『君と一緒に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜のコンビニ
肉まんは半分こ
部活の帰り道
夕日を眺める
週末の晩酌
グラスを並べる
私の思い出はいつも
きみと一緒にいるだけで、どこからか不思議な勇気が湧いてきて、もう何でもできる気がしました。何もかも大丈夫に思えました。人と人のつながりも、友情も愛情も、きっと科学の力ではあらわせないくらい不思議なものだね。今、どこで何をしていますか。果てしない空をあの一番星を、同じ景色を、きみも見ていますか。
(君と一緒に)
君と一緒に
君と一緒にいた日々は、温かくて柔らかくて
幸せでした。君に会えてよかった
題【君と一緒に】
(すみれ、葵、ふうま、ひなた)
×
(莉緒、海、隼人、太陽)
今日はなんと…!?
すみれ達って覚えてる…?(笑)
すみれちゃん、ふうまくん、葵ちゃん、ひなたくんなんだけど。
その子達とコラボっ!!
かいくんの家でお泊まり会なんだよ~!
この8人では初めてだよ。
いまから、グループLINEがあるから、そこに連絡をしていきますっ。
莉「今日、みんなでお泊まり会しない?」
海「いいですね。俺の家でしましょう。」
葵「お邪魔じゃなければ、喜んでっ!」
す「久しぶりですね。良いですよ!」
ふ「良いの?俺は全然おっけー!」
ひ「まじ!?行く行く~。」
隼「やった~。」
太「全然行けるよ✨」
莉「じゃあ、決まり!今日、かいくんの家に集合ね~!」
海「これは、俺の家の地図です。すみれさん達、良ければ使ってくださいね。」
す、葵、ふ、太「「「「ありがとう!」」」」
楽しみだな~!
じゃあ、もうかいくんの家に行こうかな?
準備万端なんだよね✨
ピンポーン…
「はーい。あっ、莉緒さん!どうぞ。」
「ありがとう。」
「わっ!」
「きゃあ!?なになにっ!?」
「ごめんね。そこまで驚くとは思わなかった。葵だよ~。久しぶりだね!」
「すみません!止めれば良かったですね。」
「おひさ~!」
「俺もいるよ。」
「わぁ~!すみれちゃんに葵ちゃん、ふうまくんにひなたくん!久しぶり。」
「みなさん、どうぞ上がってください!」
「ありがとうね。」
そして、隼人と太陽くんも集まって…
「部屋は、4つあるので、好きな人とペアになってください。」
4つもあるんだ。たしかにめっちゃ広いもんね。
「じゃあ、すみれは俺が貰うよ。」
「へ!?な、なな、何をいっているのですか!?」
「だって恋人だよ?当たり前~!」
「うっ、、、分かりました。」
仲いいー!
「じゃあ、もちろん俺は葵ね~!」
「うん❤️全然良いよ。」
「やった~!!」
おぉ。
…っていうか、恋人だったの!?
二組とも?気づかなかった。
「では、俺たちはどうしましょうか?」
「正直このなかだったら、誰でも大丈夫だけど。」
「だね~!」
「う、うん。」
女の子私だけじゃん…。
どうしよう。
「莉緒さんは、誰となら安心できますか?」
「だよね。それできめよう!」
「うんうん!」
「えっ?良いの?」
「うん。男の子と夜、部屋に二人きりなのは怖いでしょ?」
「そうだけど、」
「じゃあ、誰が安心できる?」
安心できるって言われても、みんないい人だしな~
でも、幼馴染みで優しいから、かいくんかな~?
「じゃあ、かいくんが良いかな。」
「えっ?俺、ですか?」
「うん!幼馴染みだし、いままで優しくしてくれたし、お泊まりなんてしまくりじゃん!」
「ふふっ、確かにそうですね。」
「えへへっ。」
「じゃあ、僕と太陽ね~。全員決まったね。」
~ちなみに今決まった部屋チーム~
部屋① すみれ&ふうま
部屋② 葵&ひなた
部屋③ 莉緒&海
部屋④ 隼人&太陽
って感じ!
楽しみだな~。
なにしよっかな~!
莉「本当に楽しみ!」
隼「てか、今思ったんだけど、なんやかんやでかいとふうま達って初対面じゃん!」
海「確かにそうですね。」
ひ・太「「本当だ!!」」
ふ「じゃあ、改めて、よろしくね。」
す「みなさんはどういう関係なんですか?」
葵「恋ばなしたいね❤️」
海「うっ、、、」
次回はお泊まり会で遊んだりするよ~!
