白鳥

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私は毎日何の代わり映えしない日々を送っている。
朝は時間を気にすることなく起きて
気だるそうに目を開く。


歯を磨いて、顔を洗って、
今日は何をしようかな。
やる事ないなー。

ある日、突然やる気を失った私は
仕事を長らく休んでいるからか、
何にも頑張れなくなった。
頑張るって何だっけ…とすら思うようになった。
壊れたのだ。
ロボットだったら、修理が必要な感じ。

ボーっと鏡を見つめると
バリバリと働いていた時の私がでてきて、
あの時の…何か妙に明るい世界の私から
叱咤されている気がしてきた。

いや、今は何も聞きたくないんだよね。
暗い世界にいる今の私が、そうはっきり言う。

キラキラしていた世界と
荒廃した世界。
両方を知った私。

鏡の前に立ち尽くす女。
一方ははっきり、くっきり明るい日差し。
もう一方は暗くて荒れた景色。
イラストにしたらなんか、面白そうだ。

明と暗。

向い合せになっている2つの世界は
両方から私を引っ張る。

どっちがいい?
どっちに行くべき?

それは…キラキラしていた方がいいですよね。
充実してそうですもんね。
外野は言う。

でも、ちょっと待って。
考え方を少し変えてみたら

明るいと思っていた世界の私は
ただの無理をしている私だった。
笑顔だけど自分に嘘ついて、何かを犠牲にしている。

一方で荒れ果てている腐った世界だと
そう思っていた今の私の世界は
疲れたらちゃんと休むし、案外のんびり、
自分に嘘なくマイペースにやってる。


明るい中に、幸せは多そうに見えるけど実は…
って事が潜んでいる。

もし今が暗かったとしても実は幸せが十分にある。
むしろ、自分にとってはストレスが少なくて
本当はこっちの方が良い世界なのでは無いだろうか。

明と暗が向い合せになって初めてわかる
自分の発見や、世の中のアレやコレ。

何が幸せか何が不幸せかなんて
明るさなんて関係なく、
基準は自分の中にしかない。   


#向かい合わせ                  -30-

8/25/2023, 6:33:04 PM