『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「向かい合わせ」
一人で生きていくことは不安でしかない。
だから寄り添える相手が必要で、
求め合える相手に出会えたらいいね。
パートナーがいればいい、というわけでもないことはわかっているけれど、
隣にいて、たまに向かいあわせで、
安心できる人がいてくれたら。
そんな人がいるのかわからないけど、まだ見つからないです。
【向かい合わせ】
路地裏の片隅の喫茶店の、一番奥のボックス席。窓の外の雨音を聴きながら手元の文庫本のページをめくっていれば、不意に正面に人の気配がした。
「久しぶり」
目線を上げることなく、声だけを向ける。と、くすりと控えめながらも楽しげな笑い声が僕の耳朶を打った。
「一週間しか経っていないよ」
会いたいわけでもない大学の同期とは毎日顔を合わせていることを思えば、本当に会いたい君と会えない一週間は久しぶりと称するに十分な期間だと思うけれど。
顔を見ることも許されない、声だけしか知らない友人。この喫茶店のこの席で、向かい合わせに座りポツポツと会話を交わすだけの相手。もっと君のことを知りたいとは思うけれど、これ以上踏み込んでしまえばきっと、君は僕の前から姿を消してしまう、そんな予感があった。
「君がおすすめしてくれた本、読んだよ」
本のページに目線を落としたまま、君と会話をできる喜びに逸る気持ちを抑えつけて、なるべく柔らかに口火を切る。窓の外からは相変わらず、しとしとと降り続く雨音が静謐に響いていた。
久しぶりに中学時代の同窓会に出席した
あの頃好きだった克也君に会えるかなぁなんて
ドキドキしながら空いてる席に座った
隣に座った仲の良かった祐子と久しぶりに再開して
あの頃に戻ったかのようなテンションで
お喋りに夢中になった
そうこうしているうちに、向かいの席に男性が座った
あ·····、気まずい
他にも席が空いてるのになんでここに座る?
頼むから他に行ってくれ·····
と、心の中で呟きながらひたすら気づかない振りをする
「久しぶり」と声を掛けてきた
あぁ、何が悲しくて元旦那と顔をつき合わせなきゃいけない?
でも、よく見ると娘とそっくりな一重の目と笑い声
父親らしいこと何もしてないのに、遺伝子だけは受け継がれてるんだなと改めて思う
って、私が会いたかったのは3年2組のあなたじゃなくて
3年1組の克也君なんだよ!
と、心の中で呟きながら中学時代の話にみんなで盛り上がる
結局、克也君は仕事の都合で参加出来ず
懐かしい昔話と離婚当時の嫌な思い出
両方味わうことになるとは·····
まっ、楽しかったから良しとしよう!と前向きに考えた
向かい合わせ
向かい合わせに恐怖を感じ
目を背けるのも上手くなった
いつしか目を見ることもできなくなり
自分を見失う
旅に出たが
同じところを回るばかり
自分の影に追われ疲れ果て
私の前に戻ってくる私
【向かい合わせ】
ねぇ、君はさ
なんでいつもそんなやつなの?
どんなことにも真剣になれなくて
どんなことでも手を抜かない。
そんなだから
失敗しても成功しても
中途半端な感情しか湧かないんだよ。
みんな真剣になって、頑張ってるのに
君はその横で適当に頑張ってる。
この前だって
負けて悔しかったはずじゃんか
みんな泣いてて、落ち込んでた
なのに君は負けても悲しくなくて、
悔しくもなかった。
真剣に頑張ってないの?
手は抜かなかったはずだよね?
なんで……?
違う?何が違うの?
"私だって頑張った。手なんて抜くはずがない"だ
じゃあ何故、
次はもっと頑張ろうって思えてないの?
悔しがってないの?
もっと心の底から悔しがれよ。
泣くのを見せたくないとか
泣くのはキャラに合わないとか
どうせそういうくだらない理由でしょ?
見て見ぬふりしないでくれる?
ちゃんと向き合えば悔しい気持ちかただの羞恥心
どっちか出てくるよ
こんなに表面上本音が出てくるなら
裏面上の本音はもっといっぱいあるんじゃない?
もっと僕と向き合ってよ
―――――――どうせこれも嘘だろ。アニメ見すぎ
もう一度だけでも
あなたと
向い合せになりたいと
願う心の
哀れさよ
粉雪
細雪
淡雪
牡丹雪
吹雪…
どれほど
月日が流れても
悲しみは
今日も
雪のように
降ってくる
# 向い合せ (257)
「向かい合わせ」
探偵は一枚の紙を差し出した
紙の真ん中に妻の名前を書く
そして妻を取り囲む男性達の相関図…
Uber Eats ピザの宅配 ウォーターサーバーの営業 水道業者
「このラインナップ…来る者は拒まずって事ですか?」
「そうですね、一番回数を確認できたのはUber Eatsの男性ですね、ちなみにUber Eatsとはすごい食事という意味らしいです」
すごい食事…この探偵、なにが言いたい?