お楽しみに✨
君と一緒に
赤ちゃんの時、君と一緒に並んでたね
小学生の時、一緒に遊んだけど泣かせちゃったね
中学生の時、隣の席に座ったけどよく先生に怒られたね
高校生の時、初めてのデート行ったね
大学生の時、初めて一緒に夜を過ごしたね
仕事しながら一緒にアパートで暮らしたね
ケンカは数え切れない。
別れようと3回考えた。
今でも不思議な縁だな〜と思う。
たぶん死ぬ時も君と一緒…かもしれないね。
ずっと一緒にいるわけだからさ、
大好きだから仲直りしようよ。
大丈夫って言うのだけはほんとに簡単で、
ほんとに大丈夫にするのはものすごい難しいこと
なんだけど、一緒に大丈夫にしていこう。
ずっと一緒にいるわけだからさ、
大好きだから笑っててよ。
『君と一緒に』
君と一緒に
君と一緒にいるのが、当たり前になっていました。君はいつだってそばにいたから、君はいっだって、そばにいてくれると、これから先もそれは変わりないのだと、そう思い込んでいました。…傲慢な思い込みでした。僕は君にそばにいてもらうために、一体なにをするべきだったのでしょう。一体、なにができたのでしょう。
冬の日でした。とても寒く空気は乾燥し、ビル風が強く吹く、陽の光がキラキラと輝く冬の日でした。冬期講習の帰り道、都会の片隅にある小さな公園で、2人で落ち葉を蹴りながら他愛のない話をしていました。それは本当に他愛なく、明らかにどうでもよくて、僕たち2人にしかわからないような話で、気怠い授業の後のその時間が、僕は本当にどうしようもなく好きでした。
ふと顔を上げた瞬間、君の栗色の髪に暖かい冬の光が透けて輝き、あまりの美しさに時が止まったと思いました。それから一拍遅れて微笑んだ君と、風に揺れる前髪の光と、ちゃめっけを含んだ話し声を受けて、心の底から、君が世界で一番美しい人だと、泣きそうになりながら思ったのでした。そしてそのまま、僕はずっと君と一緒にいられると、君はずっと僕のそばにいるのだと、愚かにも思い込んだのです。
大学のキャンパスは同じでも、学部が違えば授業も違います。僕らが毎日のように顔を合わせる日々は、あっさりと終わりました。それでも連絡を取り合い、慣れない大学生活について愚痴をこぼしあい、たまに時間が空けば一緒に出かけ、たくさんの他愛のない話をして、僕は君と変わらずに一緒にいるつもりでした。そして、あの夏の日、「好きな人がいるんだ」という君の言葉で、僕は自分の恥ずかしい思い込みを知りました。
僕の一番はどうしようもなく君で、それ以外には何もなかったのだけれど、君にとっての僕はそうではなかった、それだけの事なのに、ピストルで脳幹を撃ち抜かれたように動けなくなりました。君は、汗ばんで額に張り付いた栗色の前髪払いながら、されどもその不快感すら愛おしいというような顔ではにかんで、「サークルの先輩」の話をしていました。それは僕の全く知らない人で、君のそんな照れたような顔も僕は見たことがなくて、僕の知らない君の交友関係と愛らしい表情にひどく狼狽し、それを悟られまいとおどけて話すも、かえってしどろもどろになり、結局、ほとんどまともに相槌も打てぬまま、逃げるように帰宅しました。
ベッドの上に大の字に転がって天井を見ながら、目をキョロキョロさせて、一晩中、考えを巡らせていました。僕の恥ずかしい思い込みについて、君の好きな人について、君のあの表情について、そして、僕と君とのこれからについて。一晩中、たくさん考えて、本当にたくさんの思考を巡らせて、明け方、あまりにもわかりきった、一番かんたんな答えにたどり着いたのです。もう今までのように、君と一緒にいることはできないのだと。
夏の朝日が差し込む窓辺に、クーラーの音が大きく響いて聞こえていました。
肉の甘さを噛み締める。
ああ、素晴らしい生活だ。
時間をかけて味わう。
纏わりつくような肉の甘さも、口の中で反発するような弾力も、はち切れんばかりの舌触りも。
君と一緒にいる証だから。
しっかり味わわないと。
私が動けるスペースもだいぶ狭くなった。
体が大きくなったから。
君の食べる量も、動く量も増えた。
もうすぐだ。
もうすぐ私は、日の目を見れる。
私と君の関係は逆転する。
私は君と一緒に、外の世界へ出ていける。
