『友だちの思い出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
名前を覚えてる
ヨシエちゃん
笑う時いつも口に手を当てて
首を少し左に傾けて
ふふふって笑う
ユウキちゃん
いつも一緒に
手を繋いで
走り回っていた
お絵描きしている時
二人がじっと私を見て
唐突に言ったんだ
『どうして瞬きしないの?』
何のことかよく分からなくて
どういう事か聞いたら
絵を描いている間
全然瞬きしていないから
不思議だって言われて
自分は全然知らなくて
意識してやっていた訳じゃなくて
『わかんない』
って答えたら、何故か3人で
瞬きガマン競争する事になって
きっとあの頃はあの頃で
悩みとか色々とあったと思う
でも今はそんな思い出なんかなくて
ただただ二人の笑顔だけが
朧気に思い浮かぶ
他の子の名前も顔も
全然思い出せないのに
ヨシエちゃんとユウキちゃんのことだけは
今でもフルネームで憶えてる
今、何をしていますか?
元気でいますか?
結婚して、子供が出来て
もしかしたら
孫まで居たりしますか?
きっと今すれ違っても
お互いのことは
分からないと思う
そしてこの先
あなた方の人生に
私が絡むことはないと思う
けれど
あなた方二人は
私の中の一番古い
友だちの思い出
それはきっと、この先ずっと
絶対に、絶対に
変わることはない
お前を否認する奴がいて、お前の何がわかるという
マントルを見れる人間が、どこにいるというのだ
『友だちの思い出』
貴方と遊び、笑い合った日々。
貴方とすれ違い、喧嘩した日々。
貴方と仲直りし、遊び合う日々。
私のただ一人の仲間である貴方と、一緒に居た日々。
全てが良い思い出だった。
…しかし。
あの日々は、二度と帰ってこないのだ。
いつ消えるかわからない思い出は、振り返ればそこにある。
ソレは、今日も楽しさと、虚しさを運ぶ
友達の思い出。
友達との思い出は
色んな推し事。
今も
めちゃくちゃ
楽しかった。
土曜は
久しぶりに
2人に逢えるから嬉しい。
友達の話なんだけどね、
ぼくはきみからそう切り出される話を聞くのが好きだ。
きみが話してくれる「友達」の話はとても魅力的で
【思いついたらかきます】
友達の思い出
小さい時からの友達や大人になってからの友達
はたまた社会人になってからの友達と数々の出会いがあったと思う
その友達になるのには時間がかからなかったり、いつの間にか仲の良い親友になったりと人との繋がりは不思議で曖昧だ
ただ友達と思い出に残るようなことをしたり共有してきた事はいつまでも心に残っていくものだ
こうした思い出の数々が自分というパーソナリティを形成し、人格を作っていくことになる
そこに自分が社会やコミュニティで生きる自分なのだ
思い出を作ることは自分の幅を広げ、大きく成長出来得るかけがえのないもの時間である
大いに友達やあるいは親友と時間を過ごしより良い成長に繋げていってほしい
仲良くなる度に喧嘩の数も増えて
中々素直になれないで ごめんねが遠く
勇気を振り絞れば言葉のユニゾン
なんだか不思議ね 容易く笑顔になれる
お互いがつけた傷を覗き込めば
生まれた意味にだって 気付けると思う
約束をした場所で もう一度 ちゃんと話したい
今度は逃げないで 二人三脚 まだ取り戻せるかな
聴こえるでしょう 私のメロディが
響いたら その声で 教えて欲しい
私の中に届いたよ あなたのそのリズム
奏でて 重なって 近付けるから
見付けた言葉は ちょっと違うけど
多分そのままでいいんだ
さぁ 手を繋ごうよ 大丈夫 離さないから
音符に名前をつけよう 一緒に
理想の高校生活は屋上で弁当食べたり、体育館裏で告白といった青春ができるところだと思っていたけど、現実はそんなことなかった。
それでも友達とバカやったりしてこういうのも青春っていうのかなとか思ったりした。
今もたまに会ってたわいない話したり遊びに誘ってくれるからありがたい。
これからもこういう関係でいたいと思う。
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theme 友達の思い出 2024-07-06
友だちの思い出
幼い頃からずっと。
私には友達が、居ませんでした。
その所為か、私は、
友達という関係の存在を、
知識としては知っていても、
感覚としては、理解出来ずにいるのです。
友達とは、何なのでしょう?