「その次に会ってるのが宅配ピザのLサイズの男性ですね、あ、違います…奥様がいつも頼まれてるピザがLサイズでした」
Lサイズの男性…どの部位の話だ?
「あとウォーターサーバーの男性と水道業者の男性とはマルチプレイを楽しんでらっしゃるようですね」
いや、言い方!探偵は彼等から妻の名前に向かって矢印を書き『すごい食事』『Lサイズ』『MP』と記入した
いや、書かんでも!!ここで私のHPはゼロになった
「向かい合わせ」
僕は電車の中
窓に並列しているあの座席に座ってる
この車両はすかすかだ
僕も含め5人いるかいないか
その中の一人
僕より背は低く
年上かな?
おそらく20歳前後
可愛らしく大人っぽい
座っている場所は
僕の真正面
視界の端にこっそり置くことしか出来ない
見ているとは思われたくない
でも確かめたい
雰囲気から伝わるその魅力
私は電車の中にいる
ロングシートの電車でスマホを見てる
乗客はすくない
私を入れて5人ほど
その中の1人
私より背は高い
年下かな?
18とかかな
少しチャラくて大人しそう
座っている場所は
私の真ん前
しっかりとは見れないからぼやけてる
見てるとは思われたくないな
でも見てみたい
こっそりならバレないよね
向かい合わせ
私達は、どんな時でも向かい合わせで愛を語り、愛を誓い合う…お互い背を向けて話す事は、1度も無い。何時だって、話す時は、向かい合わせなんだ。食べる時も、話す時も、どんな時も…もちろん、結婚式だってそうだ。結婚式だって、向かい合わせで、愛を誓い合う。早く貴方と同棲したい。早く貴方と結婚したい。日に日に膨らむ想いは、止まらない。ホントに愛してやまないよ…これからもずっと貴方の隣にいたい…
私は姉で、あの子は妹。
双子の姉妹は瓜二つ。
向かい合わせになれば、まるで鏡のよう。
こんなに何もかもそっくりなのに。
どうして彼が選んだのはあの子のほうなのだろう。
私とあの子は瓜二つで、全部が全部、おんなじはずなのに。
ああ、そうか。
どちらも同じだから。
二つあると価値が下がるのか。
だったらひとつはいらないよね。
ふたつがひとつになれば。
彼は私を愛してるのと同じこと。
私は姉で。私は妹。
向かい合わせになったら。
私は私を──。
【向かい合わせ】
向かい合わせで座るキミ。
最初は緊張してたけど
だんだん向かい合わせで座るのが当たり前になったね。
好きなメニューも、話す話題も少しづつわかってきて
まるで一緒にいるのが当たり前みたいになって、このファミレスにいるのも慣れてきたかな。
たとえば ひとりで満喫したい時間があったとして
たとえば ちょうどその席しか空いてなくて
たとえば ぐうぜんまったくの他人が目の前に来たとして
そんな「たとえば」でむかいあったひとはもしかしたら
少し意地が悪いかもしれない
少し人相が怖いかもしれない
そんな向かいあわせの席に想像をふくらませながら
パンケーキを1口
#向かい合わせ
【向かい合わせ】
夕焼けで思わず視界が歪みそうなあの日
白く柔いカーテンが生きて揺れている静かな教室
廊下ですれ違えば、少し話すだけの仲の君と
はじめてちゃんと話した日だった
同じ歌手が好きだということが分かり
その日の放課後、心は何かで満たされたいと
はじけていて、とてもわくわく焦っていた
机と椅子を引きずり、君と僕は
自分の話したいことを精一杯話し、また
相手の話したことを優しく受け止める
そんなあっという間な時間だった
君の黒髪に優しくオレンジの日が当たれば
僕を虜にするように、上目遣いで僕を見つめた
言葉にはできなかったけどとても、
好きというものに近い感情だったのかもしれない
しかし、それはろうそくの煙のように
ゆらゆらと消えてしまう夢であった
素晴らしいあの頃の夢、でしかない
スマホのタイマーの無機質な音に苛つく朝がきた
心までは温もりは届かないのに毛布を被る
楽しくもない毎日が今日も始まる
曇ったガラス窓に夕焼けなど差してはくれない
失った時間も、人も、なにもかも
僕には大きすぎたのかもしれない
ため息は僕を落ち着かせ、現実に引き戻す
目から流れる涙の意味は、まだ知らない
とある喫茶店。
僕の目の前にいるのは、かつて友人だった女性。
物憂げな瞳で、
長いスプーンをくるくると回し、
アールグレイティーを一口。
ほぅ、と細い息を吐いてから、僕を見つめる。
口角をほんの少し上げ、
目を細める。
その微笑みは偽物。
心からなんて笑っていない。
……結婚したいなんて、言うんじゃなかった。
我儘言うんじゃなかった。
「友達のままでいよう」って、彼女は言っていたのに。
〜向かい合わせ〜
机を挟んできみと向かい合わせで座る。それだけのことなのに、どうしてこんなに緊張するんだろう。目も顔も見れなくて、ずっと下を向いてしまいそう。これじゃ、変に思われるよな。
#向かい合わせ
君と机を挟んで向かい合わせに座る。
久方ぶりの君との食事。
楽しみで楽しみで、出汁から取って君の好きなものを沢山作ったんだよ。
それなのに、君は一言、「いらない。」だって。
「俺はお前以外に好きな人が出来た。別れてくれ。」
なんて残酷なんだろう。
君と付き合って早5年。君が待っててと言ったから、結婚の話も出さなかったのに。
ねぇ、知ってる?私もう三十路なんだよ?