皮膚に酸素が張り付くこともなく、足や体が十分に伸ばせないこともない、自由で明るくて厳しい、外の世界へ。
そのために私は大きくならなくてはならない。
だから、私は食事を続ける。
肉を食いちぎり、丁寧に、丁寧に、君を取り込む。
君と一緒に、広い空の下に出るために。
君と一緒に、大人になるために。
君と逢えたのは運命だと思う。
私は、生まれて、君に卵を産みつけられた時から、君が好きだった。
あの、みずみずしい鮮やかな緑と、てちてちと規則正しく動く、あの足が好きだった。
体の中の、温かくて優しいあの振動が好きだった。
私は君の隅々まで好きだった。
だから私は君の中で羽化をする。
君の願いも、苦悩も、悲しみも。
君の肉も、血も、酸素も。
全部噛み締めて、君の中身をすっからかんにして、君の希望を願いを叶えてあげる。
キャベツ畑から飛び立ちたいという、君の夢を。
一緒に叶えよう。君と私で。
私は今日も君を噛み締める。
君の体内の中で、君の肉の甘さを噛み締める。
君の吸った酸素に生かされて、君の気持ちに共感しながら。
私は君と一緒に私になる。
君と一緒に、成虫になる。
私は肉の甘さを噛み締める。
ああ、素晴らしい生活だ。
でも、そろそろ変化が欲しい。
私と君の生活に、青い空が、新鮮な空気が、君を体内に収めたという満足感が、華が欲しい。
私は君の甘さを噛み締める。
羽化の季節はもうすぐそこまで来ている。
君と一緒に
たくさん旅行したいし
家買って
バイク買って
やっぱり旅行したい!
小説
迅嵐
玉狛支部でのんびりしていると、扉から小南が入ってくる。うんうん視えた通り。
「ん~?誰だろ」
ふと、小南の未来の中で、羽っ気のある黒髪をもつ少年がボーダーに入るのが視えた。
「小南~、これ誰?」
彼女に事細かく説明してみると、何故だか少し誇らしげに少年の名を口にする。
「准よ」
大きくなったボーダー基地をうろついてみる。
「嵐山准、かぁ」
なんかすごくイケメンだな。性格も良さそうだし、広報担当とか合ってそう。仲良くなれたら推薦するのもアリだなぁ。
まだ会ってすら居ないというのにおれは未来に考えを馳せる。その中で、視界の中に飛び込んできたのは、''赤''。
「えっ」
考えを中断し顔を上げると、そこには今し方頭の中を占拠していた嵐山准が立っていた。
「わっ、すみません」
曲がり角でぶつかりかけていたらしい。形のいい眉を下げ申し訳なさそうにする彼は、そこに居るだけでキラキラして見えた。
「君…嵐山准、くんだよね」
「え!俺の事知ってるのか!」
「なんたっておれは、未来が視えるサイドエフェクトを持っているからね」
「えぇ!?」
なんだこいつ。おもしろい。
一挙一動が素直で可愛らしい。…?可愛い?こいつ男だぞ!!しっかりしろおれ!!
「未来が視えるって…もしかして迅くんって君のことか?」
「え?なんでおれの名前知ってるの?」
「ふっふ…なんたって俺は桐絵の従兄弟だからな!」
「小南の従兄弟!?」
初耳だった。あいつ、先に言っとけよ…。
「…なら話は早いな。おれ迅悠一。よろしく」
「俺は嵐山准だ!よろしく!君と一緒に戦えるなんて光栄だ!」
ふわりと笑う彼に手を握られる。その笑顔を見た瞬間、何かがカチリと噛み合い、動き出した。
4年後
「…あの時がおれの初恋だったとはなぁ」
「ん?何か言ったか?」
横を歩く嵐山に目をやりながら通路の角を曲る。あーあーこんなにイケメンに育っちゃって。おれって面食いだったんだなぁ。
「なーんも。ほら、早くしないと会議遅れるよ」
「ほんとだ、ちょっと走るか!」
おれは、はいよーと間の抜けた返事を恋人に返しながら、小走りで会議室に向かった。
君と一緒なら何でもできる
きっと地球から海水だってぬける
火山の噴火だって止めれるし
地震だって効かない
風通しのいい左隣だって埋めれるし
無いはずの手だって掴める
君と一緒ならなんでもできるんだ
君がいたならこの埋まらない溝なんて
はなから存在しなかった。
君と一緒に
BLについて語り明かしたい。
私はハピエン主義で、
甘々で、
攻めはスパダリで、
受けは自信がない地味目な感じでがっちりでも可。
誘い受けとドムサブとオメガバはあんまり。
これを1分で言える。
引かないで。
「君と一緒に」
君と一緒に旅行へ行こう!