同僚、知り合い、顔見知り…。
それらの人とは、何が違うのでしょう?
家族でもない人に、
心にも身体にも、鎧を着ていない、
無防備な姿を曝す等、
余りに危険な行為ではないのでは、と、
私は考えてしまうのです。
友達の居ない私には、
友達の思い出はありません。
でも。
貴方が、貴方以外の人と過ごす事も、
大切な事だと教えて下さったので、
頑張ってみようと思います。
…もし。
私に、友達との思い出が出来たら、
貴方は、私を褒めてくれますか?
大人になってから友達の大切さが分かると思う。
今は当たり前に周りに友達がいる環境にいるから、その大切に気づけないでいる。だから、この一瞬一瞬を大切に楽しんでいきたい。
友だちの思い出
ほんの些細なことが、
時々日常の中で頭を掠める
お題:友達の思い出
高校2年の春、私は重い病気になって休学した。
正味1年間しか一緒に過ごしていなかった高校のクラスメイトは私の最高の友達だ。
「応援してる!」「何言ってるの?サキさんもクラスメイトだよ♡」「絶対いつかの同窓会は呼ぶからね!」「いつか沢山クラスメイトがいるこっちに遊びにおいでよ〜案内するよ!」
沢山沢山嬉しい言葉をかけてくれた。
いつも自然に私を向かい入れてくれる大好きな大好きな友達だ。
友達の思い出、それは色んなことがあった高校生活だ。
2024/07/08/(日)
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お題:星空
山の中にあるおじいちゃん家から夜は見上げる星空は、物凄く美しい✨
手がとどきそうな程近い。
いつかこの場所で、次はおばあちゃんになったお母さんと子供と一緒に見るのが私の夢だ。
2024/07/07/(土)
誰かの日記がある…読みますか?
はい ←
いいえ
1ページ目 2024年 7月6日
僕は気付いてしまいました。
友達の思い出に居るはずの僕が存在ごと消されていることに。
別に哀しくなんて、ない…です。嘘です。
哀しいし、淋しいです。
何故、僕が友達の思い出から存在ごと消されてしまったのか。
全く、僕の話をしてくれないのです。
何かしてしまったかとか疑問が沢山浮かんできます。僕は此処にいるのにね。
母は普通に話し掛けてくれます。
明日は七夕のにな。
友達と一緒に過ごしたかったなぁ…
ただ、クラスで孤立しているだけなんです。
すぐに現状は、良くならないでしょう。
けど、僕の声が届く事を祈るしかないんです。
手の中にある小さな希望を僕は信じてます。
▹▸2ページ目 2024年 7月7日
多分、7日かな。このページを読んでるってことは……後のページは破れていて読めない。
────此処で日記は終わっている……
……?何やら、破れた紙が落ちている。
…僕はもうこの世にはいれないことでしょう。
僕は殺人鬼になっちゃったよ。クラスメイトは0名に教員も0名に。
学校には誰も居なくなったよ。
誰かこの日記を読んでくれた人、見つけてくれた人へ
あと1人、生き残りがいます。
西村広斗を探して下さい。
この日記を読んだ者が西村広斗なら、自首をしろ。
西村広斗を許すな
──────この日記は此処で終わっている…
……俺の身分証明書には西村広斗と書かれている。そう、俺が恨まれてる西村広斗だ。
……自首しようか?
する
しない ←
「そうか、君は自分の罪さえ分からないのか」
続いてのニュースです。
昨日、男子高校生の西村広斗さんが─────
誰の日記かな、誰の記憶かな、誰のSOSかな?
彼の声は届いたかな、彼の心は救われたかな?
友達の思い出にはもう誰も居なくなってるかな
友達は今日もちゃんと生きているのかな?
