思った。
君の名前で送られてきた音声ファイル。メッセージの一つもないそれを、震える手でタップした。
聞き馴染んだハッピバースデートゥーユーの歌が、ヴァイオリンの優雅な音色で奏でられる。どんな難しい古典の名曲でも軽やかに弾きこなす君が、こんな世俗的な音楽を優しく紡いでいる。思わずスマホをぎゅっと握りしめた。
君の奏でる音楽があるから、私は私が生まれてきて良かったって思えるんだ。ありがとうとスマホに打ち込んで、私は君の与えてくれる美しい祝福に浸り込んだ。
「君の奏でる音楽」
僕が一番嫌いなもの……
それは君が残してくれたたった一つの音楽
最後の曲として大ヒットしている
今までは見向きもしなかったのに……
有名になんてならなくてもいい
ただ僕の近くにいて欲しかった……
君の奏でる音楽が今は1番大嫌いだ
本当の歌詞の意味が分かるまで……
君の本当の想い
君の奏でる音楽
普段音楽なんて滅多に聴かないあなたが珍しく口ずさんでるメロディ⋯
なんの曲?
と、聞くと
え?
と、とぼける⋯
そんなあなたが愛おしいと今でも思うよ
君の奏でる音楽
扉越しに彼女が泣き言を零す声を聴きながら、密かに笑みを浮かべる。彼女の声をBGMに手早く調理を進めながら、気を抜いたら笑い声が漏れそうなのを我慢して、それでも堪えきれなかった愉悦が空気となるのを咳払いで誤魔化した。
傷付きやすくて甘えたな彼女は日頃から優しさを心がけて接するだけで簡単に信頼を寄せるようになり、相談を持ちかけるだけでなく嫌なことがあれば我が家に駆け込むようになった。本日も彼氏に振られてしまったらしい彼女は小動物みたいにか弱い声で鳴きながら、人の布団で布まんじゅうになっている。あらかた話を聞き出して、ずっと泣き続けてるのだからと小腹を満たせるものをと軽食の用意を始めたが、中々いい選択だったのかもしれない。いつもは他に思考を割いて存分に堪能できていなかったが、やっぱり声も可愛い。
加虐趣味なんてなかったはずなんだけどな。
恋は盲目とはいうけれど、泣いてる姿に可哀想よりも可愛いの気持ちが勝ってしまう自分の心情に、我がことながら呆れてしまう。君の声が心地よいとは思っていたけど、鳴き声にまで適応されてしまうなんてなぁ。そんなことを考えてたら、手元の料理もすっかり完成間近。うん、それなりに美味しそう。扉越しのしゃくり上げる声も次第に弱々しく鼻をすする音に変わってきた。ころっと他の女に靡く程度の男のためにこんなに泣いちゃうなんてね。可哀想に、ちゃんと慰めてあげないとね。
足を鳴らす。もしくは手を鳴らす。それか口笛も。「ヒューヒュー」と言ったとて、まるごとすべてが彼のための音楽だった。
きれいな音色のトランペット
力強いトロンボーン
澄んだ音色のホルン
低音を支えるチューバ
かわいい音色のピッコロ
美しく歌うフルート
自然の中にいるようなクラリネット
楽しく歌うサックス
演出家のドラムス
君たちの奏でる音楽は
誰もが心安らぐ
誰もが楽しくなる
心に響く音楽
君の奏でる音楽
「君の音楽は最高に素晴らしいよ!是非私たちの所へ来てくれ!」
「お断りします。僕にはやりたい事が沢山あるので。」
僕はあの時断った。だって1番近くで僕の音楽を聞いて欲しい人が居るから。待っててすぐそっちに逝くから。