この人と旅行行ったら絶対楽しいだろうなって思う人
私はいないかもしれない。
一緒に何かをしたいと思える人がいたら、それだけで良い人間関係を築けてる。
一緒に仕事したい
一緒に制作したい
一緒に食事したい
…
いいね!
あなたと一緒なら
どこへでも行けそうで
なんだってできそうで
いつまでもしあわせで
どこまでも堕ちていける気がした
『君と一緒に』
私が好きなあなたがいなくなっても
あなたが好きな私がいなくなっても
きっと、きっと大丈夫。
雨が好き、とスカートを揺らすあなたに
優しく傘をさして下さる誰かがいて
幸せそうに一緒に笑い合えているのなら
それ以上の幸せは私には必要ない
生まれる前から君は励ましてた
一緒なら生きていけるよって
♯君と一緒に
君と一緒に
楽しい
嬉しい
美味しい
を共有するのはとっても幸せだと思う
でも
悲しい
辛い
悔しい
を共有できることもすごく心強くて
心温まる
一緒に居てくれる君の存在はすごく大きい
君と一緒に
見て、嗅いで、聞いて、触って、物によっては味も確かめてみたりしたい
「君と一緒に」
君と一緒にいたい。
ただ、それだけでよかったのに。
地図にも載らないようなところに、ある村があった。
そこには、子供はほとんどいなかった。
特に女の子は、生贄として殺してしまう。
そんないかれた村だった。
僕は、そこの生贄の少女を管理する役についた。
昔から僕は、感情が乏しかったから。
人が死んでも、悲しまない。
喜怒哀楽が、欠落していた。
何人もの子に恨まれた。
でも。
やっぱりなにも感じなかった。
そんなある日。
新しい贄の子が、僕のところにやってきた。
その子は、殺されると言うのに、底抜けに明るかった。
一緒にいたのは、一年ほどだろうか。
その子は逃げないから、傷つける必要もなかった。
その子といると、冷めてなにも感じないはずの心が、暖かい気なっていく気がした。
その子が贄となる前日。
君は、生きたいと言わなかった。
ただ一言。
小さく。
好きだよ。
と言うだけだった。
その時。
好きだと返せなかった。
そのまま眠った。
いよいよ君を殺すため、崖に落とされる時。
僕の体は、動いていた。
大人の声が聞こえる。
君と、落ちる。
落ちる。
落ちる。
落ちる。
ぶつかる。
地面に擦れて、息も絶え絶えになりながら、僕は絞り出す。
僕も。
好きだよ。
君は、途切れ途切れに言う。
君と
一緒に
明日を
行きたかった
な。
うん。
そうだね。
僕らは、目を瞑った。
※昨日書いた話との繋がり有りなので、お手数ですがそちらに記載してあります注意事項をお読みになって頂き、大丈夫そうであれば是非こちらもお読み頂ければと思います。特技は地獄を作ることと地雷原を作ることです、よろしくお願いします。
久しぶりに、幼い娘と二人で遠方へドライブに向かった。遠方とは言っても、車で片道二、三時間程度の場所ではあるが。狭い世界で生きている······いや、生かされているこの娘にとっては、その程度の遠出すら珍しいものらしく、また、特別なイベントの一種であるようだった。早朝、娘の現在の居住地の前へ車を停車させた途端、待ってましたとばかりに何が入っているのかよくわからない小さなリュックを背負い、水筒を肩から斜めに掛けた娘が玄関から飛び出してきたのを見て、あまりの気合いの入りように思わず小さな笑いが零れてしまった。
娘は先日の誕生日で八歳になった。まさに育ち盛りな年頃だというのに、その成長を毎日傍で見守ることが出来ない現状が歯痒くて仕方がない。
それには深い訳があり、有り体な言葉で済ますとするならば所謂「家庭環境の問題」という奴だ。更に詳しく付け加えるならば、娘の母親に当たる人物とは既に離婚が成立しており、娘の親権を母親が獲得したから、といった理由になる。
当時の私は恥ずかしいことに、仕事こそきちんとこなしてはいたが、職場で溜まったストレスを妻にぶつけることでしか生きていけない情けない人間だった。溜まるストレス、増える煙草。時には妻に手を上げたことすらあった。
そんな駄目な夫だったが、娘のことは心の底から愛していたし、なるべくそういった「悪い父親」の側面を娘の前では見せないよう努めていた。妻に対しての感情は、もうよくわからなかった。妻も妻でそれなりに気の強い女で、ただやられてばかりで泣き寝入りするような人間性ではない。本人はバレていないと思っていたのか、それともバレたところでどうでもいいと思っていたのかは知らないが、いつ頃からか他所で他の男と遊び始めたことに私は気付いていた。気付いていたが、あえてそれを指摘するようなことはしなかった。だって、もうどうでもよかったから。