友達は罰を受けているのかな?どうなのかな?
西村広斗なら…やっぱいいや。
BADEND?HAPPYEND?
君はどう捉える?
主人公はどっちかな?
メッセージには気付けた?
此処:ここ 哀しい:かなしい
淋しい:さびしい
登場人物は実在する人物とは関係ありません。
「今は生きるのに精一杯で友達との思い出なんてないし作れない。」
私には友達はいない。
そもそも友達って何?
話してて楽しい人?
よく一緒にいる人?
だったらいないな。
私は人の悪いところを見つけて印象をそれで悪い方に固められる天才だし、
人を瞬時に妬む才能もある。
自分で言ってて悲しくなってきた。
こんなに性格が悪いけど、
人間として終わってるけど、
それでもほんの少しの人間らしい良心くらいなら残っているようなしないような。
例えば、駅の切符売り場で機械の操作の仕方がわからなくて困ってそうなおばあちゃんがいたら
話しかけて教えてあげるくらいには良心が残っている。
けれど、知り合いとか、家族でさえ頼み事をされると嫌そうな顔をしてしまう。
自分はだいぶ大変なことでもばんばん頼むのに。
人使いめちゃめちゃ荒いくせして、自分が使われる側になるとむっとする。
なんて性格悪いんだろう。
こんなに性格が終わっている私とそこそこ付き合いが持てる人って、
私と同じくらい終わっている人間か、
聖人かよってくらい悪いところがない人間かの2種類しかいない。
前者と仲良くなるのは至難の業だ。
なぜって私は性格悪いくせして人に嫌われるのは恐れる人間だから、
ほんとは嫌でも良い人ぶってやりたくないことやってしまう人だから、
私はあなたと同じくらい性格悪い変人なんですよってアピールできない。
だから打ち解けられない。
ただ、この点は逃げ道がある。
それはネットだ。
ネットだと良い人に思われたいとか不思議とあんまり思わない。
だからだいぶ素が出せて嬉しい。
こんなに楽なことはない。
どうやればリアルでもこの心構えでいられるのだろうか。
まあいいや。
性格を変えようと思っても変えるのはなかなか難しい。
そう思って行動に移さない自分が嫌いだ。
あとは聖人かってくらい悪いところがない人間とは
近づきづらいし、奇跡的に仲良くなってもならなくてもその人の良いところを妬むことになる。
それで結局病む。
そしてまた自分が嫌いになる。
あー、私一生こんな感じで生きていくのかなあ。
嫌だなあ。
ずっとこの生き方は苦しいけど、
変えるのも疲れるよな。
そんなわけで今は生きるのに精一杯で友達との思い出なんてないし作れない。
友だちの思い出
友だち…
強く記憶にあるのは
小学生の頃の友だち
たった5年しか
過ごせなかった
なのに今でも鮮明に
記憶の中に存在する
もう40年以上前のこと
今のように
ネットで繋がる術もない
きっと完全なる
片思いの友だちだろう
小学生の頃なんて
覚えている方が
不思議なことだろう
それでも、もう一度
会いたいと願う
『ようこそ。故人図書館へ。』
「こんばんわ。本が読みたいんだけど。」
『おや、珍しい。どちらの書物でしょうか?』
「先月亡くなった、僕の友だちのなんだけど。」
『こちら、お探しのものです。』
「ありがとう。」
〈〇〇年〇月〇日 今日、友だちと喧嘩した。俺が羨ましいって、怒鳴られた。俺だって、お前が羨ましいって、怒鳴り返してしまった。明日謝ろう。
〇〇年〇月〇日 俺達は仲直りした。そして、彼と一緒に駅まで行った。駅のホームに着いた。バイバイと彼に手を振った時、彼に押された。タイミング良く、電車が来た。俺を押した彼は泣いているように見えた。許さない。〉
「見なきゃ良かった。何で、恨まれてないかもって期待したんだろう。」
