『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
向かいあわせの恋は
まだ出来そうにもないから
だけどせめて
貴方を視界に入れる
そこから始まる
夏の終わりの恋
お題
向かいあわせ
あなたと向かい合わせで座る。
初めてのことに、胸がドキドキと大きな音を鳴らす。緊張が収まらない。
上手く話せるかな? まずは落ち着かないと。
あなたがまっすぐこちらを見る。目が合って、心臓が更に飛び跳ねた。
そうしてじっと見つめたまま、あなたがゆっくりと口を開いた。
「おまえがやったんだろ?」
「だから僕じゃないですってお巡りさーん!」
『向かい合わせ』
「向かい合わせ」
僕らは見つめあい
向かい合わせで座っていた
きみは突然
僕を抱き寄せた
一体どうしたんだろう
きみは少し震えている
何故だろう
僕の体は湿り気を帯びてきた
ふいに離れたきみを見たら
ポロポロと涙を流していた
僕はどうしたらいいかわからず、きみの膝の上へ飛び乗り涙を僕の舌ですくいとってあげた
昔、きみが連れていってくれた海の味がした
悲しまなくていいんだよ
僕はもうすぐきみのもとからいなくなる
今まで本当にありがとう
楽しかったよ
きみと一緒に過ごせてとても幸せだった
僕らは向かい合わせになる
きみを上目遣いで見つめ僕は泣く
「ワンッ」
けたたましい鐘の音が脳髄に刺さった。
生暖かい地面へ足を踏み出した。
当たり前の味を無心に頬張った。
無心に衣を取り替え、乱れをとかした。
人混みに混ざり、暑さがより一層身を包んだ。
無機質な機械音が喧騒の中に響き続けた。
いつもの定位置で足を止めた。
気のせいじゃない、確かな脈拍。
意を決して顔を上げる。
向かいのホームには、優美な青年。
狼の子どものようだった。
名も知らない彼を、毎朝目に焼き付けてる。
決して交わらない視線は、熱を帯びた。
メル、知っているかい、雲が一面の青空になる瞬間のことを。
メル、覚えていてほしい、冷たい手も温かい手も、同様に尊いことを。
メル、君はとても綺麗だ。
他のどの地点の君よりも、今の君自身こそが、いつだって綺麗だ。
『向かい合わせ』
「寝ている間に、動いているんだよ」
僕がそう言うと、よくある話だね、と友人は紅茶を一口飲んだ。
「毎晩なのかい?」
「毎晩だ。しかも少しずつ近づいている」
「ふうん。努力家なんだな」
パンケーキにメープルシロップをたっぷりとかけつつ、明後日の方向に相槌を打つ。僕が珈琲を啜りながら詳細を話すと、友人はうんうんと頷きながら、更に頓珍漢な返答をした。
「君のことが好きなのかもしれないね」
「好き? 普通は逆だろう」
「ベッドサイドまで来たんだろう? 君に危害を加えたいのだとしたら、もう十分に可能な距離じゃないか」
「ベッドサイドに辿り着いて、力尽きたのかもしれない。君の言う通り努力家だとしたら、今夜か明日にはもうひと頑張りして僕を殺すかも」
そういう考えもあるなあ、と間延びした声で言いながら、友人はパンケーキを頬張った。
「一つの恋が終わるのか、それとも命が終わるのか。気になって眠れやしないな」
「じゃあ、今晩泊まって一緒に見届けてくれよ」
「とばっちりはごめんだ」
「やはり危ないと思っているんじゃないか」
まあまあ、と口の端にシロップを付けた間抜け面で僕を宥める友人だったが、ふと真顔になり、何かを考えるように視線を宙に向ける。
「どうしたんだい」
「いや──ちょっと試したいことがあって。一度解散しよう」
そう言って残りのパンケーキを一気に食べ、友人は席を立つ。
その顔が悪戯っぽい笑みを浮かべていたので、僕は少し不安になった。