かくして「離婚」というものが現実味を帯びてきた頃、妻が出掛けている時に私は娘の前でしゃがんで、目を合わせ、聞いたのだ。
「百合は、お母さんのこと好きか?」
「? うん! 好きだよ!」
「じゃあ······お父さんのことは、どうだ?」
「お父さんも好き! もーっと好き!」
「もっ、と······?」
まさかそのような回答を返されるとは思いもしていなかったので、俺は事態を飲み込めずにポカン、と大口を開けて呆けた顔をしてしまった。
すると、娘は······百合は、こう続けたのだ。
「んっとね、ケンカしてるときの二人は、あんまり好きじゃないの。でもそれ以外の時は好き! お父さんもお母さんもやさしいから! でもお母さんはたまにね? こわいお顔で私のこと見てくる時があるの。お父さんはそんなことなくって、いーっつもやさしいから、だからもーっと好き!」
「そう、か······そうだったんだな······」
百合の言葉に衝撃を受け、鈍器で頭を殴られたような心地になりながら、必死で目の前の愛しい娘を掻き抱いた。涙が幾筋か、頬を伝った。
「ごめん、ごめんなぁ······お父さん、気付いてあげられなくて······本当に、悪かった······!」
「お父さん? どうしたの? 何であやまってるのー? ねえ、お父さんってばー!」
娘が私の背中を両手でポコポコと叩いてくる。とても、とてもか弱い力だった。か弱くて、無知で、無力な、守らなければならない私の娘。そう、再確認したのだ。
だから勿論、親権については元妻と争った。しかし、私が妻に暴力を振るっていたこと、そして妻が浮気をしていたという決定的な証拠がなかったことにより、私は百合の親権を獲得することが出来なかった。自業自得だ。そう割り切ろうと思ったが、そんなこと到底無理な話だった。だから私は元妻に頭を下げ、一ヶ月に一度でいいから百合と会うことを許してほしい、と懇願した。元妻は何の躊躇いもなくすんなり了承した。思えば、元妻はあの時には既に百合への関心を何もかも失っていたのかもしれない。それなのに親権は譲らず、こちらに養育費の支払いを要求し、シングルマザーとして生きていこうとしていたのだ、あの女は。
しっかりと百合の面倒を見、真っ当に育てていってくれるのならば私だってきっと納得した。なのにあの女は、その責任すら放棄した。いつのことだったか、百合と会った時に学校の話を振ったことがあった。楽しいか? 友達とは上手くやれているか? 確か、そんなようなことを聞いたのだったと思う。それに対する百合の答えに、私は驚愕するしかなかった。
「あのね、学校には行ってないの。お母さんがね、行かなくていい、って。お母さんがおしごとに行ってるあいだ、家をまもるのがゆりのしごとだよ、って」
だから私、まいにちおうちをまもってるの!
······そう、屈託無く笑ったのだ、百合は。それが当然のことだとでも言うように。正しいことをしているのだと誇るかのように。
なんて、なんて可哀想な子なのかと。百合をこんな目に遭わせている神を恨み、自分を恨み、元妻を恨んだ。
比べる対象が居ないのだから、百合が自身で自身の置かれている状況が異常なものだと気付くことは出来ないだろう。そして何より、この子はとても素直な子なのだ。素直すぎて、無垢すぎる。それだから、母親から言われたことに対して疑問を持つことなどない。全て母親の言いつけ通りに行動するのだろう。そうやって、この先も生き続けていくのだろう。
ああ、やっぱり。
哀れで、痛ましくて、可哀想が過ぎる。本人には何の自覚も無く、この世界の誰よりも幸せだとでも言うかのような顔で笑っているのだ。今置かれている状況が世界の全てだと信じきって、自分が「可哀想」なのだということもわからずに。ただ、ただ、笑う。笑っている。ずっと、ずっと。
······そんな娘を見るのは、もう限界だった。
「帰りはちょっと遠回りしてみたけど、あそこなんて良さそうじゃないか? 百合も気に入りそうだ」
「············」
「······ハハッ。ぐっすり寝てるな。きっと疲れたもんな?」
「············」
「お父さんもな、百合。······もう、疲れたんだ」
「············」
「だからさ、百合。一人で寝てないで、お父さんと二人で一緒に寝よう? 誰にも邪魔されないように、いつまでも······いつまでも······」
河川敷横の道路を走る、その車中。
私は、助手席で死んだように眠る百合の顔をこれでもかと目に焼き付けて。
──川を目指してガードレールの方へと思いっきりハンドルを切り、アクセルを全力で踏み抜いた。