『それは誤りだと思います。最後までお読みに?』
「見なくない。これ以上、惨めな思いはごめんだよ。」
『〈俺の友だちに、そんな顔をさせた奴を、俺は一生許さない。それが俺だとしたら、俺は彼に殺されて当たり前だ。〉』
「…僕の両親さ、小5の時に離婚したんだ。それから僕は教育熱心な母親に育てられた。あの時から、常にテストでは95点以上が当たり前。それ未満だったら、ずっと説教。中学に入ってからは、学年一位を取れって、ずっと言われてきた。それなのに、僕はいつも2位だった。あいつは、いつも一位。」
『貴方様のご友人は、幼少期から親の期待を背負わされておられました。あの方にとって、一位は当たり前だったのです。』
「母親も段々と、僕を見捨ててきてさ。それが一番辛かった。あいつさえ居なければ。そんな最低な思考が浮かんだ。気付いた時には、僕はあいつを殺していたんだ。」
『最低ではありませんよ。あの方は、貴方様に殺される事を望んだ。貴方様はそれを叶えた。それだけです。貴方様が望んだ結果ですのに、何故貴方様はお泣きに?』
「何でだろうね。もう、分からないよ。」
『左様でございますか。今から後を追いに?』
「うん。ちょっと謝ってくるよ。」
『貴方様の物語の終幕は、どんなものか楽しみに待っております。』
『お友だちの思い出、それはパンドラの箱。鬼が出るか蛇が出るか。其れ共、涙が流れるのか。貴方様に、思い出を見る勇気はございますか?』
『本日も貴方様の、物語をお待ちしております。』
この人生では友人が少なかった。
ひと握りの友人はいたが
別段、その人物等の深い事情なんて
知ろうともしなかった。
だが、淡白な私にも例外の子がいた。
けたたましい蝉騒が聴覚を狭め
日差しは強く視野が色飛びする様な
呆れるほどに夏の真っ只中な、とある日
学校帰り、その子の家へ
招かれた事があった。
何て事も無い理由で、一緒に勉強をしようと
普段から人を良く見ている子で
誰かの気分を害した場面も見た事がなかった。
あまり、人と関わろうとしない私を
無意識に気に掛けてくれたのだろう
深くは考えず、お誘いへは快く了承し
二人で自転車に乗り、寄り道などをしつつも
学校から少し離れた一軒家へお邪魔した。
古めの木材と色褪せた畳の香りに
昔の家屋ならではの急な階段を上がり
友人の部屋へと足を踏み入れた。
六畳ほどの一部屋には必要最低限の家具があり
学生にしては飾り気は少ない気がしたが
勉強机の前には眺めの良い大きめの窓もあり
風の通りもよく、居心地の良い空間に思えた。
端を陣取る畳まれた敷布団の近くの土壁
そこに立て掛けられたちゃぶ台を中央に置き
二人だけの勉強会が和やかに始まった。
数学と国語の授業内容の相互理解を
一通り示し合わせた、暫くの後
唐突に襖の戸が大きな声と共にしなる
あまりにも突然の出来事で
私は目を丸くして数秒固まっていたが
友人の行動は慣れた様子で早かった。
今だに、しなる襖の戸を背に
己が体で懸命に抑えつつ
泣きそうな顔で笑ったまま
私へ謝罪を投げ掛けてきたのだ。
「姉さんの機嫌が悪いみたい…
今日は帰ってくるのが遅いって
聞いてたから誘ったのに、ごめん」
怒鳴り声は確かに女性のもので
自分に挨拶もないのかと喚いている
声が降り積もる度に友人は顔を暗くし
私から視界を外していった。
その子の事は、嫌いではなかった。
以前に知人達と食事へ行った時に見掛けた
美味しそうに食べる様子が好ましくて
鞄の底には出しそびれてはいたが
行き道で買ったお菓子も潜んでいた程だ。
少し悩んでしまったが
その子へ、私も謝罪を告げ
菓子折りとまでは行かないが
持ち合わせた物をあるから
是非、お姉さんに合わせて欲しいと
手短に言葉少なく願い出た。
友人は一層泣きそうな顔になったが