君のわがままに付き合ってここまで待ったのに、好きな人が出来た?
はは、許さない。許せるわけ、ないよね。
殺してやる、殺してやる、殺してやる!!
交際相手を殺した女性の日記。これ以上は黒く塗りつぶされて読めなくなっていた。
[向かい合わせ]
隣同士で座ってると顔を見なくてもよかった
ファミレスで向かい合わせで座って
久々に君と食事する
笑顔でこっちを見てる君
私どんな顔してるかな?
ちゃんと笑えてる?
やっぱり復縁したいといい
再アプローチしてくる君を
どんな顔で見たらいいんだっけ?
もう長い付き合いだというのに、思い返せばふたりは互いの目をまともに見た記憶がない。人と話すときに、相手の顔を見れないタイプゆえにだろうか。それとも、そもそも他人に興味がないのだろうか。スマホをいじっていた手が止まる。「あのさ」、同じ第一声にかち合う視線。隣り合うだけでは分からなかった、向かい合っているからこそ知る、相手の表情。
ほんのりと色付いた顔を伏せて、どちらともなく笑みがこぼれ出る。再び目を合わせれば、これからはきっと、瞳に映るその光景が一等愛おしいものになる筈だ。
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向かい合わせ
俺の彼女は、どうやら他の男がいたらしい。
彼女は、俺に対して向かい合わせで座っており、隣の男に縋り付いている。
何かおかしいとは思っていたのだ。
数年前から付き合っていた彼女は、ここ最近俺の家に泊まりにくることが少なくなっていた。
仕事に追われ、趣味を楽しみながら、彼女に喜んで欲しくて、彼女の好きなものを作ったり買ったり。
なかなかに楽しんでいたと思う。
あの日、彼女から「別れよう」と言ってきた時から、全て変わってしまったんだろう。
その後、彼女の夫を名乗る男が弁護士と共にやってきた。
彼女はそもそも既婚者で、今回のような件はこれまで両手に余るほどあったのだとか。
「そろそろ本気でウチを追い出さなければ。」
「そうですね、お子様への接近禁止命令すら守っていないご様子なので、裁判を起こすまでもなく落とせます。ですが、今回の件で被害にあった(俺の名前)さんなどには賠償金を払ってもらうということになっています。つきましては、裁判での証言にご協力いただきたく〜」
金なんかで解決できると思っているのか。
そう思ったが、この人たちに言っても反論されて彼女に対するこの怒りをぶつけられないように思ったので、やめにした。
そして今、俺は証言台に立っている。
この数日後、裁判が行われた。証拠集めは殆ど終わっていたようで、粛々と進んでいく。
彼女が何かぶつぶつと言っているが、よく聞こえない。
ふとこちらを見たかと思えば、救世主見つけたりと目を輝かせ、こちらに向かって叫んできた。
ああ、ここで終わりなんだ。
そう思った。
「そっちもおきた?おはよ!」
同時に座る
同時に手を振る
「っふふ」
同時に笑う
「わたしたち いつも いきぴったり」
鏡と向かい合わせになった少女
無垢な瞳を輝かせ鏡に手を伸ばす
「きょうは どんな ごはんかな 」
狭い部屋にただ1つ置かれた鏡
中の自分と話す少女
□□□
「今日もなんて可愛いんだろう」
薄暗い部屋に並ぶモニター
「今日は 娘に何をつくろうかしら 」
「この子の好きなもの 聞いとけば良かったわ」
モニターと向かい合わせの女は笑う
「いえ…」
「私の好きなものを好きにさせたらいいのよね」