けたたましい鐘の音が脳髄に刺さった。
生暖かい地面へ足を踏み出した。
当たり前の味を無心に頬張った。
無心に衣を取り替え、乱れをとかした。
人混みに混ざり、暑さがより一層身を包んだ。
無機質な機械音が喧騒の中に響き続けた。
いつもの定位置で足を止めた。
気のせいじゃない、確かな脈拍。
意を決して顔を上げる。
向かいのホームには、優美な青年。
狼の子どものようだった。
名も知らない彼を、毎朝目に焼き付けてる。
決して交わらない視線は、熱を帯びた。
8/25/2023, 11:33:40 PM