納得してくれて襖から身を引く
私がお姉さんへ襖越しに声を掛け
戸から離れる気配を感じてから開け放つ。
顔を真っ赤にし、憤慨する女性に
挨拶が遅れたことを謝罪し
笑顔で害する気は無いのだと菓子を手渡す
間はあったが女性は、しばし菓子を眺めて
何事かを言い捨て別の部屋へと去っていった。
呆然と数十秒を無言のまま立ち尽くしたが
彼女は緊張の糸が解けてうずくまり
私に謝った事で、ようやく時間は戻ってきた。
私は胸を少し撫で下ろしてから
彼女の足元へ腰を落とす
その振動に肩が震えたのが見えて
ほんのりと撫でたばかりの胸は痛んだが
自身から出てきた声は間抜けだった。
「休憩用のお菓子はあげちゃったけど…
もう少しだけ、一緒に勉強してもいい?」
私達はお互いに顔を突合せて
君はその為のお菓子だったんだと吹き出して
ほんの少しだけ、二人で笑ってしまった。
そんな私達は社会に出てからも
気ままに連絡を取り、一緒に過ごしては
あの頃を懐かしんで笑っているよ。
ー 友だちの思い出 ー
友だちの思い出
いないんだ友だちは
だから私にとっての友だちは
ゲームの向こう側にいたり本の向こう側にいたり
目に見えない形のないものばかりなんだ
欲しかったと思いつつ本当は
空っぽな自分を見透かされるのが怖くて
ろくでなしを自覚するのが怖くて
作れなかったんだ
自分の機嫌が取れなくて
イライラをぶつけるのが嫌だった
悪口を聞かせるのも聞くのも嫌なんだ
嫌な人の話なんてしなければいいのに
どうしてそんな話を聞かせるのだろうか
ふとした発言で喧嘩に発展するのが嫌だ
お金にだらしが無いことを知られるのが嫌だ
教えて欲しかったよ お金の大切さ
どうして教えてくれなかったの
ちゃんと叱って欲しかったよ
挨拶しなさいって
なんで誰も言葉をかけてくれないの
なんでなの
嫌だ知られたくない隠していたい
人の目を気にしてばかりだ
そういうのから解放されたい
空を見るのが好きです
映画を見るのが好きです
人の言うことは聞きたくないくせに
人に聞かないと自分が何をすればいいのかわからない
責任から逃れたいと思っていたのか
やり方を知らないだけなのか
どちらなんだ
友だちが欲しかったよ
嫌なことや悲しかったことは
もう思い出さない方がいいよ
辛かったね 嫌だったね 悲しかったね
だからもう嫌なことや悲しかったこととは
さようなら
たくさんの感情や思いを溜め込まなくていいんだよ
今までにさようなら。
過去ばかり振り返っていたら前を向けなくなってしまうよ
前を向ける人になりたいんだ
友だちはできたら良かったけど
それよりも
後悔ばかりする人より
前を向ける人になりたいんだ
だから過去とはもうさようなら
これからよこんにちは
屍体に口なし
彼は桜の木の下で、一心不乱に地面を掘っている。どうして掘っているのか、なんど聞いても教えてはくれない。
ただただ、私には分からない何かを探して、掘り続けるのみである。
その桜の木は、私達が青春を過ごした高校の校庭に生えていたものだった。何十年と昔から若人の日々を見守ってきたソレは今も変わらず鎮座している。変わったのはその周囲だった。時代の変化によって必要とされなくなってしまった懐かしき校舎は打ち捨てられ、忘れ去られた。誰も覚えていないモノなんて弔いを待つ野ざらしの屍体と同じだ。私達の記憶に残っているものは風化し、唯一その存在を示せるのは怪しげな美しさを称えるその桜のみである。
桜色の花弁が混ざり湿った土はうずたかく盛られ、穴の深さを示している。その山が10センチには届こうかという程になっても彼は満足しないようで、その手が止まることは無い。放っておかれるだけの透明な存在となった私に出来ることは、彼が掘っている理由を探すだけだ。