三十分後、友人は古い木箱を持って僕の部屋を訪れた。
「何だい、それは」
「ああ、この子かい」
僕の問いを無視して、友人は棚の上に置いたビスクドールの顔を覗き込む。色素の薄い友人の横顔も人形のようで、少しどきりとした。
「なかなか美人じゃないか。やるねえ、君も」
「その箱は何なんだい」
再度尋ねると、友人は振り返って、にやりと笑う。
「ライバルだよ」
そう言いながら、友人は箱を開けて中身を──妙に煤けた日本人形を、取り出した。
ビスクドールの隣に置いた時計を下ろし、代わりに日本人形を置いて、二体を向かい合わせる。黒を基調としてシンプルに揃えた部屋の中で、そこだけが異様な空気を放っている。
「これでよし」
「よくないよ。何なんだい、その人形は」
「同じようなやつだよ。このお嬢さんが君に恋をしているにせよ、殺そうとしているにせよ、互いに牽制しあってくれるかもしれない」
「同じって、動くのかい?」
「らしいよ」
事も無げに言う友人に、僕は顔をしかめる。放り出された箱に目をやると、内側に煤けたお札がびっしりと貼られていた。
どこでそんなものを手に入れたのか。聞こうと思ったが、関わりたくなかったのでやめた。
「結託して僕を殺すかもしれないだろう」
「まあ、その時はその時さ」
快活に笑いながら、友人は日本人形の頭をぽんぽんと叩く。
「それじゃあ、明日また来るよ。この時期は、発見が遅れるとすぐ腐る」
「やっぱり泊まっていかないか」
「何だい。君、こういうのを怖がる質じゃないだろう」
「死ぬかもしれないとなったら別だよ」
「大丈夫。死んでも私達は友達だ」
やはり頓珍漢な返答をして、友人は本当に去っていった。
不気味な日本人形と木箱をそのままにして。
翌日。
連打されるインターフォンの音で目を覚まし、寝起きの僕の顔を見て些か残念そうな様子の友人を迎え入れる。
「これは凄い!」
部屋に入るなり、友人は叫んだ。
首のちぎれたビスクドールと四肢を喪った日本人形は、二体仲良く棚の下に転がっていた。パーツは点々と部屋を横断し、ビスクドールの頭と日本人形の右手が、ベッドの下まで辿り着いている。
「執念だな。君、物音や気配で起きなかったのかい」
「快眠だったね」
図太いな、と友人は笑うと、ばらばらになった人形二体を寄せ集め、木箱にぎゅうぎゅうと詰め込んだ。
「今日はちょうど、燃えるゴミの日だ。このまま捨てよう」
「それでいいのかい? お祓いとか、そういうものは」
「いいよ。多分、もう空っぽだ。仮に残っているとしても、燃やせばお仕舞いさ」
ねえ、と友人は人形の残骸に声をかける。
僕には一瞬、箱の中の二体が友人を睨んでいるように見えた。だが友人が直ぐに箱の蓋を閉めたので、気のせいだと思うことにした。
「毒をもって毒を制す、だね。私は君の命の恩人になるわけだ」
「恋がどうこうと言っていたくせに」
「君を怖がらせないための優しさじゃないか」
適当なことを言うなあ、と僕は肩を竦める。
友人は勝手にキッチンからゴミ袋を持ってくると、木箱を入れてサンタクロースのように担いだ。
そのまま玄関に向かう背中に声をかける。
「まあ、終わったならいいよ。ありがとう、助かった」
一息つこうと、ベッドに座る。
すると友人がくるりと振り向き、それはどうかな、と呟いた。
「ビスクドールの左目がなかった」
「え?」
「まだこの部屋のどこかで、君のことを見ているってことさ」
そう言って微笑むと、友人はばたんと大きな音を立ててドアを閉めた。
残された僕は、部屋を見回し、ベッドの下を覗く。
友人が木箱を閉める前。人形の顔を見たが、両目は揃っていただろうか。いや、そもそも、あの人形はどんな顔をして、どんな服を着ていた?
いやいや、と首を振る。いくら何でも、片目がなければ気付くだろう。きっと、友人の質の悪い冗談だ。
そう思ってはいるが。
『執念だな』
ベッドの傍に落ちたビスクドールの頭を見て友人が言った言葉。それを思い出し、再び部屋をぐるりと見回す。
一瞬、何かと目が合ったような気がして、僕はそっと視線を落とした。
『向かいあわせ』
向かい合わせ
鏡を向かい合わせたらって怪談、実際にやれる環境が作れないよね。
鏡はふたつあるけれど、形が違うからうまく覗ける形になれないし、何てったって鏡の中に鏡が映るのを覗いたら私も映っちゃう。
鏡の中に鏡、その中に鏡。
どれだけ繰り返しても『鏡』でしかないのに、何が怖いの?
鏡の世界か、鏡の世界を覗く私がいるか。
ふたつにひとつしかないのなら怖いはずがない。
ああ、でも。
鏡の中の鏡は割れているのに、合わせた鏡が割れていないこともあったような……?
僕はいつも君の隣に座る。
それはずっとくっついて
いたいからなんだ笑
君のことが好きで、一生そばに居たいと
思った。
6月のある日、君は白いドレスを着て、
僕と向かい合わせになった。
そして僕は、そのまま口づけをした。
向かい合わせの電車に知らない人が前に座ったらとても気不味いと思っているのは僕だけ?
向かい合わせで座りたい派
横もいいけど、食べてる表情がみたいし、
顔みて話したい。
あ、これは気持ち悪い
#向かい合わせ
君と二人でお昼ご飯
向い合せで座ってる
ふと、視線を上げてみると
こちらを見つめる君がいた
自然な笑みが溢れて
どちらともなく笑い合う
そんな時間が
僕にとっての
一番幸せな時間
無限の空間は鏡の迷路のよう
出口を探し彷徨い続けた結果
自我が崩壊してしまったようだ
#向かい合わせ
鏡
目の前にいる者の良いところを認めよ
目の前のにいる者の醜さを忘れよ
目の前の者を愛せ
目の前の者の油断を見逃すな
目の前の者を許せ
※向かい合わせ
113
横並びで、ドキドキしながら手を繋いではにかんで
向かい合わせで、見つめ合い両手を握り合って愛を誓って
また横並びで、あなたは右私は左の子どもの手を繋ぎながら前を向いて
時には睨み合いながら子どもの手をお互いが強く引っ張って
子どもが巣立った後、手が届くか届かないかのところにあなたはいた
頑張って手を伸ばせば掴めると思う
でも、また手を繋いで歩く?
向かい合わせであなたと見つめ合う?
どうしよう
頑張ってまで手を伸ばす気にならないな
伸ばしたとして、あなたが握り返すとも思えないし
でも、1人はきついし
やっぱり現状維持かな
『向かい合わせ』
向かい合わせで座ってみて
あなたと私、共通点があるかな
同じ海からやってきた
同じ島からやってきた
同じ意識でできている
私たちは同じと言うことを、そこからの表現
(ずっと観ていたかった)
ふたりがけの椅子、彼女の好きな珈琲
(難しい顔して笑わないでよ)
引いたままのそれを 一度も動かせないままだ
(何を思い出したのか聞き出したい)
声が出ない 暫く泣いたままだったな
【ハンバートハンバート】
じぶんたちには来ないものだと
痛まない切なさだけ都合よく消費したんだ
【ハンバートハンバート】
呪文みたいに唱えてる
同じ思いは
同じ話、は
もうぼくらだけでたくさん
私は毎日何の代わり映えしない日々を送っている。
朝は時間を気にすることなく起きて
気だるそうに目を開く。
歯を磨いて、顔を洗って、
今日は何をしようかな。
やる事ないなー。
ある日、突然やる気を失った私は
仕事を長らく休んでいるからか、
何にも頑張れなくなった。
頑張るって何だっけ…とすら思うようになった。
壊れたのだ。
ロボットだったら、修理が必要な感じ。
ボーっと鏡を見つめると
バリバリと働いていた時の私がでてきて、
あの時の…何か妙に明るい世界の私から
叱咤されている気がしてきた。
いや、今は何も聞きたくないんだよね。
暗い世界にいる今の私が、そうはっきり言う。
キラキラしていた世界と
荒廃した世界。
両方を知った私。
鏡の前に立ち尽くす女。
一方ははっきり、くっきり明るい日差し。
もう一方は暗くて荒れた景色。
イラストにしたらなんか、面白そうだ。
明と暗。
向い合せになっている2つの世界は
両方から私を引っ張る。
どっちがいい?