といっても、こんな寂れた廃校舎に何かお宝がある訳でも、穴の中に隠れようとしている訳でも無いようで。私の推理は真相に辿り着く前に崩壊した。
突如カアンと軽い音が響いた。どうやらそれは穴の中から鳴ったらしい。彼の掘る手が期待に満ち、更に早くなる。私もこの無限に続くかと思った退屈に終止符が打たれると思うと心が踊った。私が辿り着けなかった真相を知ろうと穴に近づく。1歩、また1歩と近づく中でふと
「桜の木の下には屍体が埋まつてゐる!」
なんて言葉を思い出した。
読書が苦手だった私は正反対な彼の受け売り知識しかないが、確か梶井基次郎だとか言う人の小説の冒頭だったはずだ。桜の木の美しさの真相を知ってしまった男の話と彼は言っていた。その美しさに狂わされてしまった哀れな男の、独白だと。
もしその男が彼だとしたらどうしようか。この桜の美しさに狂わされ、その下にあるものを探しているとしたら、もしソレが、屍体だったとしたら。あの音が肉の溶けてあらわになった骨の当たる音だとしたら。
いつもなら馬鹿げているの一蹴するはずの考えが、頭から離れない。あんなに知りたかった真実が、怖くて仕方がない。
悩んでいるうちに、彼はソレに辿り着いてしまったらしい。穴に手を突っ込み、恍惚の表情を浮かべる。そして土に塗れたそれを一気に引き上げた。
それはなんてことの無い、金属でできたお菓子の箱だった。私がよく食べていたクッキーの、シンプルなデザインが酷く懐かしい。屍体でなかったことに酷く安堵して、さっきまであんなに怖がっていたことが恥ずかしくなった。
「その箱、なんだっけ。」
彼は相変わらず答えない。なぜ校庭にお菓子の箱が埋まっていたんだろう。巷に聞くタイムカプセルを思い出した。
箱の中に未来への手紙やらなんやらを入れて、埋める。何十年後に掘り出してその懐かしさに浸る。どこかの地域では小学校などで作ることもあるらしいが、私はやったことがなかった。憧れを持ちながらここまで来てしまった。
ガコッと封印が解ける音がして、その中身が見えた。
まず目に入ったのは写真だった。何気ない日常風景、体育祭や文化祭といったイベント、学校外で遊びに行った時の笑顔、そんな切り取られた思い出が何枚も詰め込まれている。
そこまで見て、やっと思い出した。あれは私達が埋めたものだ。タイムカプセルに憧れていた私が、彼や他の友人を誘って埋めたもの。10年後みんなで見ようといって、未来へ送ったタイムカプセルであったこと。そして今日がその10年後であること。
こうして彼しか来ていないのを考えると、約束は彼以外の人には忘れられてしまったのだろう。このタイムカプセルは野ざらしの屍体と同じなのだ。
「思い出なんて今の屍体だ。なんの意味もない。」
なんてセリフを吐いた彼が覚えているとは思わなかった。
「懐かしいねぇ、これとか楽しかったなぁ。」
彼は返事の代わりに、小さな嗚咽を漏らした。箱に詰められた屍体を大事そうに抱えて、とめどなく溢れる涙もそのままに。
「懐かしすぎて涙が溢れてきた?」
問に対する返事は無い。ただ一言、
「どうして居なくなったんだ」
と、彼は誰に言うでもなく呟いた。
謝罪だとか、言い訳だとか、言いたいことは腐るほどあるのに、その全てが彼には届かない。
桜に狂わされて、美しい花の養分になった。今を放棄して、思い出という名の屍体になった私にはこの言葉を伝える術は残されていなかった。
どうか君が、この美しくもおぞましい花と、その下に眠る屍体に狂わされることが無いよう、祈っている。
友だちの思い出
ジョバンニの切符 〜創作 銀河鉄道の夜〜
星めぐり 七夕に寄せて
「もう、ここは白鳥座のおしまいです」