どっちに行くべき?
それは…キラキラしていた方がいいですよね。
充実してそうですもんね。
外野は言う。
でも、ちょっと待って。
考え方を少し変えてみたら
明るいと思っていた世界の私は
ただの無理をしている私だった。
笑顔だけど自分に嘘ついて、何かを犠牲にしている。
一方で荒れ果てている腐った世界だと
そう思っていた今の私の世界は
疲れたらちゃんと休むし、案外のんびり、
自分に嘘なくマイペースにやってる。
明るい中に、幸せは多そうに見えるけど実は…
って事が潜んでいる。
もし今が暗かったとしても実は幸せが十分にある。
むしろ、自分にとってはストレスが少なくて
本当はこっちの方が良い世界なのでは無いだろうか。
明と暗が向い合せになって初めてわかる
自分の発見や、世の中のアレやコレ。
何が幸せか何が不幸せかなんて
明るさなんて関係なく、
基準は自分の中にしかない。
#向かい合わせ -30-
ガラスの向こうで忙しそうに行き交う人々を横目に私は目の前に並べられた、いや目の前に座る二人に唖然とした。
「あ、すいませーん。ザッハトルテ一つ」
二人の片割れが店の者に注文した。それに続きその片割れも注文をした。
「すいません。ケーキお代わりで追加でタルトも」
店員の軽やかな声が聞こえてくる。
ここは何処にでもある普通のスイーツ喫茶、そこで''ただ''の休憩をする為に赴いただけだ。
そう''ただ''の…普通の休憩
「イヤイヤイヤ、まだ食べるおつもりで!?」
「「うん」」
「すいません、少し眩暈が…」
ただの、普通の、休憩ではあるのだ。
ただ、目の前の注文の量がえげつないのだ。
「今までにどれ程注文したのか分かっていますか!?」
「「え?」」
「…え、な、なんですか」
お二人はきょとんとした顔を浮かべ私を見てきました。こうなるとこちらが間違っているかのように思えてきて少々焦ります。
「「まあまあ」」
「…」
内心叫び出したいくらいです。
二人はマイペースと言うのかなんと言うのか……
「このお皿と容器の量を見てください!もう机が埋まってしまいましたよ!!?」
ある程度はお店の方が下げてくれましたが、下げられたらそれでどんどん注文をしていきました。
「第一、この量を本当に食べられるのですか?」
「「食べれる」」
大体さっきから何故同時に喋るんだ、お二人は双子ではありません。証拠に姓も顔も違います。
ただ、甘いものに目がないのです…。
「ほとんどの皿は彼のだけどね」
「何言ってんのおまえもそれなりに頼んでる」
「私からしたらお二人共同じくらいですよ…」
向かいに座る相席の方々はその後もスイーツを食べていた。
この人達とは向かい合わせで座りたくない…いや、同じ席に座りたくない。
一番の理由はコレだ。
「すいませーん。青い春の一時を甘酸っぱい恋で仕立てたケーキと甘く赤く熟れた青春の果実のパイを追加で」
「すいません。きゃピきゃピるんるんケーキと魅惑のニャンニャンラテも追加で」
私は先に帰ると二人に言い席を立った。
今思えばお二人と私とでは年齢が多少離れているだからか、だからなのか?何故あんな恥ずかしげもなく涼しい顔してアレを注文出来るんだ!!?
↑この人二十前半
二人←十八
因みに三人は男である。
空は快晴
落ち込んでいる時、
嬉しいことがあった時、
君はいつもすぐ気づいてくれるね
向かい合って抱きしめてくれる君が
大好きだよ
「こ、こんにちは」
「き、きょ、うはよろしくお願いいたします…」
男のくせに、めっちゃ緊張してるじゃん。
「あ、あの」
「最近は、何かされていらっしゃるんでしゅか!」
「あ……」
噛んでるし。
「ご、ごめんなさい……」
顔、赤……。
初めてのお見合いってバレバレ。
まったく。
運命ってのは分からないもんだね。
心の中でめっちゃ文句言ってた相手が
今の旦那になるなんてね。
ー向かい合わせー