窓の外、まるで花火がいっぱいのようで天の川の真ん中、目も覚めるような、青宝玉と黄玉大きな二つの透き通った玉が、輪になってしずかにくるくる回転していました。
「あれは、水の速さをはかる機械です」
案内人の白鳥捕りが言いかけたとき。
「切符を拝見いたします」赤い帽子を被った背の高い車掌は立っていて言い手をジョバンニとカンパネルラの方に差し出しました。
カンパネルラはさっと灰色の切符を差し出しましたがジョバンニは困ってしまいました、はてさて、切符なんてものを持っていたろうか?またしても記憶が夜霧の向こうで薄ぼんやりするのでした。ジョバンニはカンパネルラを真似てもじもじしながらも、上着のポケットに手を入れてみましたら、封筒の端に手があたりました。封筒の中には折りたたんだ紙が入っていました。
「こんなもの入っていたろうか?」ジョバンニは呟いてみながら、その紙切れを車掌に手渡しましたら、車掌は上着のボタンを締め直し真っ直ぐに立直してから、その紙を広げるのでした。
「これは、3次空間からお持ちになったのですか?」と尋ねられ
「なんだか分かりません」そう言いながら、とりあえず大丈夫だとふんだジョバンニはカンパネルラの方を見て安堵したように微笑んた。
「そういうことなのですね、ジョバンニさん大丈夫ですよ、あなたはあの子を救ってここにいらした、お母さんは今は悲しみにくれているでしょうが、次の次の七夕には、ここを見上げあなたを誇りに思うことでしょう」
「えっ…?」ジョバンニは車掌に問い返そうとして
カンパネルラに眼を向けた、カンパネルラはただ黙って深くゆっくり瞼を閉じながら頷いた。
ジョバンニは、なんだか聞かなくても良いようなそんな安心感に包まれた。
「よろしゅうございます 次はサザンクロス駅にございます ご乗車時間が迫っておりますのでご乗車のご準備を」そう車掌は言いその紙切れををジョバンニに渡し向こうへ行った。
「カンパネルラ…」ジョバンニは声を詰まらせた「ぼく、きっと、ぼく、きっと」言葉にならないジョバンニにカンパネルラは、ジョバンニに向き直って「これは、天上界へ行ける切符たよ、きみはザネリを救ってあの裂くような言霊のザネリを救ってここに来たのだから」
「わからない、ぼくは、ほんとうに幸いなの?ぼくが幸いだとお母さんら幸いになれる」
「そうだよ、きみは幸いの王子だ」
「なんだか、わかりませんでした、嫌いなザネリを救いぼくは幸いになりここにいるの、ぼくはひかりにつつまれているから幸いで、お母さんはぼくを誇りに思ってくれる」ジョバンニは赤くなって答えながら、その天上界まで行ける切符をたたんで封筒に入れ直しポケットに入れました。
「もうじき、鷲の停車場だよ」カンパネルラが車窓遥か、三つ並んだ小さな青い三角標と地図を見比べ言いました。
「ねぇ、聞いていい?君はどうしてここに来たの?」
「ぼくはね、君を追いかけたんだ、ザネリは追いかけなかった、お父さんが迎えに来たから還ったの、僕は付添い人僕は君を選んだだから君の名を大きな声で呼んだんだ覚えている?」
「ああ」
あゝ 全くだ、全くその通りだ、あの幾つも聞こえてくる声の中で僕はカンパネルラの声を確かに聞いた。
「僕たちは、ずっと一緒に行ける?」
「あゝ ずっとね」
「君のお母さんは悲しまないの?」
「僕のお母さんなら、君のお母さんといっしょだよ、今は悲しみにくれているけれど、次の次の七夕には、君のお母さんと夜空を見上げ僕たちを誇りに思ってくれる だから、行くんだよ、天上界はまだ遠い、星めぐりをしながら君と僕はお母さんたちの夜道をキラキラ照らすんだよ」
カンパネルラはきっぱりと言いました。
星めぐりは、君とぼく七夕には夜空を見上げてね、お母さん。
大切な友だちの思い出を語るから。
2024年7月7日
心幸